Brave×Beat   作:明石雪路

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それは無理じゃない?

 

 

「じゃあひとりちゃんは結束バンドってバンドで、ギターを弾いてるのね」

「は、はい」

「ギター始めて長いのか?」

「ギター自体は中学1年からで……バンドは高一からです」

「じゃあバンド歴は俺らのアメフト歴と同じだな! 」

「うん、でも3年で未確認ライオットに出て、CD出したりライブやったり、レーベル?に入るなんて……すごいや」

「ね、未確認ライオットなんて音楽全然聞かないセナも知ってるくらいだもんね」

「そ、そうですかね。そんなこともあるかもしれないです。うっへっへっへ……」

「ひとりちゃん褒めるとすぐに顔がデロンってなるね」

 

 

(そういえば一度考えた現役大学生バンドマンになれてるってことでは……!)

 

 

 歌詞もどんどん知的になってグローバルな曲も書けてしまうかもしれない。

 参った。経済学部入っちゃったしこのままでは人気大学生バンドマン兼裏でウォール街で世界経済を動かす凄腕株トレーダーになってしまうのでは……!

 

 

 

「うへへ、明日の今頃には片手に武道館、片手に世界経済を掴む女です」

「なんかやばいこと言ってる!」

「その二つ釣り合ってるのか……? いやすごいけどよ」

「明日の今頃は教科書抱えてるだろうね……」

 

 

 

 

 

自己紹介後。ひとり、セナ、モン太、鈴音の4人は一緒に帰路に就いていた。(書類等が大量に配布されたこともあって練習はなかった。)

あの後の空気は地獄だったが、全て終わった頃には皆とくに気にしなくなっていた。大学生にもなると平均的なスルースキルも上がるものである。

 

 

爆心地のひとり自体は自己紹介の記憶で苛まれていたので3人ががりで宥める羽目になったが。

 

 

そして、デビルバッツメンバーとひとりで帰ることになったのである。

 

 

 気が付けば、ひとりは意外と彼らと話せていることに気が付いた。

 

 

 話を回す鈴音に、話を聞いてはわかりやすいリアクションを返す雷門、話すペースが同じのセナは意外とかみ合っているのかもしれない。

 

 

 

「で、でも小早川くん達もすごいと思います。全国大会優勝って……」

「……まぁ、2年目は関東大会止まりだけどね……」

(あれ? なんか今までの謙遜する感じと少し違う……?)

 

 

ひとりはセナの微妙なニュアンスが少し引っかかった。

 

 

「なんだよセナ、お前まだ気にして……」

モン太がそこまで言いかけたところで、

 

 

「あーっ、ぼっちちゃんが誰かと帰ってる!」

「意外」

「あっ、虹夏ちゃん。連絡してなかったかも…」

 

 

校門近くで、ひとりを待っていた虹夏が声を上げた。

近くの掲示板を眺めていたリョウもまた、起伏の少ないリアクションながらも驚いている様子だ。

 

 

「す、すみません。スマホ見てなくて」

「全然いいよ! それより一緒に帰る友達がいる方がすごいよ!」

 

親しげなやり取りをする2人に、鈴音はおずおずと話しかけた。

 

 

「えっと、ひとりちゃんの……」

「一緒に結束バンドってバンドやってます、ドラム兼リーダーの伊地知虹夏です! こっちはベースの山田リョウ!」

「どうも」

 

 

 デビルバッツメンバーも自己紹介を終えると、

 

 

「いやーひとりちゃんは超が付くほど人見知りだからさー。鈴音ちゃんたちと仲良くなれそうでよかったよー」

「だってひとりちゃん面白いじゃないですか!」

「わかる。でもあの自己紹介でよくわかったね」

 

 

 郁代のメモ通りだと地味なのにとリョウが言うと、鈴音が声を上げた。

 

 

「あっ!」

 

 

 リョウの発言にひとりの体にピシリとヒビが入り、セナ達は身構えた。

 

 

「山田先輩! その発言はまずいっす!」

 

 

 

 モン太が冷や汗をかいて言う。

 

 

 

「後藤はさっきそのミスめちゃくちゃ気にしてて、三人でなだめたところなんス!」

「三人ともぼっちちゃんに早くも慣れてきたね」

「ご、後藤さん、僕は気にしてないから……!」

 

 

 セナがそういってまたなだめようとした次の瞬間、ひとりの肉体は勢い良く弾けた。

 

 

 18に散らばった肉片のうち、15をモン太はキャッチした。のこり三つはセナの〈デビルスタンガン〉で弾き飛ばす。

 

 

「いいいいいいい!?」

 

 

 訳も分からず反射的にピンクの肉片を掴むモン太。流石は日本トップクラスのレシーバーである。

 そしてモン太の手には数十キロのピンクの肉塊が。

 

 

「ムッキャアアアアアアア!!」

 

 

 重さキモさMAXの謎物体を思わず落としてしまうモン太。落ちた肉塊はぐじゅぐじゅと形を変えている。

 

 

 

「な、なんですかこれ!?」

「ぼっちちゃんはちょいちょいこうなるよ」

「平常運転!?」

 

 

 結局残りの肉塊も集まり、元のスーツ姿のひとりに戻った。

 

 

「さっきはならなかったの?」

「作画が崩れたくらいだったんスけど……」

「やっぱり慣れてるね」

 

 

 ぐったりしたひとりはリョウの肩を借りて歩き出した。

 

 

 

「まあひとりちゃんて人見知りで調子ぶっこきやすくて、急に突飛なことする上にこんな感じに形もすぐに変わっちゃう子なんだけどさ」

「「「重々承知しております」」」

「アハハ……。でも、仲良くしてくれたらうれしいな!」

 

 

 虹夏が弾けるような笑顔でそういうと、セナと鈴音は

 

 

「はい!」

「勿論です!」

 

 

「は、はいっス」

 

 

 

 モン太はドギマギしながら答えた。

 

 

 それじゃあねーと去っていく虹夏をよそに、モン太の顔つきがなんだがしまりない。

 

 

「モン太?」

 

 

 

「これは……」

「まも姉に惚れたときと同じ顔してる……」

 

 

 まも姉とは姉崎まもりのことであり、元泥門デビルバッツのマネージャー兼主務を務めたセナ達の一つ年上の女性である。

 鈴音は尋ねた。

 

 

「そういえばまも姉とはどうなったんだっけ」

「告白までしたのに気持ちに気づかれないもんだから諦めて『俺の恋人はアメフトだ!』って。大学も違うし」

「あー……そういえばそんなことあったね」

 

 

『俺が一生まもりさんをキャッチするっス』のどこに告白要素があるのか、セナと鈴音にはわからなかった。

 

 

「伊地知先輩……。優しくて明るくて素敵だ……。」

 

 

 

 目をキラキラさせてそんなことをいうモン太にセナと鈴音は。

 

 

 

 




現時点で勝手に作った設定としては、

・結束バンドは未確認ライオットファイナルステージ出場(優勝してない)
・モン太とまも姉について

です。他にも無意識に勝手に作ってるかもしれません。


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