ハイスクールD×D 蒼の継承者の物語   作:Yunnan

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VSフェニックス眷属一誠side

一誠side

 試合前に、激励を済ませた俺達は観客席に移動した。観客席の中央には、巨大な魔法陣を介して中継を映しているスクリーンに似たものがある。悪魔って異空間も作れちゃうしすげぇな。

 俺達以外にも貴族悪魔たちが座っているが……正直胸糞が悪い(・・・・・・・)

 

 「人間風情がライザー様に勝負を挑み、魔王様に要求をするなど……なんと愚かしい」

 「まったくですな。そもそもなぜ悪魔情勢に関係のない人間如きがリアス様のために戦うのか見当がつかん。よほど欲深い(強欲な)人間に違いありませんな」

 「やはり人間はいつの時代、変わらず愚かな生き物ですな」

 「「「「ハハハハハ」」」」」

 ッ!! 好き勝手言う上級貴族の悪魔の会話が嫌でも訊こえてくる。言いたい放題言いやがって! 

 

 「部長」

 木場の声に振り向くと、ドレス姿の部長が俺達の方へ歩いてくる。部長も一輝と話でもしたのかな?

 

 「ここにきても大丈夫なんですか?」

 てっきり、魔王様達と同じ場所で見るのかと思ってたけど。

 

 「ええ。やっぱり私にはここが一番だから」

 そう言い笑う部長。でも……何時もとは違う笑いだと俺は感じた。絶対勝てよ、一輝。俺達の分まで頑張ってくれ!!

 バトルフィールドは、俺達の駒王学園のグラウンドだった。そこにはすでにライザーの眷属がすでに待機していて、少し遅れて一輝が転移されてきた。

 

 『よく来ましたわね人間さん』

 一輝が来た途端に喋り出すレイヴェル。ペラペラと話すレイヴェルだが、一輝は呆れた……と言うよりはこいつ面倒クセェ(・・・・・・・・)って感じの視線を向けていた。

 

 『もし今ここで謝罪し許しを請うなら、私がお兄様に許してもらえるよう頼んであげますけどッ』

 『そんなに喋りたいなら一人で壁にでも話してろよ焼き鳥女。こっちは戦いにきてんだ。とっとと始めるぞ』

 話の腰を折って一輝は手招きして挑発すると、レイヴェルが頬を引きつらせた。アイツ本当に怖いもん知らずだよな。よく相手に挑発できるよ。

 

 「ねぇイッセー君。一輝君て、結構口が悪かったりする?」

 不意に木場が俺に話を振ってくる。

 

 「あー~……一輝(アイツ)は、普段は口は悪くないんだけど、何て言うかさ、ああいう上から目線で話す(・・・・・・・・)奴や、ガラの悪い奴には結構(・・・・・・・・・・)ああいう言葉使いだぜ? それが自分より年上だろうとさ」

 中学の時転向してきて、アイツの事少し知ってるけど……ある意味すげぇよ。まぁそれがちょっとした事があってすぐ転校しちまったけど。

 

 『……いいですわ。もうあなたには何も言いません。あなたたち! あの人間を徹底的に叩きのめしてやりなさい!!』

 レイヴェルが命礼すると、眷属が一輝を中心に取り囲みユーベルーナだけが翼を生やし宙に浮かぶ。あの女王(クイーン)! また不意打ちを狙っていやがるのか!

 一輝が注意深く周囲を見渡す中、最初に動きを見せたのはチェーンソーを持った兵士(ポーン)のイルとネルと棍棒使いのミラだ。

 

 『ライザー様への侮辱は許さない!』

 『『絶対にバラバラにする!!』』

 双子はチェーンソーに火を入れ、一輝に突っ込む。

 一輝は特に驚いた様子もなく、難なく躱している……今更だけど、あの双子の動きって結構単純なんだな。こう客観的に見れば攻撃って言ってもチェーンソーを振り回してるだけだし。

 双子の攻撃を躱している一輝の真横からミラが棍棒を鋭く突く。それを躱すと止まることなく突きから薙ぎに繋げる。

 当たる直前、一輝は軽く後ろに飛んで躱しすとそれを見計らって背後から木場と戦った騎士(ナイト)であるカーラマインが剣を振りかぶり襲い掛かる!

 

 『もらった!!』

 振り下ろされる剣に一輝は振り返ることなく腕で防ぎ、カーラマインの腹部に蹴りを放つ。吹っ飛ぶカーラマインは大勢を立て直して剣を構えなおす。

 

 『背後から仕掛けるとはな。騎士らしくないんじゃないか?』

 『……そうだな。だが、ただ一人の人間に敗北するという事だけはライザー様の顔に泥を塗ってしまうのでね。今回ばかりは文句は言っていられない。私も騎士道精神を捨て倒しに行かせてもらう。大人数だが悪く思うな』

 『別に謝る必要はない。だが……』

 『戦闘中に会話とは、余裕だな!!』

 横から殴りかかってきたイザベラの攻撃を上体を反って躱し、バック転して距離を開ける。

 

 『俺はお前らを全員相手に負けるつもりは無い。悪いけど……勝たせてもらうよ』

 『……随分と強気だな。たった一人で我らを相手してるのに、貴様からは恐れを感じられない』

 『気をつけろカーラマイン。この人間、あの赤龍帝と騎士に比べかなりの強者だ。あれほどの闘氣……油断すればこちらがやられるぞ』

 構えをとった一輝に二人は表情を険しくする。そして今度は一輝を挟み込むように迫る獣人少女達が迫る。俺を容赦なくボコボコにした奴らだ!!

 二人は息の合った素早い攻撃を繰り出す。木場程のスピードじゃないけれどかなり速い!! 対して一輝は苦も無く二人の攻撃を難なく躱しきり、距離を開ける。

 するとレイヴェルとユーベルーナを除いた眷属が一輝を中心に円状に取り囲む。レイヴェルが命令を下すと、一斉に攻撃を始めた。

 四方八方からの攻撃を一輝は冷静に躱し続けている。表情も変わらずだ。逆にライザーの眷属達の表情には焦りが浮かんできている。

 一輝が攻撃を躱し続けていると……やがて攻撃が止まった。全員が肩で息をしていて汗が滲み出ている。そこを狙って一輝の背後に爆炎が直撃した! 煙に包まれ姿が見えなくなる。映像には杖を向け微笑を浮かべているユーベルーナが映し出された。また不意打ちを狙ったのかよあの女王! 女王なら不意打ちしないで戦いやがれ!! 大丈夫だよな一輝……不意打ち(今ので)やられてねぇよな!!

 心配する中、煙が晴れると無傷な一輝が映った。良かった~~。無事だったか。でも一輝の奴、防御なんてしてたか? 完全に無防備な背に攻撃をもろに受けたはずだけど……。

 

 『……今度は俺の番だな』

 一輝が言葉を呟くと、息を整えている双子のイルとネル。そして棍使いのミラの三人に一瞬で距離を縮め。

 

 『眠れ』

 『!!………………』

 言葉を放った。三人は眼を見開くと瞼が閉じ始め、武器を手放し崩れ落ち光に包まれる。今のは何かしらの魔術なのか? 

 

 『剣よ』

 続けざまに一輝の背後から魔弾を撃とうとしている兵士三人と僧侶に、異空間から剣を高速で射出し問答無用で腹部を貫く。

 

 『ライザー・フェニックス様の兵士六名、僧侶一名。戦闘不能(リタイア)

 グレイフィアさんのアナウンスが観客席に響き渡る。すげぇ! 七人も戦闘不能にさせた!!

 今度は子猫ちゃんと戦った雪蘭が高く飛び上がり、脚に炎を纏い回転しながら踵落しを一輝に繰り出す。当然、一輝は難なく躱す。雪蘭は踵落しを躱されても気にとどめないで連続の足技に掌底。そこにイザベラとニィとリィが加わり拳と蹴りが怒涛の如く一輝に襲い掛かる。

 …………それでもやっぱり彼女達の攻撃は一輝に掠りもしない。全て余裕を持って躱している。

 

 『にゃああぁっ! 当たらない!!』

 『あの変態ケダモノ兵士には当たってたのに!』

 変態って言うな変態って! 俺は健全な男子高校生だ!!

 イザベラの右ストレートを大きくかわし後方へ飛び下がる。 迫る四人目掛け腕を振りかぶり。

 

 『すぅ…………空破山ッ!!』

 力強く踏み込み腕を振りぬいた。直後、突然イザベラ達の腹部がいきなり斬り裂かれた!! 出血した彼女達は地に倒れ体が光に包まれた。

 

 『ライザー・フェニックス様の戦車二名、兵士二名。リタイア』

 『『はあぁぁっっ!!』』

 背後からカーラマインとシーリスが斬りかかる。一輝は振り返らず掌を背後に向けて二人に腹部に掌底。

 吹き飛んだ二人は地を転がる。痛みに表情を歪めながらも剣を支えにしてゆっくりと立ち上がる。

 

 『凍てつけ』

 振り返った一輝は詠唱して二人を氷漬け。

 

 『ライザー・フェニックス様の騎士二名。リタイア』

 グレイフィアさんのアナウンスが響くと同時にまたユーベルーナが攻撃しやがった。それでもやっぱり一輝は無傷だ。

 ユーベルーナは人一人分の火球を十個程作り出し一輝に放つ。流石に見てるから防御するかと思いきや腰につけてあるあのクマの人形を外し火球に向かう放り投げた。そして指を鳴らすとクマの人形が高速で回転して、槍に……え? クマの人形から槍に変わった(・・・・・・)

 槍はそのまま火球を全て迎撃。全ての火球を迎撃した槍は一輝の元に戻り、真横にピッタリと停止し切っ先をユーベルーナに向ける。

 

 『……普通の槍。というわけではなさそうね。それは神器ッ!』

 喋っているユーベルーナの頬を槍が薄く斬り裂いた! 卂い!! 

 

 『今のスピードを見切れないのか? ライザーの最強の眷属が……かなり抑えた方なんだけど』

 『! 貴様!!』

 『怒るのは勝手だけど……後方に注意』

 『っ!!』

 後方から迫る槍にユーベルーナは翼を羽ばたかせて回避。でもすぐに槍は軌道を修正してユーベルーナに飛んでいく。

 ユーベルーナは反撃する余裕もなく槍の攻撃をひたすら回避している。表情も余裕がなさそうだ。すげえぇ……ライザーの女王を押してる。

 ユーベルーナは高く上昇。その背中目掛け槍は追いかける。槍がユーベルーナを背中から貫こうとした時、振り返ったユーベルーナが片手に凝縮している魔力を撃ち出した。

 槍とぶつかり爆発。煙の中から落下していく槍を、一輝が指を立てると地に突き刺さる寸前で停止した。その間にユーベルーナは巨大な火球を生み出していた。それを直接ぶつけるのかと思った瞬間、巨大な火球が破裂したかと思えばそれは数多の火球へと変わった。

 

 『いくらあなたでも千に及ぶこの火球を防ぎきれるかしら!!』

 ユーベルーナが杖を向けると一斉に千の火球が一輝目掛け降り注ぐ。あんな数の火球どうやって防ぐんだよ!! って言うか防ぎきれるのか!?

 

 『霊槍シャスティフォル第五形態……増殖』

 すると槍が高速で回転し、今度は無数の槍の切先部分だけに変化した。

 指を鳴らすと一斉に飛び出していき、ユーベルーナの千の火球を一つ一つ迎撃していく。空中で激しい爆発が起こり映像が爆炎と煙で見えなくなる。

 ……やがて煙が晴れ、映し出されたのは無傷な一輝と千の火球を全て迎撃されて驚いているユーベルーナ。 ってれ? あの槍はどうし……!

 

 『ボケっとしている暇あるかい?』

 『!!』

 一輝の声をハッとしたユーベルーナが振り返った時には、既に無数の槍の切先が上空を覆いユーベルーナに狙いを定めていた。

 逃げようとしたが、一輝が拳を握った瞬間、切っ先がユーベルーナに降り注ぐ。

 

 『うわああぁぁぁぁぁぁぁ!!』

 刃に濁流に呑まれた中からユーベルーナの悲鳴。攻撃が終わった切先は一輝の元に戻りつつ再び槍の状態で戻った。

 全身を斬り刻まれたユーベルーナは意識を失い落下。フェニックスの涙を使うまでもなく体が光に包まれ消えた。

 

 『ライザー・フェニックス様の女王一名、リタイア』

 グレイフィアさんのアナウンスが流れると、流石に観客席にいる悪魔達がザワザワし始めた。

 

 「……ゆ、ユーベルーナ様まで……負けた?」

 「こ、これはどいうことだ? なぜたかが人間の分際で悪魔に太刀打ちできるのだ!?」

 「何か不正をしたのか?」

 「信じがたい!! アイツは本当に人間なのか!?」

 「ありえない! 人間如きがライザー様の女王を倒すなど……何かの間違いだ!!」

 騒ぎ立てる悪魔達の声を無視しスクリーンを見ていると、一輝が校舎に向かおうとした時、校舎からライザー自ら出てきやがった。その後ろにレイヴェルが着いてきている。そういえば途中から姿を見なかったけど、ライザーを呼びに行ってたのか。

 炎の翼を消し優雅に降り立ち、対峙するライザーと一輝。

 ここからが本当の勝負だろう……絶対に勝ってくれよ一輝!!

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