ハイスクールD×D 蒼の継承者の物語   作:Yunnan

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新たな部員

一輝side

 「おはよう一輝」

 「おはようございます」

 堕天使騒動から翌日。俺は早朝にオカルト研究部に来ていた。

 今日は昨日……と言うか昨夜新しく入った部員(・・・・・・・・)のパーティーを行うため、今日の早朝に始めるらしい。

 部室には紅茶を飲んでいる部長と俺以外誰も来ていなかった。いや。朱乃先輩はいるか。俺が反対側に座ると、間も無く戸が開き一誠が入ってきた。

 

 「おはようございま~す」

 「あら、ちゃんと来たわね」

 「おはようございます、部長。一輝もな」

 「あぁ。おはよう」

 「堕天使にやられた傷はどう?」

 「はい。一輝の治癒魔術とアーシアの治療パワーで完治です」

 堕天使にやられた一誠の足の傷は、俺の治癒魔術と残りの僅かな傷は昨夜アーシアが治療したおかげで平気なようだ。

 

 「そう、僧侶(ビショップ)としてあの子の治癒能力は無視できないもの。いち堕天使が上に黙ってまで欲するのも頷けるわ」

 ……ここまでの会話で(わか)ると思うが、新たな新人はアーシアだ。

 何故彼女がオカルト研究部の部員、部長の眷属になったのか。それは昨日のことになる。

 

 

 

 

 

 堕天使レイナーレを倒した俺達は、あの後他の神父の後始末を行い、部長達は部室。俺とアーシアは自宅に戻ろうとした時。

 

 「あの……部長さん。お願いがあります」

 アーシアが部長を呼び止め、驚愕の言葉を口にした。

 

 「私を……私を、皆さんの仲間(悪魔)にしてください!!」

 全員が驚いた視線を向ける。神器(セクリッド・ギア)が問題だったとはいえ、あれだけ危険な目にあったにも関わらず、自分から悪魔にしてくれと言うのだから。

 それに対し部長は。

 

 「良いわよ」

 ……あっさりと承諾した。

 

 「ほ、本当に良いんですか?」

 「本当よ。ただし、悪魔になれば教会に足を踏み入れることは出来ず、教会側や堕天使から狙われる事になる。そして戦闘に参加することになるわ……あなたにその覚悟があるのかしら?」

 「っっ……」

 厳しい視線で問う部長。それに対し少したじろぐアーシア。

 部長の言う事に一理ある。悪魔になれば、教会に入ることは出来ず、下手に神父や教会関係者に出会えば問答無用で抹消される危険性がある。優しいアーシアの事だ。自分を殺しにかかってくる教会関係者にどう立ち向かうか……。

 不安そうに胸元で両手を握り、左右に視線を動かす……やれやれ。助け船を出すか。

 

 「アーシア」

 「っ。一輝さん」

 俺はアーシアに近づき、頭に手を置く。

 

 「大丈夫だ。困ってることがあるなら手を貸す……安心しろ。最初は不安かもしれないがな。それに一誠も守ってやるんだろう? 友達なんだろ?」

 「え? お、おお!! 一輝の言う通りだアーシア! 何かあれば俺も守ってやるからな!! 部長は厳しいけど、仲間思いで優しいんだ!!」

 一誠の援護もあってか、嬉しそうに笑った後、キリッとした表情でリアスに答えた。

 

 「お願いします!! 私を、仲間にしてください!!」

 

 

 

 

 

 ……こうしてアーシアは部長の承諾を得て一誠同様の転生悪魔になり、部長の僧侶(ビショップ)となった訳だ。これが事の顛末だ。

 

 「それに、後ろ盾があったほうがあの子も狙われにくくなるはずだし、私達悪魔にとって回復は重要よ」

 微笑を浮かべる部長は、足を組み優雅に紅茶を飲む。

 俺が鞄から小説を取り出すと、一誠が部長の対面……俺の隣に座り話を切り出す。

 

 「あの、部長。チェスの駒の数だけ悪魔の駒ってあるんですよね? 俺のほかにも兵士(ポーン)って今後、後七人も増えるってことなんすか? あーでもこれ以上ライバルが増えるのわな~なんて」

 一誠が頭をかき苦笑いを浮かべる。

 

 「自分以外に兵士(ポーン)が増えるのは嫌なのか?」

 「嫌って言うか、何か置いて行かれそうって言うか、俺の立場がないって言うか……」

 「部長の眷属の中で、一番最弱で最弱の兵士(ポーン)だからなお前」

 「それを言うなよ!!」

 「私の兵士(ポーン)イッセーだけよ(・・・・・・・)

 「……え?」

 部長の一言に一誠の動きが止まる。

 

 「人間を悪魔に転生させる時、転生者の能力しだいで消費する悪魔の駒の数が変わってくるの。私の残りの駒は、騎士(ナイト)戦車(ルーク)僧侶(ビショップ)が一つずつ。後は兵士(ポーン)が八つ」

 「それって、俺とどういう関係があるんですか?」

 「イッセー、あなたを転生させる時、兵士(ポーン)の駒を全部使用したのよ(・・・・・・・・)。そうしないとあなたを悪魔に転生させることが出来なかったの」

 「お、俺一人で八個使ったんですか!?」

 「それが(わか)った時、あなたを下僕にしようと決めたのよ。それだけのポテンシャルを持つ人間なんて滅多にいないもの。私はその可能性にかけた。神滅具(ロンギヌス)の一つ、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を持つイッセーだからこそ、その価値があったのね」

 「俺の神器(セイクリッド・ギア)……赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)

 自分の左腕を見る一誠。

 ……所持者の能力を十秒事に倍加させ、一時的に神や魔王を超えることが出来る神滅具(ロンギヌス)の一つ。赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)か。

 

 「紅髪の滅殺姫(ルイン・プリンセス)赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)、紅と赤で相性バッッチリね。イッセー、最強の兵士(ポーン)を目指しなさい。あなたならそれが出来るはず。私の可愛い下僕なんだもの」

 「最強の……クゥ! 何て良い響き!! これで野望にまた一歩ッ」

 そんな事を思う一誠の額に部長が口付けをした。

 

 「お祝いよ。強くおなりなさい」

 「部長! 俺頑張ります!!」

 ……幸せそうな表情を浮かべる一誠。正直言ってバカ面だ。

 などと思っていると、俺の額にも感触が……っておい!! すぐ身を引いて距離を取り、口づけされたところを抑える

 

 「フフフ。一輝にもお祝いよ……と、あなたを可愛がるのはここまでにしないと、新人の女の子に嫉妬されてしまうかもしれないわ」

 「…………??」

 ……嫉妬? 誰が嫉妬なんかするんだ?

 

 「か、一輝さん……」

 背後から訊き覚えのある声がした。振り向くと……何故か涙目のアーシアがいた。

 

 「アーシア?」

 何故怒っているんだ? 俺が何かしたか?

 

 「そうですよね……。リアス部長はお綺麗ですから。そ、それは一輝さんも好きになってしまいますよね……ダメダメ! こんなことを思ってはいけません! ああ、主よ。私の罪深い心をお許し……あうっ!?」

 手を合わせ祈りのポーズをした瞬間、頭を押さえ痛みを訴える。

 

 「ど、どうした?」

 「うぅ……頭痛がします」

 「当たり前よ。あなたは悪魔になったのよ? 神に祈ればダメージぐらい受けるわ」

 「はうぅ、そうでした。私、悪魔になっちゃったんでした」

 「後悔してる?」

 複雑そうなアーシアに部長が訊くが、アーシアは首を横に振った。

 

 「いいえ、ありがとうございます。どんな形でも一輝さんや皆さんと一緒にいられるのが幸せです」

 笑顔で答えるアーシアに、部長も微笑を浮かべる。

 

 「そう、それならいいわ。今日からあなたも私の下僕悪魔としてイッセーと一緒に走り回ってもらうから」

 「はい! 頑張ります!」

 元気よく返事をするアーシア……だが、一つ気になることがある。

 

 「アーシア。その制服は……」

 何故だか駒王学園の女子の制服を着ていた。俺の指摘に、クルリと一回転し、恥ずかしそうに尋ねてくる。

 

 「に、似合いますか?」

 「最高だアーシア! 後で一緒に写メ撮ろう! ほら、一輝も何か言ってやれよ!!」

 見るとアーシアが頬を染め俺を見ていた。何故頬を赤くするのか疑問だが……。

 

 「可愛いし、似合ってるぞ」

 本心を告げると、顔を紅くし『はぅぅ』と言っていた。熱でもあるのか? 体調が悪ければ早めに治さないと。

 

 「アーシアにもこの学園へ通ってもらう事になったのよ。あなたたちと同い年だから二年生ね。クラスも同じところにしたわ。来週が転向初日となっているから、彼女のフォローよろしくね」

 同じクラスか……まあ、とにかく。

 

 「これからよろしく、アーシア」

 「よろしくな、アーシア!」

 「よろしくお願いします、一輝さん、イッセーさん」

 綺麗なお辞儀をするアーシア。

 

 「おはようございます部長、イッセー君、一輝君、アーシアさん」

 「……おはようございます、部長、イッセー先輩、一輝先輩、アーシア先輩」

 「ごきげんよう、イッセー君、真紅君、アーシアちゃん」

 木場、小猫、朱乃先輩が挨拶を交わす。

 

 「さて、全員が揃ったところでささやかなパーティを始めましょうか」

 部長が立ち上がり、指を一つ鳴らすとテーブルの上に大きなケーキとティーセットが現れた。小猫が眼を光らせている。ホント食欲旺盛だな。

 これも魔力か……戦い以外にもこういう使い方もあるのか。俺ももっと色々、覚えなくちゃいけないな。

 皆が楽しそうに話す中、俺は奇妙な視線に気づいた。周囲を見渡すと、部室の窓から見える木に見慣れない鳥が止まって見ていた。

 何だ、あの鳥は? 

 俺が鳥を凝視していると、アーシアが俺の制服を引っ張ってきた。

 

 「一輝さん、どうしました?」

 「あ、いや。何でもない」

 もう一度見たときには、すでに鳥はいなくなっていた。

 ……奇妙な鳥だったな。まぁ、今はパーティーを楽しむかな。鳥の事を頭から追い出し、楽しんでいる皆の輪に加わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……だが、この鳥が俺達に新たな波乱(面倒ごと)を呼ぶ前兆だとは……この時、思いもしなかった。

 

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