幻想郷で赤い雨が降ったとき、さとりは勇儀、お燐、ヤマメの3人を連れて地上に行っていた。
理由は1つ、地底に現れた巨大生物が地上にも現れているのではないかという調査のためだ。
「嫌な予感がするわね」
「赤い雨か、雨自体に嫌な気を感じるな……」
その頃、地底ではグランゴンが旧都の近くに落とされた。
◇ ◇ ◇
溶岩怪獣
グランゴン
ギャアアァァァ!!
妖怪たちは逃げ回り、グランゴンは地霊殿まで近づいて破壊しようとした。
「逃げて!!」
唯一地霊殿にいたこいしはペットの動物たちの避難を優先し、弾幕でグランゴンの注意を引いた。
「本能「イドの解放」!!」
こいしの思惑通り、グランゴンは弾幕を放ったこいしの方を向いた。
「よし!このまま!」
地霊殿からグランゴンを遠ざけようとしたとき、グランゴンの火球がこいしを襲った。
「っ!?」
間一髪で躱したもののまだ動物たちの避難が終わっておらず、ウルトラマンに変身するのを躊躇った。
「深層「無意識の遺伝子」!!」
弾幕はグランゴンに飛んでいったが、グランゴンの火球1つで押し負けてこいしの体をかすった。
「熱っ!!」
思わず怯んで動きが遅くなったところにもう1度火球が襲い掛かり、まともに受け止めたこいしは真っ逆さまに落ちていった。グランゴンは地霊殿に興味を失ったのか、旧都に火球を乱打しまくった。だが、旧都にはグランゴンの火球に対応できるお空が残っていた。
「爆符「ペタフレア」!!」
グランゴンに気づいたお空は旧都を守るように弾幕を放ち、グランゴンの火球を相殺した。グランゴンは火球を乱打したことでエネルギーを使い果たしたのか、相殺したときに発生した爆風の間にどこかへ消えていった。
「まさかさとり様がいない間に襲ってくるとは!!」
お空はグランゴンがいなくなってすぐに被害状況を確認した。旧都に関してはお空のおかげで被害はなかったが、地霊殿では半壊状態になっていた。そんな地霊殿も、材料があればすぐに直るほどで済んでいた。だが、お空は見つからないこいしを探していた。
「こいし様!?どこですか!?」
ペットの動物たちにも手伝ってもらって捜索が始まった。
すぐにこいしは見つかったが、服がボロボロで体の至る所に火傷があった。
◇ ◇ ◇
グランゴン襲撃から30分程たったとき、地上に調査へ向かっていた4人が地底に帰ってきた。
「怪獣こそ現れなかったけど、地底と同じく異変が起こっているのは間違いないわね」
「そうだな」
4人はすぐに何かがぶつかった跡が残っている壁に気づいた。
「ここ、地上に行くときはなかったはず……」
「確かにあたいもなかったと思う!」
「だとしたら何が……?」
跡を見ながら4人で考えていると、お空が飛んできた。
「お空、どうかしたの?」
「地霊殿が……!!」
「地霊殿?地霊殿がどうかしたの?」
「地霊殿が襲撃に遭い、こいし様が酷い火傷を!!」
「「「「!!?」」」」
4人は止まっていた足を動かし、お空を追いかけて地霊殿へ走った。
地霊殿についてすぐ、半壊状態の地霊殿を見て戦いが激しかったことを察した。
「これは……!?」
「私たちがいない間にこんなことするなんて、随分度胸のあるやつだな」
お空の案内で残っている地霊殿の一部へ足を進めると、布団に寝かされているこいしがいた。
「こいし!!」
こいしは包帯をグルグル巻きにされており、右肩から火傷跡が見えていた。
「おねえ………ちゃん……」
「喋ってはダメよ。休憩していなさい」
さとりは拳を握りしめ、自分がいない間に妹が重傷を負ったことに責任を感じた。
「私のせいでこいしが……」
さとりは火傷が酷く体を動かせないこいしの看病を率先して行った。
「さとり様、体を休めてください。こいし様の看病は私が代わります」
「お空……そうね、看病する私が倒れては元も子もないわ」
静かにお空の提案を飲んで体を休めていると、何かが叫んでいる声が響いた。
ギャアアァァァ!!
「何!?」
急いで地霊殿の外に出ると、グランゴンが旧都を挟んで地霊殿の反対側にいた。
「あいつが………こいしを……!!」
さとりはお空からグランゴンの姿を聞いていたため、すぐにこいしに怪我を負わせた怪獣だと気づいた。だが、さとりは焦っていた。今の自分たちではグランゴンを倒せないことに気づいていたからだ。地底最強の八咫烏の火力を有するお空でさえも、グランゴンにトドメを刺すには足りない。ウルトラマンの力が必要になる。そしてさとりはウルトラマンの秘密を知っていた。
こいしがウルトラマンだということに
◇ ◇ ◇
ザンボラーが倒された日の夜、さとりは隣で寝ているこいしの中に光を見た。
(光……?)
その光は眩しくも温かく、さとりの楽しい記憶を思い出させた。
そのままずっと光を見続けていると、次第に光が1つに集まって人の形になった。
「さっきの……!」
人型の輝きが落ち着いてくると、そこにはザンボラーを倒した謎の銀色の巨人がいた。
『初めまして、私はこの少女と一体化しているウルトラマンという者だ』
「ウルトラマン……?」
『訳あって一体化することになった。君はこの少女に似ている』
「そうよ。私はこのこいしの姉のさとりよ」
『姉なのか』
状況を頑張って整理し、さとりはこいし=ウルトラマンということに気づいた。
『かつて私が共に戦っていた青年は全てが完璧な人間だった。しかしこの少女、こいしは完璧ではない。別にそれは悪いことではないが、これから数多の挫折や失敗を体験するだろう。そのときは君がこいしを支えてあげてほしい』
「元よりそのつもりよ」
『ならば安心した』
気が付くと、さとりはこいしの近くに座り込んでいた。数秒呆然としていたさとりはようやく寝る直前だったことを思い出した。
◇ ◇ ◇
「こいしがいつ起きるかわからない……でも、私はウルトラマンに頼り切りにはなりたくない!!」
さとりはグランゴンに不意打ちで弾幕を撃ちこんだ。
「想起「飛行虫ネスト」!!」
ギャアアァァァ!?
グランゴンは一瞬怯んだが、すぐに撃ってきたさとりを見つけて火球を放った。
「っ!?」
「怪輪「地獄の苦輪」!!」
「焔星「フィクストスター」!!」
突然のことで反応できなかったさとりは、勇儀とお空の弾幕で助けられた。
「大丈夫か!?」
「大丈夫ですか!?」
「ええ、大丈夫よ」
そこにお燐、ヤマメ、キスメ、ちやりなど能力を使える妖怪が集まった。全員で火球を相殺してグランゴンを食い止めた。
「恨霊「スプリーンイーター」!!」
「瘴符「フィルドミアズマ」!!」
「釣瓶「飛んで井の中」!!」
「呪血「カースドデビル」!!」
弾幕がグランゴンにぶつかってグランゴンは煙に包まれたが、煙越しに背びれのようなところが赤く光っているのが見えた。
ギャアアァァァ!!
「っ!!」
さらにグランゴンは口の中で火球を溜めていた。
同時刻、地霊殿ではこいしが
その腕の先の手にはカプセルが握られていた。
「ヤバいのが来るぞ……!!」
勇儀の言葉で全員が警戒した瞬間、お空の最大火力の2倍もの大きさの火球が飛んできた。
「っ!!」
全員が死を覚悟して目を瞑ったとき、火球が何かにぶつかって暴風が吹き荒れた。
「……えっ?」
火球が通るところには何もなかったと考えようとしたとき、不思議と安心する声が聞こえた。
『間に合ってよかった』
目を開けると、膝立ちで腕をエックスのように組んだウルトラマンがいた。
ギャアアァァァ!?
シュワ!!
だが、その胸の光は赤く点滅していた。
ピコン ピコン
ウルトラマンはグランゴンと組み合ったが、すぐに押し返されて馬乗りされた。
そこに弾幕がグランゴンを襲った。
「核熱「ニュークリアエクスカージョン」!!」
その間にウルトラマンがグランゴンから逃れると、その近くにさとり、勇儀、お空、お燐の4人がいた。
「私たちが援護します!!」
「私たちに任せな!!」
「あたいにお任せ!!」
「火力なら任せて!!」
ウルトラマンは頷き、グランゴンに向かっていった。
ギャアアァァァ!!
火球を片手で弾き、もう1度組み合った。ウルトラマンが押されかけていたが、4人の援護で逆にグランゴンを投げ飛ばした。
「想起「波と粒の境界」!!」
「力業「大江山嵐」!!」
「贖罪「死灰復燃」!!」
「焔星「ヘルズトカマク」!!」
起き上がろうとしたグランゴンにチョップで追撃し、グランゴンがまた起き上がろうとしたところにスペシウム光線を放った。
ドガアアァァァン!!
「やった!」
「よし!」
「やったー!」
「ナイスー!」
シュワ!!
いつもであれば飛んでいくが、それさえもできずに膝立ちのまま光の粒子となって消えていった。
「こいし!!」
それを見たさとりがすぐにウルトラマンがいたところまで飛ぶと、火傷が治ったこいしが倒れていた。
「こいし!!」
「……お姉ちゃん?」
「無事でよかった!!」
「……疲れちゃった」
「そうね、よく頑張ったと思うわ」
さとりはこいしを背中に背負い、地霊殿に帰った。
◇ ◇ ◇
地霊殿では、半壊していた地霊殿が修復されてきていた。
「戻ってきたわね…………こいし?」
「スゥー……スゥー…」
「寝ちゃってるわね」
いつの間にか寝ていたこいしを布団に寝かせると、自分も地霊殿の修復を手伝った。
(こいし、私はいつでもこいしの味方よ。責任はあなただけに背負わせないわ)
姉が自分の秘密を知っているとは露知らず、こいしは気持ちよさそうに眠っていた。
ウルトラマンマックス 第1話 勇気を胸に
を原作としたストーリーでした!!
一応さとりが怪獣と戦う勇気ということでそのままにしています