するとエレンは書き間違えたのか、ムスッとしていた。
そして書いていた紙をくしゃくしゃと丸めると、ゴミ箱に入れた。
「んむー・・・・・」
心で言っているつもりなのか、エレンは頬を膨らませながら声を漏らしていた。
(子供っぽい所もあんのな、意外と・・・)
シオンはエレンを見ているとリムが言った。
「紙はあまり無いのですから、大切にしてください」
「わかってるって、偶々だ、偶々!」
アハハと健気にエレンは笑う。
リムはそれを見て小さくため息を吐いた。
(いっつもこんな感じっぽいな、この人たち)
シオンはそう思いながら再び紙にペンを走らせたエレンを待った。
「ふう・・・」
書き終えてペンを机に置くと、エレンは頬杖をついた。
「今日はどう起こした?」
楽しそうにエレンは聞いた。
「剣先の音でやってみたところ、時間ぴったりに起きました」
リムが淡々と喋っている後ろで、シオンは視線を移した。
「剣先ってッ・・・」
エレンは手で口を押さえて笑いを堪えた。
(だよな、普通そんな起こし方しないよな)
シオンはそう思いながらため息を吐いてエレンの笑いが収まるのを待った。
「っと、笑いすぎた・・・」
口ではそう言いながらも小さくクスっと口元を緩めると、エレンは椅子から立ってシオンの前まで来た。
リムは後ろに下がる。
エレンはシオンと目を合わせると頭を下げた。
「昨日は、すまなかった!」
ハッキリとした声が部屋に響く。
「・・・・え?」
咄嗟に言われたので、シオンは訳が判らなかった。
顔を後ろに向けてリムに助け舟を出してもらおうと思ったが、多分嫌な顔をされると思ったのでエレンに言った。
「えっと、何の事、ですか?」
「お前が的に当てるときに、罵声を浴びせた奴が何人かいただろう?」
「あー・・・・・」
シオンは顔を上げて昨日の出来事を思い出す。
何と言われたかは覚えているが誰が言ったかは記憶していない。
「顔と名前は一致してるから、直ぐに首をはねよう」
「え!?」
シオンは驚いて、エレンを見た。
「確かに悪口は言われましたけど、そんなこと誰にでもあり得るし、何も首をはねなくても・・・」
苦笑いでシオンが言った。
しかしエレンは理解できないのか、ぽかんとした表情で首を傾げていた。
「あいつ等はお前に罵声を浴びせて、生涯に亘る屈辱を与えたんだぞ?死ぬのが当たり前だろう?」
ムスッとして腕を組みながらエレンは言った。
「そんな、大袈裟な・・・」
シオンは少し困りながらも、何とか考えた。
「じゃあ、その、厳重注意みたいなので、許してあげてください。首をはねるのはちょっと・・・」
「・・・・・」
エレンはシオンの意見に満足な顔をしなかったが、拒否することも無く口を尖らせていた。
「わかった。今回だけはそうしよう、ただし次は無いからな」
渋々シオンの意見を認めたエレンはやさしいく厳しい口調でそう言った。
「どうも・・・」
シオンは小さく返事を返した。