無限の成層圏 虹になった男   作:syunin

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 日間感謝です。
 この二次創作では、原作小説をもとにしております。
 なので、アニメ版での描写と食い違うことがありますがご了承ください。



四話

 

 一夏との決闘が終わった後、本来ならばセシリアと私の決闘がある筈だった。

 しかし、それはセシリアの____

 

 「わたくしはシャアさんとの決闘を棄権します」

 

 ____この一言で、全てなくなった。

 

 「オルコットの方からの棄権となると、アズナブルの不戦勝という事になるがそれでもいいか」

 

 「はい。わたくしは、まだシャアさんと戦うに値しません」

 

 織斑先生との会話である。私としても、セシリアともう一度戦うとなると今度はただ真っ直ぐ撃墜(おと)しにかかる以上、あまり面白い物ではない。渡りに船だった。

 そこでセシリアと一夏の決闘が待っていたのだが、流石に連戦ともなると一夏の体力的にもきつい。

 暫くの休憩を経てという事になった。

 そして、セシリアと一夏の決闘。

 

 「男ってものは、誰でも勘がいいものなのですの!」

 

 「知らねぇよ、さっき乗ったばっかりだしな!」

 

 一夏がブレードを振りかぶり、また一機BT兵器が落とされる。

 これでセシリアの持つBT兵器は残り三機だ。まだまだ、セシリアの方に分がある。

 初撃はもちろん、遠距離攻撃のできるセシリアからだった。

 きちんと狙いをすました攻撃は、ずれることなく一夏に吸い込まれていく。

 しかし、即座に高速機動戦にもつれ込ませた一夏による一撃により、セシリアのBT兵器が一機撃破されてしまう。

 そこからの試合は、傍から見れば単調なものであった。

 ただ愚直に一撃離脱戦法をとる一夏に対し、冷静に距離を離しながら迎撃に努めるセシリア。

 しかし、確かにある練度の差と武装の違いが両者の間に決定的な格差をもたらす。

 一夏の武装は、相変わらず近接ブレードたる雪片弍型しかない。しかも、ISの絶対的な機能、必殺技ともいえる単一機能(ワンオフアビリティ)は零落白夜。自らのシールドエネルギーを引き換えに出す一撃必殺。

 自らのリソースを対価に、相手に大打撃を与えるがその性質上、使いどころが限られる正に博打の様な力だ。

 故に一夏は自らのリソースが削られていくことによって焦り、セシリアはその博打にはのらず、正攻法で一夏を攻め切り____

 

 「まあ、こんなものでしてよ」

 

 ____一夏のシールドエネルギー切れによる敗北という、実力差が如実に出る結果となった。

 しかし、セシリアは初心者相手にBT兵器を半分削られる結果になった。これはセシリアがBT兵器を動かす際の癖を、一夏が鋭く咎めた結果だといえる。

 決闘の開始前に言われた、今回の戦いで何かアドバイスを、という問いに対する答えは十分に見つかった、と思いながら私は観客席の席を立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、朝のSHR(ショートホームルーム)にて。

 

 「では、一年一組代表は織斑一夏君に決定です。あ、一繋がりでいい感じですね!」

 

 というわけで、一夏のクラス代表が決定した。

 

 「先生、質問です」

 

 一夏の挙手。美しいほどにまっすぐ手が伸びている。

 

 「はい、織斑君」

 

 「なんで昨日二回も負けた俺が代表になっているのでしょうか?」

 

 「それはですねぇ……」

 

 山田先生が困ったようにこちらに目配せしてくる。

 

 「それは私が代表になるのを断ったからだ」

 

 「もちろん、わたくしも断ったからですわ」

 

 仕様がないので、私が答えるとセシリアもそれに乗る形で口を開いた

 一夏が、如何にも不満そうな顔で声を出す。

 

 「なんで断ったんだ?正直、二回とも負けた俺じゃ話にならないと思うんだが……」

 

 「一夏君。敢えてここで言うが、我々はそこまで暇じゃないんだ」

 

 そんな一夏に、きっぱりと私は言い放った。

 

 「君はあの織斑千冬の弟だ。こういっては何だが、色々と後ろ盾もあるだろう。だが私は飽くまでも所属はイギリスになるんだ。数少ない男性IS起動者としてデータを送らなければならない」

 

 「因みにわたくしも代表候補生としての仕事もそれなりにありますわ。試作型の第三世代機であるブルー・ティアーズのデータ取りなんかもありますわね」

 

 「まあ、君も忙しくない、というわけではないだろうが……まあ、敗者の責務だ。勝者の私たちに大人しく従ってもらおうか」

 

 「そんな、まじかよぉ」

 

 弱弱しく声に出す一夏。まあ、だからと言って放り出すほど無責任ではないがな。

 

 「だが、私もデータ取りの合間になら君と一緒にマニューバの研究なんかもできるだろう」

 

 「それってでも、結局は」

 

 「まあ、一緒に頑張りましょう、ってことですわ。矢面に立つのは、クラス代表たる織斑さんですが」

 

 「だよなあ……」

 

 少年がまた一つ、理不尽に濡れて大人に近づく。学校とはそういうところだ。

 

 「そういう事だ。黙って従え、織斑」

 

 「はぁい」

 

 織斑先生の言葉に、一夏は気の抜けた返事をした。あ、叩かれている。

 

 「まったく、お前と来たらそんな腑抜けたことで……お前ら、今回の決闘で分かったな。お前たちはこういう事を学びに来たんだ」

 

 織斑先生が言う。

 

 「お前たちがこれから手にするものは、明確な武力だ。それを扱うものとして、これから真摯に学び取れ。というわけで、クラス代表は織斑一夏だ。異存は無いな」

 

 織斑先生の言葉に、皆が背筋を正して返事をする。

 しかし、ずば抜けたセンスを持つ一夏がクラス代表として戦闘経験を積む……私としても、動きやすくなった。

 セシリアが見せたセンスと並行して確かめていこう。

 そう考えながら、織斑先生の本日の朝の伝達事項に耳を傾けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「では、アリーナも借りれたのでISの研究会を行おう」

 

 四月下旬。私は一夏とセシリアと三人でISの研究会を行った。

 

 「特に一夏君。今回は大穴を開けないように」

 

 「へいへい、解ってるよ」

 

 「まったく、折角シャアさんと二人きりだったのに……」

 

 セシリアとは元々約束していた事ではあったが、今回一夏がここにいるのには訳がある。

 というのも、本日の授業でISの機動展示を行ったのだが、上空からの急降下・急制動を行った際に一夏がミスを起こした。

 地面に激突し、大穴を開けたのである。

 そこから一夏が私がセシリアとISの機動について研究会を行うことを聞き、泣きついてきたのである。

 私は特に問題ないので了承し、セシリアも、非常に渋い顔をしながら仕様がないのでといった感じに了承した。

 

 「所でシャアさん、わたくしのBT兵器を扱う際の癖といったのは……」

 

 「そうだな、セシリア君。BITを展開したまえ」

 

 「わかりました。こうですわね?」

 

 「そら、いくぞ」

 

 BT兵器を展開したセシリアに、スターライトを放つ。セシリアはすんでのところで回避した、

 

 「ちょっと、いきなりすぎません!?」

 

 「そう、これだ。セシリア君はBITを機動させるとき、自分と同じ方向に動かす。そこを一夏君につかれたという事だ」

 

 そう言って一夏を見ると、確かにといった感じで一夏は頷いた。

 

 「俺もちゃんと考えてなかったけど、確かにセシリアと同じ方向に飛んでいた奴の中から、逃げ遅れていたのを狙ってたかもな」

 

 「それが、わたくしの癖ですか」

 

 セシリアは最初、自分を覆うようにBT兵器を展開していた。そこから機動となると、必ず自分より後の軌道になるBT兵器が出てくる。

 さらに言うなれば、セシリアは自分が動かすBT兵器が減った場合でも、再度自分を覆うように展開し直す。そうすることで、またBT兵器の軌道が遅れるというループにつながる。

 

 「そもそもセシリア君はBITを活用するにあたって一つ、大きな強みを消してしまっている。よく見ているといい。一夏君、少し離れて」

 

 「お、おう……何するんだ?」

 

 「攻撃するのさ、一夏君を」

 

 「攻撃って、うわ!?」

 

 一夏が離れると、すぐさまBT兵器を全て展開。一夏の周囲に纏わりつくように機動させると、BT兵器のレーザーが一気に火を噴いた。

 一夏はそれを瞬時加速を使って回避する。

 

 「成程、敵機に纏わりつかせるようにするのですわね」

 

 「そうだ。BITが四機もあれば、四方から逃げ道をつぶせる。正にオールレンジ攻撃だ」

 

 「上下左右、理論上はつぶせますわね、理論上は。……どれだけ難しいこと言っているかわかってますの?」

 

 「無論。だがそれを出来る様にするのが我々の仕事だろう?」

 

 「まったく、織斑先生もびっくりの鬼教官ですこと」

 

 セシリアの言葉に思わず苦笑してしまうと、一夏の叫びが聞こえてくる。

 

 「あのぉ!これ何時まで避け続ければいいんだ!?」

 

 「一夏君は実践の方がいい動きをする。そうやって動き方を体にしみこませるんだ」

 

 「ちょっと、これまずっ、避けきれなっ、のわぁあ!」

 

 ギリギリの状態で避けていた一夏だが、私が逃げ道をふさぐように配置してレーザーを放つと一夏は再び瞬時加速を使おうとするが、間に合わず被弾した。

 

 「そもそも、一夏君はISに乗り始めてまだ日が浅い。先ずは反復練習で操作を体にしみこませることから始めた方がいい」

 

 「まあ、剣道も先ず型を只管練習することから始めるしな。わかった、俺は先ず教科書のマニューバを練習してみるよ」

 

 そう言って、一夏は離れていった。それでは、セシリアが体を動かす番だ。

 

 「ほら、セシリア君。BITを展開してみなさい。実践といこう」

 

 そう言って私がセシリアから少し離れると、セシリアがBT兵器を展開、私の周りに配置する。

 即座に放たれるレーザー。しかし狙いはどれも甘く、大きく外れて私の周囲を通り抜けていく。

 

 「むむむ……せいっ、やぁっ」

 

 そのまま何度もBT兵器の配置を変え再度射撃を行うが、どれも私には当たらない。

 

 「む、難しいですわね……」

 

 「そうだな……すこし、イメージの方向性を教えてみるか」

 

 私はそう言うと、セシリアと向き合う。

 

 「まずは私を確りと見るんだ。認識が肝だ」

 

 「はい」

 

 そうして、セシリアと目が合う。

 

 「そのまま、私に意識を集中させて……花火の様なものをイメージし、私に向けてみろ。……今だ!」

 

 「こうですわね!」

 

 セシリアが放つレーザーが私に突き進み、ぎりぎりで回避した。セシリアのBT兵器はこちらを向いたままだ。

 セシリアが正確に放つレーザーを二度、三度と避けながら私は笑う。

 

 「そうだ!いいぞ、その感覚を忘れるな!」

 

 「それなら!せめて!一発くらい当たってくれません!?」

 

 「私にも矜持というものがあるのでな」

 

 ここにきて一気にセシリアの攻撃の苛烈さが増す。まったく、いいセンスを持っている。

 だが、まだまだ甘い。

 

 「確かにいい攻撃だ。だがこういう弱点もある」

 

 そう言うと、私はセシリアに急接近する。顔と顔が当たる直前で私が停止する。

 

 「こうやって至近距離に接近されると、より正確な射撃を要求される。咄嗟では難しいだろう、セシリア君」

 

 「ひゃ、ひゃいぃ……」

 

 昔、ジオングに乗っていたときはアムロにしてやられた。ハマーンにやり返してみたら、こっぴどくやられたなと考えていると、セシリアが赤面しながら声を上げる。

 

 「顔!近い、近いですわ!こんな距離でいきなり考え込まないで!」

 

 「おっと、すまなかったな」

 

 思春期の女子には、少し辛かっただろうか。

 

 「まったく、元々顔もいいのですから……」

 

 「どうした、セシリア君」

 

 「んんっ、なんでもありませんわ」

 

 セシリアが何かぶつぶつとつぶやいているので聞き返すと、そう答えられた。

 まあいい、今は研究会だ。

 

 「将来的には、どんな動作からでもこの攻撃が出来る様になるのが目標だ。次は私の訓練に付き合ってくれ」

 

 「訓練って、何をするのですの?」

 

 「ちょっとな。……一夏君!少しいいか!」

 

 「なんだー!」

 

 一夏を呼ぶと、彼はマニューバの練習をやめ此方によって来る。

 

 「再び実践だ一夏君。また私がBITを放つので、それを避けて欲しい」

 

 「あいよ、そろそろ一回試してみたかったんだよな」

 

 「それで、わたくしは何をすればいいんですの?」

 

 一夏にそう言うと快く了承してくれたが、今度はセシリアが聞いてくる。

 

 「なに、簡単な事だ。セシリアは全ての武装を駆使して私を狙ってくれればいい」

 

 この世界に於けるISは、私が元の世界で扱っていたモビルスーツと違い実際に体を動かして操作する。

 その差を、思いっきり体を動かして認識・修正する。それが今回私がやりたかった事だ。

 

 「……なあ、セシリア」

 

 「なんですか織斑さん」

 

 「織斑先生と被るから一夏でいいよ」

 

 「……なんですか一夏さん」

 

 「強くなるって、こんなつらい事なのかな」

 

 「この人が例外なだけですわ。化け物ですわよ化け物」

 

 ホロリと涙を流す一夏、突然私を化け物呼ばわりしてくるセシリア。いったい何が彼女等の癇に障ったというのだろうか。

 

 「この後は夕食と一夏君のクラス代表就任パーティがあるだろう。それまでは付き合ってもらうぞ」

 

 「ええい、わかったよ!せめて____」

 

 「____その余裕そうな面構えだけでも、剝がさせて見せますわ!」

 

 そうして、一夏とセシリアは距離をとった。いい面構えだ。

 結局、夕食まで私に攻撃を当てることはできず、一夏は散々いたぶられる羽目になったが。

 彼らの言ったことが現実になったかは、想像に任せることにしよう。

 





 書き溜めしてないので、更新が滞ったら鼻で笑ってください。
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