女神と妖精をこき使って無人島を発展させよう! 作:サニキ リオ
仕方ないので山道を徒歩で下ることにする。しばらく歩くと、新しく建てたロープウェイの支柱のところでカイジが妖精達と改修工事にいそしんでいる様子が窺えた。
「カイジの奴、頑張ってるな――ん、エリシャ?」
「はぁ……はぁ……二人共、待ってください……」
友人の頑張る姿にほくそ笑んでいると、息を切らせたエリシャが俺の歩みに待ったをかける。
「ああ、悪い悪い――って、二人共?」
二人、と言われて横を見ていると、汗一つかいていない涼しい顔のメグミさんがきょとんとした顔で立っていた。
「あら、ペースを落とした方がよろしかったでしょうか?」
メグミさんは、女神の加護もなしにこの暑さで平然と山道を下っていた。動物を相手していただけあって、意外と体力はあるようだ。
「というか、エリシャは靴を履き替えた方がいいんじゃないか」
「こ、これは、女神教の正装なので」
黒い修道服にヒールという格好は夏の山道を歩くのには不向きだ。むしろ、今までよくそれで毎日山を上り下り出来ていたなと感心するくらいである。
「別にあいつも気にしないだろ。どうせ泉でゴロゴロしてるだけの不良債権なんだし」
「ネイト君、女神に対してそんな態度をとってはいけませんわ」
「ああ、ごめんなさい。いつもの癖で」
「それはそれで問題ですわね……」
息をするように女神に暴言を吐く俺に、メグミさんは呆れたようにため息をついた。
「ちょっと、ネイトさん! どうしてメグミさんの時だけきちんと謝るんですか!」
「お前と違って犬みたいにギャンギャン吠えないからな」
「誰が犬ですか!」
女神のことになるとすぐに口うるさくなるエリシャは、どこか小型犬を彷彿とさせる。
それに対していつも穏やかで大人な対応をみせるメグミさんは犬に例えるのならば大型犬だ。
「ほら二人共。喧嘩してないでいきますわよ」
「「……はーい」」
溢れる母性に抗えず、俺とエリシャはおとなしく山道を下っていった。
街を抜けて港に到着すると、港はちょっとした騒ぎになっていた。
「暴れ馬だ!」
「誰か止めてくれ!」
どうやら、今回注文した動物達と一緒に乗せられてきた馬が暴れているらしい。
俺は馬を注文していないので、おそらくゴンさん辺りが購入したのだろう。馬とか金持ちの道楽っぽいし。
とにもかくにも暴れ馬がいたんじゃ動物の引き取りなんてできやしない。
女神の加護があれば動物は言うことを聞くし、ここは俺が止めるのが一番だろう。
そう思って全身が灰色の引き締まった体をした馬に近づいたのだが……。
「仕方ない、ここは俺が――へぶっ」
俺は派手に後ろ足で蹴り飛ばされた。