女神と妖精をこき使って無人島を発展させよう!   作:サニキ リオ

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第38話 ニート、マグマダイブする

 上がろうにも今日中にやらないと間に合わない仕事がわんさかあるようだ。

 しかし、疲労が溜まった状態で眠気と戦いながらする仕事は効率が悪い。このままみんなを残業させるよりも、進捗状況とスケジュールを調整して退勤してもらった方が効率が良い。

 そのため、俺は全員の仕事を確認して、スケジュール調整を行うことにした。

 

 結局、従業員全員分の仕事を見ていたら、時間はあっという間に過ぎていってしまった。

 

「よし、エリシャ。事務所の戸締りは任せた」

 

 全員が退勤するのを確認すると、俺は急いで不足している鉱石を採掘しにいくことにした。

 

「ね、ネイトさん! もう夜中の十一時ですよ!?」

「ああ、だからエリシャも早く休んでくれ!」

 

 ツルハシと麻袋を装備すると、俺は急いで鉱山へと向かう準備をすることにした。

 

「ゲンチャリ。背中に乗せてくれ」

「ブルルッ!」

 

 馬小屋にいる暴れ馬。ゲンチャリと名付けたこいつは俺のことをやたらと嫌っている。

 

「なあ、頼むよ。時間がないんだ」

「ブルッ」

 

 女神牧場に来てから数ヶ月経つというのに、いまだに俺だけは背中に乗せてくれないのだ。時間がないから下手に出て頼んでみたのだが、今日もダメそうだ。

 

「よしわかった。じゃあ、こうしよう。二時間後、鉱山の方まで来てくれ。お前に着けた荷台に鉱石を積み込む。積み込みが終わったらお前はそのまま牧場に帰る。これならいいだろ」

「……ブルッ」

 

 渋々俺の妥協案にゲンチャリは頷く。やはり、俺を背に乗せるのが嫌なだけで全く協力してくれないわけではないらしい。

 こうして俺は、時間短縮のために女神の加護を全開にして鉱山までの道を駆け抜けた。

 

「疲れない体ってのは本当にありがたいもんだな」

 

 そのまま休むことなどせず、俺は採掘作業に取り掛かった。

 ただでさえ作らなければいけないものが多いのだ。

 建築物ならばカイジの弟子になった妖精達だけでも事足りるが、細かい技術面に関してはカイジでなければ作れないものが多い。

 そのため、女神牧場開発部門の仕事はほとんどカイジが捌いている状態なのだ。カイジにかかる負担は並大抵のものではない。

 

 料理部門の開発に関してもほとんどエリシャ一人にやらせているし、農作業関連は全てコナー任せで、酪農に関してもメグミさんが全てやってくれている。

 俺が、俺だけが、みんなに頼ってばかりで貢献できていないのだ。

 そもそも俺が牧場主としてしっかり観光協会の連中のご機嫌を取れていれば、こんなことにはならなかったのだ。

 

 だから、少しでも無理ができる俺がみんなの負担を減らすしかないのだ。どうせ女神の加護があるのだ。死ぬ気でやったところで死にやしない。

 ひたすら無心で鉱山を掘り進む。ダメだ、もっと深くまで掘り進めて、必要分の鉱石を掘り出さないと、頑張ってくれているみんなに合わせる顔がない。

 

「……俺が頑張らないとダメなんだ。俺がみんなの分も頑張らないと――うわっ!?」

 

 ツルハシを振り下ろした瞬間、全身を熱気が襲った。

 

「熱っ、マグマ!?」

 

 状況を把握するよりも早く、壁から溢れ出してくるマグマは俺を飲み込む。

 全身を焼かれるような痛みが走り、そのまま俺は意識を手放した。

 

「……うっ、ここは?」

 

 目が覚めると、そこは女神の泉の前だった。

 視界が霞むし、体は動かせない。一体、何がどうなったのだろうか。

 

「あんた、バカじゃないの?」

「め、がみ?」

 

 体が動かせないので、顔だけを上げると女神はいつもとは比べ物にならない怒気を放っていた。エメラルドのような輝きを放つ翡翠色の髪はオーラのようなものを纏って逆立っている。その姿はだらけてばかりの女神とはかけ離れた神秘的な姿だった。

 

「もう少しで死ぬところだったのよ! 女神の加護にだって限界はあるの!」

 

 状況はよくわからないが、女神が助けてくれたようだ。

 

「……悪い、助かった」

「とりあえず、エリシャちゃんを呼んでおいたから今日は休みなさい」

「待ってくれ……まだ素材、が……」

「いいから寝てろっての!」

 

 有無を言わさず女神は俺に向けて掌をかざす。すると突然、強烈な眠気が俺を襲った。

 その眠気に抵抗することもできず、俺はそのまま意識を手放した。

 

 

 

 

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