ハイスクールD×D 蒼の継承者の物語   作:Yunnan

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婚約パーティー会場

一輝side

 レーティング・ゲームは部長の投了(リザイン)の宣言で終わった。皆奮闘していたが、やはりユーベルーナとライザーが相手じゃ荷が重すぎたようだ。

 グレイフィアさんから訊いたが試合から二日後、今冥界では部長とライザーとの悪魔の婚約パーティーが行われている。木場達は部長の眷属なので付き添いで会場にいる。会場にいないのは俺と黒歌。そして一誠とアーシアだ。

 一誠は神器(セイクリッド・ギア)禁手(バランスブレイカー)を使用した影響で、体にかかった負荷が大きいらしく未だに家で眠っているらしい。アーシアは一誠の治療の付き添いらしい。

 

 「準備はいいか。黒歌?」

 「OKにゃ」

 俺と黒歌は自室で冥界に行く準備をしていた。人間である俺が悪魔情勢に首を突っ込むのはどうかと思うんだが……このまま大人しくしてるのも違う気がする。

 

 「何をするおつもりですか?」

 不意に聞こえてくる第三者の声。振り返ればメイドのグレイフィアさんがいた。転移した氣配を感じ取れなかった……魔王のメイドなら当然か。

 

 「一誠の様子を見てから、部長を取り返しに行きます」

 「何故です? 人間の一輝様が悪魔のお家事情にそこまで干渉するのですか? リアスお嬢様はお家の決定事項に従ったのですよ? それに一輝様が動かれる理由(・・)がありません」

 「………………」

 理由か。

 

 「誰かを助けるのに、一々理由がいるんですか?」

 「…………」

 「俺はあの婚約……いや。オカルト研究部の全員が、部長の婚約を望んではいないんです。あなたはどうなんです? グレイフィアさん。あの結婚に疑問はないんですか?」

 「私はグレモリー家に仕えるメイドです。お家の決定事項には干渉も口を挟まないつもりです」

 「部長が幸せじゃなくてもですか(・・・・・・・・・・・・・・)?」

 「…………」

 無言。心を覗こうかと思ったが……やめよう。確実に感づかれる。

 

 「話は終わりですか? 時間も惜しいんで俺達はこれで失礼します。行くぞ黒歌」

 「あなた方が婚約会場へ向かえば、囚われますよ? 最悪殺されます」

 「なら全員倒します。最悪命を捨ててもね(・・・・・・・)

 死ぬ気は更々ないんだけどな。

 とりあえず、先に一誠の家に転移して容態を見てから……。

 

 「一輝様」

 再び声をかけられた。振り返ると、懐から一枚の紙の切れ端を取り出し渡してきた。紙には魔法陣が描かれていた。

 

 「これは?」

 「この魔法陣は、グレモリー家とフェニックス家の婚約パーティへの会場へ転移できるものです」

 「?」

 …………どういう吹きまわしだ?

 

 「サーゼクス様からのお言葉をあなたへお伝えします」

 一泊あけ、グレイフィアさんは真剣な面持ちで言う。

 

 「妹を助けたいなら、(・・・・・・・・・)会場へ殴りこんできなさい(・・・・・・・・・・・・)……だそうです。その紙の裏側にも魔法陣があります。お嬢様を奪還した際にお使いください。必ずお役にたつと思いますので」

 魔王様が一介の人間にそんなことを頼み込んでいいのか?

 

 「実を言いますと、あなたのことは前々から知っていたのです」

 ……どういうことだ。

 

 「お嬢様から『神器(セイクリッド・ギア)持ちの人間と協力的になったの』と、話された時から私はあなたのことを調べ魔王様に報告しました。高い戦闘能力に稀有な能力。強力な神器(セイクリッド・ギア)……これまでの功績とお嬢様達との関係性から見ても、『十分に信頼できる』と魔王様もおっしゃっていました」

 まさか魔王様に知られていたとは……驚きだ。

 

 「では、私はこれで失礼します」

 そう言い残し魔法陣で消えていった。おそらくはパーティ会場だろう。

 

 

 

 

 

一誠side

 情けねぇ。

 眼を覚ました場所は俺の部屋だった。

 負けた……大見得きっておいて、一矢も報えずドライグと取引して禁手(バランスブレイカー)したってのにこの結果だ。

 小猫ちゃん、木場、朱乃さんがやられて、部長が泣いた。

 

 「ちくしょうぅ……」

 情けなくて涙が出てきた。グレイフィアさんが言うには、みんなは婚約パーティに出席。出ていないのは一輝と黒歌に俺を看病しているアーシアだ。

 

 「ひどい顔だな」

 !!

 訊き覚えのある声。涙を拭い顔を上げると某ゲームに出てきそうな衛士な格好をした一輝に相変わらず黒い着物を着崩した黒歌がいた。何で? 二人が俺の家に……。

 

 「冥界に行く挨拶がてらだ。俺はこれから会場に乗り込む」

 え!? 俺は一瞬驚いたが、一輝の意図が把握できた。

 

 「まさか……」

 「お前の思ってる通り、部長を取り返しに行く」

 やっぱり。俺も行く! ……って言えたらいいんだけど、神器(セイクリッド・ギア)は動かないし行くだけ足手まといになるだけだし。

 

 『こいつを連れてってやれないか?』

 俺が悩んでいると、左手の手の甲が光りドライグが話しかける。

 

 「お前が赤龍帝ドライグか、俺は出海一輝だ。一誠を連れて行けというのは?」

 『ああ。本当はこいつも取り返しに行きたいらしいんだが、俺との取引との影響で神器(セイクリッド・ギア)が動かん。それに、ここで待ってるのも嫌ならしい』

 ちょ! ドライグッ! 俺が悩んでることを勝手にッ。

 

 「なら早く支度を済ませろ。時間が惜しい」 

 「え?」

 俺は驚いて千輝を見る。

 

 「良いのか?」

 「顔に出てたぞ。俺も行けたらなって」

 マジか。俺って顔に出やすいのかな?

 

 『これで行くことができるんだ。そんなことは気にするな相棒』

 そうだな……今はそれだけで十分だ!

 

 「悪い、すぐ用意する!」

 ベッドから起き上がり、制服に袖を通したところで、俺の部屋の扉が開き、アーシアが入ってくる。

 

 「っ! イッセーさん! それに一輝さんに黒歌さんまで!」

 アーシアは俺を見るなり、水が入った洗面器を床に落とし俺に近づき体中を触ってきた。おうわっ。何だ。

 

 「良かった、本当に良かったです。けがを治療しても二日間眠ったままで……。もう目を覚まさないんじゃないかと思って……本当によかったです」

 アーシアは涙を流しながらも、嬉しそうな表情を浮かべていた。泣かしちまったな……ってか俺丸々二日間も寝てたのかよ。世話ないな。

 

 「アーシア。俺達は部長を取り返しに会場へ乗り込む」

 「っ!」

 真紅の言葉に眼を見開き驚いていた。まぁ、そりゃ驚くよな。

 

 「会場まではこの魔法陣を介して向かう。すぐに戻っては来られないが」

 「私も行きます!」

 間髪入れずアーシアが言う。まいったな……いくらなんでも連れては。

 

 「(わか)った。一緒に行こう」

 って待てぃ!

 

 「ちょっと待った一輝! アーシアを連れて行くのは反対だ! 回復はできても戦えるわけじゃッ」

 「これからもアーシアは戦いやゲームに参加はする。守られるだけじゃいざ戦いに赴いたときに、能力を出せないようじゃ困るだろ。今は慣れされるために連れて行く。それに……一人だけ置いていくのに賛成か?」

 「それは……」

 アーシアを一人だけ家に置いていくのは反対だ。今日に限って親はどこかへ行っちまっていねぇし……。

 

 「(わか)った。行こうアーシア」

 「はい!」

 「決まりだな。行くぞ」

 

 

 

 

 

 シュゥゥゥン。

 一輝がグレイフィアさんから貰った魔法陣から、俺たちは見知らぬ場所へ転移した。魔力が低い俺は、置いてけぼりにされるんじゃないかと思ってたけど、この魔法陣が特殊なのかなんとかなった。

 転移した場所は果てしない廊下だった。壁には蝋燭らしきものが奥までかけられている。おおっ。巨大な肖像画も廊下の壁にかけられている。紅髪をした男性。部長の身内さんかな?

 長い廊下を進んでいく、突き当りに巨大な扉があった。あそこか? 近づくと武装した衛兵らしき男性悪魔が近づいてきた。

 

 「人間。ここへ何の用だ? ここから先はライザー様とリアス様の婚約会場だ。どうやってここまで入り込んだ」

 うわっ。めっちゃ殺氣をだして一輝を睨みつけてる。そんなに人間が嫌いか?

 

 「…………」

 だけどそんなお構いなしに一輝は扉を開けようとする。あ。無視ですか一輝さん。

 

 「おい! 訊いている……ウッ!」

 ドゴン。鈍い音が訊こえる。一輝の拳が衛兵の腹にめり込んでいる。

 

 「き、貴様ッ!!」

 バキイィン。続けざまに隣いた衛兵が氷漬けにされた。うわぁ。容赦ねぇな。

 

 「そこで氷像になってろ」

 冷たく吐き捨て、扉を開けようとしたがビクともしなかった。鍵がかかってるのかもしれない。開かないと(わか)ったのか、一輝は扉から少し離れ右腕を突き出す。掌に魔法陣が現れてバチバチと音がすると同時に光が灯り……。

 

 「あの~一輝さん。もしかして扉を破壊するきですか(・・・・・・・・・・・・・・・)?」

 「ああ。我は放つ光の白刃」

 ドカアァンッ!!

 呪文と同時に放たれた光はいとも簡単に扉をぶち壊した。当然、会場にいる多数の悪魔、ライザーの奴は部長やみんなの視線が一斉に向いた。

 前々から思ってたけど、一輝って偶に大胆な行動起こすよな。

 

 

 

 

 

木場side

 僕、木場祐斗は朱乃さんと小猫ちゃんと一緒に部長の婚約パーティに来ていた。正直言えば来たくなかったんだけど、王に付き添うのが下僕として当たり前だから文句は言えないけどね。服装も制服じゃなくて、僕はタキシード。朱乃さんは豪華な和服、小猫ちゃんはドレスを着ている。

 ここにいないのはイッセー君とアーシアさん。それに一輝君に黒歌さん。イッセー君はゲームの傷や神器(セイクリッド・ギア)禁手(バランスブレイカー)を使用した反動で眠ったまま。アーシアさんはその付き添い。一輝君は人間で黒歌さんはSS級のはぐれ悪魔だから来ることはできない。

 

 「ウフフ。お兄様ったらレーティングゲームでお嫁さんを手に入れましたのよ。もちろん(わか)っている勝負でしたけど、見せ場を作ったつもりでしたのよ」

 視線を横に移せばライザーの妹、レイヴェル・フェニックスが他の上級悪魔達にゲームの話をしていた。

 

 「言いたい放題だ」

 訊いている僕たちからしてみれば、複雑な気分だ。

 

 「中継されているのを忘れているのでしょう」

 「蒼那会長」

 振り返れば、僕たちの学園の生徒会長であり部長の友人であり同じ上級悪魔。ソーナ・シトリー先輩がドレス姿でいた。

 

 「結果はともかく、勝負は拮抗。それ以上であったのは誰が見ても明らかでした」

 「ありがとうございます。でも、お気遣いは無用ですわ」

 ソーナ先輩に答えたのは、朱乃さんだ。

 

 「たぶん。まだ終わってない。僕らはそう思っていますから」

 「終わってません」

 ボワッ!

 会場の開けた場所に炎が立ち上がり、白いタキシード姿のライザーが姿を現した。

 

 「冥界に名だたる貴族の皆様。ご参集下さり、フェニックス家を代表して御礼申し上げます。本日皆様においで出願ったのは、この私、ライザー・フェニックスと名門グレモリー家の次期当主、リアス・グレモリーの婚約という歴史的瞬間を共有していただきたく願ったからであります。それでは、ご紹介いたします。我が妃、リアス・グレモリー!」

 魔法陣が現れて、そこからドレス姿の部長が姿を現した。でもその表情は誰から見ても憂鬱な表情を浮かべていた。

 

 「「「「おぉぉぉぉぉッ!!」」」」

 周囲から声が上がる。

 ドカアァンッ!!

 同時に背後から訊こえる轟音。何かと見てみればそこには扉を壊した本人、一輝君と足に寄り添う黒ネコ姿の黒歌さん。そしてイッセー君とアーシアさん達がいた。

 派手な登場だね……でも一輝君、ここはパーティー会場なんだから、扉は壊しちゃいけないよ?

 

 「一輝! イッセーまで!」

 「貴様ッ、ここをどこだと……」

 「そこの変態種まき鳥。部長は返してもらうぞ」

 ……前から思ってたけど、一輝君って怖いもの知らずなのかな? 上級悪魔に向かってタメ口に暴言発言。誰にもできないことだね。

 

 「き……貴様ッ!! 取り押さえろ!」

 ライザーの発言に衛兵が取り囲む。さてと……。

 

 「それじゃあ私達もまいりましょうか?」

 「ええ」

 「了解」

 ギイイィィィン!! 

 

 「一輝君! イッセー君にアーシアさん!! ここは僕達に任せて!!」

 斬りかかろうとする衛兵を僕が剣で防ぎ。

 

 「……先輩たちは早く……部長の所へ」

 ドカァ。小猫ちゃんが蹴り飛ばし。

 

 「うふふふ。やっぱり来ましたね」

 バリバリバリ! 衛兵に雷をくらわす朱乃さん。

 

 「……助かる」

 一言告げると、真紅君は黒歌さんとイッセー君アーシアさんを連れて部長の元に向かう。

 僕たちは互いに頷き合うと、衛兵たちの前に立ちはだかる。

 

 「き、貴様ら!!」

 「リアス様の眷属が人間を庇うのか!?」

 「悪いね。彼は僕たちの仲間なんだ」

 「邪魔はさせませんわ」

 「……ここは通しません」

 一輝君。部長の事をお願いするね。

 

 

 

 

 

一輝side

 会場に来た俺達を衛兵が止めようとしたのを、木場達が抑えてくれたおかげで、部長の元へ堂々と向かう。そして面と面をつき合わせ、ライザーに告げる。

 

 「もう一度言う。部長を返してもらう」

 「……ッ」

 目元を引きつらせるライザー。

 

 「これはどういうことだライザー」

 「リアス殿。これは一体?」

 関係者たちが困惑した表情で動揺していた。

 

 「私が用意した余興です(・・・・・・・・・・)

 その時、一番奥にいた紅髪の男性が近づいてきた。この人が魔王、サーゼクス・ルシファー。部長の兄か。

 闘級36万7131(魔力121305/武力120395/気力125431)

 ……35万超え。これが現魔王の闘級。

 

 「お兄様」

 「ど、どういうことですか? サーゼクス様」

 「彼は人間でありながら、私の妹と協力してはぐれ悪魔や堕天使を倒すほどの力を持っているのですよ。ぜひともその力を直に見てみたくてグレイフィアに頼んでしましましてね」

 「そ、そのような勝手をなされては!」

 中年悪魔が慌てようが、魔王は気にせずレイザーを見る。

 

 「ライザー君。レーティングゲーム、興味深く拝見させてもらった。しかしながら、ゲーム経験もなく、戦力も半数に満たない妹にはいささか部が悪かったと」

 「……あの戦いにご不満でも」

 「いやいや。私が言葉を差し挟めば、レーティングゲームそのものが、存在意義を失ってしまう……まして、今回が事情が事情だ。旧家の顔も立てねば」

 この人も笑みを浮かべ食えないことを話す。

 

 「ではサーゼクス。お主はどうしたいのだ?」

 紅髪をした中年男性が魔王様に問う。親父さんか?

 

 「父上。私は可愛い妹の婚約パーティは派手にやりたいと思うのですよ。本当はドラゴン使い君の力を見たかったのですが、あの禁手を使ってしまった以上戦う力は残ってはいません。なら、そこの人間がフェニックスにどこまで戦えるのか興味がありましてね」

 「サーゼクス様! 高々人間風情がライザー様に勝るとは思えません。今すぐこの場で始末します!!」

 一人の衛兵が叫ぶと、斬りかかってくる……血の気が多い。

 

 「黒歌」

 名を呼ぶと、黒歌はすぐ猫から人の姿に戻り、斬りかかってきた衛兵の剣を魔法陣で受けとめる。

 

 「なッ! 貴様はSS級はぐれ悪魔の黒歌!! なぜ貴様がッ!!」

 「……ハッ!」

 衛兵が隙をみせた瞬間、氣を纏った掌打を食らわす。

 ドン!!

 胸部を殴打された衛兵は、「うっ!!」と一言だけ漏らし、糸が切れた人形のようにその場に崩れ落ちた。

 瞬間、周囲が騒ぎ立つ。

 

 「殺してないわ。氣を内部に通して氣脈を乱した。少し気を失ってるだけよ……でも、これ以上騒がしくするなら、容赦はしないわ」

 冷え冷えとした声で告げる黒歌。同時に殺氣をまき散らすと、さっきまで騒ぎ立てていた悪魔たちが一瞬で黙り込む。衛兵でさえ、黒歌の殺氣に当てられ動けにいるようだ。

 その中でも魔王とグレイフィアさん、父親は平然としていた。

 

 「ありがとな黒歌」

 「にゃ♪」

 頭を撫で礼を告げると、嬉しそうに笑い腕を抱き寄せてくる。瞬間、何故か殺氣が俺に当てられた(・・・・・・・・・・・・・)。何故だ?

 

 「ライザー君。リアスと私の前でその力を今一度見せてくれるかな?」

 「良いでしょう。サーゼクス様に頼まれたのなら断れるわけにはいかない。このライザー、身を固める前の最後の炎をお見せしましょう!」

 ライザーは不敵な笑みを浮かる。やる気は十分か。後は勝つだけだ。

 気を引き締めようとした時、魔王様は、俺の方を向いて話しかけてくる。

 

 「人間君。キミが勝った場合の代価は何がいい?」

 「サーゼクス様!?」

 「人間相手に代価など!?」

 悪魔が非難の声を上げる。だが……。

 

 「悪魔なのですから、何かをさせる以上、こちらも相応のものを払わねばならないでしょう。さあ、キミ。何でもあげるよ。何が望みだい」

 「……何でもいいんですか(・・・・・・・・・)?」

 「ああ。キミが望むものなんでもだ。爵位かい? それとも絶世の美女かな?」

 「どちらにも興味がありません。ですが、二つほど要求があります」

 俺の一言に、周囲の悪魔から怒氣を含んだ叫びがあがる。

 

 「魔王様に対して要求だと!?」

 「貴様、人間の分際で魔王様に申し立てるなど! 身の程を知ッ!」

 「光の白刃」

 ガシャアアアァァァァァン!!

 喚き散らす悪魔どもを黙らせるため、俺は被害が出ないようパーティー会場の窓ガラスを光の魔力で破壊する。

 

 「黙ってろ。俺は魔王様と話してんだ。周りが口を出すな。魔王様は何でもいいといった(・・・・・・・・・・・・)。俺が訊き返せば、はっきりと口にした。ここにいる全員が聞いていたはずだ。そうですよね? 魔王様」

 「君も中々に食えないね」

 「あなたほどではありませんよ」

 この婚約を認めてるわけでもあるまい。

 

 「では、キミは何を望むのかな?」

 「まず一つ。部長を返してもらいます。そして、彼女が人間界での大学を卒業させるまで自由にさせてあげてください」

 「……二つ目は何だい?」

 「対戦相手はライザーだけじゃなく……フェニックス眷属も含め俺一人で戦います(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 直後。会場内がザワザワと声を上げる。

 見れば周囲の悪魔、部長もライザー。魔王様にグレイフィアさんが驚いていた。

 

 「ちょ!? 何考えてんだよ一輝!!」

 一誠に腕を引かれる。振り返ると、部長以外のメンバーがいた。

 

 「俺一人で戦うのに問題があるか?」

 「大有りだっつうの!! 一人でライザーを含めた眷属全員と戦うのはまずいって!」

 「イッセー君の言うとおりだ。いくら一輝君が強くてもこればかりは無謀すぎる!」

 「……だめです! ……危険すぎます!」

 「ケガ程度ではすみませんわ!」

 「危険にゃ!」

 「やめてください一輝さん!」

 皆が止めろと言ってくれるが、すでに決めたことだ。

 

 「レーティングゲームの死亡は事故とみなされる……それでも、やるのかね?」

 魔王様の表情か笑みが消えて、射抜くような鋭い視線で見てくる。それだけでも、並みの人間なら卒倒するだろうな。

 

 「覚悟は出来ています。でなきゃ、ここに来た意味がありません」

 俺の答えに再び笑みを浮かべる。

 

 「(わか)った。試合は今から十分後だ。会場はこちらで用意しよう。準備ができ次第始めよう」

 そういうとグレイフィアさんと一緒にどこかへ移動する。

 

 

 

 

 

 十分後。会場からでた俺はリアス以外のメンバー全員で、魔法陣の前にいた。この魔法陣から異空間に作ったフィールドへ転移される仕組みだ。

 他の悪魔は何やら観客席みたいなところに座り観戦するようだ。ライザーたち全員は反対側にいる。離れていても嫌というほどの殺氣が伝わってくる。

 

 「なぁ一輝、訊きたいんだけどその腰に着いてる小さい熊の人形(・・・・・・・)は何だ?」

 柔軟していると一誠が俺の腰に付けている小型の熊の人形に気が付いた。

 

 「……武器以外に見えるか?」

 「見えねぇよ!? どっから見てもただの熊の人形じゃねぇか!!」

 まぁ見た眼は人形でも立派な武器だからな。話してるうちに魔法陣が光りだした。

 

 「時間か。行ってくる」

 「気をつけてください」

 「無理は禁物にゃ」

 「……頑張ってください」

 「無事を祈ってます」

 アーシア、黒歌、小猫、朱乃先輩と続き。

 

 「頼んだ。部長を取り返してくれ」

 「言われるまでもない」

 「君が傷ついたら部長が悲しむから、なるべく無傷で帰ってきてね」

 「無傷とは無理難題を言う……善処する」

 一誠と木場には拳を軽くぶつけ合う。全員が観客席に移動し、魔法陣に足をかけたところでやってきた(・・・・・)

 

 「一輝」

 「部長」

 そこにはドレス姿の部長がいた。

 

 「ごめんなさい。私のお家事情にあなたを巻き込んでしまって」

 「部長が気にすることじゃありません。俺は自分の意思で来たんですよ。それに、この婚約に俺達全員が望んでいないのを知っているでしょう? 皆同じ気持ちなんですよ」

 「でも……もし最悪の事態になったら」

 眼から涙が零れる。いつもの凛とした感じがそこにはなかった。

 俺は黙って近づきハンカチで涙をふき取り、部長に言葉をかける。

 

 「部長。俺が無事に勝てたら、一つだけ約束してもらっても良いですか?」

 「何かしら?」

 「笑ってください(・・・・・・・)。部長に涙は似合わないです。何時もみたいに駒王学園の先輩として。オカルト研究の部長として凛としているあなたを皆が望んでいます」

 「……一輝」

 「勝ってきますよ。絶対に」

 それだけ伝え、魔法陣に入ると転移された。

 

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