よろしくお願いします。
無事に受肉が行われ、悠仁は声を上げた。
「にーちゃん!!」
「失礼だが、どなただろうか」
「えーひどい! 俺末っ子! にーちゃんの父親の呪詛師が最後に作った子供で、虎杖 悠仁っていうんだ」
「何!?」
「よろしくな、にーちゃん達!」
ペカー。笑顔を向けられ、三兄弟は戸惑った。
とはいえ、監視体制がしっかりしている事はわかる。
デスノートもあるし、逆らえる環境ではない。
「まあ、引受先があるなら良い事じゃないかな。それも正規の術師ならね。よろしく、悠仁。私は壊相」
「血塗だ! 弟者は兄者を敬うんだぞ!」
「お、俺は脹相だ。ということは、俺達は虎杖になるのか?」
「今協議してるー」
虎杖 悠仁。ついに兄と感動の対面である。とはいえ、素直に虎杖兄弟、というわけにはいかず。
「協議?」
「五条先生、デスノ持ってるだろ。それで、特級の乙骨先輩、加茂家の俺とにーちゃん達、禪院家の伏黒に過去の術師達だろ。強くて御三家の血を引いてる奴根こそぎ五条家預かりはまずいだろって。話し合いの結果によっては、伏黒は禪院家に、俺とにーちゃんは加茂家に預ける? 戻る? かもしれないんだって。とりあえず、伏黒のねーちゃんと婚約する事になったし、俺、げきどーのじんせーの只中ってやつ? 五条家としても、俺らがそれぞれの家に入る事で家同士の仲が良くなって良い事なんだって。せんせーは恐怖政治する気もないって」
「そうなのか……」
「加茂先輩、すげー良い人なの! 教え方も上手いしさ! だから安心して!」
「そうか」
「部屋を案内するな! 三人部屋がいい? 1人部屋がいい?」
「三人部屋だ」
「兄さん、私はプライベートが欲しい」
「俺も」
そんな和やかな会話に、部屋の隅で見ていた私達は胸を撫で下ろす。
「うまくやってけそうだね。外見の問題はあるけど」
「三人ともいい子だって言ったでしょ」
そうして、虎杖くんが駆け寄ってきて紹介をしてくれる。
うん、虎杖くんは大丈夫そう。
心配だったんだ。
あ、虎杖くんと津美紀さんの結婚はガッチガチの政略婚である。
宿儺と万の結婚なのだ、要は。
伏黒くんが大喜びでやばい。彼も大丈夫。
野薔薇ちゃんも大丈夫。
私だって、勉強は無事追いついた。やってける。
心配するものは何もなかった。
だけど、何故だろう。胸がざわめくのは。
爽やかな朝!
今日はデートだ!!
私はウッキウキで準備をする。
五条先生は、私の作ったパンフレットを見て戸惑っていた。
「20:31に渋谷で会いましょう!」
「だいぶ夜からだね!? 細かっ」
「その後、東京メトロ渋谷駅 B5F副都心線ホームに21:15に向かいまして」
「その間に44分っている?」
「マウントを取ります」
「は?」
「偽教祖様が五条先生を封印する計画がその日その時間だったんですよ。幸せそうで元気そうな五条先生を見せる事で死後の偽教祖様にザマアするんですね。かぼちゃアイス食べて楽しそうにしてる写真を撮りましょう」
「珍しく根にもつね……」
「五条先生と会えたのは嬉しいけど、それはそれ、これはこれです」
「仮装は神父とシスターにしましょう! やー楽しみぃ!」
「僕も仮装するのか……。その後は?」
「帰りますが?」
「映画とかウィンドウショッピングとか」
「時間的にしまってるし……」
「やるのザマァだけ?」
「一番大事じゃないですか!」
「はぁ、じゃあ夜の予定はそうするとして、昼も何か買ってあげるよ。新生活始めるんだし、色々入り用でしょ」
「わーい!」
私は承認されたパンフレットを野薔薇ちゃんに見せに行く。
「ウッソ、そんな夜から会うの!? あのエロ教師!」
と言いながらパンフレットを見て、野薔薇ちゃんも思考停止した模様。
「何これ。駅の構内で写真撮って帰るだけ?」
「偽教祖様がその日その時間その場所に五条先生を封印する予定だったんで、目一杯幸せな様子を写真に撮ってザマァしようかと」
「ハァァァァァ。ほんっとバカね、月は。そこがいいんだけど。で、ザマァだけして帰るの?」
「うん。あっでも五条先生が、しょうがないからお昼に何か買ってくれるって! 新生活に必要なやつ!」
「そ。最後なんだから、ザマァ私も連れてってよ。昼は邪魔しないからさ。マウント取りなら私の右に出るものはいないわよ」
「さすがです! 皆で羂索を煽りましょう!」
「言ったわね。伏黒、虎杖ぃ! ハロウィンデートついてきていいって〜!」
「やったーみんなで仮装しようぜ!」
「仕方ねぇな。ここにこんな事もあろうかと用意した衣装があるんだが……」
結局お昼も皆で出かけました。
19時。渋谷着。
渋谷でコスプレをしている人を楽しげに見守る。
いろんなコスプレがあるなぁ。
皆でお買い物などして、楽しむ。
20:31。五条先生が現れた。
「きゃー格好いい!」
「先生って何着ても似合うわよね」
デートだからいいよね! 思いっきり五条先生の腕に縋り付く。
それから、しばらく時間を潰し、アイスを買って駅構内へ。
駅構内で、私の興奮は有頂天になった。
それを皆が呆れ顔で見守ってくれる。
21:15。
写真をパシャリ。
その写真には、神父様と一緒に教祖様が写っていた。
突然のホラー!!!
五条先生はスマホをバッと私の手から取り上げて見て、驚愕の表情。
半透明の傑が、そこに立っていた。
「悟。悟、聞こえるかい?」
「傑っ!!」
「良かった」
「お前、どうして……」
「呪術師の奇跡は、ハロウィンに起こるのさ。いいかい、悟。デスノートを使ってはいけないよ」
「使うつもりもないけど。どうして?」
「あれを使った人間は天国にも地獄にも行けない。完全な無となる」
「死後なんてあんのぉ?」
「うん。私は、君ともう一度会いたい。だから、お願いだ。デスノートを使わないで欲しい。疑うなら月に確認してもいい」
「お前を疑うなんてしねーよ」
傑は、驚いた顔をして、笑った。
「クリスマスには早いけど、親友の君だけに私からの贈り物だよ」
傑が手を差し伸べて、光の奔流が爆発した。
「あっ やばっ」
やばって何? それから、僕の頭に存在しない記憶が溢れた。
「きゃあああああああああああ!!!!」
上がる悲鳴に私はビクッとする。
頭に存在しない記憶が溢れる。私は、受肉して、目覚めて、死滅回遊に召集されて、逃げて、逃げて。
思考が混乱してる。そうだ、私、追われてるんだった。羂索から逃げなきゃ、術式、術式を使って。
「傑ぅぅぅぅぅぅ!!!!」
固まっていた五条先生が叫んで、ビクッとして意識が戻される。そうだ、私は受肉なんてしていない。今の存在しない記憶は一体……。
「悟、ごめんっ まあ、いつまでも待ってるから楽しんでおいでよ」
「本当おまっ 一回説教するからな! それぐらいの権利はあるだろ!」
五条先生は、慌ててパニックを起こす群衆の中、混乱する私達を保護して安全な場所へと放り出し、伊地知さん達に指示を出しに慌てて出て行ったのだった。
「最後までバタバタだったね。じゃあ、皆、元気でね」
「えっ この流れでやめるとかいうわけ?」
「忙しくなるし、あんまり会えない、会わないつもりかな」
「月……。お前、俺たちと縁切るつもりかよ」
呆然と伏黒くんが呟く。
「未練が残ったり勘違いするといけないからね。それに、私が目指す職業って、友達や恋人作れないし」
「何が勘違いだよ。お前はずっと仲間で友達だ。目指す職業ってなんだよ」
「ありがと。でもみんな、なんだかんだ名家の子でしょ。家柄も実力も一般人とは世界が違うんだよ。私も違う世界に行くしねー」
「違う世界ってなんだよ」
「アイドル」
「「「は?」」」
「スカウトされてたんだ。だから、興味があって。曲も入学前に用意してて。芸名も決めてるの。弥 海砂。これからはミサミサなの!」
三人は絶句する。
「イケメンにいっぱい会えるよ! 私の天職だと思わない? 天職だよ!」
三人は、なんとも言えない顔をした。
「あーもう! 応援しないわけにはいかないじゃない! 羨ましいな! 悔しいけど可愛いし、ミサミサ!」
「頑張れよ、ミサミサ。応援してる。応援してるけど……寂しいな」
「……俺は。俺は、五条先生みたいに、素直に祝福できない。なんつーか、変な未来予知して、記憶がまだぐちゃぐちゃで、頭ん中ぐちゃぐちゃで、でも……でも。俺が今幸せなのは、お前のおかげなんだと思う。だから……幸せにならないと、呪うから」
「……ありがと。じゃあね」
私は、精一杯の想いを込めて、別れの挨拶をした。
後から知ったが、日本人全体が、今年の12月24日までの並行世界の記憶を得たらしい。その記憶の分かれ道は、私が受肉されそうになった日。
流石にこの責任は私にないと思いたい。
「さーて、アイドル活動、頑張るぞー⭐︎」
原作のミサミサみたいないい女になって、さいっこうの男に騙される。
これが今度の私の目標だ。
マシュマロ
https://marshmallow-qa.com/lucaluca
今度からマシュマロ返信していくことにしたので、よろしくお願いします!
返信不要の場合は返信不要と書いておいてください。
こっそりな感想はこちら
https://odaibako.net/u/karin2022v
リクエスト、返信不要の匿名感想はこちらにお願いします。
これが最終話ですが、ラスト、二話ほど蛇足があります。
それと、不快な発言を心よりお詫びします。
該当箇所は消しておきました。ほんのジョークのつもりでしたが、心無いことを言うべきではなかったです。
申し訳ありませんでした。