□■アルター王国・ネクス平原────────
上空。
それは、
そしてそれは<デンドロ>内でも同じく。
しかし。
しかしである。
<デンドロ>内では上空と呼べる距離での航空は、一般常識ならずも<マスター>、<ティアン>を問わずに禁忌とされることが多い。
だが、それはよくある地方や地域──────この場合は世界や国──────に根差した因習や慣習的な慣用句ではないのだ。
大体……高度29000フィート。
それが、禁忌の領域である。
理由は単純にして、明快。
────────────────竜の存在である。
竜。
中でも、純竜と呼ばれるそれらは、まさしくデンドロ世界において強さの指標として多用されるレベルには、強力無比な存在である。
更に具体的に数値化するとするなら、「純竜級=上級職六人パーティ相当」だ。
ティアンからすれば災害ないし絶望、マスターからしてもゲーム内での強さの象徴や証明の一種であるともいえる。
──────閑話休題──────。
上空とは竜の領域である。
内、飛竜と呼ばれる純竜の彼らは侵入者への攻撃性を隠そうともしない。
彼らはモンスターでありながらも、誉れ高き竜なのだ。
末端でありながらも、かの【天竜王】ならずも竜の血の末端である竜の一族は総じて誇り高い。
言い換えるならば、縄張り意識が他のモンスターと比べても数倍はあるとも言える。
という訳で、デンドロ内ではほとんどの存在は空を犯す行為はしない。例えそれが、
何せ、強さの象徴であるドラゴンらが群れを成して襲いに来るのだから。
それでも尚、空に憧れんとするならば……それこそ超級や準超級、航空特化のチャリオッツ・ガードナー型の<エンブリオ>でも用意しなかればなるまい。
………少なくはあるが、偉業を成した者も存在する。
例えば、【撃墜王】。
彼女は類稀なる運転操作技術と、どこかのマッドサイエンティストが齎した
例えば、【嵐王】ないしは【傲慢魔王】。
彼女は超越したレベルの天属性……
例えば、【竜征騎兵】。
彼はデンドロ内でも最高峰の<エンブリオ>・ジョブ間のシナジーが発揮された結果であり、尚且つ空戦における驚異的な操作能力と多彩な方法を持つ戦闘能力が故。
例えば、【閃光術士】フォール。
彼は<エンブリオ>のスキルにより、1500メテル以上接近した対象へ【飛行禁止】を与え、強制的に墜落させる故。
いずれも、超級か準超級に準ずる者。
フォールこそ例外ではあるものの、いずれの分野でも最高峰に至る者ばかり。その領域に達して初めて、空を犯すという大罪への挑戦権を得られるのである。
──────────
なので、竜たちにとってそれは未知の事柄であった。
闇夜の冷気を裂き、轟音を奏でて飛行する竜ら。群生するその最強生物たちは、暗闇の中でもその縦に裂けた瞳孔は異常を捉えた。
突如として、高度9000
初めて見た脅威に、飛竜の群れはそれを囲むように旋回し、威嚇の咆哮が多重奏を響かせた。
果たして…………現れたのは──────
全長6マイル────────────10㎞にも及ぶ、遍くものが純金で
総重量が数百億
そして目を引くのは、その
都市は、二頭の小山ほどのサイズもある亀に曳かれて中空を移動しているのだ。
『『『『『『『『『『Gyahhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhh!!!!!!!!!!!!!!!!』』』』』』』』』』
黄金とはまた違った光が空を照らす。
群生の竜が放つ正真正銘の、
数百もの竜たちが放つ火焔は、戦士系超級職であっても消し飛ばせる程の威力を誇っていた。
【
その威力は、
が、
『『《────────────────────》』』
二頭の大亀が
そして、二重に重なった巨大な六角型のオーラと、巨大な火球が衝突。摂氏数千度はあったであろう火焔跡形もなく消え去る。
更には、都市の外縁部、城塞を思わせる純金製の外壁の至る所から小窓が開く。
中から外へ。
差し込まれるようにして突出したそれらは、機関銃や多重連装式クロスボウ、大砲、
一斉にそれらが、唸りを上げて独りでに起動。
『Gyahhh!?』『Gueeeekkaaa!?』『Aaaahhhhh!?』『Ruugeryyyy!?』
防御力も非庸俗であろうもない飛竜の鱗や皮膜、翼を穿つ。
一体誰がこのような事態を想像しただろうか。竜が大量死を迎えるなどという事態を。
『『──────────────―!!!!』』
大亀らが再度嘶く。
怯んだ飛竜らは、咆哮に敵意がないと知るや否や、
誇り高き竜が氏族が今ここに敗走を喫した。それを知る者はこの空域には誰もいなかった。
『『────────────』』
再三の咆哮が
すると、今度は武器が屋内へ収納され、開いていた小窓が閉まり、元の通りのつるんとした外壁が姿を取り戻す。
そして大亀二頭に連れられた都市は、威容を誇ったまま高度を下げる。
向かう先は言うまでもない。
□ ■ □ ■ □
□■ネクス平原・
「なっ────────────なんだありゃ!?」
ギデオン防衛戦線。
後にそう言われることとなる前線にいた<マスター>の一人が声を荒げて言った。
彼は、フランクリン製モンスターが襲い来るのも無視して空を目指して、指を差す。
釣られた何人かがその指先を追って見上げて……眼を剝く。
空から舞い降りるは、二頭の大亀に曳かれて下降する黄金の都市。時折、反射して金の他に……ネオンだろうか、赤や青、緑や白などの輝きが網膜を強烈に刺激した。
「──────────―
誰かが言った。
今度は声に引かれた幾人かが目を向けるとそこには、複数名のマスターと戦っていたティアンの数名が空を見上げていた。
彼らの武具には、星の刻印が為された金貨のシンボルマークが刻印されていた。それはクラン<グラン・テゾーロ>の商章であった。
「<グラン・テゾーロ>の奴らの……──────
またも誰かが言った。
しかし、それは先程とはニュアンスが180度変わっていた。
驚愕は同じくしても、畏怖の色が強い。
「──────―“財産最強”──────―」
ぽつりと呟きが漏れる。
「来てくれたんだ! 私たちのピンチに! ギデオンの危機に!」
「だけど……なんでだ?」
「バカ! ここには<グラン・テゾーロ>の支店舗は腐るほどあるし……
「そうか……だが、これで助かったのか?」
「バカ言え! まずは、ここにいるモンスターを片付けてからだよ!」
「ああ……ああ! そうだな! まずはここを潜り抜けてからだな!」
危機は未だ止まず。
フランクリンはモンスターを排出し続けているし、ギデオンには未だ裏切り者のマスターが溢れていた。
だが、【破壊王】の暴れっぷりに、<グラン・テゾーロ>の支援、更には“財産最強”ギルド・テゾーロの参戦。
展望を望み、足掻き続ける者にのみ、神は──────あるいは
笑顔を取り戻した彼らは、武器を今一度強く握り締め、スーサイドシリーズへと勝負を挑む。心なしか、
余談ではあるが、この内の幾名かはこの戦いの最中・後に<エンブリオ>が進化することとなり、急成長を迎えることとなる。それは、ある意味「
そして、今ここに最強の援軍が到着したのだ。
“財産最強”ギルド・テゾーロの<エンブリオ>。
カテゴリーを、TYPE:ワールド・ルール・フォートレス・レギオン・ラビリンス。
オンリーワンカテゴリーにして、テリトリー派生のハイブリッドであり、ハイエンドカテゴリー……且つ、アームズ系統を除く基本カテゴリーを全て含んだ、
世にも珍しい<超級エンブリオ>。
名を──────────【永劫歓楽黄金都市 エル・ドラード】。
移動要塞型の歓楽都市を模した、テゾーロの“黄金帝”の仇名の所以となる<超級エンブリオ>である。
どんな話がいい?
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過去編(厳冬山脈とか超級職就職とか)
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原作介入
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オリジナルストーリー