クロスアンジュ 天使と竜の輪舞~とあるノーマになった少年は 作:カオスサイン
浴場にて
「いやあー、大したもんだな皇女殿下と不霊は。
初めてのシュミレーターで漏らさないなんてなあ!
なあ、ロザリー?」
「!い、いえ私の初めてはそのですね・・」
ゾーラの質問とは裏腹に全く見当違いの返答をするロザリー。
「気に入ったみたいねあの子と彼・・」
ロザリーのかわりに返答するヒルダ。
「ああ、悪くない」
「ねえねえ、サリア~アンジュとカリトって何?超面白いんだけど~!」
「・・」
ヴィヴィアンにそう質問され一番端側でシャワーを浴びているアンジュと今は勿論この場にはいないカリトの事をサリアは思案する。
アンジュの操縦適正は勿論の事、突如出てきた初の男性ノーマそれも生まれつきでなく突然というカリトとは一体・・
「・・今はそう・・凄いの一言しか言えないわね」
今はそう返答する事しか彼女には出来なかった。
それから数時間後
「ふうー・・」
皆が上がってから俺一人シャワーを浴びてスッキリさせた。
「カリト」
「ん?ああ、副長なんでしょうか?」
俺が浴場から出るとサリアさんがやってきて言う。
「貴方の部屋に案内するわ」
「ああ、そうだったな」
そう言われたので案内してもらう。
「それとこれで最低限必要な物資は揃う筈だから」
「ああ、ありがとうな」
そう言ってサリアさんは金と部屋の鍵を俺に手渡してきた。
「それと起床は明朝五時だから」
「OK・・」
ちょっとキツイ時間帯だったりするが善処しよう。
数日後 指令室
「例の新人達ですが基礎体力、反射神経、近接対応能力、更に戦術論のリタイヤ全てにおいて平均値を上回っております」
エマがここ数日間で行ったアンジュとカリトの各技能テストの結果をジルに報告していた。
「優秀じゃないか」
「ノーマの中ではですが」
「はは」
エマの皮肉にジルは苦笑いを返し、エマは敬礼し別れた。
一方ジルは格納庫に足を運んでいた。
「「パラメイル」の操縦適性・・特筆すべきものがある・・ならば・・」
そういう彼女の前には二機のパラメイルがあった。
その頃、食堂にて
「わあー!」
「またとっとくの?」
「ん?」
俺は未だに名前は知らないがここ数日此処での生活でよく見知った顔ぶれと会った。
「たかがプリンでお子様だなあ~」
「もうお姉さんぶらないでよ~あ、カリトさんにアンジュさんじゃないですか!」
俺と隣に座っていた皇女さまの姿を見つけた二人はこっちにこようとする。
「はあ・・」
「おや?これはこれは歌姫さま。あらあ~?あんなに何でも出来ちゃうお方が好き嫌いぃ~?」
「よくないねえ、しっかり食べないといざっていう時に戦えないよぉ?」
「・・よく食べられますわよね・・」
「あらあら、イタ姫さまのお口には合いませんでしたかあ?」
向こうからヒルダさん達がやってきて皇女さまに散々言う。
こ、これはちょっとヤバイかもな・・
「?」
「ああ、そういうことね」
俺はジェスチャーをして今はこのテーブルに座るのは不味いと教えようとする。
人はどういう事なのか分からなかったようだがもう一人の方が察してくれたのかその場に止めた。
「~・・お高くとまってんじゃねえよ!」
皇女さまのその発言と態度にキレたロザリーさんが彼女に水をぶっかけようとしたが彼女の反応速度の前には容易く避けられる。
「テメエ!」
そして皇女さまの胸倉を掴み言いたい事を言おうとしたロザリーさんだったが
「やめなロザリー」
「~・・わ、分かったよ!・・」
ヒルダさんに止められ断念するロザリーさん。
そしてヒルダさんは言葉を続ける。
「イタ姫さま一つ忠告しておくわ。
此処はもうアンタのいた世界じゃない。早く順応しないと・・死ぬわよ」
ヒルダさんが皇女さまにキツイ一言を言う。
「・・」
それでも皇女さまは完全に無視し席を離れた。
「あ、あの!よかったらコレどうぞ!」
離れていく皇女さまに藍髪の新人の子は何かを渡しにいっていた。
そして俺の元へと二人やってくる。
「えっと・・」
「あ、私はミランダ。んでこっちの子はココですよろしく!」
「あ、新人同士これからよろしくお願いします!」
「ああ、カリトだ。こちらこそこれからよろしくな二人共!」
緑髪の子ミランダちゃん、藍色の髪の子ココちゃんが自己紹介してきたので俺もする。
「は、はい!」
「それで・・さっきはあの皇女さまには何を言ってたんだ?」
俺は気になった質問をココちゃんにする。
「私の大好物のプリンを是非アンジュ様には食べてもらいたくて!」
「ぷ、プリン?」
「この子、アンジュにベタ惚れのようでさ」
「ああ・・」
可愛そうに・・この子の精一杯の気持ちを今の皇女さまでは分からないだろうな・・。
だけど楽しそうに話すココちゃん達の様子を見て俺はふと思い出す。
「どうしたんですか?」
俺の様子を心配したのかココちゃんが聞いてくる。
「ん?ああ、向こうの家族の事を思い出しててな」
「家族・・ですか?」
「ああそうだよ。姉と妹と一つ下の弟がいたんだ・・」
「ああ、すみません!思い出させてしまって」
「ああ、いいよいいよ。ココちゃんを見てたら妹のリンナみたいだなって思ったし」
ココちゃんは慌てて謝ってきたが俺は気にせずそう言った。
「い、妹みたですか?///
・・でも良いなあ・・家族かあ・・私達は物心付く前から此処にいたからお母さんやお父さんの顔を全然知らないし・・」
ココちゃんはそんな事を言ってくる。
そう、ココちゃん達を含め半分近くのノーマは赤ん坊の頃から此処に連れてこられ兵器として育てられてきたようなのだ。
「ならココ、お願いしてみたらどうだ?」
「え?」
ミランダちゃんがココちゃんを引き寄せヒソヒソ話をする。
「えー!?」
ミランダちゃんの提案を聞いてココちゃんの顔は少し赤くなる。
「ほら!」
「も・・もう!ミランダったら・・そ、そのカリトさん」
「何だ?」
ココちゃんがモジモジし俺にこう聞いてきた。
「あの、私達カリトさんの事・・お兄さんと呼んでもいいですか?」
「はい?」
ココちゃんの告白に俺は目を丸くした。
「・・駄目ですか?」
「お兄さん?」
ココちゃんそしてミランダちゃんまでもが潤んだ眼差しで俺を見てくる。
そ、それは卑怯だって!
「・・ああ、いいぜ!」
「ホントですか!?やったあー!」
俺の返答を聞いて嬉しくて飛び上がる二人。
俺の事もこの二人は慕ってくれているのか。
俺はその事に感動して涙を流しそうになりこらえる。
だけどこの後、あの様な事態が起こるなど予想だにしていなかった。