カードゲーム世界でサイコロリ扱いされてるのだが??? 作:53860
どのカップリングも好きですが、さつれなの言い合える関係が大好きです。
早くクソボケれな子を正論で罵倒する紗月さんが見たいです。
本作もなるべくテンポよく進めるよう気を付けます……。
「ウチのターン!ドローしたカードを伏せるわ!そして手札の武装カードを墓地に送り、【BSS爆撃ピエロ】を墓地から特別召喚してターンエンド!」
「あれ……それで終わり?」
「えぇそうよ!さぁ!とっととウチのアタッカーを攻撃して破壊してご覧なさい!さぁさぁ!カモンファイト!」
『明らかに攻撃を誘ってきてるよ……どうするのマスター?』
うーん。次のドローで通常召喚できるアタッカーがくればいいけど。生憎、生贄が必要なアホムラしか手札にいないせいで、メンヘラ大馬鹿女が狙っているであろうカウンターを回避できない。良い感じのグロスペルはあるのに、ぐぬぬ。
すると突然、ホムラが鬼気迫った表情を浮かべた。
『……ッ!?気をつけてマスター!黒い靄のオーラが急に増幅しているよ!』
「えっ?あのメンヘラ女からは微塵も感じないけど?カードに込められた靄だってたかが知れてるじゃん」
『違うよ!階段を上がってやって来るんだよ!前に戦ったイカれ女と同じくらい邪悪かも!』
まさか敵の増援か?もしメンヘラ大馬鹿女がBSS団の関係者ならば、応援がきてもおかしくはない。
気を引き締めて臨戦態勢に入る。場合によってはカンナさんの助けも必要だ。ドタドタと足音をたてて何者かが駆け上がっているのがわかる。そして、勢いよく屋上の扉が開かれた。
「スルメちゃん!大丈夫!?ケガはない!?」
「ご無事ですかご主人様!?貴女に何かあったら私は……嗚呼ッ!」
我が愛しの幼馴染スズと、カンナさん大好きクラブのメイドであるズイがやってきた。見たところ悍ましいオーラはそこまで感じられない。人間と精霊では感知できる黒い靄が違うのだろうか。
うん?そういえば、以前にスズは黒い靄をまとっていたな。そしてアホムラは異常なまでにスズを恐れている。
「おい。クソバカアホ女」
『あれ!?どうしてそんな失望したような呆れ顔をしてるの?でも、ジト目のマスターも可愛いね……フヒヒ』
「言うに事欠いてスズを邪悪扱いしたな貴様」
『えぇ!?そっちはそっちでイカれてて闇深いけど!何らかの矯正は必要だろうけど!今はそうじゃなくって!』
「もういい。知らない。ロクに黒い靄もサーチできない雑魚は黙ってて」
『そんなぁー!?誤解だよマスターぁ!』
「さっきから何をブツブツ言ってるの?イマジナリーフレンドでもいるのかしら?アンタ見るからに友達いなさそうだもんね」
「お前に言われたくないわ」
「でも安心して!悪いのはこのイカれた世界なんだから!」
「なぬ?」
にやりと笑みを浮かべるとメンヘラ大馬鹿女は、仰々しく語り始めた。
「一見この世界は正常に回っているわ!ただ実際はそうじゃないッ!自己中心的な人間たちが蔓延っていてモラルを崩壊させてる!冷静に考えてみてよ!自殺をショーとして楽しもうするなんておかしいでしょッ!?」
「たしかに……この世界はイカれている。人の死を笑うなんて正気じゃない」
『え゛っ!?どうしたのマスター!?変なランチのせいで頭おかしくなった!?』
「スズお手製の愛情たっぷりサンドイッチになんてこと言うんだ」
『生産者を見たうえでの発言だけど……。普段は私たちを惨殺して大喜びしてるカスがなんでぇ?』
だってお前たちはカードじゃん。
いくら痛めつけようがバトル終了後には元通り。なんて都合のいい存在なんだろうか。おかげさまでグロカードで処理して愉悦を感じられる。大好きなお気に入りの玩具だ。
「今やスリル中毒の狂人ばかり!これもすべてカードバトル至上主義の弊害よ!カードでの勝敗でテキトーに丸く収めているけど!社会的課題とか恨みつらみとか社会の闇とか!そういう……何かこう……悲しいものは全部放置されている!だからウチみたいに可哀想な子が生まれるんだぁ!」
「目からうろこ。そっか、全部カードが悪いんだ。早く根絶やしにしなきゃ……」
『そっ……そんなことないと思うよっ!?カードがあることで色々と嬉しいことも沢山あるじゃん!?』
そうだろうか?今のところ実体化したカードに酷い目に遭わされた記憶しかないが。まぁ、グロカードで惨殺しているからお互いさまではあるけども。
疑うようにジッとアホムラを見つめると、肩をつかみ顔を寄せて縋ってきた。笑顔は引きつっていて、つぶらな瞳が揺れている。
『ほら!可愛くてチャーミングな相棒ができたとか!私と一緒にいられてマスターも幸せでしょっ!?』
「いじめがいのある安物の玩具ができて愉しいのは事実」
『消し炭にするぞ!?このドブカスロリッ!』
「アンタもウチと同じでしょッ!?だって見るからに社会から爪弾きにされてそうッ!だけど本当に悪いのは世界で!社会で!大人で!そしてBITCHカードなのよッ!」
「おぉ……!」
『騙されないで!今の話ってカードバトル至上主義を資本主義に置き換えても成り立つじゃん!所詮は都合のいい陰謀論!大事なのは今できるベストなことをやるポジティブな姿勢だよ!』
「うーん?」
『だいたいさ!頭が可哀想なだけの自己チューメンヘラカスの言葉なんて本質的には無価値!マスターはあんなトイレの落書きと大好きな相棒のどっちを信じるのさ!?』
「今のところ8:2でメンヘラに分がある」
『クソが!えぇい!おバカなマスターを言葉巧みに惑わす卑劣なドブネズミめ!下水に還れ!』
ふと背筋が凍り付くような恐怖を感じた。冷気の根源は、私を説得するホムラ越しに見えたスズだ。菩薩のような笑みを浮かべているが、ホムラを見るその目は笑っていない。唇の動きから呪詛が読み取れる。
私のスルメちゃんに馴れ馴れしく触るな、汚らわしいゴミクズが。死ね。死ね。死ね。
まるで道端の吐しゃ物を見るような視線だ。人はこんなにも心を失えるのか。今のスズはホムラのことをカードの精霊とかではなく存在価値のない虫けら同然に扱っている。
いやまぁカードに人権はないんだけどね?ないんだけどさ?所詮は道具なんだけど。それでも情が移るというか?少なからず愛情があるというか?誰だってお気に入りの玩具くらいあるはず。
あんな純度100%の殺意を抱くなんて私には到底無理だ。なんて末恐ろしい存在。ヤンデレの幼馴染に愛され過ぎて震えが止まらない。
『うぇっ!?マスター大丈夫!?電動こけしみたいだよ!?』
「ホムラ……強く生きてね……」
『すみません、何かの冗談ですか?貴女が一番私を殺してますけど』
「きっと存在ごと消されちゃう……もっと慎ましく生きて身の程を弁えよう?」
『いったいなんなの……?遠回しな脅迫?何かマスターを怒らせるようなことした?』
大好きな玩具を壊されたくはないのでホムラにギュッと抱き着く。むほほという喜びと興奮の交じった気持ち悪い鳴き声がした。そしてスズから漏れ出る殺意が増幅した。私はどうすればいいのだろうか?
現実逃避のためバトルを続行する。
「私のターン。山札からカードをドローしてメインシーンに移行。……ほう、これは」
引いたのは【JKガールズ・深緑のリリカ】だった。必ず役に立つという誓いをちゃんと守るとは、中々できた下僕だ。褒めて遣わそう。
『あ!リリカのカードじゃん!やったねマスター!これで私と一緒に活躍させられるね!』
「お前は召喚しない」
『えぇ!?なんでぇ!?』
「だって無駄だから。敵のアタッカーを一掃する生贄は1体で十分」
『いけに……あっ!もしかしてマスター!』
「私は手札から【JKガールズ・深緑のリリカ】を召喚する」
バトルユニットにカードをセットしたことで、ARビジョン上に緑がかった黒髪のストレートロングヘアの魔法少女があらわれた。ダークグリーンのロングドレスを身にまとった少女は、気品と礼節を感じるような立ち振る舞いで私の場に降り立った。
『深緑のリリカ、馳せ参じました。微力ながらマスターのため戦わせていただきます』
「あ、いいよ。戦わなくて。コストとして死んでもらうだけだから」
『……え?』
『リリカっ!ドンマイっ!』
『ホムラちゃん?どうしてそんな保健所に送られる犬を見るような眼をしているの?』
「手札からスペル【道連れスーサイド・ロープ】を発動。場の【JKガールズ・深緑のリリカ】を墓地に送ることで、【BSS爆撃ピエロ】を破壊する」
『ま、マスター!?なぜですか!?なぜそんな非道なことを!?』
私の宣言と同時に魔法少女の首を吊るさんと禍々しい縄がカードから飛び出した。動揺するリリカの首に巻きついた縄は、力強く彼女の身体を空中へと吊るし上げた。
徐々に顔色が悪くなっていくリリカだったが、ロープを必死に掴みながら懸命に助けを求める。
『ぐっ……ぅ……かひゅっ……ほむらちゃ……たすけ、て……』
『無理!カードの効果は絶対だもん!』
「おい、抵抗するな。とっとと死ね。言ったよね?無様な死に顔を晒すの楽しみにしてるって」
『かはっ……こふっ……そんなっ……』
『大丈夫だよリリカ!私もシズクも通った道だからさ!』
『えっ!?ホムラちゃんとおそろ……こひゅっ……ぐぎぎぎぎっ!』
うわ……きたな。ガス灯のように吊るされたリリカからチョロチョロと尿が垂れ流される。いくら大好きな幼馴染とおそろっちだからといって嬉ションしないでほしい。
物言わぬ首吊り死体と化したリリカを見上げながらホムラは大粒の涙をこぼし始めた。なお、リリカの隣に立っていた殺人ナタを装備したムイは、繰り広げられる茶番劇に冷めた目を向けている。
『うぅぅぅぅっ!ごめんねリリカぁ!私にもっと力があればそこのドブカスを止められたのにっ!』
「2点。クソ演技もたいがいにしろ大根役者」
『にっ……に、にに2点!?何点満点中!?っていうかいきなり何なのさ!?』
「100点満点中に決まってるでしょ。大切な幼馴染を失った喪失感、悲壮感、絶望感。すべてが足りない。とってつけたような号泣シーンだけで全く愉悦を感じられない。マナを見習ってほしい」
『そんな……あのイカれ根暗女よりも最愛の相棒たる私の評価が低いなんて……!?』
四つん這いになって愕然としているアホムラを放っておいてカードバトルを続行する。まぁ、これで私の勝利は揺るぎないのだけどね。
「場に存在する【JKガールズ・深緑のリリカ】が墓地に送られたとき、相手に500ELのダメージを与えるとともに、山札から【ガールズ】と名の付くスペルを手札に加えられる。私は【ガールズ・スラッシュ】を手札に加えて発動する」
「ヴワアアア!?ウチの壁アタッカーがぁああ!?」
「安心して。今からお前は負けるんだから。【ガールズ・スラッシュ】は墓地の【JKガールズ】と名の付くアタッカーごとに300ELダメージを相手に与える」
「ってことはウチのELは……えっと……何ポイントなんだっけ?」
「1500ポイントでしょ。そして私の場にはAP2000の無表情女がいる。さて、ファイトシーンに移行しようか」
「ま、ままま、待ちなさい!」
メンヘラ大馬鹿女は手をあげて制すると、脂汗を滝のように流しながらニヒルな笑みを浮かべている。ただ、その口角は動揺のあまりピクピクとひくついている。
「ほ、本当にいいのかしらっ!?ウチのカウンタースペルはすっごいのが伏せてあるのよ!?」
「ふーん」
「もう超絶やばくて大逆転のちゃぶ台返しスペルなんだから!相手アタッカーを破壊してカードもドローして!ウチのアタッカーを攻撃すると発動する最強スペルで……あっ!」
「へー」
「あ、あ、あっ……も、もうひと思いにやれぇー!」
「言われなくても!【JKガールズ・三位一体のムイ】で直接攻撃!」
「ヴワアアアアアアアア!」
ムイの斬撃を喰らったメンヘラ大馬鹿女は、大の字になって倒れた。無様にも目を回して気絶してしまったようだ。
すると、メンヘラ大馬鹿女の周りに散乱したカードから黒い靄が湧き上がり、私の方へとゆるゆると向かってきた。さながら芋虫のようだ。
「は?なんなのこれ?」
『うげぇええ!キモッ!ドブカスロリに惹かれてるよあの黒い靄たち!キモッ!』
『マスターに共鳴してボクの残滓が吸い寄せられているね。これであのカードたちも本来の姿に戻ったはずだよ』
『キモッ!キモッ!キモッ!マスター早く殺虫剤撒かないと!あるいは塩!』
『こうやってボクの残滓を身に宿したり悪用したりしているヤツらをカードバトルで倒せばマスターにすべて吸い寄せられる。そうすればボクの力も元に戻ってもっと役に立てるからね』
『マスターほら!足元にまで来てるよ!?しっししなきゃ!しっし!しっし』
「あーあーうるさい。別々にサラウンドで語りかけてくるな!」
『ひじきっ!』
『きんぴらっ!』
うるさいアホ精霊どもを殴る。お互いに認識できていないからって同時に喋るんじゃない。
するすると足をつたって胸元にまであがると、黒い靄は私と一体化した。なんだかくすぐったいような感覚がありつつも暖かい気持ちになった。あと気のせいか何か強くなった気がする。
そんな達成感にジーンときていたら、涙を流しながらとんできたスズにロケット頭突きされた。
「うぼぁっ!」
「スルメちゃん大丈夫!?この細い身体に何か邪悪なものが入り込んだ気がっ!?」
「だ、大丈夫……安心してスズ……」
「よくやったスルメ!お前のおかげで騒ぎが大きくなる前に抑えられたぜ」
「流石はご主人様が見込んだクソガキ様ですね」
カンナさんに頭をわしゃわしゃされる。なんて乱暴で粗雑なんだ。なでなで下手糞すぎるだろ。
ふとメンヘラ大馬鹿女の方を見ると、レイが顔をぺしぺしと叩いていた。
「どうやら警察が来るようだ。アタシは説明のために現場に残る。ズイ、悪いが頼めるか?」
「かしこまりました。ひとまずは私の店にあの2人を匿います」
「じゃあ私もついていくよ」
「スルメちゃん!?もう夜だよ!?遅いし早く帰ろうよ!」
「むぅ……でも……」
そうだけど、BSS団とのかかわりが気になるし。
するとズイは眼鏡をくいと上げると微笑んだ。
「明日は世界完全平和の日なので、学校は休みのはずです。明朝、我がメイド喫茶にお越しください。こちらがお店の名刺です」
「マハラニ★萌神殿……?」
酷い名前だなと思ったが言わないでおいた。言ったらキレられそうだから。
そんなこんなで私とスズは、後日ズイの経営するお店へと向かうことになった。
感想、評価などなど、いつもありがとうございます!!励みになります!
新しいシャドバめっちゃ面白いのですが、懐古厨としてはかつてのリーダースキンやステージが恋しいです……。なのでルナちゃんのスキンを買いました!すごいすごーい!ちなみにBGMは妖精の森が煽りカス感あって好きです。