ヒロアカ世界転生者掲示板 〜AFOぶん殴りツアー 転生者御一行様〜   作:黒酢大葉マヲ(真ヨ中マヲ)

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なんか編集で見ると表示がおかしくなってたので投稿し直しました。
折角書いていただいたコメントやここすきが消えていたら本当に申し訳ないです…

少し短いですが続きをどうぞ。
ちな二人ともまだ小学六年生です


間話 吸血少女と血の悪魔 下

 

日が沈んだ。

 

微かなサイレンの音が混じる夜の空を、満月が星々の明かりを塗り潰しながら空高く登っていく。

 

ワシとヒミコは、そんな月を屋根の上から見上げておった。

 

「ド派手に物をぶっ壊すのは気分が良いのお〜!」

 

右腕に刺さったガラス片を取り除き、四肢を伸ばして身体を屋根を横たえる。

 

「やはりひと仕事終えたあとは月が綺麗じゃな!」

 

取るに足らぬ雑魚の星を光で踏み潰す満月…まさに今のワシじゃな!

 

「…それ、わざとやってるのです?」

 

「ベランダのガラスの事か?気づいたら割っておったわ!がははは!」

 

…何じゃ?何をそんな半目になっておる?

 

ワシは屋根に預けていた身体を起こし、ヒミコの方に向き直る。

 

「はぁ…もう知らないのです」

 

いつか絶対刺されるのです…どうせなら最初に私が刺してやるのです、とヒミコが意気込み、不意に会話が途切れた。

 

「…」

 

「…」

 

 

数巡の沈黙の後。

 

「…パワーちゃん」

 

おもむろにヒミコが口を開いた。

 

「普通の暮らしって…なんですか?」

 

「…道端の変な本でも齧ったか?もしやそれが原因で腹を下しておったのか?」

 

本を齧った人間は急によく分からん難しい事を話すと言うしの。

 

病院に連れて行った方が良かったかのお…と立ち上がるワシを再び座らせたヒミコは、視線を再び空へと向ける。

 

「違うのです。実は──」

 

 

 

 

 

 

「…ウヌの親は予想以上に頭が終わっておるのお」

 

まさかワシのヒミコに「笑うな」などと指図しておったとは…身の程を知らん馬鹿じゃ!ヒミコの血の味が落ちたらどうしてくれる!

 

「やはり叩いて…いや、いっそこじ開けて覗いてみるか?」

 

ワシが血でバールを作り上げると、ヒミコは首を横に振った。

 

「私には…パパやママの言う普通が分からないのです」

 

「私は普通に生きてるのです。…なのに笑うと怖がられて、血を吸うと怒られるのです。生きづらいのです」

 

「でもパワーちゃんは違うのです」

 

「私と同じように血を吸うのに…楽しそうなのです」

 

「だから教えて欲しいのです。きっと、パワーちゃんは私が分からない普通を知ってるはずなのです」

 

横顔に影を落としながら、ヒミコは何かを吐き出すように話す。

 

「私は…普通に生きないといけないのです」

 

「…」

 

ふむ。

 

正直ヒミコの言うことはあまりよく分からんかったが…普通?に生きるために、ヒミコの親が言う普通?とやらを教えて欲しいと。

 

しょうがないのお…

 

面倒じゃが…天才のワシが直々に教えてやろう!

 

「なにやら勘違いしてるようじゃが…『普通』とは、ワシのことじゃ!」

 

「…!?」

 

ヒミコが勢いよく顔を上げる。

 

ワシは脚に力をこめて跳び上がると、屋根の頂点に着地した。

 

「確かにこの世は馬鹿で阿呆で面倒じゃ!最強のワシも勝手に血を飲めば怒られるし、笑えば…笑って怒られた事はあんまりないが…まぁなんでもよい!とにかく不自由じゃ!どいつもこいつもワシに黙って従わんからのお〜!」

 

じゃが、それでも!

 

「それでも!パワーは一番最強じゃ!」

 

月光の下に、掲げた傷だらけの右手が晒される。

 

思えば、小さい頃からそうじゃった。

 

ワシに歯向かってきた雑魚を叩きのめした時。

お宝を探して崖から落ちた時。

街に降りてきた熊と喧嘩した時。

 

傷だらけになって帰ってくるワシの為に、冷凍庫には常に輸血パックが入っておった。

 

思えば、それがワシの普通なのじゃろう。

 

「ゆえにワシの『普通』はワシが決める!」

 

血濡れの姿を恐れられようと。

 

「ワシの普通を押し通せる場所を作る!」

 

ボコボコにした雑魚の親に何と言われようと。

 

「そこに無礼にも踏み込んだ愚か者は…ワシが全て叩きのめす!」

 

血を飲んどる時に見知らぬ輩に文句を言われようと。

 

何人にも揺るがせぬワシの『普通』は、確かにそこにあった。

 

…そう考えると、ワシの親は優秀じゃな!ヒミコの親も見倣うといい!

 

「それがワシの普通じゃ!…じゃからヒミコ」

 

ワシはヒミコを指差し、月を遮る様に立つ。

 

「ウヌが生きにくいと言うのなら…ワシがウヌが『普通』に生きられる場所を勝ち取ってやろう!なんせ、ウヌはとっくにワシのものじゃからな!」

 

月が作るワシの影の中で、ヒミコは目を見開く。

 

「それに、我慢やストレスは血を不味くするらしいからのお!がははぐえっ!?」

 

そしてヒミコに飛びつかれ、二人して屋根から転がり落ちた。

 

浮遊感。

 

回る視界。

 

後頭部への衝撃。

 

「…痛いのお」

 

「…痛いのです」

 

庭に倒れ伏す二人の頭上に広がる、蒼白く冷酷な月が支配する夜空。

 

そこに浮かぶ二つの星が、月の光に塗りつぶされまいと赤く輝いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒミコの血はワシのじゃ。他の誰にも渡すつもりなどないぞ?」

 

「…心配いらないのです」

 

「私は私の普通で生きるのです…でも、知らない人を傷つけちゃうとパワーちゃんと離れ離れになってしまうのです。それは嫌なのです」

 

「だから、パワーちゃんに頼るのです」

 

「パワーちゃんの作ってくれた場所で、カアイイパワーちゃんと一緒に生きれるなら…私は」

 

 

 

 

「…死んでも良いのです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数年後。

 

桜葉高校の一角で、真新しい保健室の扉を乱暴に開く一人の生徒の姿があった。

 

「ヒミコ!ワシを匿え!」

 

「保険委員の仕事中なのですが……どうしたのですか?」

 

「ケーネが…ケーネがワシを追いかけてくるのじゃ!…む!?そこにおる白髪の男は誰じゃ!」

 

「真人先生の個人的なお客さんらしいのです…パワーちゃんはまた宿題を忘れたのですか?」

 

「ワシに数学など必要な『パワー!やらなかったら頭突きだと言った筈だぞ!』っ!?もう来おったか…嫌じゃ!ウヌの頭突きはなんかこう…魂に響いてものすごく痛いのじゃあ〜!」

 

「なっ…待て!逃げるな!」

 

「ワシは逃げてない!気高い!美しい!」

 

二人分の足音がドタバタと通り過ぎて行く。

 

突然の襲撃は瞬く間に収束し、保健室の中に平穏が舞い戻った。

 

「…ここ(桜葉)はいつもこんな感じなのか?」

 

白髪の男が、隣にいる被身子に尋ねる。

 

「はい。カアイくて面白い子たちが沢山いるのです。」

 

「そうか…」

 

「真人先生はもうすぐ…そう言えば、お名前を聞くのを忘れてたのです」

 

「あぁ…俺は、」

 

 

 

 

 

 

「轟燈矢だ。真人()()に伝えておいてくれ」




転生者紹介その2
◯パワー
代々血に関連する個性が発現する家系に生まれた血の悪魔(人間)。
性格がパワーな状態で産まれた為に幼少期は色々と…それはもう色々と酷かったが、人格者の両親の弛まぬ努力と教育によって虚言癖の解消や最低限の分別を覚えさせる事に成功した。
その傲慢さも軽減されてこの程度ある程度軽減されている。
幼少期に個性による吸血衝動に悩まされなかったのも、やらかした所業に比べて周囲の見る目が思ったよりキツくならならなかったのも、全てはこの両親のおかげである。
実は従兄弟にとある原作登場キャラがいる。この人のせいでパワーは頑なに雄英に行きたがらない。

転生者だと自覚したのは中学二年の時。無論ヒミコと同じ学校である。
新入生と絡もうと突撃した際に、その中に混じっていた転生者の纏う濃厚な血の匂いに興味を持ち、接触した事で自覚。
原作知識を思い出した後は暫くヒミコにしがみついて離れなかった上、桜葉に入学するまでずっと闇堕ちを警戒し続けていた。

余談だが、その新入生の中に居た転生者は某495年モノの箱入り吸血鬼。
のちにヒミコと合わせて桜葉の赤い三連星(吸血ジェットストリームアタック小隊)などと呼ばれる人物である。
なんでもトガの中学最後の告白を止めるために入学したらしいが、パワーにしがみつかれて満面の笑みでホクホクしているトガの様子を見て、無駄足を嘆くと同時に安堵の溜息を吐いたとか。

なお、二人の身長はパワー:170cm、ヒミコ:157cmであるものとする
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