「はあ・・・」
シオンはため息をついた後、足を少し開いた。
顔は的を見ながら、片手を体の後ろで構える。
白い魔方陣が展開されて、普通目に見えない刃を掴む。
音を出さないように小さく息を吐く。
(どうせなら、真ん中を狙わないと)
目標を定めて腕を上げてシオンが投げようとした時ーーーーー、
「せいぜいがんばれよー」
シオンが投げる瞬間に誰かがシオンに対して叫んだ。
シュッ
刃は音と共に地面に突き刺さる。
「・・・・・・・・・・」
(今のはわざと言ったな・・・)
シオンはそれを口に出さないで、体勢を戻す。
自分を見ている兵士たちの笑い声が聞こえるが、それを無視する。
エレンも静かにこちらを見ていた。
シオンはもう一度同じ体制になって、刃を持つ。
今度はうまく放った。
透明な刃はまっすぐ飛んでいくが、的の真ん中に刺さる直前で僅かに逸れる。
「ッ!」
(うまく調節できないな、ちょっと時間掛かりそうかも)
シオンは小さくその場でジャンプして、体を解す。
「また外したぞ、あいつ」
「見たところ真ん中を狙ってるな・・・、ったく日が暮れるまでには当ててほしいぜ」
兵士達の声のボリュームが大きい。
無視しようとしてるが、シオンはピクっと反応してしまう。
(うるせー・・・)
シオンは後ろで見ているリムアリーシャを見た。
「・・・私を見てないで早くやってください」
「はーい・・・」
(思いっきり刺して、的を割ろう。そうすれば文句無いだろ)
シオンはいつもよりも細く尖った氷柱のような刃を作った。
勿論見えないが先が鋭いので、少し動かしただけでも空気が小さく揺らぐ。
「投げ方を変えてみよう」
シオンは顔を上げて、空を見た。
大きく深呼吸すると、ゆっくりと顔を下げた。
その時、視界に怪しいマントらしきものが移った。
「・・・?」
シオンは手を下げて左に動いていくそれを見た。
どうやら人影のようで、こちらを向いて止まると弓らしきものを構えた。
見える限りでは普通の弓というより、機械的な弓だった。
(近代的な弓だな・・・)
シオンはそう思いながら、顔をエレンに向けて言おうとした。
同時に放たれた弓もエレンに向かって飛んでいく。
シオンはエレンの近くに駆けつけようとしたが、エレンの口が開いた所を見てその足を止めた。
「アリファール」
エレンは持っている長剣に向かってそう呟いた。
瞬間、近くの風が渦巻き大きな音と共に向かってくる矢を止めた。
矢は音と共に小さな鉄屑となって床に落ちた。
「ッ!!」
矢を放った男は弓を投げ捨てると、また走り出した。