クロスアンジュ 天使と竜の輪舞~とあるノーマになった少年は 作:カオスサイン
「そっちにはいたか?」
「ううん全然見つからないよ…」
「クソ!一体何処ほっつき歩いてるんだ!」
事の真実を思い出した矢先にケイから此処<ノーマ・プレイズエクステイル>に仮保護されているノーマの少女、リセが何処にも姿が見当たらないという事態になり俺達も協力して彼女を捜索した…がしばらくしても見当たらなかった。
「…待てよ?…」
「どうしたのお兄ちゃん?」
「何だ義兄さん?」
俺はふと彼女が此処の団長であるルマノフス氏に呼び出されていた事を思い出した。
「いやさちょっと可笑しいと思ったんだけどさ…」
「どういう事だ?」
「?」
ケイとリンナは俺の疑問に首を傾げる。
「街の裏にこれだけのデカイビルを建ててノーマを仮保護する団体か…」
思えば此処は少しばかり可笑しいと思えた不審な点がいくつかあった。
ノーマの仮保護が目的ならば業務を誤魔化せばいいからわざわざ裏街を選ばずに表に堂々と建てれば良い筈なのだ。
ルマノフス氏はあえて目立つものをと言っていたがそれさえも何か引っ掛かるのだ。
考えれば考える程疑問が疑惑に変わっていくものばかりである。
ルマノフス氏も<ノーマ・プレイズエクステイル>もこれは何かあるな。
「もしかしたら彼女が危ないかもしれない!とにかく急ごう!」
「え?…それってもしかして!…」
「おいどういう事だよ!?…ああもう!」
リンナは訳が分からないという表情をしていたがすぐに俺の推測に気が付いたようだ。
一方のケイはまだ気が付いていない。
俺は凄く嫌な予感がして団長室へと急いで足を運んだ。
その頃、<ノーマ・プレイズエクステイル団長室>
「ヘッヘ!今回もイイ商品をありがたく頂きますぜ旦那」
「報酬はいつも通りやっておく」
そう、ルマノフスはこの団体を作り上げたのはノーマの少女仮保護を名目に隠れ蓑にして人身売買をする為だったのだ。
リセは彼に呼び出された後、背後から近付いてきていた人身売買の商人に殴られた上にクスリを打たれて眠らされていたのだ。
「しっかしボロいですねえ~人間扱いされてないノーマだからこそ足が付きにくいというものでっせ!旦那も考えましたな~!」
「それ以上は外部に漏れる可能性が…というのもないかこの部屋には私の許可無くば侵入は不可能だからながっははは!」
「やはりそういう事で正解だったか…悪いが話は全部聞かせてもらったぜ!」
「何!?貴様等が何故この部屋に入れる!」
「あの程度のトラップ如きでノーマとなって生きてきた俺を止められると思ったのかな?フッ!…大体今時身体検査もしないなんてザルだねえ」
一応念の為にと装備をいくつか持ってきておいて良かった。
途中で仕掛けられていたいくつものトラップをなんとかくぐり抜け会話を録音して団長室へと突入した。
「リセ!大丈夫か!?」
「ん…うう?…私一体どうしたの?…」
ケイは急いでリセを救出して呼びかけた。
丁度クスリの効果が切れたのか彼女はしばらくして目を覚ました。
「リセ良かった!…団長これは一体どういう事なんですか?」
「ルマノフス氏!それとそこのアンタ!貴方達の会話はきっちり録音させてもらったぜ!」
ケイはルマノフスに対し怒りを露わにする。
俺もすかさずフォローする。
「ぐっ!?…所詮はガキと思って舐めていたがバレてしまったからには此処から生きては帰さんよ!」
「お前等下がっているんだ」
ルマノフスは逆上し拳銃を持ち出してきたのでリンナ達を下がらせた。
「このガキがぁー!」
「まるで絵に描いた様な小悪党の芸当だな」
俺はルマノフスの持ち出した拳銃が撃ち放たれる前にサバイバルナイフで弾き飛ばした。
「!?く、来るな!」
ルマノフスは悪あがきを起こしてマナの障壁を展開してきたが…コイツアホなのか?
「俺がノーマだって事忘れてるな…これはケイがお前に騙された分!」
「ぎっ!?」
「コイツはリセの分!」
「ごっ!?」
「そしてこれはお前に今迄騙されて売られてしまったノーマ達の分だああー!」
「ぽげえ!?…」
俺はマナ障壁を突き破ってルマノフスを思いっ切り殴り飛ばした。
「ン!?そこ逃がすか!」
「ゲッ!?…」
俺がルマノフスを殴り飛ばしている最中にコッソリと人身売買商人が逃げ出そうとしていたのですぐさまナイフを彼の鼻に当たる寸前に投げ、それにビビった商人は失禁し気絶した。
「フー…」
事が終わった後俺はケイに真実を話した。
リセにも同席してもらっての上でだ。
「俺もいつまでもつまらない事で悩んでカリト義兄さんを困らせていたんだな…」
「ケイ…」
初めてケイが俺の事を名前で呼んでくれて嬉しかった。
「うんうん兄弟はやっぱりこうでなくちゃね!」
ルマノフスの悪行をようやく知ったリセも暗い表情をしていたがしばらくしたら踏ん切りがついていたようだ。
「お前等これからどうするんだ?」
アルゼナルに連れて行くのも良いと思ったのだがそれは却下した。
リセには今迄通りの日々を過ごして欲しいと思ったから。
「俺達はこの団体を続けていくつもりだ義兄さん」
「幸い新団長のおかげでまだ機能しているしねえ~!♪」
「あ、コラ!俺がいつ団長になるなんて言った?!」
「今決めたからね!」
「オイ!」
それにしてもこの二人仲がより一層良くなっていってるな。
もうお前等付き合えば良いんじゃないか?
「そうしよう!」
「うお!?」
リセが俺の考えを読んだのかそう言ってケイに腕を絡める。
「あ!?コラオイ、抱き着くな!おまっ…///」
ケイも満更ではなさそうでないようだがw
「そうか。俺はまだ帰れそうにないからしっかりやっていくんだぞ」
「分かっているさ。義兄さんも元気でな…」
「ああ!」
その後、俺が渡した情報をケイがリークしルマノフスと商人を含めた幹部等は逮捕された。
過去にこの男はノーマでない少女の人身売買にも関わっていたらしい。
世も末だな。
「OK!了解したすぐに来てくれ俺達も協力する!」
ケイ達と別れてすぐにタスクjから渡されていた端末を介して通信が入り、アンジュが今にも処刑されそうだという知らせを受けた。
やはりあちらは罠だったか!
タスクの迎えに早々俺達はミスルギ皇国へと向かった。