クロスアンジュ 天使と竜の輪舞~とあるノーマになった少年は 作:カオスサイン
アルゼナル「医務室」
「はーあ~こんなに真っ赤に腫れ上がっちゃってぇ~ジュクジュクになってるじゃない~」
「ッ~痛ぁっ!?」
「痛い?痛い?痛いよねえ!」
「酒臭いよマギー・・」
「てっ!?ゴメンねえ~」
自身の腕を治療しているアルゼナル軍医であるマギーのちょっとしたおふざけにジルは制裁を下す。
「ジャスミン、そっちはどうなの?」
「外側のボルトが全部イカレちまってる。ミスルギ皇国製の奴に替えとくからちょっと値が張るがね」
アルゼナルの唯一の市場「ジャスミン・モール」の店主のジャスミンがジルの義手の修理も担当しておりその結果を伝える。
「指令部にツケとくよ」
「ひっひ!毎度あり!だけどもうちょいデリケートに使って欲しいものだねえ・・そいつはアンタ程頑丈に出来ちゃあいないんだ」
「いつも悪いね。じゃじゃ馬が暴れてさ」
ジャスミンの注意に申し訳なさそうにジルは言う。
「例の皇女殿下かい?」
「いいのかねえ?・・第一中隊なんかにブッ込んじゃってさ」
「初の男のノーマもいるんだ。
それでも駄目なら死ぬだけだ」
「そういうもんかねえ?・・」
ジルは不敵に笑いそう言い放つだけだった。
アルゼナル「訓練場」
「パラメイルデストロイヤーモード起動!シュミレーター起動!
フリーダムチャンバー、チャージ完了!」
「フリーダムチャンバーチャージコンプリート!」
「アレスティングギアリリース!」
「あ・・アレスティングギアリリースコンプリート!」
俺が訓練場に着くと既に訓練は開始されていた。
「悪い、遅くなった」
「早くこっちにきなさい説明するから」
サリアさんに促され空いているマシンに座る。
「コイツに搭乗り込んでドラゴンと戦えって訳か・・」
「そう、パラメイル。私達ノーマの棺桶よ」
「パラメイルか・・縁起でも無い事はあんまり言わない方が良いぞ・・」
「こっちがメインスロットルでこっちが・・」
「って聞いてないし!」
俺の呟きはサリアさんの説明に掻き消された。
「何をさせようというのですか?この私に・・」
そして元皇女さまはサリアさんの棺桶発言を気に出来ない程混乱しているようだった。
「最初から出来るなんて思ってない。
後は飛ぶ感覚を体に叩き込んで」
「善処するよ」
「リクエストリフトオフ!アンジュ機、カリト機ゴーフォールド!ミッション07スタート!」
サリアさんの号令で俺達の景色が一変する。
「うお!?」
「うきゃああー!?」
俺はちょっとだけ驚き、皇女さまは凄くみっともない素っ頓狂な叫び声を上げている。
「クッ!?シュミレーターでこれだけのGがかかるのかよ!?・・」
「な、何なのですかコレはああー!?・・」
たかがシュミレーターと侮っていた俺はまさかのGの負荷に驚き、手を離しそうになったがなんとか耐える。
一方の皇女さまは悲痛の声を上げ、操縦桿を手離してしまう。
「アンジュ、操縦桿から手を離さない!上昇!そして旋回!
カリトもちゃんと前を見て!実践はこんなもんじゃないわよ!」
サリアさんの更なる号令により機体の動きが変わる。
必死についていこうと俺は踏ん張る。
正に気を一瞬失いそうになりそうだ・・。
「最後に急降下訓練に移る。降下開始!」
「ぐううう!?こ・・これは!・・」
「ひゃああああー!?」
急降下によって急激にGの負荷が上昇していく。
「急いで!地面に激突してしまうわよ!
機器を上げて!」
サリアは万が一の時の為に緊急停止ボタンに手を伸ばしておいたがその心配は無為に終わる。
「ふぬううう!こうかあー?!」
俺は急いで態勢を立て直しほぼ感覚といっていい操縦でほぼ墜落寸前というギリギリ地点までで停止する事が出来た。
「あ・・危なかった・・」
シュミレーターだから大怪我はしないと思う俺だったがホッと一息ついた。
そして一方の皇女さまはというと
「この感じ・・これは!・・やっぱりこの感覚は・・エアリア!ならはあああー!」
どうやら自身が最も好んでやっていたスポーツのやり方に似ていたようですぐに機体を立て直し、遥か上空で停止したのを俺も確認した。
「何なの・・この子達は・・」
サリアは初めてのはずの二人のシュミレーション結果に驚愕の意を隠せない。
「キャア!?」
既に一度訓練を行っている筈の後の新人の二人は機体制御すらままならずに吹き飛ばされたりしているというのに。
「ほう・・いやはや中々に良い筋をしているようじゃないか!」
「隊長!」
訓練を終えたと同時に丁度遠距離砲撃演習も終わったのか隊長さんが現れ俺達のシュミレーション結果を一目見通して素直な評価を下してきたのだった。
ほんとすいません、私用でここまでです。
まさか中編が二話になろうとは・・