ぶっちゃけ10巻ってなにあったっけ?
兵藤一誠side
「手を抜いたな、小猫」
部室に戻ってきて開口一番に告げられた言葉は衝撃的な一言だった
「…はい」
その言葉に頷く小猫ちゃん
「どういうことですか、アークライトさん!?」
「小猫が最後に使った炎の能力、それはそれ以前に使っていた
嘘だろ…?
あれだけの威力の攻撃が最下級の能力だって?
寧ろ今まで使ってた炎の吸収や触れると焼き尽くすあの能力の方が上だったなんて…
いや、言葉にしてみたらわかる
ただ炎を操るのと炎を吸収、触れたものを焼き尽くすじゃレベルが全く違うじゃないか!
「熱エネルギーの吸収能力で不死の炎を吸収した時にはあいつの精神はぶれぶれでした。あと一押しだと思ったのであの派手な大技で完全に精神を潰そうと思いあの技を、あの能力を使いました」
小猫ちゃんはアークライトさんに説明する
確かに自分の攻撃が効かない相手が現れてそいつが自分より強い同系統の能力を使ってくるとなると動揺するのは当然だ
その動揺している状況で派手な大技を食らえば俺だって心が折れてしまうだろう
「結果圧倒したからいいだろう。だが私が貴様を修行するのはここまでだ。後は貴様らの好きにするがいい」
「だったら…アークライトさん、お願いがあります」
今しかないここしかない
「貴様の言いたいことはわかっている。だがその前に自分の中のルーツを探せと言ったはずだ。貴様がそれと向き合おうとするならば私は貴様に力を貸そう。他の者も同じだ」
アークライトさんは答える
俺も小猫ちゃんみたいに修行つけてくれっていうのがわかってたみたいだ
だけど俺の中のルーツってなんだ?
というか俺の中ってなんだ?
「貴様もだ木場祐斗。過去に囚われそれに執着すれば成長を止めるぞ」
「それは…わかってます…でも、僕には忘れたくても忘れられない。あの事だけは、あの剣だけは許せない」
「ふん、小さい男だな。貴様を貴様だけでも逃がそうとして死んでいった奴らが今の貴様を見たら幻滅するだろうな」
「なっ!」
「考えてもみろ。命を懸けて守った人間が未だに復讐を望んでいると知った時の気持ちを」
木場は木場でアークライトさんの言葉ではっとしたような表情を浮かべている
俺は木場が過去になにがあったかしらないからなんとも言えないけど…
辛いことがあったって事だけは話を聞いているだけでも分かる
でもアークライトさんが言ってることもわかる
「いつまでも過去の小さな出来事を心の支えにしているとは滑稽だな」
「あなたに!あなたになにがわかるって言うんですか…この僕の気持ちが…」
木場の言葉にアークライトさんは答えない
むしろしょうもないとでもいうかのように笑う
「貴様のようなやつなど腐る程見てきた。私の居た場所は生きるか死ぬかその両極端しか存在しない弱肉強食の世界だ。死んだ奴の事など気にも留めない。だが大抵のやつはこう思うだろう。『死んだ奴の分まで生きよう』と」
アークライトさんの言葉、それは木場祐斗という男の中身を変えるのに充分すぎる一言だった
「それ…は…」
「だからあえて言ってやろう。貴様の考えはつまらんことだ」
「僕は…僕は…みんなの気持ちを…」
涙を流しながら木場は膝をついた
その姿は今までの自分を恥じるようにも俺には見えた
「もし貴様が憎しみのために剣を振るう事を辞めるならば私は貴様を対等な相手として見てやろう」
「え?」
アークライトさんの言葉の意味をすぐに理解できない木場
だがそれも次第に理解していく
「それって…」
「不本意だが貴様には磨けば光るセンスを感じた。だが私は剣術は使えない。私が教えるのは能力の有効活用の仕方だ。ありとあらゆる魔剣とやらを創造する能力、それに私の持つ
アークライトさんの言葉はなぜかすぅと俺の中に溶け込んできた
言ってる意味が凄くわかる
インファイターの小猫ちゃんが戦い方、能力の使い方を変えただけであんなにも強くなれたんだ
それってつまり今とは違った進化が出来るって事じゃないのか?
「だが、貴様ら2人。貴様らからは私はなにも感じなかった」
アークライトさんが示したのは朱乃さんと部長だ
「え?なんでですかっ!?小猫ちゃんを除けば明らかにこの二人が今の最強メンバーなはずなのに」
「だからだ、兵藤一誠。まず、姫島朱乃と言ったな。貴様はあのあと変わろうとしたか?現状を変えようとしたか?自身が勝手に使うのを嫌がっている雷光の力を使ったか?」
「………」
朱乃さんは唇を噛み締めている
雷光?使うのを嫌がっている?現状を変える?
俺にはなんの事かやっぱりわからない
けど木場の時と同じで辛い過去があったのは表情を見るだけでわかる
「私だって!私だって…」
「言いたい事は本人に向かって叫べばいい。だが一つだけ最後に助言してやろう。貴様の母が信じた男をもう一度信じてみろ。私がここまで気にかけてやったんだ。結果を出さなければ私は貴様にはなにもしない」
「はい…」
しょんぼりとした今にも泣きそうな声で返事をする朱乃さん
可哀想だけど俺は事情をなにも知らない以上下手に声をかけられない…
「リアス・グレモリー」
「なにかしら?」
「なにもない。素質もなにも感じないやつに手をかける程私は優しくない」
は?
今なんて言った?
部長が一番この中で素質がないって?
「なんの冗談かしら?」
「冗談?私は至って本気だ。貴様からはなにも感じない。センスも素質も伸び代もな」
「そんな…」
「私に興味を持って欲しければもっと成長してからこい。今の貴様では私がなにを言っても効果はない」
「私は『王』なのよ!眷属の誰よりも強くあらなければならないの!」
「貴様が求める強さはなんだ?」
「え?」
「兵藤一誠は守るため。木場祐斗は亡き友のため。塔城小猫は自分自身を変えるため。姫島朱乃は父を信じた母のために力を求める。なら貴様はなんのために力を求める?眷属のため?違う貴様が力を求めるのは『王』とやらが強くなければならないという義務的使命感だ。そんな奴のために私は力を割くのは御免被る」
「それは…」
「そういう事だ。つまらん事に時間を掛けさせるな。姫島朱乃、行くぞ」
「え?」
「言いたいことを言いに行くのだ。早くしろ。時間の無駄だ」
「あ、はい!」
朱乃さんはアークライトさんの元にかけていきアークライトさんに掴まれるとその姿を消した
そして部室に残ったのはお菓子を食べる小猫ちゃんとさっきまでとは違った表情を浮かべる木場に言葉を失った部長が残る形になった
「部長!部長は今でも充分強いですって!」
「ごめんなさいイッセー。今は1人にしてちょうだい…」
そう言うと部長は部室から出て行った
「イッセー君。今はそっとしておこう。それよりも君の中のルーツを調べよう。僕も気にはなってたんだ。イッセー君の神器はあの赤龍帝を封じているんだよね?ならそのドラゴンの力もイッセー君の力なんじゃないかな?だからアークライトさんは君の中のって言い方をしたんだろうし、『兵士』8個消費の理由も思いつく」
木場が俺に駆け寄ってくるなり提案してくる
「ドラゴン…」
心当たりはある
最近よく同じ夢を見るんだ
赤い龍が俺を見ている夢を
何か言葉を話してきているようには見えるが声は聞こえない
そして赤い龍は声が聞こえていないとわかると俺の前から飛び去っていく
そんな変な夢を
「う〜ん。考えられる事はイッセー君の実力が足りてない…のかもしれないね。赤龍帝の籠手は力を倍々にする強力な能力を持った神器だってのはわかってるよね?」
「あぁ、だからその倍にするときに基となる俺自身がレベルアップすればその能力の効果でもっと強くなれるって事だろ?」
俺はこの神器について部長から説明を受け俺なりの解釈で納得している
「うん、だけどその本来の力が抑制されているとしたら?」
抑制…?
「どういう意味だ?」
「今のイッセー君の実力を小さな器だと考えよう。そこに本来の赤龍帝の力を乗せるとほぼ間違いなく溢れかえってしまう。だから君の中で赤龍帝が能力を抑えているのかもしれない。さっきの話からすると君はもう赤龍帝の事を認識しているはず。聞いた話だと何かを神器に封印したタイプのものは神器の深層世界に入り込んだりその封印してあるモノと会話が出来るはず。まずはそこから始めてみよう」
そうだな。木場の言う通りだ
今の俺じゃ部長に何もしてやれない
なら俺自身が強くなって部長を引っ張ってやればいい
部長が俺たちみたいに覚悟が産まれた時に、アークライトさんが部長を認めた時に今までみたいにみんなに守られてる弱っちぃ俺から脱出してなくちゃならない
「木場!ちょっとやってみる。手伝ってくれ!」
「お安い御用だよ」
木場は優しく微笑む
俺はいい仲間を持った
それはイコール部長もいい仲間を持ったってことなんだ
部長は必ず帰ってくる
今は部長を信じて俺の出来ることをするだけだ