カスレアモンスターに転生した最強の俺は再び頂点を目指す! 作:サニキ リオ
「じゃあ、バニラが言うことを聞いてくれるようになるには、あたしがミシカライザーとしてバニラが納得するような実力をつけるしかないってことですか」
「そうなるね」
「そう、ですか……」
レイナは石版大戦の経験こそ豊富だが、魔力不足が自信を失わせ指示にも迷いがあることが多い。土壇場で博打を打てるのは高評価だが、土壇場にしか力を発揮できないのでは意味がないのだ。
この見解はレイナにとって屈辱的なものだったようで、彼女は唇を強く噛み締めながら俯いてしまった。
「この子に実力を認めさせるとなると、公式大会に出場するのがてっとり早いんじゃないかな?」
空気を変えるためか、アビィは努めて明るい声を出しつつそう提案してきた。
「そうしたいのはやまやまなんですけど、あたしはまだマチョルとバニラしか使役していなくて……」
シニア部門の公式戦に出るには最低でもモンスターが三体必要だ。今のレイナには、公式戦に出場する権利すらないのである。
「大丈夫、私がついてる。一緒に戦力になりそうなモンスターを探しにいこ!」
「アビィさん……!」
少しだけ元気を取り戻したレイナが顔を上げる。
「大船に乗ったつもりで任せて。これでもあの神剋のミシカライザーからいろいろと教えてもらってたんだから」
「ケイム選手、裏では恋人に手取足取り教えてたんですね……」
「ああ、ごめん! 落ち込まないで!」
前途多難ではあるが、レイナには俺が従っても良いと思えるくらい適格な指示を出せるミシカライザーになってもらわないと困る。
期待しているミシカライザーだからといって、こちらが譲歩することはない。いや、期待しているからこそ、こちらが譲歩することはないのだ。そこはレイナが成長するべき部分だからである。
「おやおやぁ、この前のへっぽこミシカライザーと綺麗な姉ちゃんじゃねぇか」
突然、訓練場の扉が開いて見覚えのある男が入ってきた。
「チャガ……!」
煉獄のミシカライザーこと、チャガ・ソック。
最近の輝かしい功績とは裏腹に、素行の悪さで悪評ばかりが目立っている男である。
SNSでは、対戦相手への暴言やモンスターへの虐待疑惑などで定期的に炎上している。ある意味、煉獄のミシカライザーの名は伊達ではない。
レイナも嫌な相手に出会ってしまったと思ったのか、露骨に眉根を寄せていた。
「驚いたぜ。まさかお前があの神童レイナだとはなぁ」
「何が言いたいのよ」
「いや、同世代の憧れだった元神童様も堕ちたもんだと思ってよ」
チャガは嘲るように告げると、わざとらしく肩を竦めた。
「チャガ選手。ここはレイナと私が申請して使用している訓練場です。横入りはルール違反ですよ」
これ以上、レイナを傷つけさせないためか、アビィが毅然とした態度で二人の間に割って入る。
「ハッ、ルールなんざくだらねぇ。雑魚に貸し出すよか、俺みたいに未来の神剋のために施設を使わせた方が有意義ってもんだ」
「噂に勝る横暴っぷりだね……」
素行が悪いとは聞いていたが、想像以上である。さすがのアビィも呆れたようにため息をついている。
「……あんたが、未来の神剋ですって?」
割って入ったアビィの前に立つと、レイナはチャガを睨み付けて告げる。
「笑わせないでくれる。あんたなんかケイム選手の足下にも及ばないわ」