「・・・熱い、炎を消してくれ」
銀の髪を揺らしながら彼女は言った。
シオンは無言で刀をクイッと動かした。
すると、メラメラと燃えていた炎は一瞬にして消えた。
それを確認した彼女は口元を緩ませた。
「さっきのは、魔法か・・・?」
「・・・まあ」
そっけなく返事を返すと、彼女は剣をシオンの刀に向けた。
「その剣、というよりは刀、か?いい物だな、使い慣れているだろ?」
「・・・・・・」
(襲ってきた人を、褒めるか普通・・・?)
シオンは無言で目を逸らしている。
「・・・まあいい。私はエレオノーラ・ヴィルターリア。お前は?」
「山奈、紫苑・・・」
「ヤマナ・・・?なかなか聞かない、どこの出身だ?」
「えと・・・日本?」
シオンがそう答えるとエレオノーラは小さく口を開けた。
「ニホン?そんな国があるのか・・・?」
エレオノーラは少し驚きながらシオンに突きつけていた長剣を鞘におさめた。
「詳しいことは後で聞こう、シオン」
ニッと笑顔を作ると、エレオノーラはシオンに手を伸ばした。
「お前は今から、私の
「・・・・・え?」
予想もしなかった言葉にシオンはポロっと呟いてしまう。
シオンがフリーズしている間に、護衛達も追いつきシオンを囲んだ。
何人かは槍を向けているが、エレオノーラが手で合図すると皆武器を引いた。
「リム、お前の馬にのせてやれ。こいつは私の捕虜だ。くれぐれも怪我はさせるな」
エレオノーラの言葉を聞いたリムという名の騎士は馬をシオンの近くに引き寄せた。
「・・・乗りなさい」
小さく、そして冷たい声でリムは呟いた。
(この人、さっき殺した馬に乗っていた騎士か・・・)
直感でそうだとわかったシオンは素直に馬に乗った。
そして持っていた刀をエレオノーラに向かって投げた。
「私が預かっておきます」
刀を受け取ったエレオノーラはそれを手に持つと、両手を自由にしているシオンを見た。
「掴まらなくて良いのか?」
「バランスは取れます」
シオンが言うと、クスッと少し笑ったエレオノーラがリムに言った。
「そうか、リムくれぐれも落とさないようにしてくれ」
「御意」
言葉の後に小さく舌打ちの音が聞こえたが、シオンは黙って聞こえないふりをした。
「怪しい行動と判断したら即、落馬させて殺すので・・・」
すこし怒り口調で振り返りながらリムは言った。
「捕虜になってまで抵抗しませんよ・・・」
(ああ・・・これから俺はどうなるんだろうか)
不安そうに空を見上げる。
シオンを乗せたリムは馬ごと体をエレオノーラに向けた。
他の護衛も同じ方向を向き沈黙すると、エレオノーラが振り返った。
「面白みの無い戦いだったが、最後はなかなか楽しかった。それでは・・・撤収するぞ・・・!」