魔界のある夜、町から少し離れたところで音もなく謎の影が歩いていた。
「………ここなら使えそうだな」
影が止まった近くには野菜と果物の無人販売場があった。影は棚の物陰に奇妙な植物を植えるとその場を去っていった。
「ふっふっふ………この地球は我々のものとなるのだ!!」
◇ ◇ ◇
「あ!ママ!今日はにんじんがあるよ!」
「そうね、カレーにしましょうか!」
「やったー!」
ある親子が無人販売場でにんじんと玉ねぎを手に取った。2人が野菜を持ってきた籠に入れた途端、子供の足に痛みが走った。
「いてっ!」
「どうしたの?」
「足がチクっとして………」
「足?」
その場で母親が確認すると、特に目立った傷はなかった。棘のある植物に触れたのだろうと判断して帰ろうとしたとき、足を踏み出した子供が崩れた。
「どうしたの!?」
「足が……動かない………」
「!!?」
母親は急いで子供を抱き上げ、近くの診療所へ急いだ。
魔界を混乱させる影がついに行動を始めた。
◇ ◇ ◇
「神綺様、これで10件目です」
「ふむ………」
夢子は診療所の医師から似た事例がかなりの数に上ったことを神綺に報告した。
「今まで聞いたこともない症状、裏があるわね」
「調べますか?」
「黒幕が気づく可能性もあるわ。慎重に動きなさい」
「わかりました」
被害者から事情聴取を行い、疑惑の無人販売場に行きつくことができた。
「あれか………」
犯人にバレないように数日遠くから観察していたが、農家も知らずに納品していたことで特にこれと言ったものは見つけることができずに振出しに戻った。
「ウルトラアイで探してみようかな」
特別なものを見ることができるウルトラアイで見ても、見つけることができなかった。
「やはりウルトラ戦士がいたか!」
魔界のどこかで謎の影が怒りで拳を震わせていた。
「ただ我々の存在はバレていないはずだ。ウルトラ戦士の力を感知してオートで見えない障壁を張る道具を置いたのだからな!逆探知で例のブツも取り付けた!直にこの世界は我々のものとなる!」
辺りに謎の影の声が響いていた。
◇ ◇ ◇
「まだなのか!」
「………はい」
夢子がサリエルに調査の結果を共有すると、サリエルは夢子を掴んで無人販売場へ飛んだ。
「ここ?」
「はい、でも何も見つからなくて………」
「見つけ方が悪いんじゃないの?」
サリエルは売られている野菜ごと棚を破壊した。
「何してるんですか!!?」
「見たらわかるでしょ?壊したの」
どうしようと焦る夢子と反対に、サリエルは何かを見て笑みを浮かべた。
「………ビンゴ」
「え?」
「見て、魔界に自生しない植物よ」
サリエルが指を差す先には謎の植物があった。2人が攻撃するよりも早く、その植物が枝のような触手を動かしたかと思うと一気に巨大化した。
「「!?」」
マンダリン草
巨大な触手が2人に迫る中、謎の斬撃が触手を斬り落とした。
「無事か!」
「「コンガラ!!」」
たまたまいたコンガラのおかげで体勢を立て直し、3人で猛攻撃を仕掛けた。
脅威となる触手を全て切り刻み、トドメを刺すときに黒幕が現れた。
「「「っ!!!」」」
突然目の前が閃光のように眩しく光ると、一気に巨大化しながら拳を振るった。一番早く目が慣れた夢子が2人を庇って吹き飛ばされた。
「がぁっ!!」
悪質宇宙人
メフィラス星人
「地球人!!悪あがきはそこまでだ!!」
「なんだこいつは!?」
「私はメフィラス星人だ!!」
「無人販売場に隠れて攻撃するなんて卑怯だ!!」
「卑怯もラッキョウもあるものか!!」
「「………は?」」
まさかの侵略者がダジャレをぶっこんできたことに、思わず2人は呆然とした。
「今のダジャレだよね?」
「そのはずだが………」
気まずい空気が辺りを包んだ。
◇ ◇ ◇
森まで吹っ飛ばされた夢子は、ウルトラアイを付けようとして突然固まった身体に驚いた。
(何!?どうして!?)
メフィラス星人の逆探知によって取り付けられた機械は、ウルトラマンの力を感知すると動きを完全に止める代物だった。夢子とウルトラアイが触れる直前に発動し、変身が困難になったのだ。声すら出すことができず、自分の無能さを呪った。
その一方で神綺はメフィラス星人と激しい空中戦をしていた。
「地球人ごときがちょこまかと!!」
「その地球人に攻撃が当たらない気分はどうかしら?」
「貴様………!!」
メフィラス星人は数え切れないほどの蒼い玉を放出し、念力で操って神綺を追尾した。
「数が多すぎる………」
弾幕で相殺しながら空中を逃げ回っていたが、蒼い玉はメフィラス星人によってすぐに補充されていた。
神綺が木々の上を低空飛行すると、固まっていた夢子の足元に蒼い玉が着弾した。
「!!?」
夢子の視界が地面でいっぱいになった。うつ伏せに倒れたことでギリギリまで近づいていたウルトラアイが完全に密着し、ウルトラセブンに変身した。
「デュワ!!」
神綺が耐えきれずに蒼い玉が当たり、落ちていく神綺をセブンが受け止めた。
「セブン………」
神綺を優しく地面に降ろすと、メフィラス星人と向き合った。
「おのれ………!!貴様の力は封じたはず!!」
「甘かったな!メフィラス星人!」
ペアハンド光線とエメリウム光線の衝突を皮切りに巨人と巨人による空中戦が始まった。
◇ ◇ ◇
メフィラス星人は無数の蒼い玉を操る念力を見せたが、セブンはそれ以上の念力の精度でアイスラッガーを操ってすべて破壊してメフィラス星人を攻撃した。
「ぬう………!!」
さらに念力でアイスラッガーを固定し、エメリウム光線を反射させて死角からメフィラス星人に当てて撃墜させた。ついでに念力でマンダリン草を奪っておいた。
「メフィラス星人、無駄な抵抗はやめろ。お前の仕組んだこの侵略、ここを選んだ時点で既にお前の負けだったのだ」
膝をついたメフィラス星人に告げると、悪あがきと思われるグリップビームを放った。
「デュワ!!」
セブンは即座に反応してワイドショットを放った。力に余裕のあるセブンが押し切り、メフィラス星人が爆散した。
「神綺様、どうやらこの草が原因の模様です」
「薬師を呼べ。調合させよう」
神綺主動で解毒剤の製作が成された。その解毒薬で治療すると足がどんどん良くなっていった。そんな魔界の街を眺めながら神綺はメフィラス星人との戦いを思い出していた。
「私でさえあの宇宙人は強かった。体格差は弾幕で補えない………」
神綺は結界や新たな弾幕の開発に力を入れるようになった。
ウルトラマンタロウ第27話「出た!メフィラス星人だ!」を名前を使わせてもらいました!
学校やらなんやらで投稿できてませんでした。
もしかしたら今後もこの頻度かもしれないです。