ヒロアカ世界転生者掲示板 〜AFOぶん殴りツアー 転生者御一行様〜   作:黒酢大葉マヲ(真ヨ中マヲ)

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緑谷視点。スレタイっぽくないタイトルは誰かしらの視点になる予定。
うへ〜脳内エミュのキレが悪いよ〜…

因みにホシノと緑谷が出会ったのは、ホシノが先生と接触して原作知識を思い出すよりずっと前です。


緑谷出久:アウェイキング・オリジン

 

『トップヒーローは大抵、学生時から逸話を残してる』

 

以前かっちゃんが模試で雄英A判定を取った時に、得意げに話していた言葉が頭に浮かぶ。

 

なら僕の目の前で目をこれでもかと吊り上げて暴れるかっちゃんと、それを容易く組み伏せている小鳥遊さんは、どちらもトップヒーローたり得る器なんだろう。

 

目の前で繰り広げられる争いを眺めながら、ふとそんな事を考える。

 

「…火着いてるのはホシノちゃん(銃弾)と爆豪(火薬)だけど、一応緑谷(撃鉄)も原因だからね?」

 

「えぇっ…そ、そんなこと言われても困るよ…」

 

小さい頃からこの二人が争うのは日常茶飯事だし、そもそも僕がどうにかできることじゃないよ…

 

 

 

 

 

 

 ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな感じでHRは小鳥遊さんの勝利でつつがなく(?)幕を閉じ、終礼を終えた後は皆が連れ立ってゾロゾロと教室から出て行く。

 

(今朝の事件、ニュースサイトのトップだ)

 

帰り際にカラオケに行こうとするクラスメイト達を横目にスマホを触っていると、今朝の事件がまとめられている記事を発見した。

 

(早く帰ってノートにまとめないと…)

 

遭遇した事件に話題になったヒーロー、個性の面白い活用法なんかをひたすらに書き留めたノート。

 

かれこれ十三代目になるそれを仕舞おうと手を伸ばした手が、不意に空を切った。

 

「あっ」

 

「さっきはあのアホ毛女に邪魔されたが…話はまだ済んでねーぞデク」

 

視線を上げると、いつの間にか立っていたかっちゃんが片手でノートを弄んでいた。

 

「カツキなにそれ?」

 

「『将来の為のヒーロー分析』?くぅ〜マジか緑谷〜!」

 

続々と近づいてくるかっちゃんの友達。

 

「べ、別に良いじゃないか!返してよ!」

 

僕は慌てて立ち上がり、ノートを取り返そうと手を伸ばした。

 

その様子を鼻で笑ったかっちゃんは、奪ったノートをパラパラとめくりながらにこやかな笑みを浮かべた。

 

「なぁデク…お前があのアホ毛女に何吹き込まれたか知らねーが、調子乗ってんじゃねーぞ?」

 

細められた目から放たれる今にも人を殺しそうな視線が僕を射抜く。

 

「俺は雄英に進学するついでにアホ毛女に入試でこれでもかと差をつけてブッチぎるつもりなンだよ…つまり!お前みたいな無個性のグズに構ってるヒマはないワケよ」

 

僕の肩に乗せられた手が燻る。

 

「つーわけで一応さ、邪魔だから雄英受けるなナードくん」

 

「ああっ!」

 

ノートが爆破され、開いていた窓から外に投げ捨てられる。

 

 

 

 

「確〜保ぉぉおぉおお〜!」

 

その時。

 

声が落(・)ち(・)て(・)き(・)た(・)。

 

「よ〜いしょっと」

 

ゆったりとした声に似あわないザンッ!と言う鈍い音を立てて、小鳥遊さんは窓枠に勢いよく着地する。

 

その右手には、たった今放り捨てられたノートがしっかりと握られていた。

 

「たたた小鳥遊さん!?一体どこから!?」

 

「屋上。踏み外さなくて良かったよ〜」

 

「…屋上の金網って結構高かったような…しかもここ三階」

 

「いやーやってみるもんだねぇ…そんなことより」

 

小鳥遊さんは黒焦げになったノートを僕にそっと手渡すと、かっちゃんの方に視線を向ける。

 

「…チッ」

 

「ま、今更おじさんがとやかく言うことじゃないけど…簡単には負けてあげないよ」

 

「ハッ…せいぜい言ってろアホ毛女。その面ぶっ殺して俺が勝つ!」

 

そう吐き捨ててズンズンと遠ざかっていくかっちゃんを、友達が慌てて追いかける。

 

その後ろ姿を見送りながら、僕らは溜息を吐いた。

 

「やらかしたなぁ…まさか寝過ごしちゃったとは…」

 

苦い表情を浮かべた小鳥遊さんは肩を落とし、窓枠から飛び降りてとぼとぼと歩き出す。

 

「ノートが爆破されるまでに間に合ったらよかったんだけど…」

 

「いやいやそんな…!むしろ、昼寝を邪魔してごめんと言うか…」

 

「そんなの気にしなくていいよ〜おじさんがやってることはただのお節介だもの」

 

しょーがない、きりかえてこ〜、と小鳥遊さんはひらひらと手を振りながらドアに手をかける。

 

その制服の背中には、金網で擦ったような黒い跡がはっきりと付いていた。 

 

……

 

…やっぱり、確かめてみたい。

 

「っ…」

 

小鳥遊さんは、皆に世迷言と揶揄される僕の夢を否定しなかった。

 

それどころか純粋に応援してくれた。

基礎体力を作るためのランニングにもたまに付き合ってくれた。

 

でも。

 

僕の夢を…ヒーローを、小鳥遊さんはどう思っているのだろうか。

 

「小鳥遊さんは…無個性の僕でも、ヒーローになれると思う?」 

 

唇の端からポツリと零れ落ちた言葉。

 

「……」

 

扉を開けようとする動きが止まる。

 

「……」

 

全身を刺し貫くかのような冷たい沈黙。

 

小鳥遊さんはいくらか逡巡した後、ゆっくりと口を開いた。

 

「うへぇ〜それをおじさんに聞いちゃうのかぁ…その前に一度、なりたいものをちゃんと見てみたらどうかな〜?」

 

「っ!?」

 

思わず顔を上げる。

 

僕の視線が、淡く光る蒼い眼とぶつかった。

 

「緑谷くんはオールマイトに憧れてる。それは今も昔も変わらないと思うけど…今の緑谷くんが見てるのって、オールマイト(本物のヒーロー)じゃなくて公務員(職業としてのヒーロー)だったりしない?」

 

「っそれは…」

 

「人を助ける姿に憧れたなら、おじさんは警察官になった方が良いと思う…でも、緑谷くんがあくまでヒーローに拘るなら、どっちが本当に君の目指しているモノなのかちゃんと確かめたほうがいいよ」

 

「……」

 

押し黙ってしまった僕を見て、小鳥遊さんは再び前を向いた。

 

「無個性の人間に命を懸けるヒーローは務まらない…なんて世間では言われてるけど、おじさんはそうは思わないかな」

 

扉が音を立てて開かれる。

 

「だってあの公園の緑谷くんは…個性や免許が無くたって、あんなにもカッコいいヒーローだったんだよ?それに…」

 

これは受け売りだけど、と、小鳥遊さんの口調が誰かを真似るようなものに変化する。

 

「“困っている人がいたら見過ごせない……。”」

「“それが、ヒーローだよね。”」

 

バタン。

 

後ろ手に閉められる扉。見えなくなる双眸と小さな背中。

 

 

不意に記憶が蘇る。

 

…

 

 

 

 

「ひどいよかっちゃん…!」

 

震える体を動かして、僕はかっちゃんの前に立つ。

 

「泣いてるだろ…これ以上は…ぼ…ぼ、僕が許さゃなへぞ!」

 

後ろには、自分の腕を押さえて泣きながら蹲る男の子。

 

僕は溢れ出しそうになる涙を必死にこらえながら、せめてもの抵抗として拳を構えた。

 

「“無個性”のくせに…ヒーロー気取りかデク!!」

 

かっちゃんが手の中で爆発を打ち鳴らしたのを合図に、その隣にいる子たちが自分の個性を発動する。

 

翼を生やす個性、手を長く伸ばす個性…どれも凄くて

 

そして、僕には無い力だ。

 

「おりゃぁぁぁ!」

 

素早く飛びかかってくるかっちゃんが、右腕を大きく振りかぶる。

 

僕は襲いかかる衝撃に備えてぎゅっと目をつぶり、そして…

 

……………

 

………

 

…何も、来ない。

 

「…?」

 

不審に思いつつ、そっと目を開けてみる。

 

「なっ!?誰だお前!」

 

「うへ〜急にごめんねぇ…でも、流石にそれは見逃せないかな。」

 

「す、すごい…」

 

今にも振り抜かれようとするかっちゃんの拳が横から掴まれ、目の前でピタリと止められていた。

 

ピンク色の髪の毛を揺らす、僕よりも小さな女の子に。

 

 

 

 

…

 

「だから、小鳥遊さんは…」

 

僕の夢を…ヒーローになる夢を…ずっと。

 

誰もいなくなった教室の中で、僕は黒焦げのノートを強く抱えこむ。

 

炭化したページの端が、ポロポロと崩れ落ちた。

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