TS魔法少女性癖バトルロワイヤル 作:青碧
「もうそろかな。あ、見えて来た」
その言葉通り、デカい建物が視界に入った。これが触手さんの言うアジトなのだろう。
「止まれ。ヨシヨシ」
ペット感覚で触手を宥めて俺の方の触手も離して貰う。凄いな、猛獣使いみたいだ。
「突然だし、まずは見学みたいな感じで色々周りを見て良さそうだったら此処で暮らして欲しい」
「駄目だったら?」
「その時はちょっとね?」
闇のある笑みを浮かべた触手さんを見て、この人に歯向かわない方が良いなと思った。
『はぁ……死ぬかと思ったモブ』
モブの場合は全身を隠されて、まるで封印された様姿になっていたのでそりゃあそうだろう。と言うか、途中で喋らなくなったので息絶えたのかと思ってた。
「んじゃ、改めてようこそ!穏健派のアジトへ」
さぁ、俺は此処から生きて帰れるのだろうか。いや、生きて帰ろう。それに何があったら最悪時間止めて逃げる事が出来るからそうしよう。
「ちょっと待っててね」
と玄関で待たされて暫く経つ。その間、暇なのでモブに色々質問をしていた。例えば、食料とかはどうするのかとか、お金は使えるのか?とかを聞いてみた。すると、返ってきた答えは。
『食糧や物資は一日に一回ランダムに一定数配られるモブ。運営へのお布施と言う形で課金する事で場所を密告して貰うとか、量を増えたり好みの物を入れてもらえたりと融通して貰えるモブ』
『お金に関しては本島のお金は使えないモブ。その代わり、マジカルキャッシュレスがスマホに対応されてる筈モブ!コレを使えば運営に賄賂を渡してゲームを有利に進ませる事が出来るモブ。マジカルキャッシュレスのゲットの仕方は、ギャンブルの勝ち額か配信の投げ銭。もしくはお仕事の一月分の手取りモブね。後は……やってからのお楽しみモブ』
なんか急に現実に擦り寄ってきたな。メルヘンチックな通貨の癖して、トランプのジョーカーに見えて来た。
そんな事をしていると漸く触手さんが帰ってきた。その横には、見知らぬ女の子が居た。ツインテールで、不機嫌そうな顔にマスクをしている。
「遅くなっちゃてごめんね。ちょっと探すのに手間取っちゃってさ。それじゃあ、分からせちゃん後は宜しく〜」
『
そうキレながら、ワタラセさんはパーカーのポケットから手をコチラに出した。
『んっ』
「え?あ、すみません。マジカルキャッシュレス、さっき知ったんでコレで許して下さい」
掌に札を一枚乗せると、すぐにキレられた。
『カツアゲじゃねえから!違えよ、手だよ、手。此処広いし、ヤバイ奴も居るから』
そう言って強引に掴まれ、引っ張られる。おかしいな。安全の場所だってモブは言ってたのに。
「此処ってもしかして安全じゃ無いんですか?」
『いや、ほぼ安全なんだが例外の奴も居る。例えば……』
そう言って前を歩くワタラセさんがギュッと強く手を握り締めた。つまり、俺の手も巻き込まれた。思わず悲鳴を上げそうになった所で。
『お、新しい姫の案内?良いじゃん。僕にも紹介してよ、ワ・カ・ラ・セ・ちゃん♡』
『よぉ、こーかんど王子。あぁあぁ、今日も目を背けたくなる程輝く顔面をお待ちで。さっさと消えるか毛根が消えろ』
『相変わらず可哀想な語彙力♡見た目通り小学生ぐらいの脳味噌しか詰まってないんですかぁ?可哀想〜。ってか小学生か、言ってる事もガキだし』
俺の手を犠牲に、にこやかな笑顔で喧嘩を始めたのでつい悲鳴を上げ忘れてしまった。
『絶対安全圏で飲む淹れたてのお茶は美味いモブねぇ』
とのどかにお茶を啜りながら呟いた本物の畜生の存在は永遠に忘れる事にする。
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