「何か覚えてないのか。悟」
「全然。今から思えば、操られてたかも。廃墟には自分で行ったんだけど、どうしてだったか覚えてない」
憔悴した様子で五条は話す。
「そうか……。対策は打てそうか」
「わからない。気配さえ感じなかった。これだけの呪術、絶対代償や縛りがあると思うけど、見当もつかない」
「なんとしても犯人を捕まえないとな」
「それだけど。傑に条件を達成させるのはダメかな」
流石の五条悟も、戸惑いがちに提案した。
それをするのに、どれほどの犠牲が出るかわからない。
「悟」
「条件を達成させた上で、失敗したふりをさせて接触を待つんだ」
「無理だ。お前を庇ってあんなことになったんだ。気持ちはわかるが、千人もの人を術師にすれば、人の口に戸は建てられない。相手が上手だったんだ」
「……」
「ただ、例の物とやらを悟の元に行くように協力はしよう。傑が絶対服従の縛りを達成できなければお前は死ぬんだからな。呪詛師がそれを狙って傑に無理難題を強いる可能性は高い。しかし、本当にヒントはないか」
その言葉に、五条悟は迷ったように口を開いた。
「……相手。非術師かも。少なくとも呪具使い」
「は?」
「一つは、僕が全く感知できなかったのがおかしい。しかも、今回の事件が初出。もう一つは、単純に目的だね。日本全体に術師になる術式を使わせることで、術師になりたいんじゃない? 最後の一つとして、僕と完全に敵対しておきながら解放したこと。僕のこと舐めてるんだよね。特級術師と特級呪詛師に同時に喧嘩を売って余裕まで見せる。術師でそれはない。例のものってのも気になるし。ただ、それならどうやって情報を調べたって話になるけど。僕の事はもちろん、敵対してても傑に取って僕が人質になるって知ってる人間だよ? 業界の人以外にあり得ないと思うんだけど」
「なるほど……一般人が特級呪具を手に入れたという線か」
「傑と一回話したい。どうにかならない?」
「そうだな。やってみよう」
いくつもの縛りを結んだ上で、傑との会談は成立した。
傑は笑顔を作っていたが、作り笑顔だということはわかった。
「傑」
「ああ、気に病むなよ、悟。むしろ、私は手っ取り早く術師だけの世界を作る方法を教えてもらって感謝しているんだ! これは私の大義に沿うことだ。だから従ったまで。君とは今後も敵対関係だから、そこを勘違いしないように……」
「傑」
僕は、傑をハグした。ぎゅうっと力を込める。
「ありがとう」
「最強の君が!! 心配させるな!!! 世界が崩れる心地だった!」
「ごめんな」
ぎゅうっと抱きしめ返す。
そして、夏油はグッと腕を伸ばして五条を離す。
「私は君を捨てたくせに、君の助命嘆願に家族を差し出したんだ」
「うん」
「あいつが再度君を盾に要求を突きつけないとも限らないのに」
「うん」
「そもそも、狙われていたのは私だった。巻き込んだのは私だ」
「俺が傑の弱みになった。すげーごめん。悔しいし、絶対犯人は祓う。でも、傑が庇ってくれて、すごく嬉しいよ。助かった」
「悟!」
「今度は、俺に助けさせてよ。それに、俺の手で俺達を舐めた報復をさせてほしい」
「君の助けなんて必要ない。これは私の喧嘩だ。私の大義だ。絶対になんとかするから、待っててくれ。私も絶対服従は嫌だからね。条件は達成する。真人に沢山の犠牲者を出させて育ててから取り込むし、天元も襲う。それで、日本中の非術師を術師にする」
「傑。この件は俺の命も掛かってる。無関係なんて言わせない。俺の為にあんな条件を飲むんだ。俺とも縛りを結べるだろ」
用意された用紙に書かれた内容に、傑は息を呑んだ。
「私に今さら帰れって? あんな、大量に殺しておいて、百鬼夜行をしておいて」
「そりゃそうだけどさ。僕を助けた功績でチャラかなって。それに、悔しいけど今度の敵をどうにかするんだったら、傑の協力が必要だ」
「何を馬鹿な……。それに私は、非術師が猿に見えるし、非術師と接して生きられないし」
「非術師いなくなるじゃん」
「私には家族が」
「丸ごと受け入れる。傑の為に命を差し出してくれたんだろ。傑がこっちに来るならついてきてくれるんじゃない?」
「けど、悟……!!」
悟が自分の為にどれほど無理をしたのか、想像もつかない。
たとえ自分に行動制限を科す縛りがいくつも入っていたとしても、宣戦布告をしたのはつい先日のこと。
「俺を助けてくれよ、傑。それができるのはお前だけだろ」
それがトドメだった。
「私を……助けてくれ、悟。ごめん。ごめん。あの時も、ごめん……!」
「お前に何があったか、全部話してもらう」
そうして、卑劣で不気味な犯行の手口が呪術界にもたらされた。
「洗脳して行動を操って、殺して生き返らす術式……めちゃくちゃだね」
「確実に死んでたんだ。それは確かだ」
そこで伊地知が恐る恐る手を挙げる。
「とりあえず、引き伸ばし作戦を考えたのですが……。真人さんの術式とやらで、非術師を術師にできるんですよね?」
「多分ね」
「じゃあそれ、こっちで選定して、1001人を術師にしてしまっても条件を達成できるのでは? それでテレビ放送で達成しましたと言えば、何かしらアクションをしてくるんじゃあ」
「でもそれだと逆上しない? 術式が欲しくてこんな大事件を起こしたかもしれないんだし」
「逆上したら、1001人が容疑者から外れます」
「それもそうだね……。あとは、天元様に協力していただけないか聞いて、一つの町を結界で覆って、術式が欲しければそこの街に行ってもらうってのも、容疑者が限定できるね」
「どのみち、真人が見つからないとどうにもできません。じっくり計画を練りましょう」
そういうことで、作戦を練る事になったのだった。
夏油 傑:どさくさに紛れて縛りの内容に一緒の時間を取る事とか入ってる。それも決め手の一つだった。寂しい思いをさせてごめん。でも文面は精査しようか。尚、絶対服従に値する文言は別に仕込んである。総監部が納得する程度にはガッチガチ。
五条 悟:頑張った。負けちゃうかもだけど、とりあえず親友は戻ってきたしいいかな。それはそれとして犯人は祓う。
夜神 月:まだかなまだかなー。術式まだかなー。あっ 6月ごろにヒントをあげよう! 順平の情報とか!
マシュマロ
https://marshmallow-qa.com/lucaluca
今度からマシュマロ返信していくことにしたので、よろしくお願いします!
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