???side
「フェニックス卿。今回の婚約、このような形になってしまい、大変申し訳ない。無礼承知で悪いのだが、今回の件は……」
「みなまで言わないでくださいグレモリー卿。純血の悪魔同士。いい縁談だったが、どうやらお互い欲が強すぎたようだ。私のところもあなたのところもすでに純血の孫がいる。それでもなお欲したのは悪魔ゆえの強欲か。それとも先の戦争で地獄を見たからか」
「……いえ。私もあの子に自分の欲を重ねすぎたのです」
「一輝君といったかな。彼には礼を言いたかった。息子に足りなかったのは
「フェニックス卿」
「あなたの娘さんは良い人間を持った。これからの冥界は退屈しないでしょうな」
「そうでしょうね……しかし、よりにもよって私の娘が拾うとは思ってもいませんでした」
「
「次はやはり」
「ええ。
「ただ……やはり何でしょうかこの
フェニックス卿が眉をひそめる。
「やはりですかフェニックス卿。実は私もなのですよ」
グレモリー卿は窓辺に立ち、遠くを見据えた。既に一輝達の姿はない。
「グレモリー卿もですか」
フェニックス卿は椅子から立ち上がり、共に窓際に近づいた。
「ええ。一輝君には今日初めて会ったと言うのに……今回と同じように一輝君が会場に乗り込み、リアスを返してもらうと言い、サーザクスとの取引。ライザー君と戦い、勝利し、リアスを連れて帰る……それも一回や二回ではないのです。もう何百、何千、何万も同じ事を
グレモリー卿が窓枠に手を置き、冥界の空を見上げながら呟いた。
「奇遇ですねグレモリー卿。私もまさに同じ印象でした。何度も何度も繰り返される光景」
フェニックス卿は頷きながら続ける。
「しかも」
グレモリー卿は拳を握りしめた。
「毎回同じ結果になるわけではない。時には彼が敗北し、別の者が犠牲になったりと……様々な結末がありました」
「なるほど……つまり我々が見てきたのは単なる夢幻ではなく、実際に起こったかもしれない歴史の断片なのでしょうか」
フェニックス卿は腕を組み考え込む。
「そう考えるのが自然でしょう」
グレモリー卿は窓から室内へ向き直り、厳しい表情で言った。
「一輝君自身には記憶はないようです。あの若者の眼に曇りはありませんでした」
「だとすれば」
フェニックス卿の目が鋭く光る。
「これは誰かの作為によるものでしょうか? それとも何者かの干渉なのか……」
……あるいは
サーザクスside
レーティングゲームは一輝君の勝利で終わった。終わったが……。
「
私は自室でそう呟きながら机に向かい座っていた。手元にはグレイフィアが纏めてくれた一輝君の詳細な資料が並んでいる。
「ふぅん」
ページを捲りながら情報を改めて確認する。
出海一輝。アルビノ持ちで実の両親から孤児院に捨てられ、出海家の養子となる。
ただアルビノ持ちのせいで他人から苛めや迫害を受け何度も転校。ただある日突然、彼は極東から痕跡を消し、五年前に戻って来たかと思えば再び姿を消し……二年前、リアスが通う人間界の駒王学園に入学。
彼の高い戦闘技術は極東から姿を消した間にどこかで鍛え高めた技。それでも人間の若人の部類の強さにしては抜き出ている。
「彼が最初に登場した時から妙な既視感があったのだよ」
私自身も何度も同じ展開を経験しているような錯覚に囚われていた。まるで
思わず苦笑が漏れる。
「因果律への干渉……いや、もっと根本的な何かか?」
その考えはあまりにも恐ろしい。だが否定できる材料も無い。
「さて……これからどうすべきか」
次の動きを考えなければならない。
「サーザクス様」
「グレイフィア」
私の
「一輝様の資料をご覧になっていましたか」
グレイフィアは私が手に持つを見て察したようだ。彼女もまた一輝君に対する既視感を感じている一人だろう。
「ああ。彼についてもっと知っておかねばならないと思ってね」
「私も同感です。あの少年は……どこか
グレイフィアが珍しく強い口調で言う。彼女の直感は常に正しい。
「一輝様について更に詳しくお調べ致しますか?」
「……いや。今はいい」
私は手元の資料をテーブルに置いた。
「彼についてはあまり深入りしない方がいいかもしれない。少なくとも今はね」
「しかし……」
グレイフィアが言葉を探すように口ごもる。
「私も君も既視感を感じている。それが何であるのか解らない以上、下手に探ることは避けた方が賢明だ……だが同時に彼がリアスを救ってくれたことも事実。少なくとも今は敵ではなく味方と考えるべきかもしれない」
「サーザクス様」
「解っている。だからこそ慎重に動くべきだと思う」
私はグレイフィアの方を振り返った。
「今は彼の行く末を見守ろう。それが最善策だろ」
「承知致しました」
グレイフィアが一礼し部屋を出て行く。扉が閉まった後、私は再び資料に目を落とした。
「一輝君……君は一体何者なのだろうね」
???side
『もう何百、何千、何万も同じ事を繰り返し見聞きしてきた気がするのです』
『奇遇ですねグレモリー卿。私もまさに同じ印象でした。何度も何度も繰り返される光景』
『私も君も既視感を感じている。それが何であるのか分からない以上、下手に探ることは避けた方が賢明だ』
私以外誰もいない空間で、宙に浮かび上がる映像の一つを見ている。
『ふ~ん。流石に
私は宙に浮かぶ数多のモニターの一つを眺めながら独りごちた。グレモリー卿とフェニックス卿。そしてサーザクスとメイドのやり取りが映し出されている画面からは既視感と混乱が色濃く感じられる。
彼らなりに必死に原因を探ろうとしているようだが……。
「まぁ無理もない話さ」
私は指先で軽く空中を叩くと新たなウィンドウが開く。そこに表示されたデータにはこうあった。
繰り返し回数:6億2473万5198回。
6億と言う途方もない繰り返しの回数……同じ運命を繰り返してきた人類史。
「ただ未だに一輝君と周りのお友達は世界が繰り返している事に気づいてはいないようだけど」
だけど……それでも少しづつだけど■■■■の力は繰り返すごとに強くなっている。本人にその自覚はまったくないけれど。
「今回もタカマガハラシステムの介入は無し。この程度の違和感程度なら彼らにとっても許容範囲内と捉えているのかな」
ま、 アイツらにとっては
「そして今回もまた
私に出来ることはただ見守ることだけ。ループから抜け出せず抗えない人類史を。
ただループ脱出の手段がないわけではないけど……でもそれを成すためには条件がある。ループを打破するには一輝君が■■■■■として覚醒しなければならない。それがなければ結局この無限ループから抜け出すことは不可能。だからこそ私は一輝君の成長を待ち望んでいるが……■■■■■に何が引き金で目覚めるかは確率としては今のところほぼ0に等しい。
「さて。まだしばらくは見ていようか。一輝君がどこまでたどり着けるのか」
そしてモニターの中で何も知らず眠る一輝君の姿を見つめながら私は静かに微笑んだ。
「今回の旅路も楽しみだね……一輝君。いや…………境界の最奥にて■■■■■■■■■■できる■の力を手に入れた■■■■■■■■■……今回は何処まで進むのか」
楽しみだよ。
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