ハイスクールD×D 蒼の継承者の物語   作:Yunnan

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中々、小説の投稿時間が取れなくて大変です。
どうぞ、相変わらず誤字・脱字が酷いものですが見て行ってください。


決戦

一輝side

 白騎士に変身しライザーを見上げる。

 シンナイトに変身中は魔力が少しずつ減少する。強力な攻撃や精霊魔法。受けたダメージに応じて減少する魔力は変動する。

 

 『マスター』

 俺の意識にファントムが語り掛けてくる。

 回復した魔力でどのくらい戦える。

 

 『二十分程。ですがマスター……力の八割を封印されている状態ですと本来のスペックをフルに発揮できません』

 負けるか?

 

 『いえ。あの召喚獣(フェニックス)に比べたら眼前の悪魔には現状でも十二分に勝てます』

 それは結構。ならとっとと終わらせよう。

 

 「貴様。なんだそれは? あの赤龍帝と同じ神器(セイクリッド・ギア)とでも言うのか?」

 「答えてやる義理はない」

 俺は右腕を左腰付近に近づけると光が収束。光を握ると実体化した剣は白鉄の剣。

 力を封印される以前に俺がシンナイトの力をまだ上手く制御でき(扱え)ない未熟だから呼び出せる剣はランダム方式だ。と言っても最初に呼び出せる剣は白鉄の剣なんだけどね。

 

 「………………」

 流石に不安なので一応、微弱な光魔力を付与(エンチャント)しておくか。付与、光魔力。後鎧にも鉄壁(ウォール)を付与。これで十分か。

 

 『盾は召喚(装備)しないのですか?』

 ライザーの炎で融解される可能性を考えて装備はしない。

 

 「行くぞライザー」

 「ただの剣ごときでこの俺に傷をつけられると思っているのかっ!」

 ズバシュッ!!

 俺は木場以上の神速でライザーを十数回斬りつける。

 

 「無駄だ。貴様の攻撃は不死身(フェニックス)の俺には……っ!! ぐあぁぁぁぁぁぁっっ!!??」

 さっきまで余裕だったライザーの表情が激痛に歪め膝をつく。俺が光魔力を付与した剣で斬りつけた傷はすぐには回復せず煙を上げる。

 微弱な光と言えど悪魔(フェニックス)には大ダメージか。

 

 『むしろフェニックスだからこそ、あの程度の軽傷(・・・・・・・)で済んでいるのでしょう』

 ……どういうことだファントム?

 

 『マスターはあまり自覚を持たれていないようですが、先ほど剣に付与した微弱な光力ですら並大抵の悪魔は問答無用で消滅させられ(殺せ)ます』

 マジか?

 

 『マジです。そもそもフェニックスのように再生能力を持つ相手と対峙すること(・・・・・・・・・・・・・・・・)事態イレギュラーなのです(・・・・・・・・・・・・)。中には吸血鬼(ヴァンパイア)みたいな半不死身もいますが……それでもごく少数です』

 確かに。再生能力を持つ奴が敵に大勢いたら堪ったもんじゃない。

 

 

 「ぐっ! く、クソッ。傷の……治りが遅い!!」

 ドゴッ!!

 

 「ウゴアアッ!!??」

 俺はそのままライザーの顔面に喧嘩キックをくらわして蹴り飛ばす。

 バゴオオォォンッッ!!

 物凄い勢いで吹っ飛んでったライザーは校舎の壁をぶちぬき轟音とともに瓦礫の中に消える。

 

 

 「この程度で終わり……ってわけじゃねーよな」

 誰に訊かせるでもなく呟いた瞬間、

 カッッ!!

 突如校舎から虹色の光が見えたと思うと、校舎の床や天井を破壊しながら高速で上昇していく。

 ボゴオォォン!!

 校舎から飛び出した虹色の光――否。本気になった(マジ切れした)ライザーが鋭い双眸で俺を睨みつける。

 

 「よくも……よくも俺の顔面を蹴り飛ばしやがったな小僧ォォォォッ!!」

 全身から立ち昇る虹色のオーラ。やっと本気になったか…………集中しなくては。

 

 『マスター、ライザーの魔力値が急上昇しています。注意してください』

 解っている。

 一誠の禁手化(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)がライザーとの殴り合いで鎧に罅が入ったんだ。攻撃をくらうのは得策じゃないよなファントム?

 

 『はい。お気をつけて』

 「お返しだ小僧ォォォッ!!」

 ライザーが両掌を合わせるとそこから巨大な炎の玉が形成され俺に投げつけてくる。それはまるで太陽の断片のような炎球。火球から感じる魔力からユーベルーナの火球とは比べ物にならない

 俺は刀身に光力を籠め、振りぬく。

 

 「はぁっ!」

 ヴォッ!

 刀身から飛来する光斬撃波はライザーの放った炎球を真っ二つにしてライザー目掛け飛翔。当然だがライザーは炎の翼を羽ばたかせ回避。まぁ回避されても問題はない。

 

 「ふんっ! そんなものに当たるかよっ!!」

 「ンなことは知ってる」

 だって光斬撃(アレ)は囮だし。俺の本当の狙いはライザーが斬撃に気を取られ回避した瞬間、擬似空間転移(光速移動)で背後に回ること。

 

 「何ッ!?」

 驚愕するライザーの背中目掛け回転踵落しを叩き込む。

 ドガァァン!!

 

 「ぐほぉぉぉっ!?」

 重たい衝撃が踵から伝わり、ライザーの身体が地面へと叩きつけられる。

 ズガガガガガッ! 

 ライザーがグラウンドを抉りながら土煙を上げながら滑っていく。普通ならさっきの攻撃で確実に脊髄は破壊されてるんだろうけど。

 

 「馬鹿な……人間風情が……この俺を……!」

 砂埃の中から這い上がるライザーの瞳に宿るのは明らかな怒り。

 

 「許さん!! 絶対に許さんぞ貴様ァッ!!」

 ボワアッ!!

 更に炎が一回り大きくなり炎を纏った拳が唸りを上げて迫る。俺はそれを冷静に視認しつつ白鉄の剣を投擲。

 ヒュンッ!

 高速で投擲した剣はライザーの纏う灼熱の炎の余波に触れるや否や一瞬で溶解。ジュワッと蒸発する。

 

 「ハハハッ! やはりただの剣など意味がないようだなァッ!」

 当然だろう。むしろ光魔力を付与しただけでお前を戦闘不能(リタイア)させられるとは思ってはいないよ。次は……。

 

 「……換装」

 魔法陣が形成されそこから一本の柄が排出される。

 

 『マスター』

 なんだファントム?

 

 『主であるマスターが望む剣が召喚できる確率は限りなく低いということをお忘れなく』

 (わか)っている。

 

 「死ねぇェッ!!」

 今度は炎を纏った拳で殴打。俺は魔法陣から排出されている柄を握り引き抜く。

 刀身は美しい碧銀でレイピアよりも幾分長めだが反りもなく薄く細い刀身。全体的にも淡く青緑が混ざったようなカラーリングの剣。

 

 『精霊剣ですマスター』

 ……そうか。運がいいな……まぁ逆にこれが聖剣・神剣・魔剣が出たら説明が厄介だから引き当てなくて良かった。

 俺は炎を纏った拳を躱しつつ精霊剣でライザーの腕を虹色のオーラごと斬り払う(・・・・・・・・・・・・)

 ズバッ!

 

 「ッ!? な……なんだと!?」

 光力を付与しただけの白鉄の剣とは違う鋭利な切れ味によりライザーの腕が深く斬り裂かれ鮮血が舞う。

 

 「ぐああああっっ!!」

 鮮血が滴る腕を抑えライザーは悲鳴を上げる。傷口からは白鉄の剣で斬った時より多くの煙が上がり回復するのに時間がかかっているようだ。

 

 「ぐうぅぅ……き、貴様っ! その剣は何だ!!」

 「答える義理はない」

 痛みに顔を歪ませながら俺を睨み訊いてきたのを俺は静かに吐き捨て斬りかかる。

 ファントムが制止するように脳内に声を響かせる。

 

 『マスター。なるべく臓器は狙わないよう。たとえ灰から復活するフェニックスと言えど下手に精神()を壊してしまえば色々と眼を付けられ厄介です』

 解ってるよファントム。ミスは犯さない。

 

 「ぐっ……があッ!! このっ……くそォォッ!!」

 ズバシュッ!! ドガッ! ゴッ!! ズバババッ!!!!

 怒号と共に炎をまとう拳や蹴りを繰り出してくるライザーの猛攻を躱しつつ隙を見ては斬撃を加えて体術も混ぜて責め立てる。無論、致命傷になりかねない臓器部分ではなく精霊剣は四肢を中心に攻撃。加えて拳と脚に光魔力を付与した体術でライザーの身体を攻め撃つ。俺は木場と違って純粋な騎士様じゃないからね。

 浅くとも斬り続ける精霊剣と体術で確実に体力・精神力を再起不能になら(壊さ)ないよう削り追い込んでいく。

 そしてついにはライザーの動きが鈍くなってきた頃合いを見計らい背後を取り足払いからの肘打ち。

 

 「ぐぼぉぇぇッッ!!」

 悶絶しながら転倒するライザーに対して追撃を入れようと精霊剣を振り翳し………‥斬るのを止める。

 流石に倒れてる奴を攻撃するのは少しだけ心が痛むな。立つまで待ってやるか。まぁ仮にコイツが下種野郎だったら問答無用でぶった斬るけどな。

 満身創痍のライザーは服こそボロボロではあるもののまだ諦めてはいないようだ。息を荒げながらも必死に立ち上がろうとする。

 

 「馬鹿な……こんな……ことが……っ!」

 唇の端から血を流し悔しげに呟くライザー。

 

 「くそっ……俺は……我がフェニックス一族は過去の大戦で生き残った栄えある七十二の柱の悪魔。そのフェニックス家の次期当主だ……そんな俺が、貴様のような下等種族の人間ごときに負けるわけにはいかないんだよッ!!」

 ライザーは震える足で立ち上がった。上級悪魔のプライドが彼を支えているようだ。だが戦場においてプライドなんてなんの意味もない。ただ倒すか倒されるかのどちらかだ。

 

 「へぇ……根性あるんだ」

 俺は内心少し感心した。あれだけ痛めつけられてもまだ立ち向かおうとする執念があるとは。ライザー・フェニックス……この男、案外諦めの悪いタイプらしい。

 ……だけど、

 

 「――いい加減面倒になった」

 立ち上がったのを確認した俺は唐突に言い放つと同時に思考を巡らせた。これ以上時間をかけるつもりもないし、嬲るのは俺の趣味じゃない。それに……ここで決着をつけるのがベストだろう。

 ファントム。

 

 『何でしょうかマスター?』

 あの水(・・・)は使用しても平気かな?

 

 『問題ありませんが……使えば間違いなく騒ぎになります』

 構わない。どうせこのまま続けても結果は同じだ。

 

 『了解しました』

 俺の意思を汲んだファントムが指示通り異空間から一つの物体を具現化させる。それは小さめの樽状の容器。

 

 「……」

 黙ってその樽を掴み、ライザーに向かって無造作に投げつけ奴の頭部あたりで樽を指弾で破壊。

 バシャリ!

 破壊された樽から聖水を頭部からモロに被る。刹那、

 ジュウゥゥゥッッ!!!

 大量の煙がライザーの全身から立ち上る。

 

 「ギャアアァァッッ!!! よ……よくもッ……よくも貴様ッ! よくもこんなアアアァァァッ!!!!」

 耳を劈く悲鳴と共にライザーが地面を転げ回り悶絶する。

 上級悪魔には効果がないとされる聖水(・・)―――だが今俺が投げた聖水は上級・最上級悪魔にすら効果バツグンの特注品の聖水だ。この聖水は一誠の神器で神器(ブーステッド・ギア)倍増する必要はない程に強力だ。

 今回は命を奪わない程度の量及び濃度調整を施されたモノとはいえ相当な苦痛を与えられている様子だ。命の危険はないとはいえ、悪魔からしたら拷問以外の何者でもない代物だよね。特に再生する此奴にとっては。

 シュウゥゥゥゥゥゥゥゥ……。

 徐々に煙が晴れていき、そこに現れたのはボロボロになったライザーの姿であった。

 あんなものを浴びてしまったことで一気に劣勢となったライザーだったがその目つきだけは依然鋭かった。完全敗北寸前の状況にも関わらず執念だけで持ち堪えている。

 ……これ以上、戦うのはマジで面倒だから本当に終わらそう。明日……つうか今日も学校があるからそろそろ帰って休みたいし。

 

 「お兄様ッ! 此方(フェニックスの涙)をお飲みください!!」

 上空から妹のレイヴェル・フェニックスが翼を羽ばたかせ飛来。レイヴェルは優雅に空中から降下すると兄のもとへ駆け寄り懐から例のアイテムを取り出し差し出す。

 やら(回復さ)せねぇよ。 

 

 「縛道の三十三 十二王方牌大車併」

 指先に(霊力)を籠めて横一文字に空を切る。すると空間に停滞した氣が複雑な梵字へと変化し、レイヴェルに向けて飛び出し拘束する。義母さんが教えてくれた鬼道の一つだ。

 

 「きゃあっっ!!」

 「レイヴェル!!」

 「朝露の調べ」

 バキキィィン。

 続けざま俺はレイヴェルをフェニックスの涙ごと魔術で氷結させる。

 

 「…………」

 「悪いけど、これ以上時間をかけるつもりはないよ」

 氷結されたレイヴェルの身体が光に包まれフィールドから消える。

 

 『ライザー・フェニックス様の僧侶(ビショップ)一名、リタイア』

 グレイフィアさんのアナウンスがフィールドに流れる。これで残りは俺とライザーだけ。

 

 「……終わりだライザー」

 宣言とともに俺は精霊剣を異空間に収納し残りの全魔力を光力に変換し拳に集結させながらゆっくりと歩む。ライザーは青褪めた顔で一歩後ずさる。

 

 「ま、待て! 解っているのか!? この婚約は、悪魔の未来のためにも必要で、大事なものなんだぞ!? き、貴様如き……何も知らない人間風情がどうこうするようなことじゃないんだぞ!!」

 「知らん」

 ボグンッ! 右拳はライザーの顔面を的確に捉え命中。

 

 「うげええっっ!」

 ライザーは後ずさるが震える脚で何とか倒れるのを踏ん張る。

 

 「この婚約が無くなったからって別に今すぐに悪魔事情に影響があるわけじゃないだろ? それに俺は皆の……仲間の思いを背負ってここにいる。俺がお前を倒す理由はそれで十分だ!!」

 叫びと共に八極拳、金剛八式の衝捶の一撃をライザーの腹部に叩き込んだ。

 ドゴオォォンッ!! 

 

 「ガハッ!!」

 ライザーの口から夥しい量の血反吐を吐き、殴られた腹を押さえながら数歩後ずさり。だが殴られた腹はすぐさま再生し始めるが所詮は焼け石に水でしかない。肉体は復活しても精神はもうボロボロだろう。

 

 「こ、このおれが、こんなところで……」

 そう言葉を漏らすとライザーはグラウンドへ前のめりに倒れた。

 

 「……………」

 しばらく無言でライザーの倒れた姿を見つめているとライザーの身体が光に包まれ、フィールドから消失。  

 

 『ライザー・フェニックス様、リタイヤ。よってこの勝負、出海一輝様の勝利となります』 

 グレイフィアさんのアナウンスが戦闘(ゲーム)が終了した静寂なフィールドに響き渡る。

 ……終わった。これで部長とライザーの婚約が解消。

 直後、自分の足元にフィールドに転送した魔法陣が出現し光に包まれる。

 

 

 

 

 

 魔法陣で転移し元の場所に戻る。瞬間、視界がグニャリと揺れた。

 

 「!!」

 ガシャンッ! 

 音を立て膝をつく。突如襲ってきた眩暈と疲労感。どうやら限界がきたようだ。

 

 『マスター! 意識をしっかり保って下さい!!』

 (わか)……ってるよ、ファントム。

 視界が暗くなる……意識が遠のいていく……変身を維持できない。俺は最後の力で倒れないように壁に手をつき必死で耐える。そして俺の足元に変身時と同じ魔法陣が出現。光が強く迸り白騎士の甲冑が崩れるように解除される。

 

 「……ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」

 変身解除と同時に俺の息が乱れ汗が滲む。今まで抑えていた疲労感が一気に襲い掛かり足に力が入らず筋肉痛が走り痙攣を起こしてしまう。息も切れ切れで呼吸する事さえ辛い状態だ。額には脂汗が浮かび視界が霞んで見えるほどだ。

 ……ったく。変身後の疲労は本当に厄介だなと、内心自嘲する。強力な力ではあるがあまり過信できない諸刃の剣だ。

 何とか体に鞭を入れ壁に手をついてゆっくり立ち上がる。全身が怠く気怠い感覚に苛まれており思うように動かない身体の調子に嘆息しながら首を振って意識をハッキリさせようと努めた。

 とそこで前方の通路からこちらに駆け寄ってくる複数の気配を感じ取り顔をあげる。最初に駆け寄ってきたのは部長だった。

 

 「一輝!」

 「うおっ!?」

 部長が突然抱きついてきて俺は思わず声を上げる。咄嗟に踏ん張り何とか倒れ込まずに済んだが予想外の行動だったのでかなり驚いた。

 

 「良かった……あなたが無事で……」

 部長の安堵した声。俺の事を力いっぱい抱きしめ顔を胸元に強く押し付けるその肩は僅かに震えていた。

 

 「「「「「「「一輝(君)『さん』[先輩]!!!」」」」」」」

 遅れて一誠達も駆け寄ってくる。皆心配そうな表情をしており部長同様、俺が無事なのを喜んでいる様子だった。

 更に一誠達の後からグレイフィアさんと魔王様と親父さん……が歩いてきた。でも魔王様本人の姿は見えない。どこに行ったんだろう?

 

 「部長。父親とグレイフィアさんが来ました」

 「!!」

 小声で伝えると、部長は驚いた表情を見せると急いで俺から離れ抱き着いた衝撃で少しだけ乱れたドレスの裾を直す。ほんのり頬が赤いのは気のせいだろうか。

 俺は皆より一歩前に出て親父さんに向き合うと頭を深く下げた。

 

 「約束通り、部長は返して貰います。今回の騒動は私が起こした身勝手な振る舞い、大変申し訳ございません」

 頭を下げ謝罪の言葉を述べる。

 

 「しかし……これだけは覚えていてください。もしまた今回と同じようなことが起きれば、俺は何度でも助けに来ます。無論、俺だけじゃなく部員の仲間たちも同じ気持ちです。そこだけは忘れないでください」

 「………………」

 親父さんは何も言わず口を開くことなく深く瞼を閉じる。そして魔王様……サーゼクス・ルシファー様の姿は相変わらず見えない。

 魔王様にもお礼を言いたかったが……今度お会いした時でもいいか。

 俺は親父さんに一礼。

 

 「では。俺はこれで失礼します。部長は連れて帰ります」

 そして部長の方へ振り向き手を伸ばした。

 

 「帰りましょう部長。学園に」

 部長は一瞬だけ迷う素振りを見せたものの、やがて穏やかな笑みを浮かべながら静かに頷き俺の手をしっかりと握り返してくれた。

 部長の手を握りしめた俺はポケットに仕舞っていた一枚の紙を取り出す。それはグレイフィアさんから頂いた魔方陣の書かれた紙。部長を取り返したときは裏側の魔法陣を使えと……。

 紙を裏側に向けた瞬間、眩い光が発し、

 キュィィィィィィィィィッ!

 魔法陣から現れたのは巨大な翼を生やし四足歩行の生物……グリフォンが嘶きと共に姿を現す。転移するんじゃなくてこれに乗り逃げろってことか。何と言うか……大胆と言うか豪快というか。

 

 「先に戻ってるぞ」

 一誠達に一声かけてると手を振ってくれる。それに応え、軽く脇腹を蹴りつける。

 翼を広げたグリフォンが高く一鳴きし地を蹴って勢いよく冥界のお空へ飛び上がる。

 こうして俺は無事に、ゲームに勝利し部長を取り戻すことが出来た

 

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