一輝side
魔法陣から転移した場所は、駒王学園のグラウンドだ。
「よく来ましたわね。人間さん」
少し離れた視線の先にライザーを抜いた眷属全員がいた。全員が俺に敵意を向けてきている。服装もパーティー用から一誠達と戦った同じ服装に変わっていた。
「まさか本当に一人で私達に挑むなんて驚きましたわ。ですが、まさか本当にあなたお一人で私達全員を倒すきでいらっしゃいますの? オホホホホホ! 愚かですわね!! お仲間がいれば少しは楽だったのかもしれませんのに」
「……」
口を開いてベラベラと喋り出すレイヴェル。よく喋るやつだな。喋らないといけない病気にでもかかってるのか?
「もし今ここで謝罪し許しを請うなら、私がお兄様に許してもらえるよう頼んであげますけどッ」
「そんなに喋りたいなら一人で壁にでも話してろよ焼き鳥女。こっちは戦いにきてんだ。とっとと始めるぞ」
手招きして挑発すると、レイヴェルが頬を引きつらせる。
「……いいですわ。もうあなたには何も言いません。あなた達! あの人間を徹底的に叩きのめしてやりなさい!!」
レイヴェルが命令すると、レイヴェル以外の眷属が素早く俺を取り囲む。ユーベルーナは宙に飛翔し俺を見下ろす。どうせ隙を見せたら攻撃してくるんだろうな。
「ライザー様への侮辱は許さない!」
「「絶対にバラバラにする!!」
そう意気込むのは、
「「やあ―――――っ!!」」
二人はチェーンソーをやたらめったに振り回してくる。
……この双子の攻撃は攻撃と言うより
「ハッ!」
真横から棍棒を鋭く突いてくるミラ。半歩下がり躱すと、そのまま薙いでくる。一歩後ろに飛んで下がると。
「もらった!!」
背後から鋭いかけ声と共に迫る闘氣。振り返ることなく
ガアァン!
「なっ! 腕で受け受け止めただと!?」
驚愕の声。背後を見れば、斬りかかってきたのは木場と神速の速さで剣戟を繰り広げた
「くっ。 この!」
ドガッ。
「ぐはっ!」
力を籠め振りぬこうとするカーラマインの腹部に蹴り。くらったカーラマインは吹き飛ぶも体勢を立て直し再び剣を構える。
「背後から仕掛けるとはな。騎士らしくないんじゃないか?」
「……そうだな。だが、ただ一人の人間に敗北するという事だけはライザー様の顔に泥を塗ってしまうのでね。今回ばかりは文句は言っていられない。私も騎士道精神を捨て倒しに行かせてもらう。大人数だが悪く思うな」
「別に謝る必要はない。だが……」
「戦闘中に会話とは、余裕だな!!」
会話の途中、横からイザベラが駆け寄り殴りかかってくる。迫ってくるのが闘氣でバレバレだ。
俺は上体反らしで拳を躱し、そのままの流れでバック転して距離を開ける。
「俺はお前らを全員相手に負けるつもりは無い。悪いけど……勝たせてもらうよ」
俺は仙氣を高め構え、闘氣を二人にぶつける。
「……随分と強気だな。たった一人で我らを相手してるのに、貴様からは恐れを感じられない」
「気をつけろカーラマイン。この人間、あの赤龍帝と
表情を険しくし、構え直したイザベラがカーラマインに注意を促す。瞬間、左右から迫りくる小柄の容姿が映る。
「「にゃにゃ!!」」
見れば獣耳と尻尾を生やした獣人の少女達だ。二人は息の合った素早い
俺はその攻撃から感じる風圧を
「にゃ!?」
「全部躱された!?」
躱された事に驚き二人が距離を開けると、眼の前に大剣を構えたもう一人の
……あの獣人の少女は、
俺は今一度警戒心を強めると、レイヴェルが命を出す。
「ニィ! リィ! イザベラ! 雪蘭! カーラマイン! シーリス! イル! ネル! ミラ! あなたたちは絶えず攻撃を仕掛けなさい!! シュリヤー! マリオン! ビュレント! 美南風は遠くから隙を見て援護射撃!! あの人間に実力を発揮させることなく徹底的に潰しなさい!!」
「「「「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」」」」
直後、ニィとリィ。イザベラと雪蘭。カーラマインにシーリスが素早く近づいて拳と蹴り、剣戟と打撃の嵐。更に間を縫うように放たれる魔力の弾が俺に襲い掛かってくる。
俺は全て柳の体術と小円の捌き。捨己従人を忘れず化勁で受け流し躱す。
…………やっぱり悪魔は直線的な攻撃が多いな。おまけに魔力の使い方が
敵の猛撃を躱し続ける事十五分位か? 奴らの攻撃の手が止まる。
「「「「「「「「「「「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」」」」」」」」」」」
俺に攻撃していた
対して俺は汗もかかず呼吸も乱れていない。この程度で呼吸が乱れるか。実践経験が足りないんじゃっ
ドオォンッ!!
服に
「ちっ」
無傷な俺を見て不愉快そうに舌打ち。悪いがお前みたいな雌豚に負けるほど俺はやわじゃねぇよ……まぁそれ以前に魔力の流れを察知すればいいだけなんだけどさ。
「……今度は俺の番だな」
まずはあの
「
「!!………………」
三人は一瞬だけ眼を見開くとすぐに瞼が閉じて武器を手放し倒れ光に包まれる。まずは三人。
「ミラ! イル! ネル!!」
「剣よ」
続けざまに詠唱し兵士三人と僧侶の腹部に異空間から剣を高速で射出し問答無用で貫く。
『ライザー・フェニックス様の兵士六名、僧侶一名。
「シュリヤー! マリオン! ビュレント! 美南風!! このっ!!」
グレイフィアさんのアナウンスが響く。
雪蘭は高くジャンプし縦回転を加えた炎を纏った踵落しを放ってくる。躱すとそのまま連続かつ多彩な蹴りと掌底で攻めてくる。そこにイザベラと
ヒュボッ! ボッ! ヒュオ! ヒュババッ!! ビュッ!! ドッ!!
……雪蘭の蹴りは戳脚門だったか? 蹴りの集大成ともいうべき流派だと書物で見かけたな…………それでも槍術と脚技の天才と言われた
「にゃああぁっ! 当たらない!!」
「あの変態ケダモノ兵士には当たってたのに!」
「四人がかりでかすりもしないなんて!! 悪魔同士ならともかく、ただの人間相手にここまで手こずるなんて!!」
「悪いけど。俺は部長達と違って過酷な戦闘訓練に加えて
「……全く。ここまで手こずるのは随分と久しぶりな気がするな!!」
イザベラの右ストレートを後方に飛んで躱し、腕を振りかぶり迫る四人目掛け振りぬく。
「すぅ…………
ボッ!! ズバァッ!!
「がはっ!?」
「な……何故、いきなり腹部が斬ら……れた?」
出血し地に倒れ、光に包まれる。
『ライザー・フェニックス様の戦車二名、兵士二名。リタイア』
「「はあぁぁっっ!!」」
背後からカーラマインとシーリスが斬りかかってくる。何で奇襲仕掛けてきているのに声出すかね。「これからあなたに攻撃しますよ~」って教えているようなものだぞ。理解できないな。
俺は振り向かず剣を躱し、逆に掌を背後に向け二人の腹部に発勁を打ち込む。
ズドムッ!
「がはっ!」
「ぐうぅ!?」
吹き飛んだ二人は地を転がりながらも、痛みに表情を歪めながらも剣を支えにしてゆっくりと立ち上がる。
……俺も未熟だな。後ろ手の発勁で倒せないとは。寸勁か寸打……靠の方が良かったかな。
「凍てつけ」
ゴッ。
構えなおしてる最中。俺は容赦なく二人を凍り付ける。
『ライザー・フェニックス様の騎士二名。リタイア』
残りは三人。
ドゴオオオォォォッッッ!!
またも隙をついての爆破魔法。爆破以外の
上空に視線を向ければ人一人分の火球を十個程作り出し、放ってくる。俺は腰につけてあるクマのぬいぐるみを外し、火球へ放り投げる。
パチン……と指を鳴らす。するとクマのぬいぐるみが高速で回転。クマのぬいぐるみから槍へ形態を変化させ火球を迎撃。
ドドドドドドドドッッ!!
空中で激しい爆音。煙が晴れると唖然とした表情を浮かべている。
「……
ボッ。
無防備なユーベルーナにシャスティフォルを射出し頬を少しだけ斬り裂く。
「今のスピードを見切れないのか? ライザーの最強の
「! 貴様!!」
「怒るのは勝手だけど……後方に注意」
「っ!!」
後方から高速で迫るシャスティフォルにユーベルーナは翼を羽ばたかせ回避。俺は指揮者のように片腕を振るいシャスティフォルを操作し再びユーベルーナに突撃させる。本当は
「くっ!」
ユーベルーナは反撃する間もなく必死に回避に専念する。
ユーベルーナは高く急上昇。無防備な背中目掛けシャスティフォルが貫こうとした瞬間、振り返ったユーベルーナが片手に凝縮した魔力を撃ち出す。
ドゴオオォォンッッ!!
爆発が起こり落下するシャスティフォルを地にぶつかる直前で停止させる。宙では魔力を収集しているユーベルーナが巨大な火球を生み出していた。そのまま俺にぶつけるのかと思いきや、数千にも及ぶ数の火球に変化。
「いくらあなたでも千に及ぶこの火球を防ぎきれるかしら!!」
杖を俺に向けると火球が一斉に俺目掛け降り注いでくる。さながら火球の雨だな。火球の魔力から察するにアレを防御なしにくらえば流石にひとたまりもないな……くらえば……の話だけど。
「霊槍シャスティフォル第五形態……
シャスティフォルを高速回転させ、今度は無数の槍の切先のみの形態に変える。
パチン。ドシュッ!!
指を鳴らすと火球目掛け一斉に射出。
迫りくる火球一つ一つ的確に迎撃し空中で激しい爆発…………
「ボケっとしている暇あるかい?」
「!!」
振り向いた先には火球より多い槍の切先が自身に向けられている事に気づいたユーベルーナは逃げようとする……だけどもう遅い。
拳を握ると同時に刃がユーベルーナに降り注ぐ。
「うわああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
回避も防御も出来ずユーベルーナは刃に斬り刻まれる。
攻撃が終わった刃は俺の元に戻りつつ
全身に傷を負ったユーベルーナは気を失い落下。フェニックスの涙で回復する暇もなく光に包まれフィールドから消える。
『ライザー・フェニックス様の女王一名、リタイア』
グレイフィアさんのアナウンス。残りは
校舎へ向かおうとした時、迫りくる二つの気配………漸く
さってと…………前哨戦はこれにてお終い。ここからは本当の闘いだ。