プロローグ
プロローグ
???side
「…………」
眼を開けると最初に白が映った。背中に当たる硬い感触からして、仰向けになっているらしい。
体を起こし周囲を見渡しても,何もない白一色の空間だった。
「ここは何処だ?」
「ここは生と死の狭間。死んだ人間の魂がたどり着く場所じゃ」
俺の問いに声が返ってくる。振り返った視線の先には、顎髭が長く頭に黄色の輪っかが浮遊し、白い服を纏う老人がいた。
「誰だ?」
「お主ら人間が言う神じゃな。お主は
「ああ。さっき此処は死んだ人間の魂がたどり着く場所と言ったが、俺は死んだのか?」
「……何も覚えておらんのか? いや、頭を強く打ったから記憶が……」
俺が神に訊くと一瞬だけ眼を少し大きく開き、顎に手を添え一人ブツブツと呟く。
「何がッ!!……」
瞬間、頭に激しい痛みが走る。その場でしゃがみこみ、頭を抱える……い、痛い! 頭が、割れ……そうだ。
「!! 玲! どうしたんじゃ!?」
異変に気付いた神が俺に近づき、肩に手を置き揺さぶる…………暫くして頭痛が治まり、顔を上げる。
「大丈夫か?」
「あ、ああ……平気だ」
まるで船酔いの後みたいだ。俺はヨロヨロと立ち上がる。
「……何があったんじゃ?」
「頭に映像が流れ込んできたんだ」
「映像?」
「ああ……流れ込んできたのは、俺が死んだときの映像だ」
交差点で信号待ちしていた時、偶々俺の隣にいた子供が反対道路に親を見つけ信号が青に変わり飛び出した瞬間、信号無視したトラックが突っ込んできたのを見た俺は反射的に体が動いてた。子供を抱えた時にはトラックが直傍まで迫っていた。その時俺は……。
「咄嗟に俺は子供を押し出した」
直後、俺はトラックに跳ねられ、家の壁とトラックに挟まれ死んだ。
「……子供は助かったのか?」
「うむ。膝を擦りむいた程度じゃ。後は大丈夫じゃよ」
「そうか」
僅かにため息を漏らし安堵する。目の前で子供が死ぬのは耐えられないからな。
「玲……死んで後悔はしておらんか?」
「別に。子供が助かったんならそれで良い」
素っ気無い回答に思わず苦笑いする。十代ちょっとで生を終えるか……短い生涯だな。
「それで? 俺は地獄か天国のどっちなんだ」
「いいや。玲には転生してもらおう」
「転生?」
神の言った事に、俺は眉を顰める。
「うむ。お主には第二の人生を歩んでもらう」
そう言い神が手を振るうと、目の前に複数の白紙が現れた。
「何だこれは? 何も書かれてないが」
「その白紙はお主の転生先を示すものじゃ。手に取るまでワシにもわからんがな」
「……………………」
少し考えた後、適当に俺は真ん中にあった白紙を手に取る。何も書かれていないが、少しして文字が滲み出てきた。
「ハイスクール……D×D?」
「お主の世界にあったラノベ小説の世界なのじゃが知らんか?」
「知らないな。あまりラノベは見ていなかったからな」
「そうか……それとじゃ、転生に当たって特典が与えられるぞ」
再び手を振るうと、残りの白紙が光りだし形状が変化。白紙からカードに変化した。
「そのカードには、アニメやゲームの能力が秘められておる。一枚とは限らず何枚でもOKじゃぞ」
…………何枚、ね。
俺は浮遊するカードを何枚か手に取ると、白紙同様に文字が浮かび上がってきた。
カードには『白騎士物語』『BLAZBLUE』『るろうに剣心』『七つの大罪』『EA』と記されていた。
どれも訊いた事あるものだが、俺はその中で、EAと書かれたカードに疑問を抱く。何故これだけ英単語なんだ?
「このEAとは何だ?」
「ん? ちと見せてみなさい」
パチンッと指を鳴らすと、俺の手からカードが神の手元に飛んでいく。
「……!? 玲、中々面白い物を引き当てたのう」
眼を細め小さく笑う神。何が面白いんだ?
「これはEAエレメント・アーツと言うものでな、炎・氷・雷など頭の中でイメージしたものを具現化できるもので優れものじゃが、精神力を消耗するほか一つしか選べなくての」
顎鬚を撫でながら説明する。
「これだけで良いか?」
「問題ない」
「解った。では……」
神が背後に手を回すと、二m程の杖を取り出す。どこにしまっておいたのか気になるが、放っておこう。
杖を手に取り、トン……と地面を杖の先で地面を軽く突く。するとカードが光りだし俺の体に吸い込まれ、俺の身体を光りが纏う。
「!!ッッ」
直後、頭に途方もない情報が流れ込んでくる。これは、特典の……能力の使い方か。それにしても…………膨大な情報量だ。
……暫くして、光が収まる。
「これで特典のほうは大丈夫じゃよ。試しに何かしてみなさい」
「……」
言われるがまま虚空に手をかざすと、足元が急激に凍り付き、そこから駆け上がる勢いで氷の塊が十字の墓標を作り、中には一振りの鞘が埋め込まれていた。俺は柄当たりの十字部分を握ると、氷は煌めき弾け飛んだ。たしかこれは、BLAZBLUEに出てくる事象兵器アークエネミー。氷剣ユキアネサだ。
鞘から抜き放つと刀身からは冷気が発し、刃は澄み渡るほど美しいものだった。
「さて玲よ。そろそろお主を転生させるぞ」
杖を掲げ小言で呟くと、足元に虹色の魔方陣らしきものが浮かび上がる。魔法陣は徐々に輝き増し、俺を囲む。
「ではな玲。良い人生を」
その言葉を最後に、光が強く輝きだす。
瞬間、俺は意識を失った。
玲side
…………寒い。ここは、外なのか? いきなり外に転生させられるとは、運がない。
俺は身体を起こそうとしたが……何故か起き上がれなかった。そして眼に映るものがすべてぼやけて見える。そして手足に力が入らず俺は仰向けになったままでいる。
何だ? 何か俺の身体に異変でもあったのか?
頭の中でいろいろ考えていると、突然顔に影が差し体が浮き上がった。いや、正確には誰かに抱き上げてもらっている。
「……ッ。……」
「……!! ……!」
何だ? 誰かと会話しているようだが、上手く聞き取れない。突然瞼を触られ眼を見開かれる。光が逆行して眩しかったが、輪郭からして俺を覗きこんでいるのが男で、抱きあげているのが女だ。
見た目から二人は若い。二十代前後といった感じだ。そして不意に視線に入った窓を見て、俺は驚きの声を上げた。
そこには眼を見開き驚く赤ん坊俺が映ったからだ!!
「あう―――っっ!!」
何で俺は赤ん坊になっているんだ!! 俺が声を上げたのが嬉しかったのか、二人は笑顔を浮かべ俺を抱きかかえたまま歩き出す。
……何てことだ。まさか転生した世界で赤ん坊からやり直すことになるとは。