惇を先発にする理由は、エースとしてなのか又は昨年のリベンジを果たしてあげようと言う個人的感情で決めた事なのかを尋ねた落合。
その落合の言葉に
片岡「・・・どちらもです。」
片岡は、どちらもだと答え
片岡「私は、彼が投げる試合は、全て彼に任せようと言う思いでマウンドに送り出しております。」
片岡「今日の巨摩大戦でも、彼を信じ任せようと思っております。」
片岡「去年の夏に負け、涙を流した姿を見たあの日の事は、今でも忘れません。彼も、あの日の事は忘れておりません。借りを返したいと考えていると以前話をした時に言っておりました。」
片岡は、話し合った日の事を思い出していた。
回想
次の相手が巨摩大藤巻に決まったその日の夜、惇は片岡に呼ばれた。
惇「失礼します!」
片岡「うむ。楽にしてくれ。」
惇は、片岡の言葉に従い、楽に座った。
片岡「調子はどうだ?」
惇「そうっすね・・・ボチボチなとこっすね。」
惇は、調子を尋ねられ、ボチボチだと答えた。
片岡「初戦の宝明戦では、指を擦っていたのを確認したのだがな?」
惇「・・・っ!?」
片岡の指摘に、惇は目を見開き、驚きの表情を見せ
惇「・・・いやぁ、カズさんにはバレなかったんすけど・・・バレてましたか・・・」
苦笑を浮かべながら頭を掻いた。
片岡「御幸には見えない位置で指を擦っていたのが見えたのでな。」
片岡の観察眼に
惇「・・・リリースの感覚は良いっすよ。けど、まだコントロールが出来ないっすね。真っ直ぐも、何球かボール気味の高めに浮いてましたし。」
惇「けどカズさんが、そこを上手く使ったお陰で勝てました。」
惇は観念しつつも真剣な表情で答えた。
片岡「そうか・・・」
片岡「お前も知ってると思うが、次の相手は巨摩大藤巻だ。」
惇「そうっすね・・・」
片岡「その巨摩大藤巻戦、お前はどうする?去年の借りを返したいか?」
惇「っ!」
片岡「お前の正直な意見を聞かせてくれ。」
片岡は、惇に去年の悔しさを晴らす為、先発として投げたいか尋ねつつ、本心を尋ねた。
惇「・・・」
片岡「・・・」
お互い、長く沈黙しつつも目を逸らす事は無かった。
それは、まるで永遠の如く続いた。
その沈黙を破ったのは
惇「・・・正直に言うと、投げたいっす。」
惇だった。
片岡「・・・」
惇「去年、哲さん達3年生と監督を日本一にする事が出来なかったあの日の試合は、今でも夢に出てきます。」
惇「あの日の悔しさを忘れた事は一度もありません。正・・・本郷に投げ勝つチャンスがあるなら、投げたいっす!」
惇「けど・・・俺はこのチームのエースです・・・。エースは個人的な気持ちでチームに迷惑をかけるわけにはいかない。」
惇「決めるのは監督です。もし投げさせないと言うなら、俺は従います。それが、チームの為なら尚更っす。」
惇は、正直な思いを片岡に言った。
片岡は、惇の思いを静かに聞き、真正面から受け取った。
そして
片岡「・・・お前の気持ちは分かった。」
片岡「それを聞いて、次の先発を尚更お前に任せたいと思う。皆にも伝えるつもりだ。」
片岡は、惇の思いを聞いて尚更任せたいと言った。
惇「・・・良いんすか?」
片岡「ああ。だが、これは俺の個人的な感情で決めたわけじゃない。エースであるお前だからこそ決めたのだ。」
片岡「お前なら、エースとして必ず勝つと判断したまでだ。」
片岡「いつも通り、お前は野球を楽しむんだ。勝敗の責任は全て、俺が負う。」
片岡「エースとして、勝利に導き、去年の悔しさを晴らすんだ。俺は、お前を信じる。」
惇「っ!」
片岡の言葉に、惇の気持ちは最高潮になり
惇「はい!」
大きな声で返事をしたのだった。
回想終了
片岡「私は、彼の思いを聞き、尚更任せたいと思いました。」
片岡「エースとして、リベンジを果たしてあげようと。責任は全て負うつもりです。」
片岡は、強い意志が籠った目で言った。
落合「・・・分かりました。あなたがそこまで言うなら、何も言いません。」
片岡「ありがとうございます。」
落合の言葉に、片岡は頭を下げたのだった。
そして、試合の時が刻々と迫って来たのであった。
投稿出来ました。
上手く纏まっておりませんが、お許し下さい。
それでは、また。