女神と妖精をこき使って無人島を発展させよう!   作:サニキ リオ

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第44話 ニート、シスターのために動く

「やっと休憩できる……」

「お疲れ様です。ネイトさん」

 

 ごたごたしていた午前中も落ち着き、やっと取れた僅かな休憩時間。

 俺がベンチに腰掛けると、エリシャが俺の分の食べ物と飲み物を持ってきてくれた。

 

「おう、サンキューな。あっ、今は岩井社長で通してくれ。一応、外部の人間もいるし」

「失礼しました。岩井社長……ふふっ」

「あの、ちょっとよろしいでしょうか」

 

 エリシャと談笑していると、メグミさんに声をかけられる。

 

「どうしたんですか、メグミさん?」

「先ほど、シスターらしき人物を見かけたのですが、エリシャさんには心当たりありませんか? 誰に声をかけることもなく足早に立ち去ってしまったので」

「うーん、孤児院にいたときのご同輩ですかね」

 

 心当たりが逆にありすぎるのか、エリシャは困ったように唸る。女神教の信者ともなれば、世界各地に点在しているだろうし、偶然この島に来ていてもおかしくはないだろう。

 エリシャの言葉に、メグミさんは困ったような表情を浮かべる。

 

「同輩というには少々年老いているように感じましたわ。年は四十代後半くらいで、シスターというよりは〝マザー〟という印象が強い方でしたわね」

「なっ」

「ま、まさか」

 

 マザーという言葉が当てはまる女神教の人物。

 おそらく、エリシャも俺と同じ人物を思い浮かべたはずだ。

 

「メグミさん、その方はどちらにいかれたんですか?」

「あの様子だとロープウェイで下山して港に向かうでしょうね」

 

 ふとロープウェイの方を見てみれば、大勢の観光客達でごった返している。あの混雑具合ならばまだ間に合うはずだ。

 

「おい、行くぞエリシャ!」

「行くって、私もネイトさんもこの後には仕事が……」

「今行かなかったら一生会えないかもしれないんだぞ!」

「でも、だって、私は……」

 

 何かに怯えるような、葛藤するような表情を見せるエリシャ。気持ちは痛いほどわかるが、今は迷っている時間が惜しい。

 

「少なくとも、俺はここでお前をマザーダリアに会わせなかったら一生後悔する! だから行くぞ!」

 

 俺はエリシャの手を取ると、少し強引に引っ張った。

 

「ゲンチャリ!」

「ブルルッ!」

 

 指笛と共にゲンチャリが駆けてくる。ここが放牧地の近くで良かった。

 

「メグミさん、あと任せます!」

「こちらは心配しなくて大丈夫です! 皆さんにも共有しておきますね!」

「ありがとうございます!」

 

 全ての事情を組んでくれたメグミさんに感謝しながらゲンチャリへ跨る。いつものような不満げな様子は鳴りを潜め、今はただ〝任せろ〟とばかりに雄々しく嘶いている。

 

「エリシャ、しっかり捕まってろ!」

「はい!」

 

 そして、手を引いてエリシャをゲンチャリへと乗せると、そのまま港へ向けて駆け出した。

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