ハイスクールD×D 蒼の継承者の物語   作:Yunnan

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フェニックス登場

一誠side

 

 「部長のお悩みね……たぶん、グレモリー家に関わることじゃないかな」

 旧校舎に向かう途中、木場は俺にそう応えた。

 一輝とアーシアと一緒に部室に向かう途中に木場が合流してきた。そこで俺は部長が最近「心ここにあらず」状態になっていることを訊いてみたわけだが、木場も詳しくは知らないようだ。

 

 「朱乃さんなら、何か知ってるかな?」

 「あの人は部長の懐刀だからおそらくッ」

 途中、木場が足を止め表情を険しくした。一輝の奴も、部室の方に視線を向け足を止めていた。

 

 「どうしたんだよ?」

 「……ここに来て初めて気づくなんて。この僕は」

 「ハァ。面倒事決定……だなこれは」

 何だ? 何事? 二人はそれだけ言うと、旧校舎に歩き出す。俺とアーシアは二人の行動に首をかしげながらも、部室に向かう。

 部室の扉を開けると室内には部長、朱乃さん、小猫ちゃんに……おお! とっても綺麗なメイドさんがいた! って、誰だ? このメイドさんは?

 腕を組んで機嫌の悪い表情の部長。ニコニコ顔の朱乃さん……だけど、どこか冷たいオーラを漂わせている。

 小猫ちゃんはソファーに座っていたけど、誰とも関わりたくないって感じだ。

 会話の無い張り詰めた空気が室内を支配している。

 ……く、部室内の空気が重い!! いつもみたいにメンバーに声をかけられねぇ。

 木場は後ろで「まいったね」と小声で呟き一輝は頭に手を当てハァと溜息一つ。隣のアーシアが、不安げな表情で一輝の腕を掴む。

 

 「全員揃ったわね」

 「お嬢様(・・・)、私が話をしましょうか」

 お嬢様(・・・)!? ッてことはこの人は部長のメイドさんか!

 メイドさんの申し出を部長は要らないと手を振った。

 

 「実はね……」

 部長が口を開いた瞬間。部屋の床に描かれていた魔方陣が光りだした。

 え? ……転移現象? グレモリー眷属は全員部室にいるし、誰が来るんだ? 

 疑問に思う俺。だけど魔方陣に描かれていたグレモリーの文様が変化し、見知らぬ形に姿を変えた。

 ッ! 何だこれ!? グレモリーの魔方陣じゃない!!

 

 「……フェニックス(・・・・・・)

 木場がそう口から漏らした。

 フェニックス? じゃ、じゃあやっぱりグレモリーじゃないのか!

 魔方陣が光を発すると炎が巻き起こった。室内を熱気が包み込む。熱ッ! 肌に火の粉がつく!

 すると炎の中に人影が姿を現し、腕を横に薙ぐと炎が取り払われた。

 

 「ふぅ。人間界は久しぶりだ」

 そこにいたのは赤いスーツを着た男だった。スーツを着崩しネクタイもしないで、胸までシャツを開けていた。整った顔立ちだが、どこか悪ガキっぽい影がある。

 ホストっぽい悪魔だな。イケメンフェイスが鼻につく。木場が爽やか、千輝がクールイケメンなら、コイツはワル系イケメンだな。

 男は部屋を見渡し、部長を見ると口元をにやけさせた。

 

 「会いに来たぜ。愛しのリアス(・・・・・・)

 い……愛しのリアス? 部長とどういう関係なんだコイツ。

 部長は無言のままただ半眼で男を見ていた。とても歓迎してるとは思えない。

 

 「だれだコイツ」

 「兵藤一誠様、出海一輝様。この方はライザー・フェニックス様。純血の上級悪魔であり、フェニックス家のご三男であらせられます」

 「フェニックス家?」

 「そしてグレモリー家次期当主の婿殿(・・・・・・・・・・・・・)

 グレモリー家の次期当主って……まさか!!

 

 「すなわち、リアスお嬢様のご婚約者であらせられます」

 「こ、婚約者――――――ッッ!?」

 俺はあまりのことに絶叫した。

 何てこった。野郎はリアス部長の婚約者だった。

 

 

 

 

 

一輝side

 

 「いやぁ、リアスの女王(クイーン)が入れてくれたお茶は美味しいものだな」

 「痛み入りますわ」

 いきなり部室に現れた部長の婚約者……ライザー・フェニックスは部長の隣に座り髪に触れ、肩を抱いたりしている。

 部長は何度も払いのけているが、奴は気にせず同じことを繰り返す。朱乃先輩は笑みを浮かべるも何時もと違っていた。表情に出していないが、ライザーを好ましく思っていないようだ。

 俺は何気なく奴の闘級を見る。

 闘級20381(魔力6589/武力6957/気力6835)

 闘級二万越え。上級悪魔は皆二万越えなのか?

 

 「いい加減にしてちょうだい! ライザー。私はあなたと結婚なんてしないわ」

 激高した部長が、ライザーの手を払いのけ立ち上がり鋭く睨みつける。だがライザーはニヤけた表情を浮かべたままだ。

 

 「だがリアス。君の御家事情はそんなわがままが通用しないほど切羽詰まってるんだろう? 先の戦争で激減した純血悪魔の血を絶やさないというのは、悪魔全体の問題でもある。君のお父様もサーゼクス様も、未来を考えてこの縁談を決めたんだ」

 ニヤけた表情から一変。真面目な顔つきなライザーはカップに口をつけてから、話を続ける。

 

 「新鋭の悪魔(・・・・・)……キミの下僕みたいに人間から転生悪魔が最近は幅を利かせているが、それでは俺たち古い家系である上級悪魔の立場が無い。力に溢れているというだけで転生悪魔と通じる旧家もいる。まぁ、それも良いだろう。新鮮な血もこれからの悪魔には必要だ。だが、純血の悪魔を途絶えさせるわけにはいかないだろう? 俺とキミは純血を途絶えさせないために選ばれたんだ。俺の家は兄達がいるから問題ない。しかし、キミのところは兄妹二人だけ。しかもキミの兄君は家を出られたお方だ。そうなると、リアスしかグレモリー家を継ぐ者しかいないんだぞ? 婿を得られなければキミの代でグレモリーは潰えるかもしれない。キミは長く続いた家を潰すつもりか?」

 悪魔の未来の為……か。純血を絶やさないためなら政略結婚も有りということか。そこまで切羽詰まってるんだな悪魔社会は。

 

 「家を潰しはしないわ。婿養子だって迎え入れるつもりよ」

 部長の言葉を訊いたライザーは笑みを浮かべた。

 

 「おおっ。さすがリアス! じゃぁ、早速俺と……」

 「でもあなたとは結婚しないわ、ライザー。私は私が良いと思った人と結婚する。古い家柄の悪魔にだって、それぐらいの権利はあるわ」

 と自分の意思をハッキリと告げる。途端、ライザーの機嫌が悪くなり舌打ちし立ち上がる。

 

 「俺もな、リアス。フェニックス家の看板背負った悪魔なんだよ。この名前に泥を塗られるわけにはいかないんだ。こんな狭くてボロい人間界の建物なんかに来たくなかったしな。というか俺は人間界があまり好きじゃない。この世界の炎と風は汚い。炎と風を司る悪魔としては、耐え難いんだよ!」

 ボワッ!

 ライザーの周囲を炎が駆け巡り背に火の翼を作る。部室内を火の粉が舞う。

 

 「俺はキミの下僕全員燃やし尽くしてでもキミを冥界に連れて帰るぞ」

 殺意と敵意をむき出し俺達を睨みつける。ビクついたアーシアが俺の腕に強く腕に抱きついてきた。一誠も同様に震えていた。

 ……怖いか? こんな威勢のいいだけな奴? 俺が通っていた彼女の道場の師匠や戦場で出会った殺し屋。怪物(モンスター)に魔獣。更に魔神族(・・・)の方が遥かに怖いし強かった。何度死を覚悟したことか。

 木場と子猫。朱乃先輩は震えてはいないが、臨戦態勢に入ってもおかしくない空気をだしている。

 

 「やってみなさいよ。ライザー」

 部長もライザーと対峙し、紅い魔力を全身から発する。

 一触即発かと思ったが、そこにグレイフィアさんが介入した。

 

 「お嬢様、ライザー様、落ち着いてください。これ以上やるのでしたら私も黙って見てるわけにもいかなくなります。私はサーゼクス様の命を受けてこの場におりますゆえ、一切の遠慮などしないつもりです」

 迫力のあるグレイフィアさんの言葉に、二人は表情を強張らせた。

 部長は魔力を収め、ライザーは炎を消し深く息を吐きながら頭を振った。どうやら最悪の事態は避けられたようだ。

 

 「最強の女王(・・・・・)と称されるあなたにそんな事言われたら、さすがに俺も怖いよ。バケモノ揃いと評判のサーゼクス様の眷属(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)とは絶対に相対したくないからな」

 最強の魔王と呼ばれている部長の兄の女王(クイーン)グレイフィアさん。

 闘級164758(魔力55617/武力52301/気力56840)

 女王(クイーン)で16万を超える闘級……。一体魔王はどれくらいなのか。検討がつかないな。

 グレイフィアさんは二人の戦意がなくなったのを確認し、静かに告げる。

 

 「こうなることは、旦那様もサーゼクス様もフェニックス家の方々も予想されておられました。正直申し上げますと、これが最後の話し合いの場だったのです。よって決裂した場合の最終手段を仰せつかっております」

 「最終手段? どういうこと、グレイフィア」

 「お嬢様がそれほどまでにご意思を貫き通したいということであれば、ライザー様とレーティングゲーム(・・・・・・・・・・・・・・・)にて決着をと(・・・・・・)

 「ッ!?」

 グレイフィアさんの言葉に、部長は言葉を失う。

 

 「レーティングゲーム? どこかで……」

 訝しげな一誠に木場と朱乃が説明する。

 

 「爵位持ちの悪魔たちが行う、下僕同士を戦わせて競う、チェスに似たゲームだよ」

 「私たちが悪魔の駒(イーヴィル・ピース)と呼ばれるチェスの駒を模した力を有しているのは、そのためですわ」

 それを上の悪魔は鑑賞して楽しむか……いいご身分だな。

 

 「俺は別に構わないぜ? 俺はすでに成熟しているし公式のゲームを何度も経験してるし、勝ち星も多い。キミは経験どころか、まだ公式なゲームの資格(・・・・・・・・・)すらないんだぜぇ?」

 余裕の笑みを浮かべ部長を見るライザー。もしゲームで戦っとしても絶対に勝てる自信があるんだろうな。

 

 「しかし、非公式純血悪魔同士のゲームならば、半人前の悪魔でも参加できます。この場合の多くが……」

 「身内同士、または御家同士のいがみ合い。お父様は私が拒否したことを考えて、最終的にゲームで今回の婚約を決めようってハラなのね? ……まったく! どこまで私の生き方をいじれば気が済むのかしらッ!」

 不機嫌を露にする部長……そこまで純血は大切なものなのか? 上級悪魔の考えは良く(わか)らんな。

 

 「ではお嬢様はゲームを拒否すると?」

 「いえ。いい機会だわ。ライザー。あなたを吹き飛ばしてあげる!」

 「いいだろう。そちらが勝てば好きにすればいい。だが、俺が勝てばリアスは即俺と結婚してもらう」

 睨みあう部長とライザー。両者は一歩も引かない。

 

 「承知いたしました。お二人のご意見は私グレイフィアが確認させていただきました。ご両家の立会人として、このゲームの指揮は私が執らせてもらいます。よろしいですね?」

 「ええ」

 「ああ」

 「わかりましたご両家には私からお伝えします」

 承認したグレイフィアさんは頭を下げる。

 こうして俺を抜いたメンバーの、初のレーティングゲームの参加が決まった。

 

 「なぁ、リアス。念のため聞いておきたいんだが、キミの下僕はこの面子で全てなのか? それに……なぜ下等の人間がここにいるんだ」

 ライザーは俺を冷めた眼で見る。今気づいたのかコイツ。

 

 「一輝は神器(セイクリッド・ギア)所有者で私に協力してくれているの」

 「へ~。この下等な人間風情が悪魔に協力ね」

 顎に指を添え、品定めのように上から下まで見た後、「ハッ」と鼻で笑う。

 ……悪魔にもいるんだな、こういう輩は。

 

 「まぁ今はそれどころじゃないな。俺の眷属を見せてやるよ」

 パチン! 

 指を鳴らすと、先と同じフェニックスの魔方陣が出現し炎が吹き上がる。

 魔法陣の光から人影が続々と現れる。

 

 「こちらは十五名。つまり駒がフルに揃っているぞ」

 ライザーの下僕は全て女性だった。コイツ……女ったらしか? いや。それ以前に六対十五か……初戦からキツイな。闘級は、女王(クイーン)を除けばほぼ互角と言ったところか。

 ライザーの下僕が出現した瞬間。

 

 「美女! 美少女ばかり十五人だと!? なんてやつだ! ……ッ。なんて男だ――っっ!」

 一誠がライザーの下僕を見て人目も気にせず号泣した…………コイツ本当にバカだろ? 頭大丈夫か? 

 

 「お、おいリアス……この下僕君。俺を見て号泣してるんだが」

 大号泣する一誠を見たライザーが驚き、目元を引きつらせマジで引いている。

 

 「その子の夢がハーレムなの。きっとライザーの下僕悪魔を見て感動したんだと思うわ」

 訊かれた部長も困り顔で額に手を当てていた。

 

 「キモいですわ」

 ドレスを着た少女も一誠を見て呟く。(ライザー)の下僕にまで言われてるぞ一誠。少しは自重しろ。

 ライザーは呆れていたが、不意に何か思いつたように嫌な笑みを浮かべた。

 

 「なるほどね。ユーベルーナ」

 「はい。ライザー様」

 名を呼ばれた魔導師みたいな恰好をした女、ユーベルーナはライザーに近づく。ライザーは顎を掴むと……マジか。 人目を気にせずいきなりキスをしだした(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)。ユーベルーナ頬を赤く染め腕を回し身体を密着させた。

 一誠は絶句し、アーシアと小猫は顔を赤くし。俺と木場、朱乃先輩と部長は嫌悪の表情を浮かべる。グレイフィアさんだけは変わらず無表情だ。

 コイツ……婚約者がいるのに他の女とキスをするのか? それ以前に他人に見せつけるとかどういう神経しているんだ?

 キスを終えると、ライザーは後ろからユーベルーナを抱きしめ、胸を触りながら一誠を嘲笑う。

 ……品性下劣だな。こんな輩ばかりなのか? 上級悪魔は?

 

 「お前じゃ一生こんなことは出来まい。下級悪魔君」

 「俺が思ってることをそのまま言うんじゃねぇ!! ブーステッド・ギア!」

 嫉妬心全開で激情した一誠は、左腕を天にかざし、神器(セイクリッド・ギア)を出現させる。

 

 「お前みたいな女ったらしと部長は不釣合いだ!」

 「は? その女ったらしに憧れているんだろう?」

 「そッ、それとこれは別だ! そんな調子じゃ、部長と結婚した後も他の女の子とイチャイチャしまくるんだろう?」

 「英雄色を好む……確か人間の諺だよな? いい言葉だ。まぁ、これは俺と下僕たちとのスキンシップ。お前だって、リアスに可愛がってもらっているんだろう?」

 「なにが英雄だ! お前なんかただの種まき鳥野郎じゃねぇか(・・・・・・・・・・・)! 火の鳥フェニックス? ハハハ! まさに焼き鳥だぜ!」

 挑発にライザーと下僕が一誠を睨む。

 

 「貴様、自分の立場をわきまえてものを言っているのか? 上級悪魔に対して態度がなってねぇ。リアス、下僕の教育はどうなっているんだ」

 部著は『知るか』と言わんばかりにそっぽを向いた。

 

 「ゲームなんざ必要ねぇ! 俺がこの場で全員倒してやらぁ!」

 『Boost!!』

 籠手の宝玉から音声が発せられる。同時に一誠の闘級が少しだけ上がる。

 

 「イッセーさん!」

 「イッセー!!」

 「ミラ」

 「はい、ライザー様」

 一誠が飛び出すとライザーは嘆息し下僕に命令する。出てきたのは、小猫と変わらない体躯に童顔な女の子。

 ミラと呼ばれた女は、武道家が使いそうな長い棍を器用に回し構える。

 相手が女だったせいか一瞬迷いを見せる。その隙をついてミラは踏み込み一誠の腹部に一撃を放つ。

 

 「……チッ」

 パシ! 

 一誠の腹に当たる一撃を、俺は二人の間に入り込み受け止める。

 

 「相手が自分より小さな女だからって油断するな一誠」

 「か、一輝」

 「ミラ!? 貴様! 何邪魔をする!!」

 「邪魔をしちゃいけないのか? 一誠。お前も落ち着け。今のお前じゃ、この子にすら勝てない」

 「け、けどっ!!」

 「女だと油断したお前が文句言うなッッ!!」

 「ッ!!」

 何か言いたそうだが、口を閉じ大人しく引き下がる。それを見たライザーが呟いた。

 

 「弱いな、お前」

 その言葉を聞いた一誠は、一瞬身体をビクつかせた。

 

 「さっきお前に攻撃したのは兵士(ポーン)のミラだ。俺の下僕では一番弱いが、少なくともお前よりも実戦経験も悪魔としての素質も上だ。そこの人間が助けたとはいえ、お前は反応すら出来なかった。凶悪にして最強最悪のブーステッド・ギア。やり方しだいじゃ、俺どころか魔王も神も倒せる。お前の他にも使い手は数えるくらい存在した。だが、未だに魔王退治も神の消滅も成されたことは無い。この意味がわかるか?」

 ライザーは嘲笑う。

 

 「その神器(セイクリッド・ギア)不完全であり、使い手も使いこなせない(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)弱者ばかりだったってことだ(・・・・・・・・・・・・・)。 お前も例外じゃない。こういう時、人間の言葉でなんと言ったかな? ……そうだ、『宝の持ち腐れ』、『豚に真珠だ』だ! フハハハハ! お前にピッタリだな! リアスの兵士(ポーン)くん!」

 実に愉快そうに笑うライザー。

 ……コイツはどこまで人を貶せば気が済む? 限度を知らないのか?

 

 「ライザー! あなたッ!!」

 余りの言いぐさに我慢出来なかった部長が食ってかかろうとするが……。

 

 「いい加減にしろよ鳥野郎」

 俺の方が我慢できなかった。

 

 

 

 

 

一誠side

 ……ちくしょう。俺はあまりの悔しさに奥歯を噛んだ。言い返してやりたいが、言い返せない。弱いってのは事実だからだ。俺はミラって子の攻撃が見えなかった。一輝が助けてくれなきゃ無様にやられていた。不甲斐なさすぎる!

 

 「ライザー! あなたッ!!」

 部長が食って掛かるが、それよりも早くキレた奴がいた(・・・・・・・)

 

 「いい加減にしろよ鳥野郎」

 「「「「「!?」」」」」

 そう、一輝だった。振り返れば何時もの紅い眼じゃなくあの時……レイナーレを氷漬けした時と同じ澄んだ蒼い双眸で、冷たい眼でライザーを睨み、左手には青い鞘が握られていた。

 一輝を中心に冷気が溢れ、足元から氷が部室の床を伝い温度を下げソファーや床。窓を凍らせていく。

 凍えるほどの冷気と殺氣が部屋を包み込む。ライザーの熱気なんかとは桁違いだ。息をするだけで口の中までも冷たく感じる。

 

 「お前の言う通り、確かに一誠は弱い。人間から悪魔に転生してから悪戦苦闘の毎日だ。……それでもコイツは折れることなく、部長やみんなの力になろうと必死に頑張っている。何も知らない……いや。知ろうともしないお前が一誠を……俺の友人をバカにすんじゃねぇよ」

 ………………。

 

 「お前は言ったな。俺はフェニックス家の看板を背負っている、この看板に泥を塗られるわけにはいかない……お前の先の傍若無人の振る舞いに傲慢な発言が泥を塗っていることに気がつかないのか? ああ、気が付くわけないか。一誠の言うとおり焼き鳥なら頭脳も鳥頭か」

 「貴様ッ! 自分の立場を考えてものを言っているのか!!」

 「婚約者が目の前にいるのに、下僕とキスをする品性下劣な種まき鳥ごときに態度を改める必要がどこにある? 寝言は寝て言え下劣悪魔が」

 「っ!! 人間風情が」

 千輝に言われた事に腹を立てたのか、青筋を浮かべライザーは一輝に近づき胸倉を掴むっ。

 

 「……凍てつけ」

 バギイィィッッ!!

 

 「ぬあっ!?」 

 瞬間、一輝が素早く言葉を発した瞬間、掴もうとしたライザーの腕が氷付き

 ガシ。ミシミシミシ…………バガアァァァァン!!

 凍り付いた腕を逆に掴み返し、力任せに粉砕した! 

 

 「ぐがあぁっっ! 貴様っ!」

 ズシュッ。

 怒りに顔を歪めたライザーが言葉を発しようとした時、鞘から刀を抜いた一輝が切っ先を口から差し込み後ろまで貫通させたせいで口を訊けない状態に!! 流石にやりすぎじゃないか一輝!? 

 

 「…………どうしよっか。これ以上俺はお前の声を訊きたくないからこのまま氷像にしちゃおっか。それとも未来永劫決して解けない永久凍土の氷に閉じ込めようか? どっちがいい?」

 「一輝! お願いだからこれ以上はっ」

 「俺は部長の協力者だ。部長が協力を求めるなら俺は全力を持って応えるまでだ」

 「!!」

 部長が眼を見開き一輝を見る。

 

 「それに、部長はお前のものじゃない。今はこの駒王学園……オカルト研究部の部長としてここにいる。これ以上、困らせるのは止めてもらおうか?」

 刀を抜き鞘に納め殺氣を収め俺達の場所に戻ってきた。その時見た眼は蒼い眼から紅い眼に戻っていた。……一輝の奴。怒ると眼の色が変わるのか?

 ライザーは怒りに顔を歪めていたが、グレイフィアさんによって制されていた。

 あの後、ライザーは下僕と一緒に魔方陣で帰っていく際も一輝を睨みつけていたが、無視しているのかスマホを触っている。

 ライザー立ちが帰った後、残ったのはいつものメンバーにグレイフィアさんだった。

 

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