ハイスクールD×D 蒼の継承者の物語   作:Yunnan

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堕天使

 一輝side

 週末の休日。日課のトレーニングを終え、適当に町をぶらついていると背後から声をかけられた。

 

 「一輝じゃないか!」

 訊き覚えのある声に振り返ると、そこにはオシャレをした一誠と隣に可憐な美少女がいた。

 

 「彼女がそうなのか?」

 「おう! 俺の彼女、天野夕麻ちゃんだ!」

 「初めまして、天野夕麻です」

 丁寧にお辞儀をしてくる一誠の彼女、天野夕麻。見た目は可愛らしい美少女だが……この女、危険な感じがする。それに本当に極微量だが天野夕麻から滲み出る魔力。

 

 「……出海一輝だ。よろしく」

 「んじゃデートの最中だからまたな! 夕麻ちゃん、行こう」

 「うん」

 楽しそうに会話をしながら人ごみの中を進んでいく中、俺は天野から感じた魔力が気になり、氣殺(けさつ)完全に氣配を殺し(・・・・・・・・)尾行を始める。年頃の女の子が好きそうな店を回り、ファミレスで食事をしたりデートを満喫していた。

 ……一見普通のデートに見えるが、時折だが一誠が天野を見ていないとき、うっすらと危険な笑みを浮かべている時がある。天野夕麻………何者なんだ。

 そして時間が進み、夕方になる。

 

 

 

 

 

一誠side

 「ねぇ、イッセー君。私たちの初デートの記念に、一つだけ私のお願い聞いてくれる?」

 「な、何かな? お願いって」

 夕暮れの公園。噴水のある公園で夕麻ちゃんがそういってきた。

 な、何かな? まさかここでチュウのお願い!? ヤバい! 緊張してきた!! だけど、俺の考えてる事とは裏腹に夕麻ちゃんは冷たい声で言ってきた。

 

 「死んでくれないかな(・・・・・・・・・)?」

 「……え? ゴメン夕麻ちゃん。もう一回言ってくれない? 何か俺の耳変だわ」

 俺は苦笑いを浮かべ聞き返した。訊き間違いだ。そう思った。だから訊き返した……なのに。

 

 「死んでくれないかな」

 口を耳元に寄せて同じ言葉を言う夕麻ちゃん。俺は笑いながら、「冗談キツイな夕麻ちゃん」と言おうとした瞬間だった。

 夕麻ちゃんが俺から離れると服が弾け飛んで全裸になった! おぉ! 見えた! 生おっぱい! ってかいきなり公園でストリップですか!? 服装も可愛らしい女の子から男を誘う様な扇情的な服に変わって羽も生えた。

 こういうのって、眼福っていうんだっけ!? ……って、そうじゃなくて!

 

 「……羽?」

 そう。夕麻ちゃんの背中から黒い翼が生えた(・・・・・・・)。何……だよこれ? コスプレ?

 バサバサッと羽ばたきすると、夕麻ちゃんの体が宙に浮かび黒い俺の足元に落ちる。

 

 「楽しかったわ。あなたと過ごした僅かな日々。初々しい子供のままごとに付き合えて。あなたが買ってくれたコレ、大切にするわ……だから」

 口元に微笑を浮かべ、冷たい声音で話す夕麻ちゃん。俺はその声に腰を抜かしてしまい座り込んでしまう。

 手をかざすと、ブゥンと、耳鳴りに近い音が響き、夕麻ちゃんの手に光の槍が形成された。

 

 

 「ゆ、夕麻ちゃっ」

 「死んでちょうだい」

 俺の声も聞かず槍を振りかぶり投げつけてくる。迫ってくる槍に動けずにいると。

 バキィ!!

 

 俺の間に人影が入り、槍を蹴り飛ばしてくれた。蹴り飛ばされた槍は地面に突き刺さり、音もなく消えた。

 

 「何!?」

 夕麻ちゃんが驚いた声をあげ翼を羽ばたかせ更に高く浮かぶ。だ、誰だ? 背格好から、俺と同い年に見えるけど……。

 その男はゆっくりと振り返る。そいつの顔を見て俺は驚いた!

 

 「一誠、無事か?」

 「か、一輝?」

 そいつは俺のクラスメイトの一輝だった。な、何で一輝がここに?

 

 「……堕天使の光の槍を蹴り飛ばせるなんて、普通の人間にはできないわ。あなた何者なの?」

 「お前に答える義理はない女堕天使。この女は俺が何とかする。早く逃げろ」

 「い、いや。逃げろって言われても……」

 「死にたいのか!? 早く逃げろ!!」

 っ!! 珍しく大声を上げた一輝に俺は立ち上がり、振り返り駆け出す。

 

 

 

 

 

 「ハァ、ハァ、ハァ……一体、何なんだ?」

 俺は一輝に言われて、あの場から走って公園の入り口で息を整えていた。膝が震えて笑っている。

 

 『死んでくれないかな』

 あれは……夕麻ちゃんなんだよな?

 大人っぽく妖艶な声音で冷たく言い、槍で殺そうとしてくる出来事が頭に鮮明に浮かぶ。何で俺を殺そうとしたんだろう?

 俺が疑問に思っていると……。

 ドッ。

 鈍い音がし、腹に何かが突き刺さった感じがあった。見ると夕麻ちゃんと同じ光りの槍が俺の腹を貫いていた。

 触れようとしたが、忽然と消え去り血が噴出した。

 

 「がッ ああああ……ゴハッ!」

 口からも吐血して、俺は地面に倒れこんだ。何で? ……意識がぼやける中、黒い翼を生やし飛び去っていく姿が見えた。あ……あの黒い羽、夕麻ちゃんと同じッ!

 段々遠のいていく意識の中、俺の頭に色んな映像が早送りに流れる。あぁ、これが走馬灯ってやつか?

 ……マジかよ……高二で死ぬのか? まだ、青春を存分に楽しんじゃないのに……。

 親父やお袋に……親孝行すらしてもいねぇのに。

 童貞のまま死ぬとか洒落にならねぇなあ……。

 ッてか死ぬ間際だってのに、何碌でもない事かんがえてるんだろうな、俺。

 俺は、腹の辺りをさすり、顔の近くまで動かした。

 紅い……俺の血……。その時、俺は一人の女性を思い浮かべた。

 紅い髪……リアス・グレモリー先輩。

 どうせ死ぬなら、あの人のおっぱい揉んでから死にたかったなぁ……。ははは、死ぬまでエロ妄想は止まんなかった。

 あぁ、もう何にも見えなくなってきたわ……いよいよ最後か。

 生まれ変わるなら、俺は……。

 

 「あなたね、私を呼んだのは」

 突然、俺の耳に声が聞こえてきた。

 血が抜けすぎた所為か、誰だか分からない。

 

 「死にそうね。傷は……へぇ、面白いことになっているじゃないの。そう、あなたがねぇ……」

 途切れ途切れで、何言ってのか分かんねぇや……。

 

 「どうせ死ぬなら、私が拾ってあげるわ。あなたの命。私のために生きなさい」

 薄れ行く意識の中、鮮やかな紅い髪が映りこんだのを最後に、目の前が真っ暗になった。

 

 

 

 

 

一輝side

 一誠が逃げてから、俺は目の前の天野夕麻…………堕天使と対峙する。まさか堕天使だなんて……見抜けなかった俺に腹が立つ……少し感が鈍ったかな。

 俺は自室で創りあげたイヤリング。バロールの魔眼をポケットから取り出し、耳に装備し闘級を測る。

 闘級:1363(魔力856/武力105/気力402)

 ……これは強いのか? 弱いのか? 検討がつかない。まぁ闘級はあくまで目安だからそこまで気にする必要は無い。ただ倒すだけだ。

 俺はユキアネサを顕現させ、抜刀の構えを取る。

 

 「神器(セイクリッド・ギア)……でも、見た感じそこまで危険な代物じゃなさそうね。いいわ。どこの誰だろうと私の計画の邪魔をするなら、死んでもらうわ!」

 再び光の槍を形成し投擲。高速で迫る槍を限界まで引き付け、間合いに入った瞬間。

 

 「全反撃(フルカウンター)!」

 抜刀し槍を斬りつける。甲高い音が響き、先ほどより数倍も大きくなった槍が堕天使に向かい飛んでいく。

 

 「なっ!?」

 自分が投げた槍が返ってくるとは思わなかったのか、回避が遅れ脇腹を掠める。

 

 「クッ! 貴様!!」

 「遅い」

 怒りに顔を歪め、もう一度槍を形成しようとするが……俺の方が速い。

 奴より高く飛び上がり、空を蹴り高速で間合いを詰める。投擲した槍を体を捻りギリギリで躱し、落下速度に縦回転を加えた踵落しを頭部に落とす。

 ゴッ!

 

 「アァ!?」

 鈍い音が聞こえ、レイナーレは顔面から地上に体を打ち付ける。追撃にユキアネサを下突きで背中を刺そうとしたが、先に起き上がり躱された。

 顔面から落ちた衝撃で口を切ったのか、血を流している。

 

 「……想定外ね。ここは退かせてもらうわ」

 「尻尾を巻いて逃げるの間違いじゃないか(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)?」

 俺が挑発すると、殺意を込めた双眸で睨みつけてくる。

 

 「図に乗るな、人間風情が……次は確実に殺す」

 翼を羽ばたかせ、高速で公園から去る。同時に、公園に張られていた結界も解けた。

 鞘に収め手を放すと、ユキアネサは虚空に消える。息を吐いた直後、血の匂い(・・・・)が風に乗って運ばれてきた。

 

 「!!」

 まさか!! 一誠!!

 血の匂いが運ばれてきた場所に急ぎ向かうと、地面に血溜まりを作り仰向けに倒れている一誠と、部長が傍にいた。

 部長は紅い魔方陣を展開させ一誠の胸元に置いた八つの駒が中に入っていった。

 

 「一誠を悪魔に転生させたんですか?」

 「ええ。あの深手じゃ転生しか無かったのよ」

 そのまま一誠を抱きかかえ、展開させた魔方陣に入る。

 

 「一輝。今回のことは……」

 「(わか)ってます。誰にも言いません」

 「ありがとう。じゃあね」

 微笑み、一誠を抱きかかえ魔方陣の光に包まれて公園から転移した。っと言うかお姫様抱っこなんだな。

 残った俺は、大量の血だまりをEAで処理を始める。地面に手を触れると、血だまりの場所が陥没し始め、周囲の土が埋めるように向かって行く。

 数分後には元通りなっているのを確認し、人が来ないうちに家に帰宅した。

 

 

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