「なんか、新鮮だなこういうの」
「そうですか」
「うん。居心地が良いっていうか・・・」
「当然です。エレオノーラ様の公宮ですから」
リムアリーシャは相変わらずの口調で言った。
歩いていると兵士と良くすれ違う。
他にも訓練している兵の姿も見える。
(何かいきいきしてるというか、活気に溢れてるな)
シオンは歩きながら考えた。
----戦はどうなったかな。
天井を見上げる。
(数ヶ月はもつと思う、けど、どうだろう・・・)
口を少し尖らせて、息を吐いたらたまたま音が鳴った。
その瞬間リムアリーシャの足が止まる。
「・・・口笛を吹かないで下さい、迷惑です」
「たまたまです、すいません」
シオンは素直に言った。
「・・・」
二、三秒睨んだ後、リムアリーシャは向き直って再び歩き始めた。
(帰りたいような帰りたくないような・・・。でもここも面白そうだしな・・・)
大人しく後に続いて歩いていると、いつの間にか外に出ていた。
リムアリーシャは足を止めて、振り返った。
「着きました、ここです」
シオンが顔を上げるとそこは、訓練場の様な場所だった。
何十人も兵士がいて、その中に一際目立つオーラを放っている人がいた。
他とは違う雰囲気を持つエレオノーラは騎乗していた時とは違う服装で、馬に掛けていた長剣も自分で持っていた。
「行きましょう」
耳の後ろでリムアリーシャが言うと、シオンは無言でエレオノーラの所へ向かった。
「お、来たな」
シオンの足音に気づいたエレオノーラはゆっくりとこちらに歩いてくる。
お互いに止まると、エレオノーラはリムアリーシャに言った。
「ここまでご苦労だったな。意外と時間が掛かったが、何かあったか?」
「申し訳ありません、エレオノーラ様。ずっとこの男が寝ていたもので」
「そうかっ、フフッ、捕虜でそこまで寝れるとはなっ」
「寝てなかったもんで」
「っ、そうかそうかッ・・・」
エレオノーラは込み上げるように笑うと、シオンを見た。
「ヤマナ・シオン、だったな?珍しい名前だ、どういう家系だ?」
「ヤマナは昔の大名の派生です、シオンでいいですよ」
シオンは手短に言った。
この人に限ってないと思うが、もう長官とか隊長とか呼ばれるのは堅苦しい。
シオンの言葉にエレオノーラは目を開いてニコッと笑った。
兵達を統率していた顔とはまるで別人のような顔だ。
「シオン・・・、わかった。私もエレンで良いぞ。この方が慣れてるからな」
(やたら待遇良い気がするな・・・、オチとか勘弁だわ)
シオンは小さく頭を下げた。