バニルと一緒にウィズをこき下ろす話   作:音猫だあく

2 / 2
このファンがサ終するそうなので、このファンオリジナルキャラのお話を自給自足。
なお、リュウとシエロの一人称が同じなので、この作品ではシエロの方は『ボク』とカタカナ表記にさせていただきます。


条件反射の一撃

 とある日のこと。魔道具店内は騒がしいことになっていた。

 

 「シエロ!?しっかりして!」

 

 「リュウさん!?大丈夫ですか!?」

 

 「ダメだ!2人とも気絶してる!」

 

 黒髪ロングの少女──リアとピンク髪のツインテールの少女──エーリカが床に血を流しながら倒れ伏している金髪のショートボブの少女──シエロに必死に呼びかけていた。店の出入り口では同じく血を流しながら倒れ伏しているリュウにウィズが必死に呼びかけていた。

 

 一体なぜこんなことになってしまったのか。全てはほんの数分前まで遡る。

 

 

 ◇

 

 

 数分前。アクセルの街で話題になっているカズマプロデュースの新米踊り子ユニット『アクセルハーツ』として活動しているリア達はウィズ魔道具店に小劇場で行うライブの宣伝ポスターの掲示の依頼とシエロの握手会に使う大量の手袋を購入しに来ていた。

 握手会なのに大量の手袋?とお思いの方もいるだろう。実はシエロは男性恐怖症であり、男性に触られると思わず武術で培った強烈な拳を繰り出してしまうのだ。その威力は凄まじく、大の大人が宙を舞う程である。踊り子辞めちまえと思う人もいるだろうが、そもそも踊り子を始めた理由は引っ込み思案な性格と男性恐怖症を治すためである。そんなわけで今回の握手会では治療の一環として、手袋をたくさん重ねてでもいいので男性と触れ合う事に少しでも慣れようということになったのだ。

 

 依頼も終わり、手袋も購入できたので彼女達は店を出ることにした。

 

 ──だがここで事件が起こる。

 

 シエロが扉を開けた…その時だった

 

 「只今営業から戻りました〜。」

 

 同タイミングで営業に出かけていたリュウが戻ってきたのだ。

 

 「いいいいやあああああっ!?」

 

 当然突然目の前に現れた男性にシエロが反応しないわけがなく、条件反射的に右ストレートが繰り出された。

 普通ならこのままリュウが吹っ飛ばされて終わりである。そう、普通なら。

 

 実は前回の後書きには書かなかったのだが、リュウは結構臆病な性格でもあったりする。

 突然の甲高い悲鳴…そしてほぼ同時に自分に放たれた右ストレート…

 その状況に置かれた彼は…

 

 「うにゃあああああっ!?」

 

 なんと同じく悲鳴を上げながら条件反射的に結構な威力の魔力弾をカウンターの如く撃ち出したのだ!

 その結果…

 

  リ                    シ

 ュ(ryドゴンッ!!  ドシャンッ!!=͟͟͞͞ =͟͟͞͞ =͟͟͞͞ ◉) エ

  ウ                    ロ

 

 リュウは強烈な腹パンが、シエロは腹部に強烈な魔力弾をモロに喰らってしまった。

 これが冒頭で起きた事件の真相である。

 

 

 ◇

 

 

 真相がわかったところで場面は冒頭に戻る。

 

 「ど、どどどどうしましょう!?」

 

 「て、店主さん『ヒール』をお願い!」

 

 「私アークウィザードなので習得してません!」

 

 「なら店主さん!回腹のポーションとかは…」

 

 「30分程前に売り切れちゃいました…。」

 

 「そんなぁ!?」

 

 「一応包帯ならあるのでそれで応急処置をしましょう!」

 

 リュウとシエロが負った傷は思ったよりも深く、3人は急いで2人の治療を試みようとしたのだが、あろうことかこの中で回復魔法を使えるのは倒れたリュウとシエロであり、しかもよりによって回復系のポーションは売り切れという有様。一応包帯はまだ残っていたのでそれで応急処置を試みることにした。

 

 …尤も、ただ包帯を巻いただけでは出血が止まるわけがない。2人の出血は止まるどころかひどくなってきており、既に貧血状態に陥っていた。このままでは死んでしまう可能性がある。

 

 

 しかし死神は2人を見逃したようだ。

 

 「『セイクリッドハイネスヒール』!」

 

 突然声が響いたかと思うとリュウとシエロを淡い光が包み込み、2人の傷がみるみるうちに治り始めた。

 驚いたリア達が声がした方を見ると、そこにいたのは…

 

 今日も今日とて図太くウィズにお茶をせびりにきたアクアだった。

 

 「「「アクア!/様!」」」

 

 「ちょっとウィズ、これどういうことなの?まさかアンタがリュウとシエロを…」

 

 「違います!違います!偶然お二人が鉢合わせてしまって…」

 

 「…それ本当なんでしょうね?」

 

 「本当だよ。それにしてもアクアが来てくれなかったらどうなっていたことか…。」

 

 「そうね…。」

 

 リアはウィズの主張を肯定し、エーリカもそれに追随する。

 

 「ふーん…なら別にいいけど。」

 

 ようやくアクアが敵意を向けることをやめてくれたのでウィズはほっと胸を撫で下ろした。

 

 

 ◇

 

 

 「うーん…。」

 

 目が覚めるとそこは知らない天井だった。近くの窓からは夕日が差し込んでいる。確かボクはさっきまでウィズ魔道具店にいたと思うんだけど…。

 不思議に思いながら起き上がって周りをキョロキョロ観察していると、部屋の端の方にあるソファに横たわっている人物が目に入った。近づいてみると、その人物は爆睡しているリュウさんだとわかった。

 

 (なんでリュウさんが…?)

 

 よくわからないが、取り敢えず彼を起こすことにした。

 

 「えっと…リュウさん…お、起きてください。」

 

 「んぁ……シエロさん…?」

 

 目が覚めたようで、まだちょっと寝ぼけているのかソファの背もたれをバシバシ叩いていた。

 しかし1分程したところで意識がある程度覚醒したらしく、思いっきり背伸びをするとボクに話しかけてきた。

 

 「えっと…なんでシエロさんがここにいるの?ここはウィズ魔道具店の仮眠室だよ?」

 

 「ボクが知りたいですよ。目が覚めたらいつのまにかここにいたんです。…というかここ仮眠室だったんですね。」

 

 「…ポンコツ店主がやらかした時は深夜過ぎまで作業が長引くことが結構あるから使われていなかった地下に作ったんだよ。」

 

 そう言ってリュウさんは深いため息を吐いた。…ため息から彼の苦労がひしひしと伝わってくる。

 

 「それにしてもなんで僕達こんなところで寝てたんだろ?…まあポンコツ店主に聞いてみればわかるか。」

 

 そう言ってリュウさんはもう一度大きく背伸びするとソファから飛び降りて部屋の扉から出ていった。これ以上ここにいる必要もないのでボクも後に続いて部屋を出た。

 

 

 ◇

 

 

 一階に着くと、リアとエーリカとウィズさんがカウンター越しに談笑していた。

 

 「おはようポンコツ店主。」

 

 「あっ!リュウさん!それにシエロさんも!目が覚めたんですね!」

 

 「えっと…何があったんですか?ボク達直前のこと全然覚えていなくって…。」

 

 「実は…」

 

 リア達曰く、どうやらボク達は驚いた際に反射的にお互いに重症レベルの怪我をさせてしまったらしい。偶然やってきたアクアさんのおかげで一命を取り留めたものの、気絶したままだったので仮眠室に運び込んだのそうだ。

 

 「そんなことがあったのな…。ところでアクアはどこいったの?」

 

 「アクアなら運び込んだ後淹れてもらったお茶を飲んでどっか行っちゃったわよ。」

 

 「…アイツらしいっちゃアイツらしいね。まあ助けてもらったのには違いないから後でお礼にシュワシュワでも持って行くかな。」

 

 そう言ってリュウさんは苦笑した。

 

 

 その後迷惑料代わりとしてリュウさんから3割引クーポンを何枚か押し付けられた後、時間も遅くなってきたのでボク達は店を出て帰路についた。




・カズマ
ご存知このすば原作の主人公。基本的に原作通りだが、このファンと同様に冒険者業の傍らアクセルハーツのプロデューサーもこなしている。同郷で常識的で感性も普通なリュウとはお互いの苦労を慰め合う良き親友の間柄。

・アクア
ご存知このすば原作のヒロイン1にして問題児1。基本的に原作通りだが、この小説ではよくリュウにシュワシュワ(または高級シュワシュワ)で買収されている。

・めぐみん
ご存知このすば原作のヒロイン2にして問題児2。基本的に原作通りだが、この小説ではリュウ(及びリュウからアドバイスを受けたカズマ)が言葉を手綱代わりにしてある程度制御しているため、原作よりも周囲への被害は少ない。…まあぶっちゃけ制御できないことも多いからアクセルの周辺はクレーターだらけなんだけど。

・ダクネス
ご存知このすば原作のヒロイン3にして問題児3。問題児と言っても上記2名の問題児と比べればずっと常識的である。基本的に原作通り。ララティーナ。

・リア
サ終が決まったこのファンのオリジナルキャラの1人。基本的に原典通りだが、この時点ではまだ記憶を取り戻せていない。

・エーリカ
サ終が決まったこのファンのオリジナルキャラの1人。基本的に原典通り。

・シエロ
サ終が決まったこのファンのオリジナルキャラの1人。基本的に原典通り。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。