ハイスクールD×D 蒼の継承者の物語   作:Yunnan

27 / 33
VSライザー

一輝side

 女王(ユーベルーナ)を倒し終え、シャステフォルを第一形態のまま校舎に向かおうとした瞬間、俺に高速で向かってく気配。やっと(ライザー)自ら出陣か。まぁ眷属リタイアさせられたら流石に出てくるか。

 視線の先には、炎の翼を広げ羽ばたかせ校舎から飛行してくるライザーとレイヴェル。そういえば途中から姿を見かけなかったが……なるほど。兄貴を呼びに行ってたわけか。

 ライザーは徐々に速度を緩め。炎の翼を消し去りグラウンドに着地。

 

 「……まさか本当にたった一人で妹を除く眷属を倒すとはな。少しだけ(・・・・)褒めてやる」

 「おほめ頂き光栄だね……それで? 態々そんな事を言いに来たわけじゃないだろう? それとも、大人しく投了(リザイン)でも宣言してくれるか?」

 シャステフォルの切っ先を向けながら問いかける。対してライザーは「フン」と鼻で笑う。こいつが大人しくリザインするわけないよな。

 

 「下がってろレイヴェル。こいつは俺一人で叩き潰す」

 「お、お兄様おひとりで!? ですがこの人間はっ」

 「口答えするな。こいつの強さは見せてもらった。今のお前じゃ勝ち目はない。それとも……お前はまさかこの俺が人間如きに無様に敗北するとでも?」

 「い、いえ! お兄様に限ってそんなことはッ!!」

 「なら離れてろ。戦いの邪魔だ」

 ライザーにキツク言われた後、俺を一睨みし炎の翼を生やし上空へと移動した。

 

 「行くぞ人間!! 骨身残さず消し炭にしてくれる!!」

 ゴウッ!!

 ライザーが吼えると、全身を炎が渦巻き背中には巨大な炎の両翼を出現させ、飛翔。まずは様子見か。

 人差し指をライザーに向け、シャスティフォルを突貫させ顔面を半分に斬り裂く……だがやはり部分から炎が立ち上り再生。

 

 「無駄だ! 貴様の攻撃は俺には効かん!!」

 炎を纏った拳でのシンプルな殴打。躱し距離を取る。なら再生(それ)上回る速度で攻撃したらどうなる?

 飛び回る蜂(バンブルビー)付与(エンチャント)加速(ヘイスト)×三倍。

 攻撃しているシャスティフォルに加速を付与。付与されたシャスティフォルの速度は跳ね上がり凄まじい速度でライザーを斬り刻む。再生能力を上回る速度で攻撃しているが……。

 

 

 「……かあぁっ!!」

 ゴオオォォゥゥゥ!!

 吼えると炎がひと際燃え上がり飛翔速度を上げる。ノーダメか。

 

 「霊槍シャスティフォル第二形態。守護獣(ガーディアン)。付与、連打(ラッシュ)

 槍から第二形態の巨大なクマのぬいぐるみに形態を変え、横から殴りつける。

 ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴッッ!! 

 問答無用にライザーに拳を叩きつける。水分を多分に含んだ拳ならどうだ? 少しは効果あるかな? 

 ドガァッ!

 ライザーの蹴りで人形(ガーディアン)が宙に蹴飛ばされる。これもダメか。ならっ。

 

 「ちぃえええええいっっ!!」

 「ガラスの雹」

 胸部の前で両掌の間に作り出した細かな雹をボール状に形成し放つ。放たれた雹はライザーにぶつかり無散。直後、ライザーを空中で停止させる。

 

 

 「何!?」

 「吹雪乱舞(ブリザート・アクセル)

 ヒュゴオオオオオォォォォッッ!!

 無数の氷弾で竜巻を作り出しライザーを閉じ込め斬り刻む。効果あるかな? 

 暫く様子を窺っていると、竜巻(ブリザート・アクセル)を飲み込むほどの炎の渦が巻き起こり竜巻が消失。これもダメ。

 

 「無駄だと言っているだろう!! 人間如きの魔術程度では俺にダメージは与えられん!」

 「あっそ」

 ライザーの殴打を纏絲(・・)で外に弾く。常時展開型防御術式が働いてくれているからダメージは入らない。

 …………熱いな。防御術式越しでも解る熱量だ。まだまだ改良する余地はあるな。

 ライザーに触れ魔術を詠唱。

 

 「氷柱の城(アイシクルキャッスル)

 至近距離から一つの氷の氷柱を発生。胸部を貫通させ、更に複数の氷柱を極細に生み出し頭部と臓器以外を除きライザーを貫通。そして最後に氷魔法の中で最強に位置する魔法。

 

 「フリージングコフィン」

 バギイィィィン!!

 氷柱に貫かれたライザーを限界まで魔力を注ぎ込んだ氷の棺で氷柱ごと閉じ込める。これならどうっ。

 ズギン。

 

 「……っ」

 頭に痛みが走り若干意識が遠のきかける。

 ……流石に魔力を使いすぎたか。強い魔法は絶大な威力を誇るが比例して魔力消耗も激しいからな。

 異空間から魔力薬を取り出した時、棺から上昇する魔力濃度に伴い棺が融解し始める。

 距離を取ると棺と氷柱が炎に負け融解された。棺から脱したライザーは嘆息しつつ肩を回す。

 …………フリージングコフィンも効果なし。やっぱり一筋縄ではいかないか。まぁ召喚獣のフェニックスに比べたら遥かにマシなんだろうけど。それでも再生は本当に厄介だな。

 これでダメなら他の氷・水魔法じゃ有効なダメージ与えられないか。光魔法・魔術を付与すればダメージ与えられると思うんだけど……相手を殺さず戦闘不能(・・・・・・・・・・)にするのってかなり面倒だ。

 おまけにライザーは一誠と戦った時と同じあの虹色のオーラを出していない。あのオーラを出されたら流石に今のままじゃ俺の敗北は決定。俺の防御力で防ぐとこは不可能……ってなるといよいよ攻撃する手段が限られてくるな。仕方ない、アレ(特典)を使うか。

 

 「……投了しろ人間」

 魔力薬を飲もうとした時、そうライザーが呟いた。部長達が戦っていた時と同じように。

 

 「…………どういう意味だ? まだ勝負は決していないが」

 「いいや、勝負は既に決している。貴様は人間でありながらよく戦った。だが悲しいかな。貴様の攻撃は不死身である俺には一切通用しない。たとえ貴様にまだ何か手があるとしても、俺にはレイヴェルが所持しているフェニックスの涙がある。どうあがいても貴様に勝ち目はない」

 確かに……使われたら面倒(やっかい)だね。

 

 「これが最後通告だ。投了しろ人間。そうすれば今までの無礼な態度は水に流してやる。リアスが見てる手前、あまり残虐な光景は見せたくなっ」

 「水のイラプション」

 ライザーの頭上に巨大な水柱を十個ほど発生させ落とす……が。ライザーの炎の熱に負け蒸発。はぁ……俺もまだまだ未熟だな。

 

 「無駄だと……言っているだろう。いい加減理解しろ。72柱の悪魔であり、フェニックスである俺に魔術程度で勝てると本気で思っているなら勘違いも甚だしいぞ」

 「…………少し訊きたいんだが、どうして部長を婚約相手に選んだんだ?」

 「ふん。下賤な人間に教えるのは癪だが、特別に教えてやろう。俺とリアスは先の大戦で生き残った数少ない純血悪魔だ。純血悪魔の血を絶やさないために、この婚約は悪魔の未来(・・・・・)がかかっている」

 ……悪魔の未来、ね。年頃の女の子の夢を無視してまで最優先する程重要なのかよ。理解できないわ。

 

 「だけど純血悪魔は部長以外にもいるんだろう? ただ純血の血を絶やさないためなら部長との婚約に拘る理由は何だ?」

 俺で知ってるもう1人の純血悪魔は駒王学園の会長様(・・・・・・・・)だけど拒否るだろうね。後、匙の奴が絶対に反対するだろうし。

 

 「理解(わか)ないか人間。リアスはグレモリー家(・・・・・・)だ。過去の大戦を生き抜いた数少ない72柱の生き残りだ。その御家同士との婚約となれば、悪魔情勢を思えば当然なことだ」

 ……やっぱりグレモリー、なんだ。

 

 「成程ね……そうかい」

 「理解したか?」

 「あぁ…………心底理解できないわ」

 「は?」

 ライザーは心底不愉快そうに表情を歪めた。

 

 「うん。やっぱり悪魔情勢の事は人間の俺には理解できないししたくない……正直言って部長の意思無視してまで婚約迫るのはどうなのさ? 別に明日、急に悪魔が根絶するわけでもないんだし。婚約者を名乗るならもう少し部長の事考えてやったらどうなんだ? そんなに余裕ないわけ? 悪魔情勢って?」

 「貴様には関係のない事だ。悪魔の未来に劣等種の人間が知る必要はない」

 さいですか。

 

 「ついでに訊きたいんだけどさ……ライザー。お前は部長の笑顔見たことがあるか?」

 「何?」

 「部長の笑顔を見たかって訊いているんだ。どうなの?」

 「………………」

 当たり前だが答えられない。そりゃそうだよな。

 

 「見たわけないよな。この婚約が決まってからさ、部長から笑顔が消えたんだ。無論、皆の前では笑顔を見せていたが、それはどこか無理している笑顔って感じなのかな。1人の時だったり、オカ研でも皆が見ていないところで寂しげな表情を浮かべて溜息を吐く回数も増えたんだよ。頭の中が婚約の事や悪魔情勢。レーティングゲームーの事で一杯だったんじゃないかな。修行中(合宿期間)も1人になると物思いにふける事が多かった。で、そん時に教えてもらったんだよ、部長の夢を」

 「夢?」

 「ああ……部長の夢は、グレモリーを抜きにしたリアス(・・・・・・・・・・・・・・)自身を愛して欲しい(・・・・・・・・・)って。小さな夢だと部長は言っていたけど、夢に大きいも小さいもない。大切なのはそれを持ち続けることだと俺は思うんだよね。夢を語る部長を見て思ったよ。上級悪魔でありグレモリー家の次期当主。その名を誇りに思う一方で、部長も夢見る年ごろの女の子なんだな~って。良い夢じゃん。部長らしくて素敵な夢だなって思ったよ。ま、そんな事すら知らないアンタがどう思うか知らないんだけどさ……お前ら悪魔の未来ってのは、たった一人の女の子の夢を潰してまで成就させる必要があるのか? 全く下らない」

 「口だけは達者なようだな。たかがリアスと契約を交わしただけの人間が何故そこまで過干渉する? 寿命が100年足らずの貴様がリアスに何をしてやれる?」

 「それは知らんよ。俺は人間だからな。たとえ一緒にいたとして百年足らず、もしくは病気か事故。この戦いで死ぬかもしれない脆弱な生き物だ。それでも俺は眼の前で困っている人を助けることは出来る。たとえ相手が魔王だろうが神だろうが、俺は命を懸けて戦う。それに約束したからな、勝って部長を取り戻すって。約束を違える真似はしない」

 魔力薬を一気に飲み干し、左腕を眼前に掲げると光の粒子が収束し一瞬だけ発光。収まると左腕には肘まで覆う甲冑の籠手(ガントレット)。右手に短剣。

 

 「何だそれは?」

 「秘密兵器かな。……古の剣を携えし白き勇者ウィゼルよ、我に力を」

 詠唱しガントレットの表面の差し込み口に短剣を逆手に差し込み、最後の言葉を告げる。

 

 「変身」

 差し込み口が縦半分に開くと紋章。足元に巨大な魔法陣が出現し膨大な魔力が光りとなり迸る。

 

 

 

 

 

一誠side

スクリーンには、ライザーと一輝が対峙する。

 

 『……まさか本当にたった一人で妹を除く眷属を倒すとはな。少しだけ褒めてやる』

 『おほめ頂き光栄だね……それで? 態々そんな事を言いに来たわけじゃないだろう? それとも、大人しく投了でも宣言してくれるか?』

 ライザーの奴は「フン」と鼻で笑いやがった。

 

 『下がってろレイヴェル。こいつは俺が叩き潰す』

 『お、お兄様おひとりで!? ですがこの人間はっ』

 『口答えするな。こいつの強さは見せてもらった。今のお前じゃ勝ち目はない。それとも、この俺が人間如きに無様に敗北するとでも?』

 『い、いえ! お兄様に限ってそんなことはッ!!』

 『なら離れてろ。戦いの邪魔だ』

 ライザーにキツク言われたレイヴェルは、一輝を一睨みし炎の翼を生やし上空へと移動した。

 互いに睨み合うと、先にライザーの野郎が動いた。 

 

 『行くぞ人間!! 骨身残さず消し炭にしてくれる!!』

 ライザーが吼えると、全身を炎が渦巻き背中には巨大な炎の両翼が出現させ、飛翔して炎を纏った拳で殴りかかる!

 一輝は冷静に人差し指をライザーに向けると、槍が顔を半分に斬り裂いた……だけどすぐに再生。

 

 『無駄だ! 貴様の攻撃は俺には効かん!!』

 ライザーの攻撃を一輝が躱すと、槍がとんでもない速度でライザーの全身を斬り刻む! 炎が体を形成しようにもそれを上回る速さだ!

 

 『「……かあぁっ!!』

 吼えると炎が噴き出し再生しながら飛翔速度を上げる。やっぱり効いていない。

 

 『霊槍シャスティフォル第二形態。守護獣。付与、連打』

 槍が回転して今度は大柄なクマの人形に変わり、ライザーを横から殴りつけ、マウントを取ってボコボコに殴る。だけど効いていないようで高く蹴り飛ばされる。

 

 『ちぃえええええいっっ!!』

 『ガラスの雹』

 両掌の間に作り出した細かな雹をライザーに放った。ライザーにぶつかり霧散した直後、空中で動きが止まった。

 

 『吹雪乱舞』

 詠唱後、竜巻がライザーを飲み込む。あれは……氷の弾か? 氷ならライザーに効果あるか!? ……なんて思っていた自分がバカでした。

 氷の弾の竜巻を飲み込むほどの炎の渦が巻き起こり竜巻が消失。氷もダメなのかよ!!

 

 

 『無駄だと言っているだろう!! 人間如きの魔術程度では俺にダメージは与えられん!』

 『あっそ。氷柱の城』

 ライザーの殴打を弾き胸部に触れ詠唱後、氷の氷柱が胸部を貫通! 氷柱は複数生み出されライザーを頭部を除いて全身くまなく貫通……中々えぐい攻撃方法だ。

 

 『フリージングコフィン』

 ライザーを串刺しにしたまま氷柱も一緒に氷の棺に閉じ込めた! やったか!?

 ……そう思ったのもつかの間。棺がゆっくりと融解し始め、一輝が距離を取ると棺も氷柱も完全に溶けてライザーが出てきた。やっぱりライザーと一輝の魔術じゃ相性が悪すぎる!

 

 『……投了しろ人間』

 異空間から液体の入った試験管を出した一輝にライザーが言う。俺達と戦った時と同じ言う。

 

 『…………どういう意味だ? まだ勝負は決していないが』

 『いいや、勝負は既に決している。貴様は人間でありながらよく戦った。だが悲しいかな。貴様の攻撃は不死身である俺には一切通用しない。たとえ貴様にまだ何か手があるとしても、俺にはレイヴェルが所持しているフェニックスの涙がある。どうあがいても貴様に勝ち目はない』

 …………そうだ。まだライザーにはそれがあった。仮にお互いが疲弊したとしてもレイヴェルがライザーにフェニックスの涙を飲んで回復でもしたら……一輝は負ける。おまけに一輝の氷はライザーの炎とは相性が最悪だ。凍りつかせようにも、アイツの炎に負けて蒸発しちまう。

 

 『これが最後通告だ。投了しろ人間。そうすれば今までの無礼な態度は水に流してやる。リアスが見てる手前、あまり残虐な光景は見せたくなっ』

 『水のイラプション』

 ライザーの頭上に巨大な水柱を十個ほど発生させ落とす。でもライザーの炎の熱に負け蒸発。氷も水もダメ。やっぱりフェニックスに勝つには神クラスの一撃か悪魔が苦手な聖水しかないのかよ。

 

 『無駄だと……言っているだろう。いい加減理解しろ。72柱の悪魔であり、フェニックスである俺に魔術程度で勝てると本気で思っているなら勘違いも甚だしいぞ』

 『…………少し訊きたいんだが、どうして部長を婚約相手に選んだんだ?』

 『ふん。下賤な人間に教えるのは癪だが、特別に教えてやろう。俺とリアスは先の大戦で生き残った数少ない純血悪魔だ。純血悪魔の血を絶やさないために、この婚約は悪魔の未来がかかっている』

 『だけど純血悪魔は部長以外にもいるんだろう? ただ純血の血を絶やさないためなら部長との婚約に拘る理由は何?』

 『理解らないか人間。リアスはグレモリーだ。過去の大戦を生き抜いた72柱の生き残りだ。その御家同士との婚約となれば、悪魔情勢を思えば当然なことだ』

 『ッ』

 ライザーの言葉に、部長が表情を苦しそうに歪め胸元で手を握りしめた。……やっぱりライザーは部長の事をグレモリーのリアスとして見ているんだ。

 

 『成程ね……そうかい』

 『理解したか?』

 『あぁ…………心底理解できないわ』

 『は?』

 ライザーは一輝を睨みつける。

 

 『うん。やっぱり悪魔情勢の事は人間の俺には理解できないししたくない……正直言って部長の意思無視してまで婚約迫るのはどうなのさ? 別に明日、急に悪魔が根絶するわけでもないんだし。婚約者を名乗るならもう少し部長の事考えてやったらどうなんだ? そんなに余裕ないわけ? 悪魔情勢って?』

 『貴様には関係のない事だ。悪魔の未来に劣等種の人間が知る必要はない』

 『ついでに訊きたいんだけどさ……ライザー。お前は部長の笑顔見たことがあるか?』

 『何?』

 『部長の笑顔を見たかって訊いているんだ。どうなの?』

 『………………』

 ライザーは口を閉じ答えない。

 

 『見たわけないよな。この婚約が決まってからさ、部長から笑顔が消えたんだ。無論、皆の前では笑顔を見せていたが、それはどこか無理している笑顔って感じなのかな。1人の時だったり、オカ研でも皆が見ていないところで寂しげな表情を浮かべて溜息を吐く回数も増えたんだよ。頭の中が婚約の事や悪魔情勢。レーティングゲームーの事で一杯だったんじゃないかな。修行中も1人になると物思いにふける事が多かった。で、そん時に教えてもらったんだよ、部長の夢を』

 『夢?』

 『ああ……部長の夢は、グレモリーを抜きにしたリアス自身を愛してほしいって。小さな夢だと部長は言っていたけど、夢に大きいも小さいもない。大切なのはそれを持ち続けることだと俺は思うんだよね。夢を語る部長を見て思ったよ。上級悪魔でありグレモリー家の次期当主。その名を誇りに思う一方で、部長も夢見る年ごろの女の子なんだな~って。良い夢じゃん。部長らしくて素敵な夢だなって思ったよ。ま、そんな事すら知らないアンタがどう思うか知らないんだけどさ……お前ら悪魔の未来ってのは、たった一人の女の子の夢を潰してまで成就させる必要があるのか? 全く下らない』

 ……何時も毅然として凛々しくても、部長も普通の女の子と同じ風に夢をもってるんだな。

 

 『口だけは達者なようだな。たかがリアスと契約を交わしただけの人間が何故そこまで過干渉する? 寿命が100年足らずの貴様がリアスに何をしてやれる?』

 『それは知らんよ。俺は人間だからな。たとえ一緒にいたとして百年足らず、もしくは病気か事故、これで死ぬかもしれない脆弱な生き物だ』

 ……そうか。何時も一緒にいるから何も感じなかったけど、松本と元浜。父さんや母さん。一輝は人間だから、俺達より先に亡くなっちまうのか。俺達、悪魔は千年くらい生きるらしいけど一輝達はそうはいかねぇんだ。いつか来る別れか……そう思うと、少し寂しいな。

 

 『それでも俺は眼の前で困っている人を助けることは出来る。たとえ相手が魔王だろうが神だろうが、俺は命を懸けて戦う。それに約束したからな、勝って部長を取り戻すって。約束を違える真似はしない』

 試験管の蓋を開け一気に飲み干し、左腕を眼前に掲げると光の粒子が収束し一瞬発光。収まると左腕には肘まで覆う甲冑の籠手(ガントレット)。右手に短剣持ってた。

 

 『何だそれは?』

 『秘密兵器かな。……古の剣を携えし白き勇者ウィゼルよ、我に力を』

 呪文みたいな詠唱を口にして、ガントレットの表面の差し込み口に短剣を逆手に差し込んで……。  

 

 「変身」

 差し込み口が縦半分に開くと紋章。足元に巨大な魔法陣が出現し光が迸り一輝の姿が見えなくなる。

 スクリーン内が強く光りだし、瞬く間に収まった。そこに一輝の姿はなくて代わりに……。

 

 「あれは、何だ?」

 俺達……いや。ここにいる全員の目に映りこんだのは、一輝じゃなくてライザーを見上げる白い甲冑だった。

 何だあの甲冑? ……まさか、一輝なのか?

 

 『ケリをつけるぞライザー』

 ! 一輝の声!! もしかしてあの籠手は俺の神器(ブーステッド・ギア)と同じ神器なのか?

 

 『ここからは本気で行かせてもらうぞ』

 その言葉が、二人の最後の戦いの火蓋を切った。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。