明治の魔法剣士は知らない戦地に転生しました。   作:偽帝

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唯一の道

顔を上げると、視界な豊満な胸があった。

 

 

(デカい・・・)

 

 

シオンはわざとらしく咳をして気を紛らわした。

 

 

「それと・・・、昨日の的当て?は何の意味が」

 

 

「♪♪」

 

 

シオンがそう言うと、エレンは嬉しそうに声を漏らした。

 

 

(笑う所、か?)

 

 

疑問に思ったが、口に出さなかった。

 

 

「それは・・・」

 

 

後ろにいるリムは視線を逸らした。

 

 

何か言うのを躊躇ったが、一度目を閉じるとリムは口を開いた。

 

 

「エレオノーラ様は数々の戦を闘ってきました。ですが、これまで捕虜を作ったことなど一度もありませんでした」

 

 

「・・・」

 

 

シオンは黙ってリムの話を聞く。

 

 

「それで、貴方を捕虜とした時、兵士達の間である噂が出たのです」

 

 

リムは続きを言おうとしたが、その前にエレンが口を開いたので言うのを止めた。

 

 

「私がお前に一目惚れしたから捕虜にした、っていう噂だ」

 

 

「一目惚れって・・・」

 

 

「そうだ。戦場での恋とか、敵同士なのに芽生えた禁断の愛とか、兵達は意外とそういうのが好きなのだな」

 

 

「・・・」

 

 

シオンは何も言えず、数回瞬きをした。

 

 

「まあでも、間違ったことを言ってるわけではないからな。惚れたことには変わりない」

 

 

「・・・魔法なんて見たこと無いでしょう?」

 

 

「ああ。本当はまだまだバリエーションがあるんだろう?」

 

 

「そうですね・・・」

 

 

シオンはエレンの前で片手で出す。

 

 

すると一瞬で手のひらに透明な花が現れた。

 

 

「こんなのも出来ますよ」

 

 

「綺麗だな・・・!」

 

 

エレンは無邪気に人差し指を出して、花に触れた。

 

 

指が少しだけ触れた瞬間に、花は粉のように消えていった。

 

 

「すいません、数秒が限界で・・・」

 

 

「いや、今度は長く魅させてくれ。期待してるぞ」

 

 

二人はお互いに静かに口を緩ませた。

 

 

「ともかく、噂に反応した部下が何人かいてな。これ以上噂が広まったら厄介だからってお前を殺せって直訴してきてな」

 

 

「私は間違ったことなど言ったつもりはありません」

 

 

シオンの後ろで、リムが冷たく言った。

 

 

「こんな部下が多くてな。だからおまえの実力を直に見せるのが一番効果的だと思ったんだ。思ってた以上に効果があったようだな」

 

 

エレンは机の前まで移動すると、そこに腰をかけた。

 

 

「ついでにこれも言おう。・・・私がお前を捕虜にしたのは、楽しませてもらったから、だ」

 

 

「楽しませましたか?」

 

 

シオン自身は、本気ではなかったので特に楽しいとおいう思い出はない。

 

 

しかしエレンはシオンの言葉に対して、うんと頷く。

 

 

「あの戦は酷かった。いや、お前はどちらの国の出身でもないから酷かったんだと言うべきか」

 

 

空気が変わったように、エレンは重く冷たい口調で言った。

 

 

シオンとリムが立ちながらエレンを見ていた。

 

 

エレンは視線を窓のほうへ移すと、ハッキリとした声で言った。

 

 

 

「まったくもってつまらない戦だった・・・!」

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