ㅤ誰しも得意なことが少なくともひとつはあると思う。
ㅤ勉強、運動、料理などなど……
ㅤ自慢では無いが俺、
ㅤ勉強は授業さえ聞いていればテストで90点前後は余裕で取れるし、運動に関してはサッカーをやっていたのもあって尚更得意と言える。しかも顔もいい方だと思う。
ㅤ───そう、俺はハイスペックなのだ。
ㅤだけど、ハイスペックなだけだ。
ㅤいつからだろうか……俺は努力するのを辞めた。
ㅤ少し練習するだけでなんでも上達するから。
ㅤそうなった辺りから俺は他人を見下すようになった。
ㅤなんでこんな簡単なことが出来ないのか、そんな事をずっと思っていたと思う。
ㅤ
ㅤ次第と心の中で思うだけじゃなく、それを発言や行動に移すようになった。
ㅤこの頃に父親が家を出ていったから、それも相まってストレスが溜まっていたのかもしれない。
ㅤそれでも俺は実際に優秀だったから「奏斗くんすごい!」とか言われてた。それが気持ちよくてどんどん見下すような発言を繰り返した。
ㅤだけどそんなことを繰り返していれば自然と孤立していくわけで……中学二年生になる頃には完全に孤立状態になっていた。
ㅤ心の中ではこれはやばいんじゃないんか、もうやめた方がいいんじゃないか、そう思っていたけど変なプライドが邪魔して、結局卒業式の日までやめることはなかった。
ㅤそうして灰色の中学時代をすごした訳だ……まぁ完全に自業自得なんだけどね。
ㅤ
ㅤ周りのみんなは友達や恋人と一緒に笑いながら卒業していく中、俺だけは1人だった。
ㅤそれで今までのこと、そしてこれからのことを改めて考えたんだ。幸い高校入学までは多少時間があったし。
ㅤそして俺は思ったんだよ。
ㅤ───あぁ…このままじゃ本当にまずい……ってね。
ㅤこの先もずっと一人で生きていくのは嫌だと思ったし、ちゃんと考えれば今までの俺はヤバいやつだったって理解出来たから、高校入学までに自分を変えようとした。
ㅤそして今に至る。
ㅤ俺は元々結構遠目の高校を受験していたんだけど、今になればそうしてよかった。
ㅤ新たなスタートを切るためには俺の事を知ってる人がいるとあんまりよくないと思ったからだ。
「よし…変わるんだ俺は…まずは笑顔で挨拶から!」
「じゃあ母さん、行ってくるよ」
「あら!いってらっしゃーい!」
ㅤハイスペックなだけじゃダメなんだ…結局中身ってのは大事なんだから。
ㅤもし中学の同窓会とかに呼ばれることがあるのなら……今までしてきたことを謝りたいなぁ……