風紀委員の一人が破天荒すぎる。   作:トリーズナー

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イブキとのお絵描き。

 

 場所はゲヘナ学園会議室。そこでは、風紀委員による万魔殿への報告、意見具申会が開かれていた。万魔殿の面子の他に、トウジとヒナがその場に座っていた。

 

 と言っても前に出ているのは殆どヒナだ。トウジも無論前に出ようとはしたのだが、「こういうのは私のほうが慣れてるから」とヒナが自ら前に出たのだ。

 

 ヒナは、万魔殿の会長。マコトとにらみ合いを利かせながら会議を繰り広げている。

 

「――――と言う訳で、私達は給食部とここ暫くで増加する犯罪対策のために風紀委員会の部費増加を求める。」

「クククッ……ヒナ委員長。給食部の部費についてはともかくとして、貴公ら風紀委員会の部費増加については頷きかねるな。こちらは一度本部に風穴を開けられているのだぞ?キキキッ……」

 

 逆に言えば給食部の部費については考えてくれるということだろうか?その優しさを少し位風紀委員に向けてくれても……と思わなくもないが。

 

「はぁ、そう言うと思った。まぁ、そこは今回の論点じゃないから良い。」

「クククッ……威圧としてトウジを連れてきた様だが、そう簡単には我々も折れんからな。」

「ならそっちもイブキを盾にするような真似はしないでほしいのだけれど。」

「クククッ……」

「はぁ……」

 

 ヒナとマコトはバチバチとイナズマがなるほどの眼光で互いを睨みつけ合う。万魔殿は時にイブキを武器にして無茶振りをしてきた、だが今の風紀委員では何をしでかすかわからない破天荒な爆弾としてトウジと言う心強い味方(?)が居る。

 

 そして、肝心のトウジとイブキは……

 

「お話長くて退屈〜。」

「同じくだな。くそねみぃ。」

 

 会議室の後ろの方の席で、頬杖を突きながら欠伸をして会議が終わるのを待っていた。正直ここにいる全員ちょっとした証人みたいな役割なのでぶっちゃけいなくても成立する。

 

 と言うか先程からヒートアップしているのはヒナとマコトのみだ。トウジは単純に堪え性ごないだけだが、まだ幼いイブキにはこの時間は退屈だろう。

 

 すると、イブキはトウジの顔をみて一言つぶやく。

 

「……トウジさん。イブキお絵描きしてもいいのかな?」

「良いんじゃね?俺等することなさそーだし。」

「やった!じゃあクレヨンとキャンパスも出てこなくちゃ!ロッカーにおいてあるの!」

「あぁいよ。」

 

 トウジがそう呟くと、次の瞬間トウジの腰の後ろから何かが伸びてくる……それは、1本の細い尻尾だ。先端には剣のようなパーツがついている。

 

 トウジはそれを器用に伸ばして使ってロッカーをあさり、目当てのキャンパスとクレヨンを巻き取ってくる。

 

「ほれ。」

「わぁ、ありがと!」

 

 トウジは尻尾を戻して、また一つ欠伸をついた。イブキはキャンパスを広げてクレヨンを一本手に取る……すると、つまんなそーにしているトウジを見ると、キャンパスから紙を一枚千切ってトウジに差し出す。

 

「トウジさんもつまんない?」

「つまんねぇ。」

「じゃあ一緒にお絵かきしよ?」

「あー?……まぁ暇つぶしにゃなるか。」

 

 トウジは差し出された紙を受け取ると、ボールペンを取り出してカリカリと紙に絵を描き始める……少しして、トウジがそっとイブキの方を見ると一つ問いかける。

 

「何描いてるんだ?」

「万魔殿のみんな!」

 

 確かに、描かれている人物をよく見てみると目付きの悪い銀髪だったり、気だるそうな赤モップだったりと特徴は捉えている。

 

「ほへー、上手いもんだな。」

「えへへ、ありがと!トウジさんのは……」

 

 イブキはトウジの絵を見てみると、そこには酷い絵柄の何かが居た。耳が生えていて動物のたぐいであることは分かるが、詳しくナニカなのかはイブキにはわからなかった。イブキは苦し紛れにつぶやく。

 

「……可愛いくまさんだね!」

「犬なんだが……」

「えっ!?」

 

 

「大体それは風紀委員の役目だと認識しているのだが?」

「そうだとしても万魔殿は生徒会として責任を取る必要がある。」

 

 そんな事がありつつも、会議はつつがなく進行していく……そして、イブキとトウジのお絵かきも進んでいく。すると、不意にイブキは、ヒナとマコトがヒートアップしているのを見てトウジへと問いかける。

 

「……なんで2人はあんなに言い争ってるの?」

「仲が悪いんだよ。普通に。」

「なんで仲良く出来ないのかな?」

「知らね。」

 

 何故こんなにも二人の仲がこじれているのかは、トウジは一切知らないし興味もない。ただ筋の通らないことをしたらぶっ飛ばす。それだけだ。すると、イブキは小首を傾げながらトウジに問いかける。

 

「……トウジさんも風紀委員だから万魔殿の事嫌い?」

「別に、俺ぁマコトもイブキも万魔殿の連中は嫌いじゃねぇよ。」

「でも前万魔殿の部屋壊したよね?」

「あの時はマコトがムカつく事したからぶっ飛ばしただけだ。」

 

 トウジは悪びれる様子もなしにサラリと言う。

 

「変に舐め腐られたら()()()だからな。そうならねぇためには多少手荒でも反逆しねぇと駄目なのさ。」

「終わり?」

「あぁ。」

 

 トウジは昔を懐かしむような表情でつぶやいた。

 

「俺ぁ変にへーこらして舐め腐られて使い潰される奴らを五万と見てきた。風紀委員にはそうなって欲しくねぇし、俺がそうなるのは死んでもゴメンだからな。」

「……よくわかんないや。」

「ま、そうだな。俺も昔は分からなかった……そのうちわかれば良いのさ。ただ、そうだな。」

 

 トウジは少し言葉を考えるとイブキの方を見てしっかりとした言葉遣いで言い放つ。

 

「自分って奴をしっかり持て。他人の干渉なんかされない、そして甘えることも頼ることも許さない本当の自分……それを通す時が来たら、なにがなんでも押し通せ。それが出来ねぇやつにゃ、明るい未来なんてこねぇ。」

「ん……ん〜?」

「あー、まぁ話半分に覚えとけよ。」

「分かった!」

 

 イブキはそう言って、またお絵描きを続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 やがて、万魔殿と風紀委員の話し合いが終わりトウジはヒナに呼び出されてその場をあとにした。トウジとヒナは廊下をスタスタと歩く。

 

 すると、ヒナは不意にトウジへと問いかける。

 

「貴方、あの子と随分仲良さそうに話していたわね。」

「あの子……あぁ、イブキとですか。つかバレてたんですね。」

「流石にわかる。まぁ、今回は私が無理やり連れてきただけだから大目に見るけど、次は許さないから。」

「すいません……っと。」

 

 また静かに足音を立てながら歩くヒナとトウジ。ヒナは、少し頬を膨らませたような表情で、トウジへさらに追求する。

 

「万魔殿の子と何を話してたの?」

「お絵描きしてた位かな。後は、万魔殿の連中が嫌いなのかって聞かれたくらい。」

「……なんて答えたの?」

「別に万魔殿の連中は嫌いじゃねって答えましたよ……」

 

 すると、ヒナは少し驚いた様な表情を見せる。

 

「……万魔殿、と言うかマコトの事は嫌いなのかと思ってた。」

「まぁ、風紀委員への嫌がらせは兎も角として他の……給食部とかへの待遇は考えてくれてたりするし、そこまで嫌いでもないっすね。」

「そう。」

 

 それは、トウジの本音だ……今回も、風紀委員会の予算は兎も角として、給食部の予算については真面目に考えてくれていたし、風紀委員以外には比較的優しいのがマコトだ。

 

 そんなところもあるから、トウジはどうにもマコトを嫌いになれない。ヒナが嫌いという一点で意地を貼っている所も個人的にはそこまで嫌いじゃなかったりする。まぁ、面倒なやつだとは思っているが。

 

「……にしても、会議でも話題に出てましたけど、最近スケバンやら無駄に高価な武器を使う不良が増えましたね。」

「……ゲヘナだけじゃなくて、キヴォトス全体の治安が悪化しているらしい。連邦生徒会長も見ないし、今度、1年のチナツに連邦生徒会へ抗議に行かせる予定。」

「うわっ、なにそれ面白そう。俺も行っていいですか?」

「…………まぁ、貴方が行けばこちらの抗議の意思も伝わるでしょうし止める理由はないけれど。」

「よっしゃ、んじゃ予定決まったらおせーてくださいや。」

「わかった。」

 

 ……トウジは知らなかった。こんな面白そうと言う理由だけで行くことに決めた抗議が、まさかキヴォトスを動かす転機と鉢合うきっかけになるとは、夢にも思ってみなさったのだった。




トウジ:腰の後ろと背中の間らへんに伸び縮みする尻尾がある。イメージとしてはガンダ◯バルバトスルプスレクスのテイルブレード。絵はかなり下手。

イブキ:トウジの事は意外と真面目さんだと思っている。ただ、少し怖がっているフシもあったり。
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