日記   作:小淵良樹

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解説?

 本作「日記」を読んでいただいた皆さん。

 まずは本当に、ありがとうございます。ぶっちゃけ意味がわからなかったと思います。だって書いてる私ですら「なんだこれ」って思ってましたし。

 そこを各々の想像で補う。それもまた小説の楽しみ方だとは思いますが、それでも「作者が何を考えて書いたのか知りたい!!」という人がいるかも知れませんので(いてくれたら嬉しい)、解説パートのようなものを書くことにしました。

 ですので、「俺はこの解釈以外認めねぇ!!!!」って人はあまり読まないほうがいいかもです。

 ま、この作品にそんな熱心な読者がつくとは思いませんけどねはっはっは。

 

 

 ……は?

 

 

 

 

 それではまず、主人公について。

 ぶっちゃけただの思春期の女の子ではあるんですが。

 その中でも特に、好きな相手にもつっけんどんに対応してしまうような……所謂、ツンデレと呼ばれる属性をもっています。

 ……まぁ、恋愛系ではないのでそこまで生かされませんでしたが。

 どれだけ素直になりたくても、冷たい態度を取ってしまう。そんな彼女が唯一本心をさらけ出すことができたのが、彼女が謙二に貰った日記帳です。

 また、彼女は友人に対しても完全には心を開いていません。だからこそ、悪ふざけで「大好き、愛してる」と口に出せた。勿論本当に心を開いている相手にそう言った冗談を言える人もいると思いますが、少なくとも彼女はそうではありませんでした。

 そしてこれが、友人達が死んだと聞いた希空の行動につながっていきます。

 自分がもっと心をひらいていたら、悔いなど残らなかった。自分が正直な心で彼女等と関われていたなら、或いは彼女等が死ぬこともなかったのかもしれない。正常な精神状態であればまず行き着かない結論ですが、短期間の内に母親を失い、父親が狂い、友人を失くした彼女にまともにものを考えることなどできるわけがありません。

 誰に対しても素直になれず、そしてそのまま、彼女だけが取り残されていく。

 ある意味、最初から最期──正確に言うならば、最期の直前──まで、ずっと孤独だったとも言えます。

 

 

 

 次に、謙二について。

 本編中でも述べられた通り、彼は医者です。医者になれるということは、少なくとも「それなり」のレベルではない程の頭脳を持っているということ。

 頭の悪い人であったら、もしかしたら彼のようには壊れなかったかもしれません。頭脳明晰な彼は、絶対に妻が生きていないことを理解してしまいました。

 もしかしたら別の飛行機かもしれない、もしかしたら瓦礫の中で生きているかもしれない──そんな甘い考えに縋ることは、彼にはできませんでした。

 それでは、彼は何に縋ったのか。

 その対象がゴジラです。

 ゴジラが自分たちを救ってくれたんだ、真尋はそのために必要な犠牲だったんだ。そう思うことで、彼は彼自身の痛みを和らげていきました。

 それでも、最期まで娘想いだということは一貫して突き通しました。一度死のうとした希空を叱責したのも、彼女の分だけは食料を寄越せと言ったのも、彼女を生贄に選んだのも。全て彼女の幸せを願っての行動です。

 そして彼は、最期まで娘の幸せを願いながら、崇めていたゴジラに焼き殺されました。

 

 

 

 真尋について。

 彼女については殆ど掘り下げようがないため語ることはあまりありませんが、一つ、大きな謎を残しています。

 彼女がしていた研究とは、なんだったのか。

 空港に突如現れたラドンは、確実に真尋の乗る飛行機を狙っていました。本文中には「……飛び去ろうとした怪獣だったが、生き残った希空と謙二を見つけ、甲高い鳴き声を上げる」とありますが、果たしてラドンは本当に、二人を見つけていたのでしょうか?

 ……いやまあ完全に後出しジャンケンではあるんですけど。しかし、ラドンの主食は人間ではありませんし、その程までに人間を強く憎む理由もゴジラに比べたらありません。

 もしもラドンが、ただ()()()()()()()()()()()()()()()だけに現れたのだとしたら。

 飛行機が落とされる理由=真尋の研究

 となってもおかしくはない……のかもしれません。

 怪獣が……よりにもよってラドンが、そこまで恐れる研究。

 そんなの、一つしかないでしょう。そう、ゴジラより強い──。

 

 

 

 そして、ラストシーンについて……もといゴジラについて。

 ラスト直前で、希空は行き場のない怒りをゴジラにぶつけます。

 

 何故真尋が死んだのか。それはラドンが殺したから。

 何故謙二が狂ったのか、それは真尋が死んだから。

 何故シェルターの皆が死んだのか。それはゴジラに殺されたから。

 何故自分だけが生き残ったのか。それは、奇跡が起きたから。

 

 これを見てもわかるように、直接的にゴジラが関わったのは、シェルターの件だけです。

 因みに希空が生き残ったのは、高架の下が砂などで覆い尽くされていたこと、うまく高架の柱に衝撃波が遮られたこと、また高架は縦長ではない為衝撃波で倒れなかったことなどの理由が合わさった結果です。因みに衝撃波って戻ってくるらしいんですけど。イヤァ、ナンデイキテルンダロウナァ

 

 閑話休題。

 人間は理不尽に襲われた際、理不尽自体ではない別の何かに憎悪を向けます。それは理不尽を恨んでも何にもならない、自分達は理不尽に対してどうすることもできないとわかっているから。

 今回の希空の場合、その対象がゴジラでした。

 孤独で、辛くて、全てが憎くて。

 そしてゴジラの目を見た時、彼女は気付いてしまったのです。

 自分達は同類だ、と。

 結局人間もゴジラも、他者の存在がなければ自己を保てない。

 その目の中には、虚無だけが灯り。

 彼女を「人間」たらしめる存在は、もう無い。

 そして同様に、ゴジラを「ゴジラ(GODZILLA)」たらしめる存在は、もう無い。

 希空がゴジラを「同類」だと認識してしまった以上、そこにいたゴジラ(GODZILLA)は死に、後に残るのは、ただ只管に巨大な獣──或いは、彼女自身。

 その瞬間、希空はゴジラにとって「憎い存在の内の一匹」ではなく「倒すべき敵」となりました。だからこそゴジラは、最初から全力で、彼女を骨の髄まで消し去ったのです。

 

 そして、希空が最期に手にしたもの。

 これは読者に任せるスタンスで行こうと思いますが、敢えて私から答えを出すのだとすれば、「ゴジラのルーツ」ではないでしょうか。

 勿論、何年の何月何日にゴジラが生まれたんだ……なんてことをしっかりと理解できるわけではありません。それは言うなれば日記帳。断片的に綴られた、ゴジラの記憶。

 だからこそ、希空は「希空」のルーツとなるもの──日記帳を思い出しながら消えていきました。

 

 

 ……と、言った感じでしょうか。

 希空とゴジラは確かに同類になりましたが、その二つが相容れることは決してない……のかもしれません。これを書いている間、実は生き残っていた希空がゴジラの顎を撫でている──なんてシーンがずっと頭の中で再生されていました。もういいじゃんそういう優しい世界でぇ……。

 

 というわけで重ね重ねですが、今作を読んで頂き、本当にありがとうございました。

 かなり独自解釈が含まれるので(手遅れ)、かなり好き嫌いがわかれそうな作品ではあったと思います。好きな人がいればの話ね。ははっ

 

 最後に。

 解説の方は一日遅れになってしまいましたが、ゴジラ生誕70周年、本当におめでとうございます。そして、ありがとうございます。1954年、「ゴジラ」が公開されたから、後に様々な作品が生まれていった(まあ二次創作ってかなりアウト寄りっぽいけどね。許してちょ)。それは確かな事実です。

 それでは、ここらで終わるとしましょうか。

 

 これからも「ゴジラ」が絶えず続いていくと信じて。

 

 

 本当にありがとうございました。




いやここ解説してねぇよ!!!!ってのがあったらコメントにて質問していたたがると幸いです。
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