幻想郷とウルトラ兄弟   作:閉密洋

9 / 20
今回長いです。


人里編 2話 黒い蟹の妖い

ジャックと一体化した妖夢は、ジャックとは別のウルトラマンの情報を得るために怪しまれない程度に人里に来ていた。

 

「目の形や胸の宝石、体の色の種類を考えれば同じ巨人だということはわかるんだけどなぁ~~」

 

最も効率的な調査方法は聞き込みだと理解しているが、聞き込みをすると怪しまれてしまう。

 

ウルトラマンが来たとはいえ、今まで幻想郷は妖夢たちが守ってきた。ウルトラマンが言っていたように、妖夢は自分たちが頑張って立ち向かいそれでも無理な場合だけにウルトラマンの力を使うと思っていた。そんな考えを持つ妖夢のため、自分がウルトラマンだとばれると幻想郷の人たちがウルトラマンの力に頼ってしまうと考えていた。

 

そのため、効率より身バレを優先して調査していた。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

一番の収穫は文の新聞だけだった。

 

「あのカラスはな……正しくてもどこか怪しいんだよな」

 

妖夢が湖に行くと、わかさぎ姫が謎の丸っぽい生き物をかごに入れていた。

 

「何それ?」

「さっき底の方で見つけたの。生き物だと思うんだけど何の動物かわからなくて」

「なら紅魔館でパチェリーさんに聞いてくるよ」

「ありがとう!」

 

その生き物が死ぬことを防ぐため、紅魔館に持っていくことを遠慮した。

 

「じゃあねーー」

「また!」

 

2人が手を振って分かれる中、その生き物の内部で何かが徐々に融合されていた。

 

 

「図鑑ならここにあるわ」

「借りますね」

 

本を読むパチェリーの横に座り、外界から来たという動物図鑑を開いた。

 

「うげ……多すぎる……」

「足はあったの?」

「なかったと思う。昆虫っぽかったかも?」

「であればこっちの図鑑の方がいいわ」

「確かに昆虫図鑑の方がいいかも」

 

探しても、図鑑にはその生き物は書かれていなかった。

 

「ん~~?」

「見つからなかったの?」

「どの図鑑にいるんですかね?」

「なら私が見に行くわ。見たことある生き物かもしれないし」

「ありがとうございます!」

 

 

パチェリーを連れてわかさぎ姫のところに行くと、すぐに名前がわかった。

 

「これはカブトガニね」

 

「「かぶとがに?」」

 

「外界では天然記念物に指定されている特別な生き物よ。昆虫に似ているけど昆虫じゃないから図鑑になかったのよ」

 

「なるほど……」

「じゃあ、このカブトガニはそのままにしておくね」

 

このとき、妖夢はそのカブトガニに何か嫌な気を感じた。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

その日の夜、寝ていたわかさぎ姫の腰を何かが挟んだ。

 

「何!?」

 

すぐに起きて気づいたものの、腰の何かを振り払えずに水底に引き込まれていった。

 

その瞬間、腰の力が弱まって何とか振り払えた。すると謎の手が右手首を掴んでそのまま水面近くまで連れて行った。

 

「プハァ!!」

「妖夢さん!?」

 

月明かりの下に妖夢の白楼剣が輝いた。

 

そう、嫌な気を感じた妖夢がわかさぎ姫を心配して待機していたのだ。

 

「大丈夫ですか?」

「どうして……!?」

「嫌な予感がしたんです。とりあえず今夜は湖にいない方がいいです」

「そうですね」

 

夜も遅かったため、妖夢はわかさぎ姫を白玉楼に連れ帰った。

 

湖では、さっきのカブトガニがとんでもない速度で大きくなっていた。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

翌日、背負ったかごにわかさぎ姫が入る形で久しぶりに街をぶらぶらしていた。並行して湖に近寄らないよう忠告もしている。

 

「で?湖まで案内してもらえる?」

「いいですよ」

 

昼時、話を聞きつけた霊夢が萃香を連れて現れた。

 

「この水底で?」

「そうです。気を付けてくださいね」

「あれ?何やってるんですか?」

「うどんげさん!」

 

街で見かけてそのままついてきたらしい。

 

「さっき妖夢さんたちが言ってたやつでしょ?」

「そうよ」

「やっぱり!…………ん?」

「どうかした?」

 

鈴仙は「波長を操る程度の能力」で波長を操り、透明になっていた謎の生き物を4人に可視化させた。

 

「「「「!!?」」」」

 

 

キュルロロローーーー!!

 

 

大蟹超獣 キングクラブ

 

 

「私は空から攻撃する!3人は下から攻撃して!」

「わかった!」

 

攻撃を合わせて、口らしき場所に集中砲火をした。

 

「霊符「夢想封印」!!」

 

「波符「赤眼催眠(マインドシェイカー)」!!」

 

「鬼符「ミッシングパワー」!!」

 

「獄界剣「二百由句の一閃」!!」

 

弾幕がキングクラブに降り注いだ。

 

 

キュルロロローーーー!!

 

 

キングクラブが弾幕を受けて1歩下がると、萃香が畳みかけた。

 

「行くぞ!!

 

萃符「戸隠山投げ」!!」

 

萃香がキングクラブを投げ飛ばし、そこに空中で待機した3人がもう1度弾幕を放った。

 

「霊符「夢想封印・散」!!」

 

「狂符「幻視調律(ビジョナリチューニング)」!!」

 

「畜趣剣「無為無策の冥罰」!!」

 

弾幕の影響で土煙が舞い、キングクラブが土煙に包まれた。

 

「やったか?」

 

「いや、土煙の中に大きい影が見えるよ。仕留めきれてない」

 

直後、土煙が晴れて現れたキングクラブが萃香に炎を吐いた。

 

「あつっ……!!」

「萃香!!」

 

霊夢が守ろうとしたが炎に妨害され、萃香の髪に炎が燃え移った。

 

「熱いっ……!!!」

 

「幽鬼剣「妖童餓鬼の断食」!!」

 

妖夢が燃えている髪先を斬り捨てたものの、痛みで気を失った萃香は元の大きさに戻った。

 

「うどんげさん、萃香さんをお願いします」

「え?ちょっ…!!」

 

鈴仙は萃香を背負い、この場所から飛んで離れた。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

「あの怪物は何?」

「おそらくだけど、私たちが戦った怪物と同じよ」

「姉さま、博麗の巫女がいるわ」

「ならば巫女に任せましょう。彼女は簡単には死なないわ」

 

紅魔館の2人がキングクラブの方から目を逸らした直後、その方が光り輝いた。

 

「「!!?」」

 

そこには、キングクラブに流星キックをするウルトラマンジャックがいた。

 

 

ヘェア!!!

 

 

「あれは……」

「ウルトラマン!?」

 

この日、2人はエース以外のウルトラマンを初めて目にした。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

「くっ!!」

 

霊夢の弾幕はキングクラブに容易く突破され、避けに徹していた。

 

「霊符「夢想封印」!!」

 

 

キュルロロローーーー!!

 

 

弾幕を全て無効化したキングクラブの尻尾が、瞬きの間に霊夢の目の前に迫った。

 

(あ、これ死んだわ)

 

「霊夢さん!!!」

 

妖夢の声が霊夢に届いたかという瞬間、諦めて目を閉じかけて狭まった視界の下から光が現れた。

 

 

キュルロロローーーー!!!

 

 

あまりの眩しさに動きを止めるキングクラブ。中々衝撃を感じないことを不思議に思った霊夢が目を開けると、謎の巨人の手の上にいた。

 

「まさか、ウルトラマン!?」

 

霊夢を左手に乗せたまま、ジャックは動き始めたキングクラブに流星キックを浴びせた。

 

 

ヘェア!!!

 

 

その隙に、ジャックは霊夢を少し離れた場所に運んだ。

 

「助けてくれてありがとな!」

 

ジャックは霊夢を向いて頷くと、駆け足でキングクラブにチョップを叩き込んだ。

 

気づけば空は赤くなり、夕焼けの中でウルトラマンが映えていた。

 

 

ジャックはかなりキングクラブに対して優勢で戦っていた。その攻勢はジャックが馬乗りになったときから覆された。

 

馬乗りでチョップをするジャックの後ろから、キングクラブの尻尾が巻き付いた。

 

 

ヘェア!!?

 

 

尻尾はジャックの首に巻き付き、徐々に締め付けていった。

 

「さすがにヤバいか!?」

「私たちでも助けれるかな……」

 

数秒後、ジャックのカラータイマーが点滅し始めた。ウルトラマンについて対抗心を抱いて調べまくった霊夢にとって、これは簡単な問題だった。

 

「助けるわよ!!」

「はい!!」

 

「神霊「夢想封印 瞬」!!」

 

「月眼「月兎遠隔催眠術(テレメスメリズム)」!!」

 

通常の攻撃がキングクラブに効きにくかったことを考え、2人はラストスペルを使った。

 

 

キュルロロローーーー!!!

 

 

同じ場所を同時に攻撃したことでキングクラブの尻尾が千切れた。

 

「よし!!」

「やった!!」

 

解放されたジャックはキングクラブを投げ技で投げ続けた。

 

キングクラブが起き上がらなくなったのを確認し、スペシウム光線を放った。

 

 

ドゴオオォォォン

 

 

壮大な音と共にキングクラブは爆発した。

 

「やったぜ!!」

「やったー!!」

 

ジャックは2人を見下ろして静かに頷いた。

 

「またあんなデカいやつが来たら頼むぜ!」

「小さいのは任せてください!」

 

太陽がほとんど見えなくなった中、ウルトラマンは空に飛んでいった。

 

 

ヘェア!!

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

「あれが……ウルトラマン…」

 

霊夢を助けようと無我夢中になって気づけば自分がウルトラマンになっていた。

 

『妖夢、君はあの少女を助けようと必死になっていた。確かに私に変身したが、それは君の思いが届いたからだ』

 

「ジャック……」

 

この前の怪獣とこの怪獣は同じ系列にあたるらしく、ジャックによると裏で手を引いているものが確実にいるとのことだった。

 

「絶対に倒す…幻想郷を守るために!!」




原作はウルトラマンエース第15話「黒い蟹の呪い」です。

感想やコメントいただけるとモチベが上がります。

こうした方がいいのでは?という指摘も助かります。

ジャックには夕焼けが似合うよね!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。