カードゲーム世界でサイコロリ扱いされてるのだが??? 作:53860
あと、カード効果はちゃんと確認した方がいいと思います。
『ドブカスマスターとヒーロー気取りの下種ですか』
「は?何様だよ、カードのくせに」
『貴女たちはカードを人間扱いしないクズです』
「だって、ホムラ。おら反省しろ」
『ごめんねマスター。私、AP500以下の雑魚カードの声は聞こえないんだ』
マナの視線が、さらに冷たくなった。
『虫けらどもが』
ふーん、そんなこと言うんだ?生意気じゃん、カードのくせに。
でも、こいつの前でそんな態度とれるのかな?
「場に【JKガールズ・闇夜のマナ】が存在するとき、手札からアタッカー【JKガールズ・雷撃のヒカリ】を特別召喚できる」
『ヒカリちゃんッ!ダメぇ!』
バトルユニットにカードを置くと、元気溌剌とした魔法少女が場に降り立った。
怠惰なぐうたら女こと、ヒカリはポーズを決めるとウィンクを決めた。
『マスターに媚びを売る卑しい女め』
『こわっ!いきなりなんですか!?』
『ぐぬぬ。でも今の私じゃ、この雌を燃やせない』
『メス!?まさか私じゃないですよね!?』
不愉快そうに眉をひそめるホムラに、ヒカリが勢いよくツッコむ。
ははは。随分と仲良しじゃないか。
マナはどんな顔をしているのかと思って見たら、異常な光景を目の当たりにした。
「……ねぇ、なんで涎だらだら出してるの?」
『ハッ!?ち、違います!これは、その……ヒカリちゃんが急に出てきたからで……!』
「何が?」
『美味しそうとか、そういう意味ではなく!』
「そんなこと誰も言ってないんだけど?」
うわ汚っ。滝のように涎を流している。
『貴女のせいです!このイカれサイコロリ!』
「は?」
『カードには自我があるんです!それをスナック感覚で惨殺するからみんなおかしくなる!』
「でも涎はお前の問題だよ」
『なっ!?』
「なんでもかんでもマスターのせいにしないでよ」
まったく、なんて無責任なヤツだ。
ホムラなんて他のJKガールズを燃やしても、最後は開き直ったぞ。
それに今回は殺さない。今はまだ合理的じゃないからね。
「私は武装カード【ガールズ・ファイトロッド】と【ガールズ・ファイトミラー】をマナに装着する」
これでAPは1700ポイントに上昇する。オッサンのアイドルカードを破壊できる。
『ま、マスター!?雑魚カードを殺さずに強化するなんて、そんな人間みたいなことを……!私の愛する悪魔をどこに隠したの!?この偽物めっ!』
『人間失格の虫けらのクセに、カードをまともに使うなんて……。何か邪悪なことを企んでいますよね?』
『うわー。今日は私が死なない日だ!てっきり手札のグロカードで惨殺されるかと思った!ラッキー!』
ゴミカードどもが好き勝手に私のプレイングを評価してきた。うるさいですね。
今、【道連れスーサイドロープ】でヒカリを墓地に送っても、相手アタッカーは1体しかいない。本来は2体を墓地に送れるのに、もったいないじゃないか。
まったく、算数もできないバカどもは黙っていてほしい。
『どうせ、後々ヒカリちゃんを殺すつもりなんですよね?』
「さぁね。ちゃんと敵を倒してくれるなら、生かしておいてもいいけど?」
『そうやって人質を取って戦わせるつもりですか』
「そんなわけないでしょ。人権のないカードなんか、人質として無価値じゃん」
『……下種が』
「褒め言葉ありがとー」
マナは吐き捨てるように言った。
ふん。一丁前に人権派を気取りやがって。
『やった!今日はマナが前で戦ってくれるんだね!』
ヒカリは嬉しそうにマナの後方へ飛んでいき、場の端で寝っ転がった。
『じゃあ私は後ろで応援だけしてるね!』
「……あのバカ、なんで端で寝てんの?」
『だから言ったじゃん、マスター!アイツは堕落しきった豚だって!』
手だけひらひら振っている。なんてだらしないヤツだ。
ホムラの言う通り、案外ロクでもないヤツなのかもしれない。
『がんばれー!私の分まで活躍してねー!』
『うん!私、頑張るよ!ヒカリちゃんのために!』
でも、マナはキラキラ目を輝かせている。きっと寄生虫を飼うのが趣味なんだろう。
「まずはマナで【IDルーキーガール】を攻撃」
『くらえ!ムーンライト・ショット!』
月光が集まり、矢として放たれる。
胸を貫かれた悪魔のアイドルは吐血すると消滅した。
AP差分の200ポイントが、シーラさんのELを削る。
「おい。お前も攻撃しろ」
『えー……。しょーがないなー。あたーっく』
寝転んでだらけきったヒカリがやる気なさげにロッドを掲げると、ヘロヘロの電撃が放たれた。
シーラさんのELを500ポイント減らしたけど、なんとも気の抜けた攻撃だ。
「おのれ!ひたむきに頑張るアイドルの輝きを穢しましたね!」
「女の子に酷いことをするのはヤクザの専売特許でしょ?」
「我々が搾取するのは人間未満のクズです!だからお嬢には染まる前に足を洗ってほしいんだ!」
「まぁ、傾奇町にはダメ人間も多いけどさ」
「お嬢は、そういうクズにまで居場所を与えようとするから甘いんです!」
ヤクジュが甘い?アイツそんな可愛いガキだったかな。
大人の弱みを握って遊んでいた幼稚園児が、そんな甘ちゃんになるのかな。
「私はカウンタースペル【復帰ライブ】を発動!デッキからAP1000以下の【ID】アタッカー1体を特別召喚します!あらわれよ【IDルーキーガール】!」
「チッ。なら私はカードを1枚伏せてターンエンド」
まずいな。このままだとハイグレードアタッカーを召喚されてしまうかもしれない。
そうなると、マナを強化した意味がなくなってしまう。これだから低APの雑魚は困る。
「私のターンですね。場の【IDルーキーガール】を生贄に捧げて、ハイグレードアタッカー【ID輝きのセンターアイドル】を召喚します」
姫カットの清楚系っぽいアイドルが、煌びやかな衣装をまとって登場した。
祈るように豊満な胸元で指を組んで、儚げに微笑んだ。オッサン受けしそうなアイドルだなぁ。
「さらに武装カード【ファンの想い、アイドル・ブレード】を装着。これでAPは2000ポイントに上昇します」
ふん。ダメージは受けてしまうけど、マナは武装カードのおかげで戦闘では破壊されない。
次のターンに【道連れスーサイドロープ】でマナもろとも、あの世に送ってくれるわ。
「ファイトシーンです。私は輝きのセンターアイドルで、そこに寝転がっている小娘を攻撃します!」
「……は?」
『え、えぇ!?私ぃ!?』
「ひたむきさも、真面目さもない怠惰なクズ女が!努力家のアイドルを見習いなさい!」
いや、そこを狙うのは聞いてない。というか、効果とか読まないのか?
姫カットのアイドルはウィンクすると、人差し指から光線を放った。
アイドルの光線が、寝転がったままのヒカリを貫いた。
ジュッ、と音がした。
さっきまでヒカリがいた場所には、生々しい焦げ跡だけが残っていた。
誰も、すぐに反応できない。マナは手に持っていたロッドを落とした。
いや、さっさと処理しなきゃ。死んだなら効果は使えるのだから。
「……オッサン。ヒカリの効果を見てないの?」
「あんなクズ女に効果なんてあるんですか?」
「うん。場に存在するこのカードが墓地に送られたとき、オッサンの場のアタッカー1枚を墓地に送り、ELを500ポイント減らすんだよ」
「なんですって!?」
「若蛾さん、せめて相手の効果は確認してください……」
カンナさんが、隣で静かに頭を抱えていた。
私の場にあったヒカリのカードが、墓地へ送られた。
そして、どこからともなくあらわれた雷撃が、アイドルを感電死させた。
ボロボロに焦げたアイドルは焼失していく。最後まで笑顔だったのはプロ意識の高さを感じられたな。
きゅるるるる。腹の虫の鳴き声が聞こえた。
『……マスター、ヒカリちゃんは?』
「死んだよ。ていうか、なに?お腹空いてるの?」
『ヒカリちゃんが、死んだ』
マナは虚ろな目で焦げ跡を指でなぞっている。
『もう、いない。ヒカリちゃんの、匂いも、味も、しない』
「さっきから何なのあれ?キモいんだけど」
『マスター。あれこそが幼馴染の絆だよ』
「絶対に違うでしょ……」
マナは聞いていなかった。
ヒカリの焦げ跡を見たまま、喉を鳴らしていた。
『……う、うげぇぇぇええっ!』
うわ、びっくりした!
マナは自分の喉奥に指を突っ込んだ。胃の中身を吐き出す。
でも、そこにもヒカリはいなかった。
『…………ない。ないないないないないッ!どこにもヒカリちゃんがいないッ!』
「当たり前でしょ。今回はお前に喰わせてないんだから」
『どうして!?ヒカリちゃんはどこに行ったの!?私はこんなにお腹が空いているのに!?』
意味わからん。ついに狂ったか。
私の場で気色悪いことはしないでほしい。
「なんという誤算でしょう。まさか、あんな怠惰な小娘にも効果があったとは」
「ぐうたらとカード効果に関係はないでしょ」
「……私はカードを1枚伏せて、ターンエンドです」
ふむ。私の場には、武装したマナが残っている。ELは2500ポイントだ。
対するシーラさんの場には伏せカードが1枚。ELも2800ポイントと少し多い。
次のターンで決めたいが、どうだろうか。私は山札に手をかけた。
ぐぅ、とまた、マナの腹が鳴った。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
カードに隠された欲望が、少しずつあらわになっていく展開ですが、どうでしょうか?
もし何か刺さったところがあれば、感想やここすきなどで教えていただけると嬉しいです。
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