カスレアモンスターに転生した最強の俺は再び頂点を目指す! 作:サニキ リオ
「セット、カスレア。ミシカライズ!」
レイナによって俺は現実世界に召喚された。
俺が召喚されたのはアーバンロックにある訓練場だった。訓練場は石版管理局が運営している公共施設で、ミシカライザーならば誰でも使用可能だ。
ミシカライザー時代に持っていた自分専用の訓練場よりは狭いが、使える魔法を確認したりする分にはこの程度の施設で問題ないだろう。
「バニラ、これから一緒に特訓するわよ!」
「ニャン(別に構わない)」
むしろ訓練は願ったり叶ったりである。
「カスレアの特徴は特殊能力である〝光速詠唱〟だね。瞬時に光魔法の発動をできるこの特殊能力を使いこなせれば石版大戦でも戦況を有利に進めることができるかもしれないよ」
レイナに横にはアビィがおり、彼女の手にはスマホが握られている。どうやら俺を呼び出した理由は能力の確認をするためで間違いないようだ。
「それじゃ、まずバフ技を――」
「ニャニャ(〝グロウレイ〟)」
いちいちカスレアのデータを参照しながら出される指示を待っても効率が悪い。
俺はグロウレイをはじめとする使えるバフ魔法を一通り発動させていく。
「ちょっと、バニラ! まだ指示を出してないでしょ!」
すると、焦ったようにレイナがストップをかけてきた。それに構わずに次のバフを発動させていく。
「狩ろうとしたときも思ったけど、随分と癖の強いカスレアなんだね……」
そんな俺達の様子を見ていたアビィが深いため息をついた。
「二足歩行で歩いて、ミシカライザーの指示をここまで無視するなんて普通じゃないって」
アビィは困ったような表情を浮かべて俺に視線を向けてくる。
「普通にこれだけで記事をかけるレベルだよ」
「この前も珍しいカスレアだ、って言われましたよ」
それはそうだ。何せこのカスレアの肉体には神剋のミシカライザーであるケイム・ブライヤが宿っているのだから、世界一珍しいカスレアだろう。
「言うことを聞いてくれれば、完璧なんですけどね……」
「モンスターがミシカライザーの指示に従わない理由はいくつかあるんだけど」
ガックリと肩を落とすレイナに代わって、アビィが説明を始める。
「まず、本能に抗うレベルでミシカライザーを嫌っているケース」
「そんなにあたし嫌われてるのかなぁ……」
「ニャニャン(そういうわけじゃない)」
むしろ好きか嫌いかの部類でいえば、レイナは今後伸びる見込みのある好きなミシカライザーだ。ただ新米ミシカライザーの効率の悪い指示に付き合う気はないというだけだ。
俺が首を振ると、アビィは予想通りとばかりに頷いた。
「違うみたいだね……もう一つは、ミシカライザーの実力を認めていないケース」
「っ!」
心当たりがあるのか、レイナの体がピクンと跳ねた。
「この子はかなり石版大戦慣れしてるみたいだし、たぶん元々かなり強いミシカライザーの使役するモンスターだったんじゃないかな」
「ニャン、ニャーガ(さすがはアビィ、よくわかってんじゃん)」
驚いたことにアビィの考察は半分以上当たっていた。さすがは週刊ミシカライザーで記事を書いているライターだ。モンスターへの理解度も段違いだ。……俺への理解度じゃないという点は少々複雑ではあるが。
「どうやら正解だったみたいだね」
大きく頷く俺の様子を見て、アビィは苦笑していた。