ハイスクールD×D 蒼の継承者の物語   作:Yunnan

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始まり

一輝side 

 「……」

 転生した出海一輝だ。まず転生は上手くいったのだが、まさか赤ん坊になっているとは驚いた。名前が変わっているのは俺が出海家の夫婦に引き取られその人に名前を付けてもらったからだ。現在俺は今、キッチンで朝食とお弁当の準備をしている。

 味噌汁を作っていると、階段から二人分の足音が訊こえる。

 

 「おはよう。養父さん、養母さん」

 「あら、おはよう一輝」

 「……おはよう一輝」

 ドアを開け入ってきたのは、笑みを浮かべている養母、出海加奈子。そしてツリ目で厳しそうな感じの雰囲気を纏っているのが養父の出海徹。俺を孤児院から引き取り育ててくれた養父養母だ。

 

 

 

 

 

 出海家に引き取られる前は、俺は孤児院で過ごしていた。俺が孤児院で育ったのは、単に孤児院の前に捨てられていたからだ。

 何故俺が元の親から捨てられていたのか……簡単だ。俺がアルビノ持ちだからだ。

 真っ白な素肌に髪、赤より血のように真紅な瞳。アルビノにみられる症状の一つだ。それが原因で俺を生んだ両親は俺を捨てた。

 酷い話だろう? ただ病気持ち(アルビノ)と言うだけで捨てられたんだ。まったく、転生早々とんだ貧乏くじを引いたな……まぁ、生まれは誰もどうすることは出来ないからな。あの時、転生後の俺を抱き上げてくれたのは、孤児院を経営してる夫婦だった。そして引き取られるまで孤児院で育ったが、殆ど一人で過ごしていた。理由は、転生前からも昔から他人とのなれ合いが苦手で口数が少なく、目つきも鋭いおかげで怖がられ、一人でいることが多かった俺は友達も作ることもなく一人で過ごしていた。それ以前にアルビノ持ちが不気味なのか、向こうからも近寄ることはなかった。

 ……まぁ、それでも俺と仲良くなろうと二人の女の子とは一緒にいることが多かった。正直言えば鬱陶しかったが、泣かしたりすると職員の人や経営者の夫婦から長い説教があるから必要最低限に相手をしていた。

 そして俺が七歳の時に、ある夫婦が俺を引き取りに来た。それが今の俺の義理の両親だ。

 何故アルビノである俺を引き取ったのか理由が(わか)らなかったが、母親を見て解った。養母……加奈子も俺と同じアルビノだった(・・・・・・・)

 同じ症状持ちで孤独な気持ちが解るのか、養母(かあさん)は毎日俺に愛情を注いでくれた。

 転生前は碌に両親から相手にされなかった俺にとって、嬉しくもあり少し恥ずかしいものがあった。何せ見た目は子供でも(精神)は高校生だからな。

 養父(とうさん)の徹は、幼少のころから武道を習っていて全国大会で連覇をするほどの実力者だ。だが、ある事件を機に腰を壊してしまい二度と武道をできなくなってしまった。

 その事件は母さんが強姦に襲われた所を助けた時、受けた怪我が原因だ。

 元々、義母さんも家が一般の家ではなく、大昔から続く由緒正しい退魔師の家の出身だ。だがアルビノ持ちで生まれた義母さんは家族から蔑にされ、親族や従妹からも不気味がられていた。一人孤独を過ごした義母さんは十五で家を出て、唯一味方してくれた兄のおかげで寮付きの高校に入学。しかし、そこでも同学年から虐めを受け、完全に人間不信に陥った。そしてある日のバイトの帰り道、複数の男に連れ去られた義母さんは強姦されかけるが、そこで助けに行ったのが養父()だった。

 武器を持っている相手を難ともせず撃退した義父さんは母さんを助けたのだが、一人隠れていた男に気づかず不意を突かれ、バットの一撃を受けてしまったのだ。骨折等はなかったが、バットを受けたのが原因で腰を悪くしてしまい武道を止めることになった。これが二人の初の出会いだった。

 俺と同じで口数が少なく不愛想で常に一人だった義父さんに人間不信であった義母さんは怯えることはなく優しく接して上げ常に一緒にいてあげたのだ。義父さんも義母さんのアルビノを不気味に思うことはなく、むしろ綺麗だと称賛していたと訊いた。

 そして大学時に義父さんから告白したのを切っ掛けに交際が始まり、卒業と同時にめでたく結婚をした。

 ……だが、ここで追い打ちをかけるかのように不幸が二人を襲う。アルビノが原因で虐めを受けたせいで、母さんは子を宿せなくなっていたのだ(・・・・・・・・・・・・・)

 二人は悲しんだ。子を宿すのは女として尊く嬉しいことだと義母さんが俺に言っていた。

 義父さんと義母さんは不幸に会い続けながらも別れることなく生活を続けていた。そして数年後、偶然通りかかった孤児院で同じアルビノ症状を持った俺を見つけ、俺を養子に引き取ったわけだ。こうして俺は出海家の一人として生きているのだ。

 そして俺はこの世界でも特典で貰った力を使えるよう鍛錬し、義父さんと孤児院にいた一人の少女から紹介された道場の師匠(せんせい)から武術を教わり、義母さんからは炊事洗濯、そして退魔師として結界術や補助的な術を幾つか教えてもらった。

 

 「何時もご飯とお弁当作ってくれてありがとう一輝。本当は私が作らなくちゃいけないのに……」

 「義母さんばかりに負担は掛けないさ。少しは俺を頼ってくれ……先に食べてて。俺も弁当のおかずを入れたらすぐ行く」

 「あら、ありがとう。徹さん、お言葉に甘えていただきましょう」

 「うむ」

 二人がリビングに向かうとき……気づきたくなかったが気づいてしまった(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

 「あ~~、義母さん」

 「ん? 何かしら?」

 「その……頬に、ついてるぞ」

 「?? 何が?」

 「/// その……白いのが(・・・・)///」

 結構な量がべっとりと///

 

 「本当? ……あら! もう、徹さん。ついているならついていると言ってください。恥ずかしいわ」

 「……無茶言わんでくれ///」

 「うふふ……朝起きたら徹さん、苦しそうだったから(・・・・・・・・・)。伴侶としてはね。うふふふ」

 「ぬぅ///」

 「///」

 妖艶に微笑む義母さんに言われ、義父さんは頬を赤くする。

 義父さんと義母さんは仲睦まじく、夫婦喧嘩すらしたこともなく近所でも有名なほどおしどり夫婦なんだけど……二人は結婚してから……そのだな。しているんだ(・・・・・・)。しかも誘っているのは義母さんだ。

 この前の夜も、リビングで俺が休憩しているのにも関わらず、『徹さん。今日はイイ物が買えましたから、楽しみましょ』……と包み隠さず言うもんだから、これには悩みの種なんだ。まぁ、義父さんも嫌そうにしていないから良いんだが。

 

 「一輝。早くこっちに来て朝食食べちゃいなさい。時間無くなるわよ?」

 「今いく……これでよし」

 弁当におかずを詰み終え包み込んで終わりと。さて。早く飯食っちまうか。

 

 

 

 

 

 「じゃあ、行ってきます」

 「……行ってくる」

 「はい。行ってらっしゃい」

 義母さんに見送られ、俺と義父さんは家を出る。

 

 「一輝……学校は楽しいか?」

 「まぁ、それなりに楽しんでる」

 「虐められていないか?」

 「大丈夫。平気だ」

 「……そうか」

 他愛のない会話をしながら歩き、途中の曲がり角で義父さんと別れる。

 俺はアルビノのおかげで幾つか学校を転校している。やはり日本人にとってアルビノは気味が悪いのだろうな。小学校じゃ悪口や筆箱や上履きを隠すのは当たり前。中学ではそれに加え暴力も増えてきた……まぁ、手ぇ出してきた奴らは全員張り倒し(半殺し)て病院送りにしてやったらさすがに先生にキレられた。そのせいで何度も学校を転校した。その時は本当に義父さんと義母さんに迷惑をかけて申し訳ない気持ちで一杯だった。え? 病院送りにした奴らには詫びないのか? 必要ないだろ? そもそもイジメてこなきゃ病院送り(ああは)にならなかったんだ。中には政治家の子供や大手会社の社長の子もいたが抹消()した。権力行使して好き勝手やる人間(ゴミ)に生きる価値は無い。税金を無駄に使われるくらいなら殺した方が断然良い。

 今俺が向かってる学校は、駒王学園と呼ばれるところだ。この学園は数年前まで女子高で、人数の割合が二年で七対三、三年で八対二と圧倒的に女子が多い。そしてこの学園でも幾つか問題がある(・・・・・)

 

 「あ!おはよう一輝君!」

 「今日もカッコいいね!」

 「ねぇ、あの人があの一輝先輩?」

 「そう! アルビノだけど、あの雪のように白い髪に肌!! 綺麗だよね~!」

 「うんうん! 紅い瞳も綺麗!」

 ……この通り。一歩学園内に足を踏み入れれば、登校中の女子生徒が声をかけてきたり、ヒソヒソと小声で話すんだ。正直に言えば止めて欲しい。男子からの嫉妬に恨みの籠った視線がウザいんだ。

 自分のクラスに入り自分の席に向かい机の上に鞄を置き、ふと窓を見ると視線の先で俺は怪しげな男子三人組を見つけた。しかも同じクラスの男子だ。

 ……またか。面倒だが後をつけるか。

 

 

 

 

 

 バレないよう氣配を殺し着いた場所は道場の反対側にある倉庫だ。そこで二人は壁に顔を寄せ覗きをしている。

 

 「村山の胸、マジでけぇぇぇぇ!!」

 「ああぁ、片瀬のやつも良い足してんなぁ」

 「おい!元浜に松田いい加減に変われよ!俺だって見てぇんだよ」 

 視線の先では、二人が壁に顔を寄せ合い覗きをしている。もう一人はやはり覗きたいのか、一人の腰を掴み引っぺがそうと引っ張っている。

 ……コイツ等はクラスメイトの松田と元浜と一誠。この駒王学園である意味有名でスケベ丸出しのバカ三人衆だ。

 松田は坊主頭で、一軒爽やかそうにスポーツ男に見えるが、写真部に入っていて女子の全てを撮影したいと言う下心全開のクズ。別名『エロ坊主』『セクハラパパラッチ』。

 メガネが元浜と言い、妙にキザったらしい発言や格好をつけるバカ。そして、あのメガネは女子の体型を数値化できるらしく、何時も「あの子のバストサイズは……」と、常に視察している。別名『エロメガネ』『スリーサイズスカウター』。

 最後はエロ魔人こと兵藤一誠。とにかくエロい事が大好きで、「俺はこの学園でハーレムを作る!」とバカ宣言し奮闘中のようだが、今だに連敗記録継続更新中。実に無駄で悲しい事だ。

 ……正直に言わせて貰えば、一誠はエロを無くせばモテるんじゃないかと思う。二人よりルックスは良い方なのになのに非情に残念だ。俗にいう残念イケメン? と言う奴だ。

 クラスメイトとはいえ、覗きをしてるバカどもには制裁が必須……報告しに行くか。だが直接行くと何かと面倒なので、誰かを代わりとして行かせよう。

 ん?あの子でいいか。

 

 「おい、少しいいか?」

 「はい? ……あ、一輝先輩!」

 俺が偶然見つけた女子生徒に声をかけると、振り向いた女子は何故か頬を赤らめて俺を見返す(・・・・・・・・・・・)。風邪か? 体調不良なら学校を休め。

 

 「悪いが女子剣道部に言って来てくれないか? アイツ等(・・・・)が覗いてるって」

 「え! アイツ等(・・・・)がですか!? 解りました!!」

 俺の横を通り抜け、道場へ駆けて行く後輩。アイツ等で犯人が解るとは……ある意味有名人だな。

 

 

 

 

 

 暫く歩いていると、後方から聞こえてくる複数の足音と怒号に悲鳴。振り返ると……予想通り、逃げるバカ三人共と竹刀を振り上げ怒り心頭の女子剣道部だった。

 

 「「「「待ちなさ―――――い!!」」」」

 「「「ギャ――――!!」」」

 必死こいて逃げる三人。それを追う女子剣道部。どっちも速いなと思いつつ……。

 

 「……」

 バキィッッ!

 

 「「「イッデェ!?」」」

 俺の横を通り抜けようとした瞬間、偶然近くに遭った箒を手に取り、フルスイングで三人の額に一撃加える。

 三人は綺麗に額を抑え座り込む。

 

 「何すんだクラァ一輝!!」

 「俺らに恨みでもあんのか一輝!」

 「一輝!」

 上から順に元浜(メガネ)松田(ハゲ)兵藤(スケベ魔王)。俺はさして気にせず……。

 

 「……後ろ」

 と教えてやる。

 

 「「「後ろ?」」」

 三人が振り向くとそこには。

 

 「「「「覚悟は出来てるんでしょうね?」」」」

 「「「!!!(゚Д゚;)」」」

 三人の背後には竹刀を構え、修羅の表情をした村山と片瀬、複数の剣道部員がいた。全員から殺氣が溢れている。覗かれればそりゃキレるよな。

 驚きのあまり固まる三人を俺は放っておいてある場所へ向かう。

 

 「あ、ちょまッ……」

 「逃がすと思う?」

 肩越しに見れば、兵藤の肩を掴む村山の表情はドス黒い笑みを浮かべている。

 

 「二度と覗きが出来ないようにしてあげるね」

 「「「NO――――――――ッ!!!」」」

 制服の襟元を掴まれ何処かへ引きずられていく三人。

 バカの悲鳴が遠くから聞こえる中、俺は校舎の裏手にある旧校舎に来ていた。今の駒王学園が出来るまで使用されていた場所だが、今じゃ木々に囲まれている。

 廊下の奥へ進み、階段を上り更に進みある教室の前まで行き戸を叩く。

 

 「入ってちょうだい」

 中から女性の声が返ってくるのを確認し、俺は戸を開け中に入る。

 教室内は、中央に巨大な魔方陣が描かれておりソファやテーブル、デスクなど家具が置かれていた。そして室内には二人の女子生徒がいる。

 

 「久しぶりね一輝」

 「お久しぶりですね、一輝君」

 向かいのソファーに座っている紅髪をした女性と、黒い長髪をポニーテールにした女性が声をかけてくる。

 

 「久しぶりです……リアス部長。朱乃さん」

 紅髪の女子生徒がリアス・グレモリー先輩。そして黒い長髪ポニーテールが姫島朱乃先輩。二人とも三年で先輩だ。この駆王学園の二大お姉さまと呼ばれていて、男女共に人気の的だ。そして元浜が言うには彼女にしたいランキングNo1.2らしい……正直興味ないが。

 なぜ俺が彼女たちと知り合ったかは、一年前にちょっとした出来事があって……これはいつか話すとしよう。

 

 「さぁ、やるわよ」

 部長がソファに座るよう促す。間を挟むようにあるテーブルの上にはチェスが置いてあった。

 反対のソファに座りチェスを始める。初めてやって負けて以来、意外に悔しくリベンジし勝ったところ、今度は部長がリベンジしてきた。部長は存外に負けず嫌いらしい。おかげで今じゃこうして昼休み時間を利用して、旧校舎の一室でチェスをしている。

 先手を譲り、勝負が始まる。そして勝負の結果は……。

 

 「チェックメイトだ」

 「ま……また負けたわ」

 俺の勝ち。楽に勝てとは言い難いが、何とか勝てた。

 

 「あらあら。今回も部長の負けのようですわね」

 「今回の勝利で……確か六連勝でしたっけ?」

 「正確には八連勝ですわ」

 「くッ! 悔しい!!」

 よほど悔しいのか両腕が震えている……偶にはわざと負けてやる、いや。それじゃ部長が納得しないか。

 

 「それじゃ俺は失礼しますよ。……それと、こっちには来週から出られると思いますよ」

 別れを告げ旧校舎を出て教室に戻った時には、バカ三人衆がボロボロの状態で机に突っ伏していた。まぁ、奴らはこうなろうとも懲りずにやるからな。

 そして今日も何事もなく何時も通りに授業が始まり何時も通りに学校が終わる。

 

 

 

 

 

 翌日。何時も通りに学校に向かっていると、歩道の途中で石化したみたいに固まっている松田と元浜がいた……いたのだが、二人の表情は……何と言うか絶望? に満ちていた。

 

 「……おい。大丈夫か?」

 肩を揺さぶったり、頬を抓るが無反応だった。何があったのか検討がつかない。時間の無駄だし、放って置くか。二人の間を抜け学校に向かう。

 教室に入ると、一誠が幸せそうな表情を浮かべていた。……アイツ等、今日に限ってどうしたんだ?

 疑問に思った俺は一誠に近づくと、向こうも気づいたようだ。

 

 「お! おはよう一輝!」

 「おはよう。今日はやけに機嫌が良いな……何かあったのか?」

 「フフフ。実はな、俺に彼女が出来たんだ!」

 一誠の彼女出来た発言にクラスは、様々反応を見せた。

 

 「なん……だと?」

 「あいつに彼女が出来ただってッ!? 俺だってまだいないのに!」

 「嘘だッ!!」

 「これは何かの間違いだ!!」

 殆どが男子の批難の声しかなかったが、一誠はさも気にせず話を続けようとしたが……。

 

 「「一誠ッ!!」」

 怒りを表情に出している松田と元浜により出来なかった。教室に入るなり一誠に襲い掛かる。

 

 「「死にさらせ――――――――ッ!!」」

 「やっば!」

 流石に不味いと思ったのか、教室から逃げ出すがすぐさま追いかけ始める。彼女が出来ただけで、人ってあんな風に変わるのか……馬鹿らしい。心配して損した。

 暫くして三人は戻ってきたが、耳障りだったので三人共をボコボコにタコ殴り、保健室に送っておいた。

 

 

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