「あっはっは! これは獲物を奪われてしまったかな」
額に傷のある女性は笑う。
夏油傑は、五条悟の監視下、いや、庇護下となってしまった。
「しかし、面白い。君は明らかに私の計画も知って、横取りするつもりだね。呪術界に五条悟、夏油傑一派、そして私。全方位に喧嘩を売っているわけだ。しかも五条悟を一度は捉えておきながら、解放するおまけつき!」
ケタケタ。ケタケタ。女性はそれはもう楽しそうに笑う。
「君は術師なのかな。非術師なのかな。無知ゆえの豪胆な動きなら面白いけど……知っているがゆえの豪胆な動きというのなら、なお面白い」
「しかし甘いなぁ。私だったら同じ事ができるならもっと面白い事をやってみせる。あの条件も穴だらけだね」
「欲しいなぁ。呪具でも術式でも。欲しい。興味あるよ!」
ふふふふ、と女性は声を弾ませる。
「まさか、五条くんを誘拐なんてできる存在が現れるとはね。興味深いよ」
「全て呪術師の世界か……それもアプローチ方法の一つではあるね」
「まあ、犯人の目的はたんに術式が欲しい一心かもしれないけど、術式を持たない非術師ならそれはそれで凄いよ。呪具を使っていたとしても偉業だよ。あの五条くんを捉えるのは、そういうことだ」
「私も是非ご挨拶させて欲しいね」
「どうやら、私をご指名のようだね。私も犯人に興味があるよ」
メカ丸は体を縮こまらせていた。
生まれからして天与呪縛な上に両親から死んだ事にして奪われた形のメカ丸。
後ろ暗い事にはどっぷり使っているからわかる。呪術界の黒幕的存在もこの会議に参加していることに。
同じく居心地悪そうにしている総監部の皆さん!
東京校 学長 夜蛾 正道!
京都校 学長 楽巖寺 嘉伸!
総監部に混じる呪術界の黒幕、巫 茜さん(偽名)!
加茂家次期当主 加茂 憲紀!
特級術師、九十九 由基!
特級呪詛師、夏油 傑!
特級術師、五条悟! と、その補助監督、怯えてるかなと思ったら意外にもやる気満々な伊地知!
特級術師、乙骨 憂太!
そして! スペシャルゲスト、天元様!!
以上のスペシャルなメンバーで、お送りする大会議である!
ダレカタスケテ。だがしかし、健康な体を得る為にはやらねばならぬのだ。
「あのー。夏油さん。五条先生を助けてくれてありがとうございます」
「いや。これは私のエゴだから……。むしろ巻き込んだぐらいで」
「でも、ありがとうございます。ただ、夏油さんは百鬼夜行をしたばかりですよね? 大義どおりの要求だと思うんだけど、捕縛側でいいんですか?」
「非術師は嫌いだよ。それは変わらない。でも、私にとっては、悟の方が大事なんだ。悟だけはなんとか守りたい。それに、非術師を術師に出来るのなら、呪術界に反対される謂れはないと思っているよ。反対されたとしても、既に縛りを結んでいるから、私はもう悟に逆らえないしね」
「縛り。破れない約束でしたっけ」
「そ。これがその縛り」
分厚い紙にびっしり書かれた契約書を読む。
「これ、全部破れないんですか? 大変じゃないですか」
「そー! そこまでガッチガチじゃなくてもいいんじゃないかとは思ったんだけど、おじいちゃん達がうるさくてねー。まー被害が出なかったとはいえ、百鬼夜行起こしたばっかだし、僕もそれ出れなかったし、仕方ないかなって」
早速五条による腐った蜜柑の攻撃! ピリッとした空気にメカ丸は負けそうだ!
「なんで、五条先生の為にそこまでするのに、五条先生を裏切ったんですか?」
「……悟が、最強だと思ってたから。私なんかいなくても、大丈夫だと思ったんだ」
「実際はあっさりやられちゃったけどねー。あっはっは」
「笑い事じゃないんだよ、悟」
「……とりあえず、五条先生の為、というのは信じます。でも、今度真希さんを侮辱したら、それなりの対応をとらせてもらいますから。僕も友達は大事なんです」
「そうだね。友達は大事だ。それに……罪は罪だ、償っていくよ」
「わかってもらえたならいいです」
「やー。和解できたようで良かったよ。心を一つにして、難敵に立ち向かわないとね。何せ、相手の事も全然わかってないんだから」
「天元は何か心当たりがあるかな?」
「いや。呪力の残穢もないなんて、皆目見当もつかないね」
「ここはやはり、罠を仕掛けるべきだと思う。資料を見て欲しい。まず、真人は我々総監部で捉えているよ」
「は?」
「凄いね」
「さすがは羂索だね」
「オホホ天元様。私は茜ですわ」
わざとらしく笑う茜(偽名)。
「そうだったかな? じゃあ茜。真人を育てるのはどうする?」
「術式の熟達は、練習させるしかないね」
「傑。取り込んでから呪霊を成長させるってダメなの?」
「あくまでも呪霊に術式を使わせる形だし、取り込むと成長しないんだ」
「そこを術式の拡張でどうにかなんない? なんなら真人の強化まではするからさ。術式の練習については、流石に許可出来ないけど」
「(もうある程度訓練は積ませてるけどね)強化ってどうするつもりだい?」
「上手くいくかはわからないけど……。僕の呪力を取り込ませるなり、宿儺の指を仕込むなり、方法はあるでしょ」
「宿儺の指はないかな。私も取り込む事になってしまうし。悟。それってどうするの?」
「そうだね。真人ってなんの呪霊なの?」
「人への恐怖の呪霊らしい」
「じゃあ簡単じゃん。僕が呪力を抑えず、人へ恐怖したらいい」
「怖がれるのかい? 君が?」
「僕殺されてるんだよ? ヨユー!」
「面白い実験だね。興味あるよ」
乗り気な九十九と茜(偽名)。
「嫌だ」
「は?」
「悟にはそんな事をしてほしくない。それなら私がする。人を……非術師を、私はずっと恐れてきたんだから」
「傑……」
「夏油さん……」
そうして、実験が行われる事になった。
「被験者についてはどうする? 1001人選ぶか、地域を指定するか」
「複合案で行こう。無人の村を用意して、そこに術式を得られる結界を張り、怪しい人間に情報を流し、メカ丸に見張らせる。全く無関係の者が紛れ込もうとしたらそいつが犯人だ。焦らせる為に、夏油が病気だという噂も流そう。この実験の終わる頃には死にそうだと」
「容疑者の選定は任せてください。全術師達にはこれまでの非術師との接触を洗わせ、報告書を上げさせます。精査は私がします」
こうして、呪術界は一丸となって立ち向かわんとしていた。
夏油傑:私が悪いことするのはいいけど、悟がそういう後ろ暗いのに関わるのはNG。地獄に落ちるのは私だけ。
五条悟:きゅん♡じゃなくてさ。そこまでしてくれるなら、どうして離反したんだよ……。
夜神 月:術式まだかなまだかなー。ってリューク!? どうするかな……。もうちょっと待って。
リューク:一瞬面白かったけど、飽きてきたなぁ。ノートに名前書いちゃダメ?
マシュマロ
https://marshmallow-qa.com/lucaluca
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