明治の魔法剣士は知らない戦地に転生しました。   作:偽帝

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砕く足音

「あの賊を捕らえよ!」

 

 

リムが言うと、近くにいた何人かの兵が走っていく。

 

 

その場にいる兵も弓を構えて、放つが距離が遠くて中々届かない。

 

 

「あの人、生け捕りにするのか?」

 

 

「そんなこと言ってる時間はありませんッ!」

 

 

リムがシオンを睨むと、まだ逃げている男を見た。

 

 

「そ、じゃあ足止めしときます」

 

 

シオンの言葉にリムは驚く。

 

 

片手に持っていた刃から手を離す。

 

 

(どこがいいだろうか・・・)

 

 

そう思いながらシオンは刃を空中に浮かせる。

 

 

透明で見えないが、空気がユラユラ動いているので認識できる。

 

 

シオンは人差し指を少し上に上げる。

 

 

すると刃も上に上がり、男の走っている建物と同じくらいまで上がると再び止まる。

 

 

次にシオンが指を下げると刃は男に向かって一直線に飛んでいく。

 

 

シュウウウウウウ

 

 

静かに音を立てて刃は男の目の前まで来た。

 

 

「・・・・!」

 

 

男は何かの音に気づいて足を止め、周りを見渡す。

 

 

しかし、何も見当たらず向かってくる矢もここまでは届いていない。

 

 

男は招待のわからない何かに気を配りながら、一歩足を前に出したその時。

 

 

 

グジュッ

 

 

男が出した足の距骨から楔状骨までを刀が貫通したのだ。

 

 

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」

 

 

片足から血が噴出し、押さえながら男はその場に倒れてもがく。

 

 

(アイツはもう歩けないな、一生・・・)

 

 

シオンは男を取り押さえられている所を見ていた。

 

 

「この距離から正確に仕留めるなんて・・・!」

 

 

「さっきまでの的当ては、わざとだったのか・・・!?」

 

 

リムの後ろで見ていた兵たちも、驚きを隠せなかった。

 

 

もうこの場には誰も愚痴を言う人はいなかった。

 

 

「一体どうやって、あんな技術を・・・!」

 

 

男を取り押さえている兵士の一人が、建物からシオンを見て言った。

 

 

「どうやったんだ?」

 

 

リムが驚きながらシオンに言った。

 

 

「片足の骨を潰したんです。多分、今後満足に歩けないと・・・」

 

 

それを聞いたリムは唖然とした。

 

 

シオンは顔をエレンに向けた。

 

 

建物の方を向いていて、後ろ髪が風に揺れている。

 

 

「もう、的はいいですよね?」

 

 

シオンが呟くと、エレンは振り返った。

 

 

「ああ。よくやった・・・!」

 

 

嬉しそうな笑顔を返したエレンは、長剣をおさめる。

 

 

その時、偶然風が吹いて、エレン、シオン、リムの髪を揺らした。

 

 

(意図的だな、この風は・・・)

 

 

手で取るように風に触れながら、シオンはエレンを見た。

 

 

エレンはシオンが何を言いたかったのかわかったようで、片目でウインクをした。

 

 

(本当、捕虜の扱いがこれで良いのか信じがたいな・・・)

 

 

シオンはわざとらしくため息を吐くと、ゆっくりと空を見上げた。

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