「で、これになんの意味があるってんだよ僕」
この問いに対して僕の形をした何かは答えず、また意味の分からないことを話し始める。
「なぁ、確か6歳の時、週3のペースで夜ベランダに出されたよな? 埼玉なのに雪が降ってたこともあったな。ベランダで部屋から聞こえる嬌声に耳を塞いだっけ。
7歳の時には火のついたタバコを口の中に押し込まれたな? うるさいって、静かにしろって言われたついでにな。
10歳の時初めて人に売られたな?
人に直に肌に触られる事は今でも時々気持ち悪くなるよな。
11歳の時には画鋲を口いっぱいに入れて殴られたよな?
しばらく口も聞けんし何も食えんし散々だったな。
13歳の時は「やめろ!!!」」
「なんなんだよもぅ………………」
「まだまだ短い異世界生活。転生前はこんなにも事柄中心だった世界がどうだ? 今は人中心だろ? 在り来りだけど人生ってやつは
お前はちゃんと成長してるよ。あの人嫌いで死にたがりなお前が好きな人を作って、人と関わって生きたいと言ってるんだぜ? こればっかりは僕が言わないと絶対気付かないし、気付こうともしないからな」
「それに僕はまだ愛だのなんだのって叫ぶのは恥ずかしいお年頃。だーからこうして強制的に言葉に出させるんだ。練習だよ練習。日本人的気質が〜とか言い訳して僕はそういうの回避しそうだからな」
「さっきはガキだのなんだの言って悪かった。いやまぁお前がガキなのは変わりないんだが。まぁ何だ、ちょっとは心の枷が外れたことを願ってるよ」
「さて、お時間だ。確かにお前はあのまま寝てりゃそのうち治ったが、今回はお前が作った縁が、お前を救ったことになっている。縁だぞ? 人との繋がりがお前を救ったんだぞ? 自信持てって」
「うん……ありがとう」
「最後に一つだけいい?」
「あぁ、何だ?」
「僕の振りをして僕を叱ってくれてありがと。知ってる? 僕の苗字『郡』は確かに『氷』と同じ発音で言うことがあるにはあるんだけど…………僕が言う時は必ず語尾が下がるはずなんだ」
そう言った途端制服姿の僕はドロドロと形を崩し、ついにはスライムのような人型のドロドロ人間が姿を表した。
途端に頭に声が響く。
??? 「まぁバレちまったもんはしょうがねぇな。
―
??? 「お前の魂の諡号だよ。まぁ特に意味はねえがな。知ってるってだけでなんかの役に立つかもしれねぇ。覚えとけ」
「ああ、本当にありが───」
意識が遠退いてく。
薄れていく視界。
徐々に消える音。
全てがなくなる瞬間。
何も見えないし聞こえない。
そして身体がふわりと浮いた。
感覚のない空虚な時間が続く。
意識も、感情も、想いも、 全てが無になる。
そんな刹那の中で微かに何かが聴こえた。
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「おはよう、サルサ。ごめんね? 心配かけちゃって」