知恵の国に咲く花   作:タスク・アスク

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マーリンとタグをつけていますが本人ではありません。
あくまで似たような能力を持ってしまった人物が主人公です。
本当は本人を出したかったけど、マーリンの設定的に無理でした。


前日譚

 

世界()()に味方しない

 

()は生まれつき現在全てを視ることができた。

だが、その(千里眼)は呪いだった。

どこかで誰かが死ぬ。

けれど()は見ることしかできない。

手を差し伸べることも、声をかけることもできない。

ただ、視ることしかできない。

それ故に()は物心つくときには世界に絶望していた。

だが、そんな()にも視ることができない場所があった。

()はそれが視ることが出来ない場所がある。

 

天空の城、モンドの巨木、璃月のとある屋敷、稲妻の城の天守閣、スメールのスラサタンナ聖処、フォンテーヌの最高審判官の部屋、ナタの夜神の国、スネージナヤの()()()()()()などなど、他にもいくつかあるが、彼は無意識に視るとこを拒んでいる場所があった。

 

10歳の時、世界に絶望していた()は思いつきで今まで視ることができなかったスラサタンナ聖処を視てみることにした。

 

最初は体が震えて目を閉じてしまった。

けれど()はこれが自分を変えてくれると信じて視ることを諦めなかった。

そして、3日という時間をかけてようやく体の震えが落ち着き、目を開くことができた。

 

 

 

 

 

 

目にしたのはスラサタンナ聖処の内部、そこには閉じ込められた草神(クラクサナリデビ)がいた。

 

 

 

 

 

 

 

なぜ?なぜ草神(クラクサナリデビ)が閉じ込められているのか?

 

アーカーシャはかつての草神(マハールッカデヴァータ)については教えても、今の草神(クラクサナリデビ)について答えてくれない。何故か、これが答えだ。

世界の書物も呪われた目(千里眼)を使って本来読むことも出来ない本も読むことが出来た()は、常人より知識が豊富だった。そのため幼いながらも彼女()が閉じ込められているのは教令院にとって不都合だからだと、瞬時にそのことを理解してしまった。

やっぱりこの世界(テイワット)()の居場所はない。

そう結論づけた彼は、次の瞬間不思議な場所に居た。

 

 

 

 

(わたくし)を覗いたのはあなた?」

 

 

 

 

そこには閉じ込められているはずの小さな草神(クラクサナリデビ)がいた。

 

「あら、固まってしまったわ」

 

理解ができなかった。

 

なぜ小さな草神(クラクサナリデビ)が自分の前にいるのか、そしてここはどこなのか、何もかも理解できなかった。

 

「私たちがここにいるのはあなたが覗いてくれたからよ。一時的だけどあなたと私の間に繋がり(パス)ができた。おかげで少しの間あなたとお話することができるわ。それで、あなたは誰?」

 

神の質問に皮肉を込めながら返す。

 

「…………僕は変な目を持った人間だよ」

「変な目ね、どんな目なの?」

「最悪な目、現在全てを視せてくれるのに未来も、過去も視せてくれない。」

 

神は人間とは違う価値観で行動する。それ故に彼に酷な質問を容赦なくしてくる。

 

「あら、それのどこが最悪なのかしら?」

「この目は呪いだ、誰かがどこかで死んでいる。それをただ見ることしかできない!手を差し伸べることも、声をかけることもできない!この目になんの意味がある!?」

 

神の容赦ない言葉に、怒りを込めながら反論する。

 

「そうね、今を視る目では過去に何があったかも、未来で何が起こるのかも知ることはできない。」

「だったらー「でもね」!?」

 

神は人間とは違う価値観で行動する。それ故に人間では想像もつかない答えを返す。

 

「あなたは観測した現在をもとに未来を予想することはできる。」

「予想…?」

「えぇ、例えば敵がこれからどんな計画を立ててくるのか、あなたは視ることができる。そしてそれをもとに対策をとることができる。」

 

それは天啓だった。この目には他の使い道があったことが知恵の神によって証明されたのだから。

 

「……確かに。」

「それにあなた、まだ他にも秘密があるわね…」

「え?」

 

神は彼の体に触れた、すると彼の体内から元素と別の何かが溢れ出てきた。

 

「その体…ほんとに人間?」

「えっ?」

「あなたの体、半分夢境の力で構成されているわ。その体は生きながら死んでるわ。そんな曖昧な状態で活動していたため、能力がうまく制御できず目が暴走してしまったのね。」

「待ってくれ両親はただの人、のはずだ。少なくとも神の目や特殊能力の類は持っていなかった──────────いや待て。確か母の系譜がかつて花神?花霊(かれい)?の巫女だったかもしれないなんて話をしていたことがある。……もしかして……そういうことか?」

 

彼が恐る恐る草神(クラクサナリデビ)の方を見つめると…

 

「花神の眷属*1、あるいは草神(マハールッカデヴァータ)の眷属たる花霊*2の力が由来ならこの力にも納得ね。でもこの力、どちらかというと神そのものの力が由来といったほうがまだわかるぐらいには強いわね。恐らくだけど眷属の花霊ではなく花神本人の力が由来ね。なんで貴方に宿ったのかは…ごめんなさいそこまでは分からないわ」

「……そうか」

 

 確定らしい。しかも眷属ではなく神様本人の力が由来だとは…ん?

 

「………もしかして、治すことができるのか?」

 

一縷の望みを持ちなら彼女(クラクサナリデビ)に問いかける。たが、現実は非情だ。

 

「残念ながら、根本的な解決は不可能よ。精々その目をある程度制御させるぐらいはできるけど…」

「………そうか………」

 

彼女の言葉に()はわかっていたとはいえ、神にも不可能と言われた以上、向き合って生きていくしかないのだろう。

 

「それで、貴方はこれからどうするの?」

「………わからない。僕はこれからどうすればいいんだ?」

「そうね…旅をしてみるのはどうかしら?」

「旅?」

「えぇ、貴方が今まで視てきたものを、実際にその場所まで行って体感するの」

「…それに何の意味が?」

「世界はまだまだ捨てたものではないわよ」

「………それ、今閉じ込められている貴方が言います?」

「フフッ、それはそうわね。ならもう一つ理由をあげるわ、動けない私の代わりに世界(テイワット)を見て来てくれないかしら?」

「………それはズルい」

 

──────────突然夢の空間に亀裂(ひび)がはいる。

 

「どうやらここまでのようね。それで旅に出てくれるかしら?」

「……わかったよ、旅に出よう。ただし条件がある」

「聞きましょう」

「貴方の代わりではなく貴方と一緒に旅に出たい」

「……それは無理だわ。だって(わたくし)は閉じ込められているもの」

「なら、せめて僕が見たものを君に伝えたい!……また、会いたい!」

「…なら、正式な繋がり(パス)を作りましょう。だけどその場合、貴方は(わたくし)の眷属になってしまうわ」

「構わない、それで君が近くに感じられるなら」

 

()の迷いない回答に彼女(草神)は微笑むながら草元素を右手から放出する。やがて元素が()の周りを(ただよ)い、体に纏わりついた。

 

「これで貴方は私の眷属よ。最後に貴方の名前を教えてくれないかしら?」

「………僕はサプナ。草神クラクサナリデビの眷属、サプナ」

「それじゃあサプナ、またね」

「あぁ、また」

 

 夢の空間に広がった亀裂(ひび)が割れ、僕は現実に戻った。

現実に戻った時、今まで勝手に様々な場所を移していた(千里眼)が落ち着いており、僕の足元には爛々と輝く草元素の神の目あった。

 

「…さっきのは夢、だけど夢じゃない。僕は確かに(草神)に会い、眷属になった……そうだ、旅に出ないと」

 

そこからの僕の行動は早かった。親を説得し、旅の準備を整え、次の日にはスメールシティを出た。

幸いにも神の目を持っていたからか、親もすんなり了承した。ただ、花神のことや夢境のことは親には伝えなかった。伝えて怖がられることを僕が嫌がったことも理由の一つだか、1番の理由は夢で草神(彼女)に会ったことも説明しなければいけないからだ。万が一アーカーシャを通じてこのことが教令院に知られた場合、命を狙われるかもしれない。そのため、言うわけにはいかなかった。

 

「さて、まずは隣国の璃月でも行ってみるか!」

 

────────────────────────────────────────

 

…その後の話?おかげで様々な場所を巡ったよ。その道中、恐らく自分の同一存在(別個体)だと思われる花の魔術師(ロクでなしキャスター)とうっかり目があってしまい、自身(花の魔術師)の能力たる夢幻と呼ばれる力の使い方の情報を(千里眼)越しに送り込んできやがった。おかげで忌々しいこの(千里眼)の力の使い方や夢幻(夢境)の力を理解することが出来たが、()の人格が少しあっちによってしまい、少しロクでなしになってしまった。ロクでなしになった私を見たナヒーダ様が素直に喜べず複雑な表情をしていたのは面白かったけど…うん、ロクでなしだな(もう手遅れだ)

………ともかく、100年以上時間をかけて七国全てを旅し、私は旅の果てにとある場所に引きこもることを決めた。

 

え?理由?そんなの決まっているじゃないか、ハッピーエンドを迎えるためだよ。

 

 

 

 

 

これはグランドキャスター(ロクでなし)に近しい能力を持って生まれたスメールの民がハッピーエンドを目指す物語である。

*1
伝説任務

*2




息抜きで書いたので、続きは書きたいけど実際に書くかは未定。

ちなみにサプナ君が生まれたのはカーンルイアの災いから約100年後位でナヒーダが拾われて見限られ、閉じ込められた後になります。

旅人(蛍)達が活動を開始した時には完全な引きこもりニートとなってしまったが、千里眼で情報は確保し続けています。
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