カスレアモンスターに転生した最強の俺は再び頂点を目指す! 作:サニキ リオ
虹の幻獣アルコバレアスは、古代セレスティア神話に登場するモンスターの一体だ。
古代セレスティア神話は、天空人と呼ばれる浮遊島に暮らす部族を率いた半神半人の青年アスマタ率いる人間と天空を支配していた神との戦いを描いた壮大な物語である。諸説はあるが、現代まで残っている神話の中では一部の地名が現代にも残っており、古代セレスティア神話の出来事は実際に起こったことなのではないかとまで言われている。
かつて神と人間の戦いは絶え間なく続いていたが、アスマタが霊峰アルカンシエルにてアルコバレアスを石版に封じてから戦況は大きく変わることとなる。
アルコバレアスは、古代セレスティア神話の中でも最強のモンスターの一角と言われており、アスマタの指示には忠実に従い、戦場では鮮やかな七色の魔法を使いこなして無敵の強さを誇ったと伝えられている。
虹はアルコバレアスの流した涙から生まれた、その身体から流れた血が固まってできた大地がセレスティア神域東方の浮遊列島を作った、吐息からは虹色の霧が発生して時空の流れを捻じ曲げることができる、という伝説もあるほどだ。
最終的にアルコバレアスは神々の総攻撃を受け、アスマタと共に霊峰アルカンシエルにてその生涯を終え、死後その肉体は霊峰の一部になったとされている。
アルコバレアス並びに彼を使役したアスマタは規格外の存在として描かれているが、アスマタが使役したときには既に規格外の力を持つモンスターとして描かれており、その出自やどうしてアスマタに従順に従っていたのかは不明である。
そう、ここから先は神話に綴られていない部分。モンスターとして過ごし、神化したことで垣間見た魂に刻まれた記憶と経験による推測だ。
アルコバレアスの正体、それは光の力を宿しただけの子猫カスレアだったのだ。
どんなに最強のモンスターであろうと弱いときはある。神話の中でアルコバレアスがアスマタに従っていたのも、神話に残らないか弱なモンスターだった時代にミシカライザーとモンスターが絆を育んでいたから、そう考えれば納得がいく。
「まさか、カスレアの神化先がアルコバレアスなんて予想外が過ぎるっての」
俺は久しぶりに取り戻した人間の肉体の感触を確かめながら呟く。
まったく、俺の使役するモンスター達は容赦がない。危うく封じられたまま自分自身に使役されるところだった。
「……マジでレイナには感謝しなくちゃな」
霊峰アルカンシエルに現れたアルコバレアスは、カスレアに転生した俺がレイナによって神化させてもらった姿だったのだ。
一時的に石版に封じられてはしまったが、なんとか魔力を振り絞り肉体を交換することに成功した。
今頃、あっちの俺は魔力が抜け落ちてカスレアになっていることだろう。
「これから大変だろうけど頑張れよ、俺」
過去の自分にエールを送りながら、かろうじて残っている虹色の霧を通って元の時代へと戻る。
カスレアに転生し、レイナの使役するモンスターとして生きた時間はかけがえのないものだった。その経験がなければ、俺は人でなしのクズのままだっただろう。
「さて、俺もこっちで頑張らないとな」
まずは死亡扱いになってるであろう自分の現状をなんとかしなくてはいけない。
その他にもアビィに連絡を取ったり、やるべきことは山積みだ。