ウマドルが油断してたら大好きな幼馴染を同室の閃光に奪われかける話 作:shch
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「は?」
ファル子の低い声が辺りに響く。
そして表情を失ったファル子がゆっくりと優に近づいて行く。
(え?何コレ怖いんだけど?ファル子もしかして怒ってる?なんで?)
そのファル子の普段とはあまりにも違う様子からそんなことを考える優、だがこうなった原因がよくわからない。
(綺麗って言ったから?いやファル子がそんな事で怒るわけないよな…)
考えを巡らす優、ここで優があることを思いつく
(…もしかして、自分の仲の良い友達の挨拶に俺がなにも反応しなかったから怒ってるんじゃないか?)
確かにファル子の話によればフラッシュは優に自己紹介をした。
しかしその時優は放心状態で反応できなかった。友人の自己紹介を無視されたのだ、確かに怒ってもしょうがないだろう。
ゆっくりと迫るファル子に優は声を掛ける。
「ファル子ごめん!」
その声を聴いたファル子はニコリと笑う。しかし目は笑っていない。
「なんで謝るの?」
ファル子はその表情のままそう言った。
「俺、とんでもない事してた!次からは気を付けるから許してくれ!」
そう言って優は頭を下げた。
「ふーん…じゃあファル子の事ももっと褒めてみてよ…」
頭を下げる優を見てファル子がそう言う。
「え?そんな事でいいの?…じゃあ……今日もかわいいぞファル子」
「ダメ、気持ちがこもってない!」
「えぇ…じゃあ…」
優はファル子に近づいて頭に手を置き、その頭を撫で始める
「ファル子、いつも頑張っててえらいぞ…頑張るファル子はかっこよくてかわいくて、元気がもらえる。俺はそんなファル子が大好きだ……これでいいか?」
頭を撫で続けながらそんなことを言う優、その言葉にファル子の顔は思わずだらしなく緩む
「えへへ~優くんファル子の事好きすぎでしょ~……ってダメ!まだ許さないの!」
頭を撫でられながらもイヤイヤと首を振るファル子。
「まだだめか…じゃあ逆にファル子はなんて言ってほしいんだ?」
このままだと一生許してもらえなそうな気がした優は直接答えを本人に聞くことにした。
「うぅ~…じゃあ…ファル子にも綺麗って言って?」
少し怒っているようなうめき声を出しながらファル子がそう言った。
正直、優的にはファル子は綺麗というよりかかわいいタイプでは?と考えていたのだが、許されるためだ。迷わず優は口を開く。
「わかった。…ファル子、綺麗だぞ」
優のその言葉を聞いたファル子は間髪入れずに発言する
「フラッシュさんよりも?」
そう言うファル子の目はまたしてもハイライトを失っている。
優の答えは一つしかなかった。
「え?…あ、ああ…ファル子の方が綺麗だよ」
正直、綺麗さで言えばファル子よりもフラッシュの方が綺麗だと優は思っているが、正直にそれを言える雰囲気では無かった。
優の答えを聞いたファル子は満足そうな顔をする。目には光が宿りいつもの表情に戻る。
「ふぅ…」
そんなファル子をみて思わず安堵のため息をついた優。
しかしその瞬間、正面にいたファル子がバッっとこちらに手を広げ、いきなり優の腰に手をまわして抱き着いてきた。
そして、優の胸にぐりぐりと頭を押し付けるファル子。
あっけにとられて優が声を出せないでいると、自分の胸元からくぐもったファル子の声が聞こえてくる。
「…優くん手が止まってる、早く撫でて?」
いつもなら人目に付くからやめろと言う優であるが今のファル子には逆らえる気がしない、優は渋々その手を自身の胸元へ顔を沈めているファル子の頭に持っていき、優しく動かした。
そしてその日、その行為はファル子が満足するまでひたすら続いた…
・・・・・・・・・・・・・・
翌日…
(昨日ファル子とエイシンフラッシュさんには悪いことしたな…ファル子の機嫌を元に戻すのには苦労したけど)
そんなことを考えながら優はノートにペンを走らせる。毎日出る課題と授業の復習と予習の時間だ。
場所は学校にある図書館、優の数ある勉強スポットの一つだ。
それにこの図書館は隣にあるトレセン学園の図書館も兼ねているため、規模がかなり大きくウマ娘についての医療関係の本なども多くあり、勉強するにはうってつけの場所である。
(よし…今日はこんなもんかな……気分転換に本でも読むか)
一通り今日やるべき勉強を終わらせた優はそう考えて席を立った。
(たしかあの本は…)
優には読みたい本の目星がついているようでその本を探すべく、図書館を闊歩する。
(えーと………あった…!)
本棚を眺めていた優がお目当ての本を見つけてその本を取るべく手を伸ばした。
その時
「「あっ」」
伸ばした優の手がまたしても横から伸びてきた他の人の手と重なった。
なんだかデジャヴなこの出来事に優は思わず、その手の持ち主の方を見る。
そこには…
「あら、確か…優さん…ですよね?ファルコンさんのお友達の…こんなところでまた会うとは奇遇ですね」
昨日と全く同じような輝きを放つ、エイシンフラッシュがいた。
「は、はい…奇遇…ですね」
緊張しながらもなんとかそう返した優。
「フフッ、今日は固まらないんですね」
そんな優に対して少し笑いながら、からかうようにそう言うフラッシュ
「…昨日はほんとに失礼しました。」
そんなフラッシュに対して謝罪の言葉を掛ける優。
「いえ、ファルコンさんから聞きました。女性が苦手だと、優さんのペースで大丈夫ですので、ファルコンさんのお友達同士仲良くしていただければ嬉しいです。」
(良い人すぎる…)
「そう言ってくれると…助かります」
優はフラッシュの言葉に感動しながらそう言った。
「…そ、その本は…俺は大丈夫なんで……じゃあまた…」
フラッシュがいくら綺麗で良い人そうでも優の苦手意識は拭えない、極力会話を避けたい優は本を諦め、その場を後にしようとする…
しかし、その時。
「待ってください。私こそ、この本は一度読んだことがあるので優さんにお譲りします…それよりこの本、ドイツ語の本なのですが…優さんドイツ語が分かるんですか?」
そう言うフラッシュの言葉に優は足を止める。
「…父が今ドイツでウマ娘専門の理学療法士として働いてまして…俺も父のようになりたいので、ちょっと勉強中なんです…」
そんな優の言葉に少し驚いたような表情をするフラッシュ
「そうでしたか…!ほんとに奇遇ですね…私は出身がドイツでして…ドイツ語が分かる同世代の方とは日本で初めて会いました…!」
少し興奮気味な様子のフラッシュ、それに対して優は言う。
「…いや、わかると言っても、まだ聞き取ったり喋ったりは簡単なものしかできなくて…読書が好きなので読むことは結構できるようになってきたのですが…」
言葉を詰まらせながらも、優はそう言った。
「いえいえ、独学でそこまで出来ているのがすごいですよ。それに優さんは読書が好きなんですね、ドイツの本を読んでいる…ということですか?」
「え、ええ…まぁ…最初は簡単なグリム童話とかから読んでいって…今は有名なドイツ文学のタイトルは大体…これが結構面白くて…読むことばっかり得意になっちゃって…」
褒められた優は照れくさそうにしながらもそのように話す。
「素晴らしいですね…それならこの本も楽しめると思います。…ですがこの本…とても面白いのですが、すこし文章にドイツ語特有の癖が多くて…日本の方にとってはもしかしたら少し読みにくいかもしれませんね…」
そう言って、優に本を手渡したフラッシュ
「…そうですか…でもずっと読みたかった本なので、頑張って読んでみます…それでは…本ありがとうございます。」
そう言って、またもやその場を後にしようとする優。
しかしフラッシュはそんな優の制服の裾をチョンとつまんで帰ろうとする優を止めた。
「もう…優さん、話は最後まで聞いてください…なんでそんなにすぐ帰ろうとするんですか…少しは仲良くなれたと思ってたのに…」
その声に優は立ち止まる
「…まだなにかありましたか?」
そんなことを言う優にフラッシュは返す。
「私はドイツ出身です。優さんがよろしければ、その本を読むのにお手伝いしようと思ったのですが…分からない文法や単語があれば私が教えられるので」
ネイティブの人にドイツ語を教えてもらえる機会なんてそうそう無い。ドイツ語絶賛勉強中の優にとってそれは非常に魅力的な提案だった。
しかし、優は言う。
「…いえ、俺なんかに時間取らせるの、エイシンフラッシュさんに悪いので…その提案は嬉しいんですが、大丈夫です。」
そう言って断る優。
「それでは私が今から数学の宿題をこの図書館でやるので、隣で本を読んでいてください。わからないところがあれば聞いてくださいね。それでは行きましょう」
(…え?俺今断ったよね?なんでやる流れになってんの?)
スタスタと歩いていくフラッシュを見ながら優は呆然と立ち尽くす。
フラッシュはしばらく歩くと優が自分に着いてきていないことに気が付いたのか、Uターンして優の元に戻る
「何してるんですか?行きますよ?」
そう言って優の手を取ってスタスタと歩き出す。
(力強っ…まぁ教えてもらえるのはありがたいし…エイシンフラッシュさんがいいなら、まあいいか…)
優はもうされるがままにフラッシュに着いて行った。
・・・・・・・・・・・・・・
数十分後…
(なんだ、この本すげぇ面白い…でも確かに独特な文法で読みにくさはあるけど)
優はなんとか順調に本を読み進めていた。
隣ではフラッシュがカリカリとペンを動かしている。
(あ、なんだこれ)
「…エイシンフラッシュさん…今、大丈夫ですか?」
優がそう言うとフラッシュは手を止めて、優の方に向き直る。
「大丈夫ですよ優さん、どうされましたか?」
そんなフラッシュに優が質問をする。
「いや、ちょっとここの単語の使い方が…」
「どこですか?」
そう言って本を覗き込むようにずいっと距離を縮めてくるフラッシュ
(近いよ?肩当たってるし…なんでウマ娘ってのはこうも距離感がおかしいんだ…)
優はさりげなく少し身を引いて、距離を取りつつも自分の疑問を持ったところを指差して言う。
「こ、ここです」
「なるほど…確かにそこは少し難しい単語の使い方をしていますね、でもその単語は…」
フラッシュの説明を熱心に聞く優。
「…という感じです。」
「な、なるほど…エイシンフラッシュさん教えるの上手ですね。すごいわかりやすかったです。ありがとうございます。」
フラッシュの解説がよほどわかりやすかったのか、優がそう言った。
「いえいえ、それにしても優さんもここまで自力で読めるとは…すごいですよ」
「そ、そんなことは…」
褒められた優はまたしても照れくさそうに答えた。
そんな時、フラッシュが声をかける
「そういえば、優さんの苗字って何でしょうか?」
「…俺の苗字…ですか?黒木ですけど」
優がそう答えるとフラッシュは驚いたような表情をして言った。
「黒木ですか…!ドイツで療法士…じゃあもしかして優さんのお父さんって…あの黒木陽さんですか!?」
「…そうです。よくご存知で…」
「それはもう…レースに携わる者なら知らない人はいないレベルの人ですから…そうですか…あの人の息子さんでしたか…すごいですね」
「…いや、俺はすごくないよ、親父がすごいだけだから…」
優がそう言うとフラッシュは微笑みながら言う
「フフッ、謙虚なんですね、あの学校に入れている時点で十分すごいと思いますが…それに、今少し敬語を外してくれましたね、同い年なんですからそのままで結構ですよ?私のことも『エイシンフラッシュさん』なんて仰々しいのではなくフラッシュとお呼びください。」
少し笑いながら言うフラッシュ、それに対して優が返す。
「い、いやっ…さっきは父さんの話が出て気が抜けていただけで…それにエイシンフラッシュさんこそ敬語じゃないですk「フラッシュとお呼びください」
優の声を遮るフラッシュ
「……わかりましt「敬語は外してください」
またしても優の声が遮られる
「……はぁ…わかったよ、フラッシュさん。呼び捨ては今は勘弁してくれ。そのうち慣れてきたら呼べるようになると思うから…」
優は渋々敬語を外してそう言った。
「…むう…わかりました…」
(なんでちょっと不服そうなんだよ、あとほっぺた膨らますなかわいいから)
優はそんなことを思いながらも読書に戻ろうとする…その前にふと気になりフラッシュが解いている参考書と書き込んでいるノートをチラリと見た。
「フラッシュさん…多分だけどその答え間違ってる」
指摘を受けたフラッシュは少し驚きながら口を開いた。
「本当ですか?どこでしょう?」
そう言ったフラッシュに対して、優は椅子を擦ってフラッシュに近づいて言う
「この問題なんだけど…ちょっとペン借りていい?」
「え、ああ、どうぞ…」
「ありがと、じゃあここ書き込んでも大丈夫?」
優はそう言ってフラッシュのノートの空いているところを指さす。
「ええ、どうぞ…」
「ありがと、じゃあここの数式なんだけど…」
そう言ってフラッシュのノートに綺麗な字で数式を書きながら説明を始める優。
その横顔を見ながらフラッシュは思う。
(勉強の話になったら、急に流暢に喋りだしましたね…それに肩が当たるほど近づいてきました…私から当てに言った時は少し避けてたのに…それに表情も心なしか生き生きしているように見えます。おそらくこれが本来の優さんの性格なんでしょう…)
「…だからここの数式が…」
説明をしながらどんどんと数式を書いていく優
(女性ではファルコンさんしか普段からこのリラックスした表情を見れないのでしょうね…少し羨ましいです。それにこう見るとしっかり鼻筋も通っていて、肌も綺麗でまつ毛も長い…あれ?優さんって意外と…)
「…でこの数式が出るって訳。わかった?フラッシュさん」
フラッシュが考え事をしているともう説明が終わってしまったらしく。優がフラッシュの方を見ていた。
「…いえっ…すいません…少し理解できない所があって…もう一度お願いしてもいいですか?」
「わかった。難しいよなこの問題、じゃあさっきよりゆっくり行くから、分からない所があったら言ってな」
そう言って再び説明を始める優、今度は聞き逃せないと熱心にその説明を聞くフラッシュ。
しばらく説明が続き、優がやっとペンを止めて口を開いた。
「……でこれが解になるんだ。どう?わかった?」
「…流石ですね…すごいわかりやすかったです」
フラッシュがすこし感激しながらそう言った。
すると優は照れながら頬を掻き、言う。
「いやいや、フラッシュさんの飲み込みが速かったから…それに俺、数学は得意だし」
フラッシュがそれに返す。
「それに教え方も上手でした。少し慣れているように感じましたが…?」
「うーん、テスト期間はいつもファル子に付きっきりだったからかな?アイツはアホだからフラッシュさんよりも説明に数倍時間かかるんだけどな」
笑いながらそう返す優。
(やっぱりファルコンさんの話になると露骨に表情が柔らかくなる…)
「そうですか…納得です。」
そう返したフラッシュ。
そこから2人は読書と勉強をしながら、お互い分からない所は説明し合いながら。過ごすのであった。
・・・・・・・・・・・・・・
『図書館をご利用の皆様、閉館のお時間です…』
そんなアナウンスが館内に響いた。
「あら、もうそんな時間ですか…」
「…今日はここまでだな」
図書館の閉館時間がきてしまったため、急いで片付けを始める2人。
そして2人で図書館を出る。
「今日はありがとうございました。優さんのおかげで集中して課題に取り組めました」
とフラッシュが言った。それに対して優が言う
「こちらこそありがと、フラッシュさんのおかげでかなりスムーズに読み進められた。まだ半分くらいしか読めてないけど…」
「いえいえ、じゃあ全部読めたら感想聞かせてくださいね」
「もちろん」
そう言った優。
「…」
「…」
その後少しの沈黙が二人の間に流れた。
「…あのっ、これは提案なのですが…」
沈黙を破ったのはフラッシュの発言だった。
「この今日みたいなこと定期的にやりませんか?2人でこの図書館で、私も勉強になりますし…優さんもドイツの本を読むのが楽になると思います。」
フラッシュのそんな提案。優は返す。
「フラッシュさんが良ければ、よろこんで、俺もこんなに楽しくドイツの本を読めたの久しぶりだったし」
優のその返事にフラッシュは安堵の表情を浮かべる。
「…そうですか…良かったです…私てっきりまた断られるかと…」
フラッシュは最初の提案を断られたことが引っかかっていたようだ。
「ごめん、あの時はちょっとフラッシュさんに慣れてなくて…」
気まずそうにそう言う優。しかしその言葉に被せるほどのスピードでフラッシュが言葉を重ねる
「じゃあもう私に慣れていただいた…ということですか…!」
そう言って心なしか目をキラキラとさせながら優を見つめるフラッシュ
「…ちょっとは慣れてきたかもな」
そう言った優、優自身もここまでほぼ初対面の女性と話せるようになるとは思っていなかった。
「それならよかったです!」
良い笑顔でそう答えるフラッシュの様子を見て優は考える。
ファル子は寮に入ってから高い頻度でフラッシュの話題を優に投げかけていた。
だから実はフラッシュの人柄をファル子経由で優はいつの間にかある程度知っていたのだ。
そこから今日、そこそこ話をフラッシュとしたことでフラッシュのその人となりが自分の中で明確になり、いつの間にか割と話せるようになっていた。
つまり簡単に言えば…
「初めて会った気がしなかった」だ。
優自身はまだ気が付いていないが…
「フラッシュさん、寮まで送るよ」
優は帰ろうとするフラッシュにそう言った。
「寮は近いので大丈夫ですよ?」
フラッシュはそう返すが
「近いって言っても敷地が広すぎて5分はかかるだろ?周りも暗いし、俺もなんか歩きたい気分だし」
そう言って優はフラッシュの返事を聞く前にフラッシュの横に並んで歩き出した。
「もう…優さんったら…じゃあお言葉に甘えさせていただきます。私も暗いのはあまり得意ではないので」
フラッシュもそう返すと優と横並びで寮までの道を歩く。
その時
ピコンッ!
と優のスマホから通知音が鳴り響いた。
優はポケットからスマホを取り出し、チラリと画面を確認した。
「おっ」
優は画面を見ると少し驚いたような表情を見せた。
「どうかされましたか?」
フラッシュがそんな優に疑問を投げかけた。
「俺がちょっと注目してた駅前のケーキ屋が来週オープンするらしいってファル子からウマインが来たんだよ」
そう言いながら優は画面をフラッシュに見せた。
そこにはケーキ屋オープンのニュース記事のスクショと
『ファル子、今ちょっと体重がアレだから食べれないの!でも優くんはファル子が食べれるようになるまで待っててくれるよね??』
というメッセージが添えられていた。
「…えーと『アレってなんですか?もちろん待ちません』送信っと」
優はそんなことを言いながら画面をタップしている
「…優さんは甘いものが好きなんですか?」
フラッシュが優にそう聞いた。
「甘いものというよりかケーキが好きなんだ、この辺のケーキ屋は大体行ったかなってレベル」
優がそう答えるとまたもフラッシュは驚いたような表情をする。
「…ほんとに奇遇ですね、実は私の実家がケーキ屋を営んでまして…私自身も大のケーキ好きでして…そのケーキ屋、実は私も目星をつけていたんです」
「実家がケーキ屋、羨ましい…」
「フフッ、そうですか?…そこでまた提案なんですが、来週、優さんさえよければ駅前のケーキ屋に一緒に行きませんか??」
フラッシュがそんな提案をする。
「良い提案だけど…来週はまだ無理だと思うな、ファル子まだ食べれるようになってないだろうし」
優はそんなことを言う、なぜか急にファル子の話になるのかわからないフラッシュが尋ねる。
「なぜそこでファルコンさんの話になるんですか?それに先ほどは『待たない』とおっしゃってませんでしたか?」
「いやアレはいつものノリみたいなもんで…流石にファル子がかわいそうだからいつもなんだかんだで待ってるんだ。これでもファン第1号なもんで…」
頭を掻きながら照れくさそうにそう言う優。しかもフラッシュは2人で行くつもりで誘ったのにナチュラルにファル子も入れて3人で行くことになっているのもよくわからない
「…そうでしたか、でも私のさっきの提案は決してファル子さんと優さんと私ではなく私と優さんの2人で行きましょうという提案だったんですが…」
「え?そうなの?俺てっきり3人で行くもんだと……うーん…だとしてもやっぱりファル子がかわいそうだから遠慮するよ、友達2人がダイエット中の自分を差し置いてケーキ食べに行くのは流石にかわいそうじゃない?」
優は申し訳なさそうにそう言った。
しかしここで簡単に引くフラッシュではなかった。
「優さんはお優しいですね…でも本当はずっと待っていたはずの目を付けていた新店舗のケーキ、一刻も早く食べたいでしょう?」
「…そりゃすごく食べたいけど、ここはファンとしてぐっとこらえてだな…」
そんな優の言葉を遮るようにフラッシュは言う。
「じゃあ私がファルコンさんを説得できれば、二人で食べに行ってもいいのでは?」
「え?どういうこと?」
よくわからないと言った表情の優にフラッシュは説明を始めた。
「私が今から寮に帰って2人でケーキを食べに行ってもいいかとファルコンさんにお願いしてみます。優さんのその早く食べたいという気持ちは、同じケーキ好きとして痛いほどわかります。この2人の熱い気持ちを誠実にファルコンさんに話せばきっと納得していただけるはずです。どうでしょうか?」
フラッシュがそう言った。要するに「私が2人でケーキ屋に行くことをファル子に許可してもらえるようにがんばって説得するから、許可出たら行ってもいいでしょ?」ということだ。
「まぁファル子が良いって言うなら俺も良いんだけど…アイツそんなすぐ納得するかな?」
「そこは同室の私にお任せください」
なにやら自信ありげな様子のフラッシュ。
「まぁそこまで言うなら任せるよ」
優はフラッシュの提案を了承した。
そのタイミングで丁度2人は寮の前に着いた。
「じゃあフラッシュさん、今日はありがとう。ケーキ屋の件は…俺はどっちでも大丈夫だからほどほどに頼むよ」
「はい。このフラッシュにお任せください…あと結果を報告したいのでウマインを交換しておきませんか?」
そう言ってスマホを取り出すフラッシュ
「あ、ああもちろん」
少し言葉に詰まりながらもスマホを取り出した優
そして2人はお互いの連絡先を交換し合った。
(なにげにファル子以外の女子と交換したの初めてかもな…)
悲しいことを考える優にフラッシュがお別れの挨拶をした
「それでは優さん、後ほどケーキ屋の結果や来週の勉強会の予定などウマインで送っておくので確認してくださいね。それではまた」
「助かるよ、ありがとう。じゃあまた」
そう言って小さく手を振るフラッシュに優は手を振り返す。
するとフラッシュはニコと微笑んでから優に背を向けて寮に帰っていった。
(やっぱり綺麗な人だったな…それにファル子以外の女の子とこんなに話したのはいつ以来だろうか…意外と共通点が多くて話しやすかったし…)
優はそんなことを考えながら帰路につくのであった。
(優さんとファルコンさんの仲の良さは想像以上ですね…でもファルコンさんの話をするときにだけ見せるあのリラックスした表情も驚いた表情もあの笑顔もはしゃいでいる姿も…その全てを私にも向けさせてみたい…ですがもう少し時間がかかりそうですね…)
フラッシュがそんなことを考えながら寮の自室へと戻ろうとする。
フラッシュはそう考えているが、実は今日優的にはフラッシュとは相当喋れるようになっていた。
ファル子でさえ優とあのレベルまで喋れるようになるの数ヶ月はかかった…
そのファル子が数ヶ月かけて縮めた距離をフラッシュは1日で縮めてしまったのだ。これはファル子が遅いのか、フラッシュが速いのか…ファル子がこのまま逃げ切れるのか、フラッシュが差し切るのか…それはまだ誰にもわからない…
・・・・・・・・・・・・・・
「ファルコンさん、ただいま帰りました。」
フラッシュがそう言って、部屋の扉を開けた。
「フラッシュさんおそーい!こんな時間まで何してたの??」
部屋の中にはすでにくつろいでいるファル子の姿。
「今日は勉強が思いのほかはかどってしまって…私としたことが図書館で時間を忘れて勉強してしまいました。」
「珍しいねえ、フラッシュさんが時間を忘れるなんて、それにしても図書館かぁ、確か今日は優くんも図書館行ってたみたいだけど、フラッシュさん見かけなかった?」
ファル子がフラッシュにそう聞いた。
フラッシュは答える
「いえ、見かけていません。今日は私
「へぇー、一人でそんなに集中して勉強できるの凄いな~ファル子絶対無理だ」
そう言ってスマホに目を落とすファル子。
(ファルコンさんには申し訳ないですが…コレ以外に方法は無いですね…)
フラッシュはそんなことを考えながら自身のスマホを取り出しメッセージを打ち込んだ。
・・・・・・・・・・・・・・
ピコン!
優のスマホから通知音が鳴り響く
(お、フラッシュさんかな?)
優はそう考えながらスマホの画面を確認する。
『優さん、ファル子さんからの許可取れました。これで
そんなメッセージが画面に表示されていた。
(許可出るの速いな、ケーキ屋の話NGか…まあファル子らしいな。にしてもなんか『2人』を強調しすぎな気もするけど…)
「『わかった。ありがとう。俺も楽しみにしておく』っと」
優もメッセージを送信する。なんだかんだで優もケーキ好きの端くれ、新作のケーキを早く食べれるのだ。楽しみじゃないはずがない。それに今回は同じくケーキ好きのフラッシュさんと一緒だ。ファル子の時よりもより詳しくケーキについて語り合えるかもしれない。そう考えると優は当日がより楽しみになって来た。
メッセージを送信すると即既読が付き、さらに新しいメッセージが送られてくる。
『来週の土曜日でよろしいでしょうか?あと当日のスケジュールは私にすべてお任せください。完璧なスケジュールを立てて見せます。』
(頼もしいな、俺とファル子はスケジュール立てるの苦手だからな…いつもグダグダになるんだよなぁ…だから正直スケジュールを任せられるのはとても嬉しい。)
「『助かるよ、お願いします』っと」
優がそうメッセージを送信すると例によってすぐに既読が付き返信が送られてくる。
『はい!このフラッシュにお任せください!』
そしてそれと立て続けに1枚の写真とメッセージが送られてきた。
その写真はお店のケーキかと思うほど出来の良いケーキの写真。
そしてメッセージには
『話は変わりますが、このケーキ私が作ったのですが、どうでしょうか?』
それを見て優は思う
(どうでしょうって。凄すぎるよ?でもたしか実家がケーキ屋だもんな、そりゃ多少は作れるかもしれないけど、にしても綺麗すぎる)
「『美味しそうすぎる。凄すぎませんか?』っと」
『そうですか?嬉しいです!良ければ今度、優さんにもご馳走しますね!』
(え?楽しみすぎるんだけど?)
そんなこんなでケーキトークもといスイーツトークは深夜まで繰り広げられた。
・・・・・・・・・・・・・・
何も知らないスマートファルコンさん(なんか今日のフラッシュさんずっとスマホ見てニヤニヤしてる…珍しいな…もう結構夜中だけど大丈夫かな?それに優くんはいつもより返信遅いような気が…まあ全部ファル子の気のせいだよね!早く寝なきゃ!夜更かしはお肌の天敵なのだ!)
誤字脱字ありましたらご報告お願いします。
勝敗予想(希望可)
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ファルコンさん
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フラッシュさん
-
その他