“財産最強”ギルド・テゾーロ   作:陸神

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過去編最終回。

メッチャ、ギャグ回です。
自分でも書いててなんでこうなったんだろうと思った。申し訳ない。


“フランクリンのゲーム”にて資本主義を叫ぶ④

□■ドライフ皇国・皇宮内部応接の間

 

 

「まずはお詫び申し上げます。このような手段に出たことを」

 

 

開口一番、彼女は鉄面皮のまま頭を下げた。

 

 

「……そう、それだ。それだよ。何故、このタイミングだ?仮にここで私を殺したとして何になる?フランクリン(コイツ)がモンスターを製造する関係上、俺が一日二日デスペナで消えた所で意味はないはずだ。寧ろデメリットの方が多いはずだ」

 

 

テゾーロは親指の先でフランクリンのことを指さして言った。

それにフランクリンは舌を出して答えた。

 

 

 

 

――――――テゾーロが右手を(かざ)し、人差し指をぐるりと回す。

 

 

 

 

ハンドシグナルを受け取ったバカラらは、皇宮内に開いた縦穴へとダイスを筆頭に飛び込んでいった。

 

どうやら、ベヘモットへ追撃……ないしは、妨害しに行ったらしい。

邪魔をさせないためにも彼女らは“物理最強”へと挑みに行ったのだ。

 

 

「それで、どうなんだ?」

 

 

腕を組み、尊大に振る舞うテゾーロ。

 

傲慢が過ぎる様子には、護衛がいないことによる不安や弱気は全くと言っていいほど見えなかった。

 

相対する彼女は、

 

 

「いや、あのっ。それはー…………」

 

 

急に口ごもるクラウディア。

 

懐疑の視線を送り、目を細めるテゾーロ。

しかし、クラウディアは一向に口を開く様子はなく、その様子は虚偽や言い訳を考えているような感じはなく、どちらかという「説明しかねる」ような困惑の様子。

 

妙な沈黙を破ったのは、溜め息を吐き、こめかみを抑えたフランクリンであった。

 

 

 

 

 

「暴走、だよ。正確に言えば、ベヘモットというよりは、()()()()()()の、ね」

 

「ええ。本来は護衛から片付ける、という段取りでしたし」

 

 

 

 

 

知らされた衝撃の事実にテゾーロは……。

 

 

 

 

「は――――――」

 

 

 

 

………………………。

 

 

 

一拍。

 

 

 

………………。

 

 

 

二拍。

 

 

 

………。

 

 

 

三拍。

 

 

 

 

 

「はァ……?」

 

 

 

 

 

本気で困惑の表情を見せた。

 

これにフランクリンも苦い顔で言い続けた。

 

 

 

「君ィ、昔、彼女と何かイザコザあったでしょお?君を招待するって言った時のレヴィアタンの表情凄かったよぉ……威圧だけで兵士気絶してたし」

 

 

 

言葉尻。ボソッと呟いたフランクリン。

 

フランクリンの言葉にテゾーロは呆けていた表情を改めて、顎に手を当て、左上の虚空を見つめる。

 

 

「…………お姫サマ、知ってるかい?左上を見る行為は、何かを思い出そうとしている時に多いらしいよぉ」

 

「……そうなんで――――――覚えてない?レヴィアタンが怒り狂って計画を狂わすほどの過去なのに……?」

 

 

未だに熟考を切らさないテゾーロに最早呆れの視線と戦々恐々といった風に手元に手を当てるクラウディア。

 

幾秒経っただろうか、ふとテゾーロがある地名を口にした。

 

 

 

「――――――――厳冬山脈の件か……?」

 

 

 

ぼやくような声量であったが、耳聡い者は生憎とこの場には二名ほど居た。それが例え、BGMに破砕音と爆発音と金属同士がぶつかる音があろうとも。

 

 

 

「厳冬山脈ぅー?あんな危険かつ辺鄙な場所で何をしてたんだい、君ら?まあ、あの基本的に人間嫌いのベヘモットなら可笑しくもないが、君が行くことはあんまりないだろ?」

 

「……聞こえたのか。」

 

 

 

テゾーロはスンとした表情でフランクリンを見やる。

フランクリンへの敵意よりも、記憶の遡上にこそ力を使っているらしかった。

 

彼は背もたれに体を預け、口を開く。

 

 

「そうだな………あれは、私の<エンブリオ>の形態がⅥぐらいだったほど昔のことだ。私が<エンブリオ>の能力で、丁度良い金鉱脈を探していた時だな……確か」

 

「ナチュラルに極秘事項的なことを語りだしたねぇ……」

 

「それよりも、このコンディションでリラックスできる神経なんなんです?」

 

「地下に眠る鉱脈を採掘していたら、神話級のUBMを見つけたんだ」

 

「もうっ――――――凄いな。全部話すじゃないか。これには私もビックリだよ」

 

「厳冬山脈の地下にUBM……?……うん……あそこはUBMが群生している地域ですし、もう驚きません……神話級?まあ、いるでしょう」

 

「ヤケクソになってないかい?」

 

 

余程嫌な記憶なのか、懐に手をやるテゾーロ。

 

取り出したのは(てのひら)ほどの長さの葉巻であった。

それに純金製のライターで火を着け、深く吸い込む。

 

 

「あのー、皇宮(ここ)禁煙地域……地域?なのですが……?」

 

「まあまあ。どうせ、歴代皇帝には煙管(パイプ)ぐらい吸ってる人もいるよぉ。君のお父様だって絵画の中じゃ、葉巻吸ってたじゃん」

 

「……確かに」

 

 

「フッ……ハァァァアアアァァァァァァァ……」と、気にも介せずに肺ごと吐き出すように紫煙を吐くテゾーロ。

 

フランクリンの顔を見た時のそれよりも酷かった。

 

 

「強い、確かに強かったんだ」

 

「……ベヘモットが、かい?」

 

「いや、UBMが。アイツ自体はまだ構成を極めてから年月が浅かったからそうでもなかったな」

 

「いやっ!?もうとんでもないな!おい!失言の嵐じゃないかぁ!君程ノンデリなのは見たことがないよぉ!まだ、マニゴルドの方が理性的よ!」

 

 

甲高い悲鳴がフランクリンから上がった。

 

 

 

「その時はちょうどUBMとの相性が良くて、圧勝した上に金が大量入手出来てウハウハだった。だが、少し……少し?――――――少し(はしゃ)ぎ過ぎて、偶然にも腕試しに来ていた彼女が地上にいることも知らずに大崩落を起こしてしまった」

 

「今、自分でも『あれって絶対マズったなよなぁ~』って思った上で、過小評価しただろ?」

 

「厳冬山脈で雪崩と地震が起こって生態系が一部崩壊してたの貴方のせいだったんですね。もう驚きません」

 

 

 

深く吸い込んだ葉巻は、テゾーロの驚異的な肺活量のせいで半分を切っていた。それを指の腹で叩き、皇宮の床に灰を落とす。

 

最早何も言うまい。

 

 

「無論、彼女は……というより、レヴィアタンは怒った。それはもう怒り狂った」

 

「だろうねぇ」「でしょうね」

 

「そして、挑んできた彼女らに、私が失言をかましてしまったんだよ。ちょうど、UBMとの戦いと金と特典報酬で()()高揚(ハイ)になってたんだ……」

 

「…………なんて?」「――――――なんて言ったんです……?」

 

「―――――――――…………と」

 

「あ?なんだって?」「ちょっと聞こえませんでしたね」

 

 

 

 

 

 

聞き返されたテゾーロは苦虫を潰したような顔で、絞り出すようにして言った。

 

 

 

 

 

 

「――――――――『【獣王】なら丁度いい。ペットにしてやろうか』……と」

 

「「うわぁ……」」

 

 

 

 

 

上体を逸らし、テゾーロへと侮蔑の視線を向ける彼女ら。

 

テゾーロは歯を食いしばって灰になり切った葉巻を地面へと叩きつける。

 

 

 

 

 

「ああッ!!!!!!分かっている……ッッ!自分でも血迷っていたと思っている!!!!」

 

「それにしたってそりゃ無いでしょ。ねぇ、お姫様?」

 

「そうですよ。仮に力が強くたって相手は女の子ですよ?」

 

「デフォルトでSTRが20万を超えている女ふたりが女の子……?そりゃどんなじょうだ―――」

 

 

 

 

 

――――――――――ヴィィュュュウウウンンンッッッッ……!!!!!!

 

 

 

 

 

「あっ―――――ぶねぇ……!地獄耳がッッ!!」

 

 

 

首を傾げたテゾーロへと階下から地面を突き破って瓦礫が飛来する。

 

間一髪。

テゾーロは流体状の金を展開することで防御。難を逃れる。

 

続いて一発、二発と爆発音じみた衝突音が続き、攻撃は鳴りを潜めることとなった。

テゾーロはそれに鼻で笑い、唾を吐き捨てた。

 

 

 

 

「…………この件だろうな、レヴィアタンとの確執と言えば。彼女が怒るほどのことはこれしかあるまい。逆に言えば、ベヘモットとは言う程接点はない。たまーに、狩場が被ったときに会話するぐらいだ」

 

「それだけのことを忘れてたのかい?」

 

「いいや、本題はそちらではない」

 

「「は?」」

 

「その様子をクソアマのゲボ女(アリスン)に撮られていた……!!!」

 

「「うわぁ……」」

 

 

 

 

今度は一転して同情するような視線でテゾーロを見る女性陣。

 

その視線に知ってか知らずか、テゾーロは拳を血が滲まんばかりに握り締めて語る。

 

 

 

「こともあろうか、あのクソ記事『ドキッ♡恋愛の秘訣!?カップル成立の瞬間100選(隠し撮り!)』に、『まさかの性奴隷(ペット)宣言!?“物理最強”と“財産最強”の特殊性癖の逢瀬!?』という見出しで記事を書きやがった!!!!!!!」

 

「「…………」」

 

 

 

最早何も言うまい。同情の視線でテゾーロを見る二人。

 

 

 

「最終的には全DIN支社を丸ごと買収して、記事の印刷を差し止めた。そして強行しょうするクソ女とクソ双子を、“物理最強”と共に強襲し、『ティアン全員を殺して回る』と脅すことで解決した」

 

 

 

身を放り出し、足を延ばす。

 

追加の葉巻を取り出そうとして、指から零れ落ちた。

拾おうかと腕がピクリと跳ねるが、直ぐに動きは収まった。代わりに深い深い溜め息が漏れて……。

 

 

 

「取引の件は呑もう。だが、2億5000リルまでだ。それで、こちらへのメリットはなんだ?」

 

「……豪快な事前契約ですね。―――こちらとしては『<グラン・テゾーロ>直営店のドライフ皇国内での免税と支店舗としてドライフ皇国内の200件の不動産』で如何(いかが)でしょう?」

 

「んー…………。王国にある支店が潰れることを想定に入れると……安いな。安すぎる。免税する店舗を<グラン・テゾーロ>の下部組織が運営している支店も含めて貰おうか。そして、不動産の場所は半分で構わん。……構わんが、代わりにこちらで場所を指定する。なに、各店舗5、60坪ぐらいしか取らん」

 

 

提案に幾分かの沈黙の後、

 

 

「……………元より、こちらが不利で懇願する形の契約です、前者は構いません。ですが、後者に関しては場所を協議させて下さい。これが国として貴方方に譲歩出来る最大限です」

 

「マッチポンプの癖に譲歩とは心外な……だが、良いだろう――――――それと、今回の件だが、くれぐれも口外するなよ。もしも、バレたその時には……私とベヘモットらが敵に回ると思え」

 

「…………ええ、いいでしょう。こちらとしても【獣王】が居なくなるのは痛いです」

 

「シリアスな場面なのに、話が話なだけに締まらないねぇ……」

 

 

そうしてテゾーロは懈怠そうな雰囲気で立ち上がると、伸びを一つ噛ませてから、

 

 

「土地に関しては、後に使いの者を送る。金もな――――――商談は終わったぞ!戻ってこい!」

 

 

縦穴へと向かって叫んだ。

 

瞬間、テゾーロの傍へと瞬間移動で戻ってくる。

三人とも全員が、衣服や武具防具が所々破け、破砕し、血が滲んでいた。

 

それでも尚、荒れた髪を整えたバカラがお供に付き、タナカが先導してドアマンの役割を遂行する。唯一、恍惚とした表情のダイスをバカラが蹴り上げ、一行は皇宮を後にすることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、一部が瓦礫となった皇宮の中で、

 

 

 

 

 

「けほっ」

 

「こりゃあ随分と派手にやったねぇ」

 

「………………Im so sorry(ごめんね)………Seriously, I'm sorry(マジでゴメン).」

 

「私達に非があるとでも?大体、この場で戦っていいと言ったのは貴方達でしょうに」

 

「そうだけどぉ……ここまでとはねぇ。…………幾ら掛かりそう、これ?」

 

(テゾーロ)が<騎鋼戦争>時に寄付してくれた支援金の貯蓄を削らないと足りませんね」

 

「ンンッ!そんなにか……作業には、私のモンスターを貸し出すよ」

 

「…………助かります」

 

I……I'm(わ……わたし) off to hunt monsters too(もモンスター狩りに行ってくるよ)……!」

 

「何故です、ベヘモット?“最弱最悪”が金を出せば良いのでは?大体、あの<マジンギア>の爆発は<叡智の三角>製のものなんでしょう?彼が修理費を出せば―――――」

 

I'm() going to ...... already(うっ!さっさと行くよ)!!Hurry(急いで)Hurry(早く)!」

 

「ああ!?待って下さい!ベヘモット!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「揃いも揃ってバカじゃねぇのか……クマ?」

 

「腹立つから着ぐるみを着ていない時に言うな。いや、着ていても言うな。着ぐるみ程度ではこのイラつきは解消されん」




・《不退転、不動の巨人王(アトラス・ザ・マイン)
……ダイスの<エンブリオ>によるスキル。アクティブスキル。クールタイムはない。使用中【行動不能】の状態異常が付与され動けなくなる代わりに、ENDがスキルレベル×10倍で増加し、スキルレベル×1万の増設HPを獲得する。

・《汝、我が不徳を見破れるか(リング・オブ・ザ・ギュゲース)
……タナカの<エンブリオ>のスキル。アクティブスキル。クールタイムはないが、MPを使用しすることで障害物を透過して移動できるようになり、使用者も透明化する。恐ろしくMP効率が悪い。また、スキル発動中は通常の手段では察知できなくなる。物理的接触を行うと透明化状態は解除される。しかし、物体透過能力自体は継続される。デメリットとしては、物体の途中で透明化を解除したり、MPが切れたりすると、重複部分となる自分の肉体部分が()()()()()()()。初期のタナカは、MPが足らず全く以て活用できていなかったが、UBMの特典武具や【透王】のスキル、形態進化による新たなエンブリオのスキルにより克服した。これを利用した専用の戦闘方法があるとか、ないとか。

・《それは正しく運命のように(フォルトゥーナ)
……バカラの<エンブリオ>のスキル。アクティブスキル。対象を選択した上で、自らのLUC消費し、消費したLUC値に対応した幸運を発動する。あまりにもLUCが少ないと発動しない。また、パッシブ状態にして、常に幸運を呼び寄せることもできる。だが、消費したLUCは(下記するスキルを使用した場合を除いて)デスぺナしないと回復しない。

・《運命に後ろ髪は要らず(ローリング・フォーチュン)
……バカラの<エンブリオ>のスキル。パッシブスキル。本編では名前すら出ていない。バカラがレヴィアタンに触れた時のアレ。素手で触れた対象のLUCを100p/s(ポイント毎秒)で吸収する。このスキルによる減少値はLUCにおいてのみマイナスまで作用する。LUCがマイナスに振り切れた対象は、特殊状態異常【幸運女神の不幸烙印】状態となり、使用者を倒さない限り、回復することはない。但し、《それは正しく運命のように》の矛先が向いた場合は、そのマイナスポイントを回復させた上で。不幸な出来事が起こることとなる。
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